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おっさん、生意気青年をパーティに加える
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「えーっと、たしか、掲示板の左端に、猫のモニュメントがあるっていってたな」
「それなら、あれよ」
ローラが指し示す方には、猫のモニュメントがあった。それは銅像であり、かなり年季が入っていた。ここがギルドになる前からあったものだろう。
「岡田さん、誰かが猫さんにもたれかかってる、あの人じゃないですか?」
「……きっとそうだな、よし、いこう」
フードをかぶって、まだ装備していない若い男が猫の乗っている台座にもたれかかっていた。パーティー募集でメールのやりとりをした奴だろう。俺から声をかける。
「やぁ、君が柏木蓮かい」
「……蓮でいい」
フードを取ると、やはり若い。切れ長で、じゃっかん目つきの悪い青年だった。メールのやりとりから、彼は前に所属していたパーティを追放され、新たなパーティメンバーを探していたらしい。俺にメールをくれた輩の中で、唯一白ライセンスではなくグレーライセンス所持者を自称していたから、彼に目をつけたのだった。
メールでいちおう追放された理由を聞くと、ノリが合わなかったから、だと言っていた。いかにも生意気そうな小僧だから納得である。ハタチらしいが、まだまだ中二病らしさが残る雰囲気を持っている。たぶん、前のパーティでは仲間はずれにされたんじゃないかな。
「お前が岡田か」
「そうだ」
「……ほんとうに35歳なんだな、大丈夫か」
「だといいけど」
メールのやりとりのときもため口だったが、現実でもがっつりため口だった。ぶきっちょな感じがぷんぷんするぜ、最近のガキはこれだからいけねぇや。と、思ったが、しかし、自分も偉そうに言える立場ではなかった。
国家ハンターとしては40が限界年齢と言われている。そりゃそうだ、ハンターってのは腕っ節の強い、体力のある若者がやることだ。だから、おっさんがパーティーメンバーになるというのは、ちょっと不安なのだろう。俺も不安だ。
「今日はこれにしよう」
蓮が、掲示板に貼ってある依頼用紙をバリッと勢いよくはがしてきて、俺たち三人に見せつけた。そこには37階層、水角獣ダイダロスの討伐と書かれ、その下にパーティの署名欄が用意されていた。
ローラがそれを手に取り、言った。
「これは無理だわ。ダイダロスは狩猟ランクBプラスの強敵。うちのパーティには国家ハンターになったばかりの人が二人もいる、他の依頼にしましょう」
「なぜだ! これぐらい、俺一人でやれる!」
「あなた、たしかグレーライセンス所持者だったよね。狩猟ランクBプラスは紫ライセンス相当のハンターが最低3人はいないと、無理よ」
「俺の実力はライセンスの色じゃはかれねぇんだよっ」
蓮の目的は、人数集めだった。ダイダロスの討伐には、よほどの強者でない限り、複数人のパーティでないと許可が下りない。蓮は独りよがりな性格なのか、さっさと強い敵を討伐して、自分のハンターランキングを上げようと躍起になっているらしかった。
ローラはどうやら、蓮と面識があるらしい。
「グレーライセンス所持者ってのは本当だったのか、まだハタチなのにすごいな」
俺が素直に感心すると、蓮は不敵に笑って、
「当然だろ、俺は将来、日本一のハンターになる才能があるんだ、こんなところでつまずいてられないんだよ」
蓮が鋭い眼光ですごんだ。黙っていたほのかがおずおずと、怖がりながらも発言した。
「か、柏木さん、でしたっけ」
「蓮と呼べ、お前は棚橋だったな」
「むぅっ、あなたこそ、ほのかと呼びなさい、偉そうに!」
「なんだとお前! 未来の日本一ハンターに向かって、なんて口の利き方だ!」
「まあまあ、落ち着けよ君たち、ともかく蓮、俺たちをパーティーメンバーとしてこれからダンジョン攻略するんだったらさ、いちおう他のメンバーのレベルも考慮に入れてほしいんだ。俺とほのかはまだ素人みたいなものだから、最初は軽い依頼にして、徐々に腕を上げていきたい、分かってくれ」
蓮はすこし不満そうな顔をしたが、しぶしぶうなずいた。ローラがそれを見てホッと胸をなで下ろし、それから別の用紙を丁寧にはがし、持ってきた。
「最初はダンジョンになれるところからにしましょう」
彼女が持ってきた依頼は、8階層、草原地帯にある丘の探索だった。ミッションは討伐ではなく採集。ようするに、採集クエストだ。
「ちっ、こんな甘っちょろいのでいいのかよ」
蓮が言った。するとローラがにやりと笑って、
「このダンジョンはいまや、草原でも危険モンスターが現れるらしいよ。このあいだも、狩猟ランクB相当のドラゴンが目撃されたとか……」
嘘か誠か分からないが、蓮は目を輝かせた。
「面白いね、じゃあ、確かめに行ってやるよ」
プライドの高いガキんちょの扱いがうまいな、ローラお姉さんは。と思った。
「それなら、あれよ」
ローラが指し示す方には、猫のモニュメントがあった。それは銅像であり、かなり年季が入っていた。ここがギルドになる前からあったものだろう。
「岡田さん、誰かが猫さんにもたれかかってる、あの人じゃないですか?」
「……きっとそうだな、よし、いこう」
フードをかぶって、まだ装備していない若い男が猫の乗っている台座にもたれかかっていた。パーティー募集でメールのやりとりをした奴だろう。俺から声をかける。
「やぁ、君が柏木蓮かい」
「……蓮でいい」
フードを取ると、やはり若い。切れ長で、じゃっかん目つきの悪い青年だった。メールのやりとりから、彼は前に所属していたパーティを追放され、新たなパーティメンバーを探していたらしい。俺にメールをくれた輩の中で、唯一白ライセンスではなくグレーライセンス所持者を自称していたから、彼に目をつけたのだった。
メールでいちおう追放された理由を聞くと、ノリが合わなかったから、だと言っていた。いかにも生意気そうな小僧だから納得である。ハタチらしいが、まだまだ中二病らしさが残る雰囲気を持っている。たぶん、前のパーティでは仲間はずれにされたんじゃないかな。
「お前が岡田か」
「そうだ」
「……ほんとうに35歳なんだな、大丈夫か」
「だといいけど」
メールのやりとりのときもため口だったが、現実でもがっつりため口だった。ぶきっちょな感じがぷんぷんするぜ、最近のガキはこれだからいけねぇや。と、思ったが、しかし、自分も偉そうに言える立場ではなかった。
国家ハンターとしては40が限界年齢と言われている。そりゃそうだ、ハンターってのは腕っ節の強い、体力のある若者がやることだ。だから、おっさんがパーティーメンバーになるというのは、ちょっと不安なのだろう。俺も不安だ。
「今日はこれにしよう」
蓮が、掲示板に貼ってある依頼用紙をバリッと勢いよくはがしてきて、俺たち三人に見せつけた。そこには37階層、水角獣ダイダロスの討伐と書かれ、その下にパーティの署名欄が用意されていた。
ローラがそれを手に取り、言った。
「これは無理だわ。ダイダロスは狩猟ランクBプラスの強敵。うちのパーティには国家ハンターになったばかりの人が二人もいる、他の依頼にしましょう」
「なぜだ! これぐらい、俺一人でやれる!」
「あなた、たしかグレーライセンス所持者だったよね。狩猟ランクBプラスは紫ライセンス相当のハンターが最低3人はいないと、無理よ」
「俺の実力はライセンスの色じゃはかれねぇんだよっ」
蓮の目的は、人数集めだった。ダイダロスの討伐には、よほどの強者でない限り、複数人のパーティでないと許可が下りない。蓮は独りよがりな性格なのか、さっさと強い敵を討伐して、自分のハンターランキングを上げようと躍起になっているらしかった。
ローラはどうやら、蓮と面識があるらしい。
「グレーライセンス所持者ってのは本当だったのか、まだハタチなのにすごいな」
俺が素直に感心すると、蓮は不敵に笑って、
「当然だろ、俺は将来、日本一のハンターになる才能があるんだ、こんなところでつまずいてられないんだよ」
蓮が鋭い眼光ですごんだ。黙っていたほのかがおずおずと、怖がりながらも発言した。
「か、柏木さん、でしたっけ」
「蓮と呼べ、お前は棚橋だったな」
「むぅっ、あなたこそ、ほのかと呼びなさい、偉そうに!」
「なんだとお前! 未来の日本一ハンターに向かって、なんて口の利き方だ!」
「まあまあ、落ち着けよ君たち、ともかく蓮、俺たちをパーティーメンバーとしてこれからダンジョン攻略するんだったらさ、いちおう他のメンバーのレベルも考慮に入れてほしいんだ。俺とほのかはまだ素人みたいなものだから、最初は軽い依頼にして、徐々に腕を上げていきたい、分かってくれ」
蓮はすこし不満そうな顔をしたが、しぶしぶうなずいた。ローラがそれを見てホッと胸をなで下ろし、それから別の用紙を丁寧にはがし、持ってきた。
「最初はダンジョンになれるところからにしましょう」
彼女が持ってきた依頼は、8階層、草原地帯にある丘の探索だった。ミッションは討伐ではなく採集。ようするに、採集クエストだ。
「ちっ、こんな甘っちょろいのでいいのかよ」
蓮が言った。するとローラがにやりと笑って、
「このダンジョンはいまや、草原でも危険モンスターが現れるらしいよ。このあいだも、狩猟ランクB相当のドラゴンが目撃されたとか……」
嘘か誠か分からないが、蓮は目を輝かせた。
「面白いね、じゃあ、確かめに行ってやるよ」
プライドの高いガキんちょの扱いがうまいな、ローラお姉さんは。と思った。
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