龍王転生〜転生したら魔導師ってのに出待ちされてた件について〜

波動砲

文字の大きさ
29 / 141
龍王と狐の来訪者

29話目 自分とは真逆の世界で生きてる人

しおりを挟む
日が昇りそして落ちていく。日本でも異世界でも何らそれは変わらない。でも夕暮れ時はどうにも理由なく物寂しく感じるのは何故だろう?


「《とはいったものの‥‥‥どうしたものか》」


待ち続けるのも神経をすり減らすので中々シンドイな。マッポの張り込みもこんな感じなのだろうか。カレーパンなきゃやってらんないわ。こんなのが日常的に行われるヤバい組織があるってマジですか?労働基準法も守れない組織に市民の平和が守れるとでも?そんなんだから国家権力笠に着たヤクザなんて言われるんですよ。それに毒を持って毒を制し続けたら、いつか蠱毒の壺に行き着くと思うぞ。
にしてもかれこれ2時間以上が経過しただろうか。既に日は暮れて逢魔が時に差し掛かっている。
彼は誰時、逢いたい人は、不在なり、うつむいて、魔が時の、橋渡る‥‥ってか。


「《しりとりでもしておこう‥‥‥しりとり、り、り、リフレクソロジー!じ、じ、ジントニック!く、く、クルトン……あ、終わった》」


一人遊びは得意なんだ。ほら、俺って常にソロだから……もう隣人部か奉仕部にでも入部して脱ぼっちの自己変革に努めるとしようかな……はは、鬱だ、氏のう。


気を取り直して上から見下ろす。上空からだと屋敷の全貌が直ぐに見渡せた。屋敷のパーティに参加している偉い人たちの人数は100人程度だろうか。みんな凄い金持ってそうで、それに比例してなのかファッションセンスも凄い。プロデューサーさん!これは実質異世界のパリコレですよっ!パリコレ!!


コレといえば、因みに俺もご存じ大人気ブラウザゲームの『家具これくしょん-家具これ-』をやっていましたよ、はい。因みに俺はTVの擬人化テレビ子ちゃんが1番好きである。『ご主人様にずっと観てもらえるよう頑張ります!』という台詞からも分かる通り、この一言で彼女がいかに健気で凄い頑張り屋さんであるかは聡明な諸兄らにも伝わった────っていかんいかん。


人によっては、『闘犬ランデブー』とか『牛息子 マッスルボディー』とかもあるよね。そっちはあんまり嗜んでないけど、いやー三千円払えば無料で十連ガチャ回せるとかほんと凄いシステムよね。


閑話休題


元々この屋敷を守っていた警護は50人程度だったが、来訪者が来るたびにボディーガードが随伴して来るものだから、現在200人強にまで膨れ上がっている。入り口には常に10人前後が入れ替わっており、屋敷を取り囲むように30人は固めており、残りは屋敷本館かそのすぐ隣にある別館で待機している様子だ。


こういうのってアクション映画とかだとやられ役なんだけど、実際の彼らは対人護衛のプロフェッショナルなわけで、さてどんな手を使って仕掛けて来るのだろうか。怖いもの見たさではあるが、どうやるのか興味が湧くな。


ーーー清正sideーーー


貴族の社交会は大々的に月に何度か開かれていて、意外にも王はこういった場で積極的に貴族たちと関わりを持っている。貴族は偶々生まれが良かっただけで特権階級を笠に着て威張り散らす鼻持ちならない連中が多いがその財力だけは侮れないからだ。


この国が軍国バルドラと呼ばれる由縁。それは軍事に幾つもの小国が傾くレベルで相当の財を充てているからに他ならない。それでもこの国が全く揺るがないのは、こういった貴族たちの存在が大きい。口が裂けても言うつもりは無いが、彼らの存在無くして今のこの国は成り立たないだろう。


だが我らの王のように平民から武功で名を馳せ、最終的には亡き女王陛下に見初められたとはいえ、この国の王として君臨した存在に貴族たちが反感を覚えないわけがない。


それでも貴族たちはまるで愛国者の如き惜しみない援助を国にしてくれるのは何故か?忠誠心などではない。もちろん相応の見返りがあるからだ。例えば大金を融資することで、巫女に未来を見てもらえる。何よりも自身の保身を考える貴族たちにとって、この上なく価値のある情報だ。


無論それだけではなく、市民権の無い奴隷使役の黙認、兵役義務の免除等幾つかの特権が他にも付いているが、端的に言い表すならば打算的な関係であると言って相違ないだろう。


言って終えばその程度の関係。王の喉元に刺客の刃がいつ届くかも分からない状況でまで貴族との交流を優先する。それは余りにも不可解だ。幾ら四大貴族の一角『楽魏』の誘いで在ろうとも。だが不思議と不安はない。王は俺などには及びもつかない考えを張り巡らせているのは間違いないからだ。


会場内を見渡していると、あの『白夜の魔女』が壁に寄りかかりながら何処を見るでもなく、もう何度目になるかも分からないグラスに注がれたワインをあおる様に飲み干した所が目に付いた。


あちらもあちらで王の意図が読めずに苛立つ気持ちは分からないこともないが、だからといって王の護衛という名目で来ているのだから、いざとなった時に酒の飲み過ぎで戦えないでは此方としても困るのだがな。止めるか


「おい!お前何やってんだ!!」


やってしまった。怒鳴るつもりはなかったが、つい声を荒げて話しかけてしまった。


「何を‥‥‥。見て分かる通りお酒を飲んでいるのですが、他に何かやっていそうに見えましたか?」


対して顔色の変わらない白夜の魔女は抑揚のない声で平坦に言葉を返してくると、此方に唯の一度も視線も寄越すことなく、ワイントレイを持って歩き回る使用人を手招きで呼んでグラスを新たに替えてもらう。


「そういう事を言ってんじゃねえよ。お前は……」


「ゴホン。ああ、君、ちょっといいかね。」


言葉半分で横から誰かが割って入る。見ると、煌びやかな服装で上下を彩った、服のセンスが修正不可能な典型的な貴族男性が立っていた。自分に貴族が何か用だろうかと訝しんだが、その疑問は直ぐに払拭された。


「いやはや、酒が無くなったので、新たな飲み物をだね‥‥‥やや!そんな所に見目麗しい女性がいるではないか!」


白々しい。と毒づきたくなった。こいつ、俺をダシにして女に近づいてきたな


「わたくし、南領オスクレイク地区を治める 名門貴族 景藍 の一員で名を景・パット・モーガン・趙伯爵というものであるのだが、良ければ美しい貴女の名前をお聞かせ貰えないだろうか」


自分の家柄を讃えるように伯爵を強調して景趙と名乗った男は魔女に向き直り優雅に一礼する。
魔女は私的な感情を抜きにするならば、誰もが目を奪われてしまう程に容姿が人並み外れて優れている。魔性と言い換えてもいいだろう。だが冬の花のように白く刺すような冷温が彼女からは感じられて、それが人を寄せ付けないのだろう


景趙という男もそれはヒシヒシと感じているだろうに流石は貴族。自信に満ちた様子を見るに自分に失敗はないと思っているのだろう。


「不躾な態度は重々承知ですが、お教えしたくありません。」


それは悪手だ。それで納得する程、貴族の連中は物分かりが良くない。案の定顔を真っ赤にして景趙という男性貴族は唾を吐き散らして憤慨した。


「わたくしが名を聞いているのに、ぶ、無礼にも程がある!!」


「わたくしを誰だと心得る!名門 景藍にその名を連ねる景趙伯爵だぞ!それをどこの馬の骨とも知れぬ女中風情が、名乗りもしないだと!?バカにするのも大概にしろ!!」


それは豹変と言って良いのかもしれない。いきなり男性にまくし立てられれば、女性なら恐怖が生まれ萎縮してしまうだろう。まあ、普通ならだが


「申し出たから断った。それなのに大層な肩書きを傲慢に振り翳し他者を威圧し貶める貴方の方が、よっぽど不作法だと思いますが、貴族云々の前に、人として恥ずかしくないのですか?」


火に油を注ぐとは正にこの事だろう。今この場で貴族との面倒事は避けなければならない。そう考えると柄にもなく仲裁に入ってしまっていた。


「2人共落ち着こう。冷静に話せば分かる」


だが、効果は余り見受けられなかった


「お、落ち着けるわけが、ないだろう!こ、この女が!」


白魔女を指差しながら景趙伯爵は喚き散らす。既にこの場にいる全員の視線を集めてしまっている。我らの王と巫女も何かあったのは察したようで此方に近づいてくる。
だが、誰よりも早く間に割って入ってきたのはこの集まりの発起人である魏良伯爵だった。


「まあまあ、お二人とも。事情は分かりませんが、こういった楽しい場をつまらない諍いで台無しにするのは止めようではありませぬか。ほら、啀み合ってる暇があるなら美味しい物を食べましょうよ」


「しかし、魏良伯爵!これは!」


「景 趙 伯 爵 二度も同じことを言わせないで下さいよ?
彼女は私の客だ。いいか、彼女に二度と近付くな。次はない」


有無を言わさない迫力を前に、流石に景趙伯爵も溜飲を下げるしか無かったらしく、素直に「はい」と小さく答えるだけだった


魏良伯爵はかつて勇猛果敢に多くの戦場を我が王と共に駆け回った武闘派の貴族だと聞いたことがある。俄には信じられなかったが、なるほど、この迫力、あながち嘘では無いらしい


「貴女に不愉快な思いをさせてしまい申し訳ない」


「いえ助かりました。ありがとうございます。ところで一つ尋ねたいのですが、私と貴方どこかでお会いした事ありますか?見覚えがある気がするのですが」


「……もしや口説かれてるのですかな?生憎既婚の身でしてな。それに貴女のように美しい人と出逢ったのなら忘れるはずがありませんよ。絶対に」


「そうですか」


白魔女が軽く会釈をすると満足そうな笑みを浮かべて膨張したお腹を揺らしながら、魏良伯爵は景趙伯爵を無理矢理連れてこの場から離れた。
だが白魔女の方も何を思ったのか直ぐに踵を返して、この場から立ち去ろうとした。


「っておい!?どこ行く気だ!」


「お酒を飲んだ女性が席を外すのです。察してあげるのが男性側のマナーですよ。それに私は此処に居ない方が良いと思います」


そう言われて漸く察する。それに加えて幾つかやましい視線が此方に注がれているのが分かる。特に男性たちの視線は好機を伺っているように思える。言い分は最もだろう


「チッ……早く行ってこい」 


此方がそう言うと白魔女は、この場から足早に立ち去った


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界の「内助の功」~掃除と料理を極めた俺が、脳筋幼馴染を女王にするまで~

ありゃくね
ファンタジー
前世の記憶が目覚めたそこは、男女の貞操が逆転した異世界だった。 彼が繰り出すのは、現代知識を活かした「お掃除アイテム」、そして胃袋を掴む「絶品手料理」。 ただ快適に暮らしたいだけのマシロの行動は、男に飢えた女騎士たちを狂わせ、国の常識さえも変える一大革命へと繋がっていく。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...