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おっさん、案内人を得る
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「――おはよーございます、……ふぁあ」
「朝弱いのか?」
「はい、……だいぶ」
ほのかと合流したあとギルドの集会場にやってきた。集会場には受付と掲示板、休憩所や商業施設が軒を連ね、極太の石柱が林立するとても広い空間があった。ゲートもいくつか見え、案内のための職員が常時待機している。
入り口付近で待ってくれていた大門寺さんは、俺たち二人に、ひとりのハンターを紹介してくれた。
「こちら、甲斐・ルーカス・ローラさん、T―24ダンジョンの様々なステージに詳しいハンターで、新人国家ハンターの教育係を務めてくださっています。青ライセンスの国際ハンターですから、女性でも非常にたくましいので、危ないときは援護してくれます」
「はじめまして、ローラです。しばらく案内人としてあなたがたを安全に導きます。どうぞよろしく」
なかなか流暢な日本語で話す彼女はアメリカ生まれアメリカ育ちのハーフで、27歳。ハンター歴3年だという。アメリカと言えば世界初のダンジョン発生地で知られるが、それがちょうど5年くらい前だ。国際ハンターライセンスの青と言えば、戦闘力だけで見れば日本の国家ライセンスのピンクに相当する。
彼女はハンターの本場アメリカで2年修行を積んだあと、母方の実家がある日本に移り、そこから丸一年のあいだ新宿ギルドに参加してきた経歴の持ち主だ。
青い目と、くるくるカールした金髪が特徴的で、外人女性にありがちな高身長だ。175センチの俺と目線がぴったり一致する。探検家みたいな格好をしている。
「ローラ、これからよろしく」
「うっわぁ、外人さんだぁ! 顔の彫りふっかーい、美人さーん!」
「ありがとう、ホノカは笑顔がすてきね」
「え、褒められた! うれしぃ!」
「すごく日本語が上手だけど、ローラは日本人学校とかに通ってたりしたの?」
「いいえ、私は本来、英語しかしゃべれないの、でも、私にはこれがある」
彼女が背負っていた鞄のサイドポケットから小さな赤い石ころを取りだして見せた。
「なんなんだ、これ」
「これはコミュニケイトダイヤという鉱物で、フロリダにあるダンジョンの14階層でしか採取できない、万能言語ツール。もともと透明なんだけど、そこに自分の血を染みこませると、効果が発揮される。でも完全じゃないから、変な日本語になったら言ってね?」
「えぇええ! そんなのあんのかよ、俺も欲しいぞ」
「ごめんなさい、これはとても数が少なくて、国の研究対象でもあるから、ふつうは買えないの。特別な言語を話す国にハンティングしに行く国際ハンターが言語の壁に悩まされないように、そのときだけ支給される」
「あぁ、日本語って、ムズいもんな……」
「岡田さん、どんまいです!」
日本のトップランカーには、実力的に海外に出て行くべきなのに、待遇面や安全性から、国際ライセンスを取得せずに、ひたすら日本のダンジョンにのさばって、無双し、悦に浸っている性格の悪い連中もいる。昨日調べた限りでは、あの如月も、海外にはびびって行かないが、日本のダンジョンにはしつこく粘着して稼いでいるタイプだった。
それに比べれば、国際的に活動しようというローラの方がはるかにハンターとして志が高い。なんでも、彼女は戦闘よりダンジョン学に興味を持っているようで、アメリカが派遣した非戦闘系特殊ダンジョンの調査団の元メンバーだったらしい。
「とにかく、経験豊富な人がついてくれるだけでも心強いな」
「そうですね! ところで岡田さん、パーティは結局、誰を呼んだんです?」
「あ、そうだった、えーっと、たしか依頼掲示板のそばで待ち合わせしてたんだっけ、もうじき集合時間だから、さっそくいこうか。大門寺さん、ありがとうございました」
「また何かあればご連絡ください」
そうして、俺とほのかとローラの三人は、依頼用紙が大量に張り散らされた巨大な掲示板のもとへ向かった。
「朝弱いのか?」
「はい、……だいぶ」
ほのかと合流したあとギルドの集会場にやってきた。集会場には受付と掲示板、休憩所や商業施設が軒を連ね、極太の石柱が林立するとても広い空間があった。ゲートもいくつか見え、案内のための職員が常時待機している。
入り口付近で待ってくれていた大門寺さんは、俺たち二人に、ひとりのハンターを紹介してくれた。
「こちら、甲斐・ルーカス・ローラさん、T―24ダンジョンの様々なステージに詳しいハンターで、新人国家ハンターの教育係を務めてくださっています。青ライセンスの国際ハンターですから、女性でも非常にたくましいので、危ないときは援護してくれます」
「はじめまして、ローラです。しばらく案内人としてあなたがたを安全に導きます。どうぞよろしく」
なかなか流暢な日本語で話す彼女はアメリカ生まれアメリカ育ちのハーフで、27歳。ハンター歴3年だという。アメリカと言えば世界初のダンジョン発生地で知られるが、それがちょうど5年くらい前だ。国際ハンターライセンスの青と言えば、戦闘力だけで見れば日本の国家ライセンスのピンクに相当する。
彼女はハンターの本場アメリカで2年修行を積んだあと、母方の実家がある日本に移り、そこから丸一年のあいだ新宿ギルドに参加してきた経歴の持ち主だ。
青い目と、くるくるカールした金髪が特徴的で、外人女性にありがちな高身長だ。175センチの俺と目線がぴったり一致する。探検家みたいな格好をしている。
「ローラ、これからよろしく」
「うっわぁ、外人さんだぁ! 顔の彫りふっかーい、美人さーん!」
「ありがとう、ホノカは笑顔がすてきね」
「え、褒められた! うれしぃ!」
「すごく日本語が上手だけど、ローラは日本人学校とかに通ってたりしたの?」
「いいえ、私は本来、英語しかしゃべれないの、でも、私にはこれがある」
彼女が背負っていた鞄のサイドポケットから小さな赤い石ころを取りだして見せた。
「なんなんだ、これ」
「これはコミュニケイトダイヤという鉱物で、フロリダにあるダンジョンの14階層でしか採取できない、万能言語ツール。もともと透明なんだけど、そこに自分の血を染みこませると、効果が発揮される。でも完全じゃないから、変な日本語になったら言ってね?」
「えぇええ! そんなのあんのかよ、俺も欲しいぞ」
「ごめんなさい、これはとても数が少なくて、国の研究対象でもあるから、ふつうは買えないの。特別な言語を話す国にハンティングしに行く国際ハンターが言語の壁に悩まされないように、そのときだけ支給される」
「あぁ、日本語って、ムズいもんな……」
「岡田さん、どんまいです!」
日本のトップランカーには、実力的に海外に出て行くべきなのに、待遇面や安全性から、国際ライセンスを取得せずに、ひたすら日本のダンジョンにのさばって、無双し、悦に浸っている性格の悪い連中もいる。昨日調べた限りでは、あの如月も、海外にはびびって行かないが、日本のダンジョンにはしつこく粘着して稼いでいるタイプだった。
それに比べれば、国際的に活動しようというローラの方がはるかにハンターとして志が高い。なんでも、彼女は戦闘よりダンジョン学に興味を持っているようで、アメリカが派遣した非戦闘系特殊ダンジョンの調査団の元メンバーだったらしい。
「とにかく、経験豊富な人がついてくれるだけでも心強いな」
「そうですね! ところで岡田さん、パーティは結局、誰を呼んだんです?」
「あ、そうだった、えーっと、たしか依頼掲示板のそばで待ち合わせしてたんだっけ、もうじき集合時間だから、さっそくいこうか。大門寺さん、ありがとうございました」
「また何かあればご連絡ください」
そうして、俺とほのかとローラの三人は、依頼用紙が大量に張り散らされた巨大な掲示板のもとへ向かった。
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