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龍王と冒険者ギルド
64話目
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キプロウの町長であるドムックさん宅に招かれて、姫たちは家の中へと入っていくが、我は龍なので普通の家より身体が大きく入ることが出来ない。
毎度こんなんだと不便である。どうにか解決策を見つけなければと考えを巡らせる。
働けブレイン!弾けろシナプス!クリエーション・ディス・ワールド!!
ピコーン!そういえばこの身体は2度程小さくなったことがあるぞ。
1度目は姫が作った魔法丸薬……?を飲んだ時。
2度目があの毒魂アナムに魔力を奪われた時だ。
この点と点を繋げると線になり、そして辺になるのだが……っ!辺を求める為に今こそ異世界の三平方の定理を使う!
sinθをこうしてcosθをああすると、炭治郎……間違えたtanθは我の身体の大きさは体内を巡っている魔力の影響を多分に受けているからだと導き出された。
しからば メガラバ サラダバー、これ 魔力を抑えたりすればどうにかならないだろうか。何となく体内外の魔力の存在を知覚できるのだが、今度はどうやったらそれを抑えられるか考えよう。
こう……魔力コントロールを水を出す蛇口に置き換えて、蛇口を捻って少ししか出さないようにすれば……異世界偏差値高学歴スーパーエリートの我を嘗めるなよーーー!
ぐぬぬ、小さく、なれーーー!!!
そんななりふり構わず祈祷を捧げる我に対して変化に気付いた姫たちが驚いた声を漏らす
「あら偉大なる龍王様?
バルドラでは出来なかった身体操作をいつの間にか会得しているなんて……流石ね」
「おいおい マジかよ あのサイズをここまで自在に操れる魔法使えるなんてお前凄えな!人に使役されてる龍ってだけでも珍しいのによ」
「小さくなったアカシャ様も……また良いですね」
「《この褒められ具合、我 もしや何か凄いことやっちゃいました……?》」
やれやれ、能ある龍は爪を隠したいんだけどな。長すぎる爪がどうやっても隠しきれませんわ、やれやれ。
誰か爪切り持ってきてくんなーーい?大きいやつ!我の才能に見合った飛びっきりの特注品のやつをさーー!
《なんてばっちい笑顔なんでしょう》
皆の反応を見る限りはどうやら縮小は問題なく成功したらしい。思った以上に簡単に出来た。
どこまで小さくなれるかは知らないが、これなら小さくなって相手の体に入り込んで、元の大きさに戻り、相手の身体を破裂させて勝てそうだな。いや、グロいんで絶対やらないけどね。手段と勝ち方を選べない奴は三流。いや三龍以下なのであしからず
我の定位置である姫の頭頂部にのしかかる。
「うっ……」
それにしても凄い気分が良い、これには流石に気分が高揚します。前世の我が恩師 酢桃木先生が口酸っぱく言っていたことを思い返す。自尊心の低いバカとブスこそ異世界に行け、と。その言葉の意味が漸く分かった気がする。なんだろう、自己肯定感が凄い高まる。これからは何かできるようになる度に見せびらかして褒めてもらおう、そうしよう
「重い……」
「《重くない》」
姫は少しだけ鬱陶しそうに表情筋を歪めるものの退かそうとはしなかった。
「おかけください冒険者様方。見ての通り満足におもてなしも出来ず大変恐縮ですが」
町長ならばこの町でも比較的裕福な生活を送っている部類に入るだろう。しかし来客をもてなす為に通された応接間は、ガタガタの窓枠から部屋に隙間風が入ってきているし、歩けば床がギシギシと音を立てて軋んでいる。壁にはヒビが入っており、腰かけるソファーも勿論ボロボロである。これだけでドムックさん家の経済状況も察せられるというものだ。
全員が腰掛けてから、ドムックさんが不安そうにおずおずと話し始める
「では改めまして挨拶を。このキプロウで町長を務めさせて頂いてるドムック・ドルトリンです。再三の確認で恐縮ですが、依頼を受ける冒険者様でよろしいのでしたよね?」
「そうだ。俺たちは"怪物たちの檻"というギルドに所属している冒険者だ。
で、早速依頼を確認させてくれ」
依頼に対する一連の流れを見せるためだろうか、それに真っ先に応えたのはトーチカさんだった。彼の身体が大きい分、圧が凄いのだろう。若干気圧された様子のドムックさん。平身低頭気味の相手に対して、凄むのは我的に良くないと思います
「依頼をしていてなんなのですが、ほ、本当の本当に引き受けてくれるんでしょうか?」
「しつけえな。そのつもりだから来てる。ま 俺は見守りだがな。少なくともこいつら2人は引き受ける気満々の様だぜ」
「《我もいるんだが》」
「悪りぃ んな怒んな。わざとじゃないって。
すまねえ、この2人と1匹がギルドの名に賭けてきちんと依頼をこなすからよ、安心して話してくれ」
「ありがとうございます。ありがとうございます。
で、では、先ずこれをご覧ください」
ドムックさんが目に僅かばかりの涙を浮かべながら、テーブルに何やら紙を広げる。見てみると、どうやら中身はこの辺りの詳細な地図のようであった
「此処キプロウは、東方の交易拠点で商業系ギルドや聖国より派遣されたキケ司教という方に栽培している幾つかの魔草を買い取って貰い、辛うじて成り立っていた小さな町です。
しかしその為には魔草を育てるための用品を定期的に行商人等から買う必要がありまして、人が此処を訪れるために用いる四つの通商路、その中でよりにもよってメインに使っていた二つの道が2ヶ月以上前の土砂崩れにより道が塞がれてしまっていて困っているのです。
残り二つの使える道も、うち一つはガゾ山を経由するのですが、他よりも険路で尚且つ数日はかかる上に山賊まで出るという噂があり……
もう一つが、ラブランという貴族の領地を介しての通行になり、こちらは比較的安全に通行できますが、最近になってここの関所の数が倍に増やされ、以前より通ることが難しくなってしまいました」
「ですから、2つの塞がれた通商路が元に戻れば、少なくとも以前程度の生活には戻れると考えているのですが、あの……塞がれた道を元に戻す依頼は本来ならEではなくB以上の依頼が適切だと承っています。我々の財政事情では……とても払えきれず、厚かましい依頼をしているのはわかっているのですが、皆々様どうか何卒よろしくお願いいたします」
ドムックさんは我々に遂には申し訳なさそうに床に手をついていた。
姫は優しく微笑みかける
「顔をあげてください。依頼はきちんとこなします。所で最後にアドバイスしても良いでしょうか?」
「は、はい」
「これを見てください。外にいた子供が売っていたこの雪花はピナスと言いまして、本来なら、もっと北の大陸の物です。大方鳥型の魔物のフンに種でも混じっていたものだと思いますが、これはそもそも特定の条件下で咲く花です。いつから生えているのですか?」
「フンに種?さ、さあ。少なくとも随分と昔からこの村にはあった様に思いますが、そ それが何か?もしや悪い物だったりするのですか?」
「いえ。ピナスの花弁の数を見てください。この花の花弁は根付いた土に含有した魔素が上質だと花弁を多く咲かせる傾向にあります」
「は はぁ……結構な花弁があるということは、土のマソが上質だということですね……それは何か良いことがあるのでしょうか?」
何となく察しはついたが、ドムックさんはまだイマイチピンと来ていない様子だった
「……因みに毎月どのくらいの魔草を売って、どの程度の利益を得ているのですか」
「私たちが最低限の品質を維持出来るラインが毎月百株程度ですので、それを半々ずつギルドと司教の方に売っています。ギルドからは懇意にさせてもらっているので五十株で大銅貨百枚!司教からはお金ではなく、町全員分の1週間分の食料や衣服、それと聖水を数本と交代させて頂いております!」
嬉しそうに語るドムックさんとは対照的に姫の顔があちゃー。こいつカモにされてるなと言わんばかりに頭を抱えていた
「経済的に不遇な人は、時に物の価値が分からないことをいい事に相手に搾取される場合がある。その典型的な例ね」
「え?」
「何から伝えるべきかしら。
現物を見たわけじゃないから断言はできないけれど、恐らく私の推測通りの品質の魔草なら、一株につき最低大銀貨1枚が相場よ。それに司教の方のは、そのやり取りだと寄贈に近いわ。その半分で町が1ヶ月は飢えないで済むし、聖水も魔草の数だけ貰えるわ」
「ええっ!?」
「分かっていない様だけど、魔素が豊かな大地で育った高品質の魔草が銅貨一枚程度の価値なら、市場で値崩れを起こす所の話ではありません……そもそもとして」
姫は恐らく魔草の事について語ろうとしたのだろう。しかし経験上、姫の話は長い。1時間は余裕で話す。下手したら日が暮れる。背後に控えていた花ちゃんもそれを知ってか慌てて割って入った
「依頼をこなすのが先じゃないですか、玻璃先輩!」
「花……コホン。苺 いえ、この人たちに魔草の知識を与えないと。それが私たちの役割……」
「先輩ったら変なこと言っちゃって。そういうのは魔導師の役割ですよ。あくまで自分たちは駆け出しの冒険者なんですから!」
冒険者。という言葉を花ちゃんが強調すると姫は少しだけ得心がいかない色を浮かべるも、渋々納得した様子で言葉を吐き出す
「そうね そうだったわ。貴女が正しい」
「……私には、魔草。特に薬用植物の専門家の魔導師が知り合いにいるの。良ければ紹介するから、その人と一緒に魔草について学ぶと良いわ」
「ほ、本当ですか!?依頼を引き受けてくれるだけでなく、……そこまで……!なんと偉大な人たちなのか……!」
救いの手を取るかのように、ドムックさんは姫の手を握り咽び泣いていた。それ程までに追い詰められていたということなのだろう
話を詰めた後は、ドムックさん宅を後にして、土砂や瓦礫の撤去をするための依頼場所に向かう
我の背に乗りながら、上から花ちゃんが地図と場所の睨めっこをしている
「にしても、あんた随分と魔草について詳しいんだな。それに魔導師とも知り合いがいるなんて」
「……気になりますか?」
「安心しろ お前らの素性を探るつもりはねえよ。が、ただ駆け出しの冒険者じゃないってのは分かった。頼もしい後輩で嬉しいよ」
暫く空から散策すると、件の場所を漸く見つける。
街道を塞ぐように道に面した切り立った壁がまるで熱されたバターの様に溶けて幾重もの層となって妨げているのだ
「《どうやったら、こうなるんだ?》」
地面に降り立ち、驚いているだけの我以外の3人は違和感を感じ取った様だ
「……」
「先輩。これって」
「そうね。これは魔法を使って、誰かが意図的に塞いでいるわ」
きな臭くなってきたな、後半に続く……のか?
毎度こんなんだと不便である。どうにか解決策を見つけなければと考えを巡らせる。
働けブレイン!弾けろシナプス!クリエーション・ディス・ワールド!!
ピコーン!そういえばこの身体は2度程小さくなったことがあるぞ。
1度目は姫が作った魔法丸薬……?を飲んだ時。
2度目があの毒魂アナムに魔力を奪われた時だ。
この点と点を繋げると線になり、そして辺になるのだが……っ!辺を求める為に今こそ異世界の三平方の定理を使う!
sinθをこうしてcosθをああすると、炭治郎……間違えたtanθは我の身体の大きさは体内を巡っている魔力の影響を多分に受けているからだと導き出された。
しからば メガラバ サラダバー、これ 魔力を抑えたりすればどうにかならないだろうか。何となく体内外の魔力の存在を知覚できるのだが、今度はどうやったらそれを抑えられるか考えよう。
こう……魔力コントロールを水を出す蛇口に置き換えて、蛇口を捻って少ししか出さないようにすれば……異世界偏差値高学歴スーパーエリートの我を嘗めるなよーーー!
ぐぬぬ、小さく、なれーーー!!!
そんななりふり構わず祈祷を捧げる我に対して変化に気付いた姫たちが驚いた声を漏らす
「あら偉大なる龍王様?
バルドラでは出来なかった身体操作をいつの間にか会得しているなんて……流石ね」
「おいおい マジかよ あのサイズをここまで自在に操れる魔法使えるなんてお前凄えな!人に使役されてる龍ってだけでも珍しいのによ」
「小さくなったアカシャ様も……また良いですね」
「《この褒められ具合、我 もしや何か凄いことやっちゃいました……?》」
やれやれ、能ある龍は爪を隠したいんだけどな。長すぎる爪がどうやっても隠しきれませんわ、やれやれ。
誰か爪切り持ってきてくんなーーい?大きいやつ!我の才能に見合った飛びっきりの特注品のやつをさーー!
《なんてばっちい笑顔なんでしょう》
皆の反応を見る限りはどうやら縮小は問題なく成功したらしい。思った以上に簡単に出来た。
どこまで小さくなれるかは知らないが、これなら小さくなって相手の体に入り込んで、元の大きさに戻り、相手の身体を破裂させて勝てそうだな。いや、グロいんで絶対やらないけどね。手段と勝ち方を選べない奴は三流。いや三龍以下なのであしからず
我の定位置である姫の頭頂部にのしかかる。
「うっ……」
それにしても凄い気分が良い、これには流石に気分が高揚します。前世の我が恩師 酢桃木先生が口酸っぱく言っていたことを思い返す。自尊心の低いバカとブスこそ異世界に行け、と。その言葉の意味が漸く分かった気がする。なんだろう、自己肯定感が凄い高まる。これからは何かできるようになる度に見せびらかして褒めてもらおう、そうしよう
「重い……」
「《重くない》」
姫は少しだけ鬱陶しそうに表情筋を歪めるものの退かそうとはしなかった。
「おかけください冒険者様方。見ての通り満足におもてなしも出来ず大変恐縮ですが」
町長ならばこの町でも比較的裕福な生活を送っている部類に入るだろう。しかし来客をもてなす為に通された応接間は、ガタガタの窓枠から部屋に隙間風が入ってきているし、歩けば床がギシギシと音を立てて軋んでいる。壁にはヒビが入っており、腰かけるソファーも勿論ボロボロである。これだけでドムックさん家の経済状況も察せられるというものだ。
全員が腰掛けてから、ドムックさんが不安そうにおずおずと話し始める
「では改めまして挨拶を。このキプロウで町長を務めさせて頂いてるドムック・ドルトリンです。再三の確認で恐縮ですが、依頼を受ける冒険者様でよろしいのでしたよね?」
「そうだ。俺たちは"怪物たちの檻"というギルドに所属している冒険者だ。
で、早速依頼を確認させてくれ」
依頼に対する一連の流れを見せるためだろうか、それに真っ先に応えたのはトーチカさんだった。彼の身体が大きい分、圧が凄いのだろう。若干気圧された様子のドムックさん。平身低頭気味の相手に対して、凄むのは我的に良くないと思います
「依頼をしていてなんなのですが、ほ、本当の本当に引き受けてくれるんでしょうか?」
「しつけえな。そのつもりだから来てる。ま 俺は見守りだがな。少なくともこいつら2人は引き受ける気満々の様だぜ」
「《我もいるんだが》」
「悪りぃ んな怒んな。わざとじゃないって。
すまねえ、この2人と1匹がギルドの名に賭けてきちんと依頼をこなすからよ、安心して話してくれ」
「ありがとうございます。ありがとうございます。
で、では、先ずこれをご覧ください」
ドムックさんが目に僅かばかりの涙を浮かべながら、テーブルに何やら紙を広げる。見てみると、どうやら中身はこの辺りの詳細な地図のようであった
「此処キプロウは、東方の交易拠点で商業系ギルドや聖国より派遣されたキケ司教という方に栽培している幾つかの魔草を買い取って貰い、辛うじて成り立っていた小さな町です。
しかしその為には魔草を育てるための用品を定期的に行商人等から買う必要がありまして、人が此処を訪れるために用いる四つの通商路、その中でよりにもよってメインに使っていた二つの道が2ヶ月以上前の土砂崩れにより道が塞がれてしまっていて困っているのです。
残り二つの使える道も、うち一つはガゾ山を経由するのですが、他よりも険路で尚且つ数日はかかる上に山賊まで出るという噂があり……
もう一つが、ラブランという貴族の領地を介しての通行になり、こちらは比較的安全に通行できますが、最近になってここの関所の数が倍に増やされ、以前より通ることが難しくなってしまいました」
「ですから、2つの塞がれた通商路が元に戻れば、少なくとも以前程度の生活には戻れると考えているのですが、あの……塞がれた道を元に戻す依頼は本来ならEではなくB以上の依頼が適切だと承っています。我々の財政事情では……とても払えきれず、厚かましい依頼をしているのはわかっているのですが、皆々様どうか何卒よろしくお願いいたします」
ドムックさんは我々に遂には申し訳なさそうに床に手をついていた。
姫は優しく微笑みかける
「顔をあげてください。依頼はきちんとこなします。所で最後にアドバイスしても良いでしょうか?」
「は、はい」
「これを見てください。外にいた子供が売っていたこの雪花はピナスと言いまして、本来なら、もっと北の大陸の物です。大方鳥型の魔物のフンに種でも混じっていたものだと思いますが、これはそもそも特定の条件下で咲く花です。いつから生えているのですか?」
「フンに種?さ、さあ。少なくとも随分と昔からこの村にはあった様に思いますが、そ それが何か?もしや悪い物だったりするのですか?」
「いえ。ピナスの花弁の数を見てください。この花の花弁は根付いた土に含有した魔素が上質だと花弁を多く咲かせる傾向にあります」
「は はぁ……結構な花弁があるということは、土のマソが上質だということですね……それは何か良いことがあるのでしょうか?」
何となく察しはついたが、ドムックさんはまだイマイチピンと来ていない様子だった
「……因みに毎月どのくらいの魔草を売って、どの程度の利益を得ているのですか」
「私たちが最低限の品質を維持出来るラインが毎月百株程度ですので、それを半々ずつギルドと司教の方に売っています。ギルドからは懇意にさせてもらっているので五十株で大銅貨百枚!司教からはお金ではなく、町全員分の1週間分の食料や衣服、それと聖水を数本と交代させて頂いております!」
嬉しそうに語るドムックさんとは対照的に姫の顔があちゃー。こいつカモにされてるなと言わんばかりに頭を抱えていた
「経済的に不遇な人は、時に物の価値が分からないことをいい事に相手に搾取される場合がある。その典型的な例ね」
「え?」
「何から伝えるべきかしら。
現物を見たわけじゃないから断言はできないけれど、恐らく私の推測通りの品質の魔草なら、一株につき最低大銀貨1枚が相場よ。それに司教の方のは、そのやり取りだと寄贈に近いわ。その半分で町が1ヶ月は飢えないで済むし、聖水も魔草の数だけ貰えるわ」
「ええっ!?」
「分かっていない様だけど、魔素が豊かな大地で育った高品質の魔草が銅貨一枚程度の価値なら、市場で値崩れを起こす所の話ではありません……そもそもとして」
姫は恐らく魔草の事について語ろうとしたのだろう。しかし経験上、姫の話は長い。1時間は余裕で話す。下手したら日が暮れる。背後に控えていた花ちゃんもそれを知ってか慌てて割って入った
「依頼をこなすのが先じゃないですか、玻璃先輩!」
「花……コホン。苺 いえ、この人たちに魔草の知識を与えないと。それが私たちの役割……」
「先輩ったら変なこと言っちゃって。そういうのは魔導師の役割ですよ。あくまで自分たちは駆け出しの冒険者なんですから!」
冒険者。という言葉を花ちゃんが強調すると姫は少しだけ得心がいかない色を浮かべるも、渋々納得した様子で言葉を吐き出す
「そうね そうだったわ。貴女が正しい」
「……私には、魔草。特に薬用植物の専門家の魔導師が知り合いにいるの。良ければ紹介するから、その人と一緒に魔草について学ぶと良いわ」
「ほ、本当ですか!?依頼を引き受けてくれるだけでなく、……そこまで……!なんと偉大な人たちなのか……!」
救いの手を取るかのように、ドムックさんは姫の手を握り咽び泣いていた。それ程までに追い詰められていたということなのだろう
話を詰めた後は、ドムックさん宅を後にして、土砂や瓦礫の撤去をするための依頼場所に向かう
我の背に乗りながら、上から花ちゃんが地図と場所の睨めっこをしている
「にしても、あんた随分と魔草について詳しいんだな。それに魔導師とも知り合いがいるなんて」
「……気になりますか?」
「安心しろ お前らの素性を探るつもりはねえよ。が、ただ駆け出しの冒険者じゃないってのは分かった。頼もしい後輩で嬉しいよ」
暫く空から散策すると、件の場所を漸く見つける。
街道を塞ぐように道に面した切り立った壁がまるで熱されたバターの様に溶けて幾重もの層となって妨げているのだ
「《どうやったら、こうなるんだ?》」
地面に降り立ち、驚いているだけの我以外の3人は違和感を感じ取った様だ
「……」
「先輩。これって」
「そうね。これは魔法を使って、誰かが意図的に塞いでいるわ」
きな臭くなってきたな、後半に続く……のか?
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