普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜

神伊 咲児

文字の大きさ
4 / 18

第四話 新しいギルド

 私はナナハさんの馬車に乗っています。
 彼女がお昼をご馳走してくれるらしいのです。ビフテキということみたい……。少し期待してます。
 それにしても、すごいお胸だな。
 馬車の揺れでポヨンポヨンと揺れています。
 
《人は人、まな板だっていいじゃない。それが自分なのだから……》



「私はこう見えて商人でね。ギルドマスターなの」

「へぇ。では商人ギルドの経営ですか?」

「萬《よろず》ギルドでね。色々熟すのよ」

 へぇ……。
 変わったギルドです。

「【狸の 腹鼓はらづつみ】って言うギルド名なんだけどね」

「ははは。面白い名前ですね」

「ふふふ。でしょ。肩肘を張らない可愛い感じが結構気に入ってるのよ」

「ええ。とても素敵だと思います」

「一応、S級認定を受けているのよ」

「それはすごいですね!」

「まぁ、派手な仕事はやらないから、知名度は低いけどね」

 馬車が止まったのは王都から離れた辺鄙な場所。
 ボロ小屋が1軒。その周辺には大きな風車がたくさんありました。

 おや?
 まさかここがギルドの本拠地?
 S級にしては随分とお粗末な作りですね。

 小屋の外では大剣を振る女が1人。

「戦士のバーバダよ」

 銀髪の背の高い美しい女性です。
 ナナハさんと同じ18歳。
 無気力な表情なのは性格を表しているのでしょう。
 一見すると無愛想で怖い雰囲気があるかもしれません。
 大きな胸は羨ましい限りですね。

 私がペコリと頭を下げると、彼女は小さく頷いてくれました。
 悪い人ではなさそうですね。

 本部と呼ばれる小屋の中に入ります。
 ナナハさんはみなさんに私を紹介してくれました。
 では挨拶をしましょうか。

「イルエマ・ジミィーナです。こんな地味な見た目ですが一応は聖女をしています。本日は食事のお招きありがとうございます」

 みんなの態度は平然としていた。
 別に無視をするわけでもなく、歓迎するわけでもない。
 いつもこうなのでしょう。自分の興味のあること以外は関心を示さないといった感じです。

「それじゃあ、イルエマはちょっとゆっくりしててね。お昼を用意するからさ」

「ナナハさんが作るのですか?」

「そうよ。みんなの食事を作ったり、掃除をしたりね。雑用は全部、私の仕事なの」

「……ナナハさんはギルマスですよね?」

「ははは。うちはそういう所だから気にしないで」

「はぁ……」

 変わったギルドだな。
 雑用なんて部下にやらせるのが普通なのに。

「私も何かお手伝いしましょうか?」

「いいからゆっくりしててよ。それよりニンニクは好き?」

「え、ええ」

「んじゃ、たっぷり入れてビフテキを焼いちゃうから楽しみにしててね」

「は、はい」

 うう、ニンニクたっぷりのビフテキ。じゅるり……。

 私はテーブルに座った。

 さて、ゆっくりと言われても手持ち無沙汰ですね。

 このギルドは、ナナハさんを入れて4人で形勢された小さな組織のようです。
 では、ゆっくりと紹介を受けたメンバーを観察しましょうか。

 私の右横に座っているのが魔法使いのレギさん。17歳。
 アイシャドウをふんだんに塗ったお洒落さんです。
 私とは住む世界が違う感じの綺麗な方。
 おっぱいが大きくてスタイル抜群。
 猫のように釣り上がった目は、何人の殿方を魅了したのでしょうか。
 ずっと、鏡を見ながら化粧をされています。
 魔力量が随分と高い。
 私なんかとは比べ物になりません。量でいえば竜とスライムくらいの差はあるでしょうか。流石はS級ギルドの所属ですね。
 
「ふーーん。聖女にしては、地味な子ねぇ」

「ははは。みんなから地味だと言われます」

「あ、そ」

 あらら。 
 会話が終わってしまいました。
 まぁ、この見た目ですからね。そりゃ興味の対象外でしょう。

 私の左横に座っているのが発明家のエジィナちゃん。
 彼女はボーイッシュな女の子。
 年は16歳。私と同じです。
 クルクルパーマの髪型と大きな碧眼の可愛らしい見た目だ。
 喋り方や立ち居振る舞いが独特で、なんというか慌ただしい。
 
「客人には悪いが僕は忙しいのだ。うーーむ。この数式をここへ移動して……ブツブツ」

 ギルドの発明は全て彼女が担当しているらしい。
 そこかしこに置いてある風車は彼女が設計したのだろう。

 はて、あの大きな紙はなんでしょうか?

「何を読んでいるのです?」
 
「君に言ってもわからんさ」

「ああ。設計図ですね」

「え!? う、うむ。今回も歴史を揺るがす大発明さ」

「ほぉ。それはすごい」

「ははは。まぁ、素人が見ても何を描いているのか皆目検討もつかな──」

「魔力を使った拡声器ですね」

「何ぃいいい!? ど、ど、ど、どうしてわかったんだぁあああ!?」

「ほえ? ……普通の声を魔力で増幅する装置ですよね? だって。ここに描いてますから」

「おいおいおい! これは誰でもわかる代物じゃないんだ! ここまで精密に描かれた図面は僕にしか描けないんだぞ!!」

「ええ。ですから一目見て構造がよくわかったのですが?」

「むぅううう! まさか、この複雑な図面を一目見て把握してしまうとは……。さては発明関係の職についているな?」

「いえ……。今はフリーの聖女です。以前は聖女ギルドに属していましたけどね」

「ふぅむ。さぞや名の知れた聖女なのだろうな」

「ははは。雑用係でしたよ」

「何!? ううぅむ。それは実力が発揮できていなかったのではないのか?」

「いえいえ。そんなことはありません。雑用は私に適任でしたよ。……って、あれ? ここって10Aの魔力方程式ですよね?」

「そうだが? 何かあるのか?」

「だったらこの構造では発声源である魔力に負けてしまうのでは? ここの柱はもっと太い方が耐久性があると思いますよ?」

「何ぃ!? 僕の計算に狂いはないはずなのに!!」

 私は光魔字で空中に絵を描いた。

「えーーと、ここがこうだから……」

「すごい! ユニークスキルかい!? 便利だね」

「ええ。紙とペンがいりませんからね。それで……。こうなる感じなので、これくらいの太い柱が必要だと思うんですよね」

「す、すごい! 計算ドンピシャだ!!」

「ほんの少しのミスは天才にだってありますよね」

「うう! そうなると、全体構造のグレードアップが図れるぞ! 今すぐ計算しなおしだ!! ここがこうだから……ブツブツ」

 エジィナちゃんは計算に熱中し始めました。体を動かしても微動だにしない胸は見ていて安心しますね。あなたとは仲良くなれそうです。

 素敵な詩が浮かびましたよ。
 
《隣人の、胸に共感いたしけり、ここに友人見つけたり》
感想 12

あなたにおすすめの小説

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました

蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。 家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。 アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。 閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。 養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。 ※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

追放された宮廷花師が辺境の荒野に花を咲かせたら、王都の庭園だけが枯れ続けているようです

歩人
ファンタジー
「花を飾るだけの令嬢は不要だ」——王城の庭園を十年守った伯爵令嬢フローラは追放された。 翌月、王城の庭園が一夜にして枯れ果てる。さらに隣国への外交花束を用意できず国際問題に—— フローラの花束に込められた花言葉が、実は外交メッセージそのものだったのだ。 一方、辺境の荒野に降り立ったフローラが地面に触れると花が芽吹き始める。 荒野を花畑に変えていくスローライフの中で、花の感情が色で見える加護が目覚めて——。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています