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第2章 最初の救世主

信じてくれ⋯⋯!

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何の因果か、俺たちに攻撃を仕掛けてきた少女は王女だったのだ。
「レディに名乗らせて自分だけ名乗らないなんて失礼ですよ。あなた達こそ、名前くらい教えてくれてもよいのでは?」
「ああ、そうだな」
相手が一般人であれば名乗ることなど出来なかったが、王族とあらば話は別だ。
「私の名はファンタスティック・セルリアン。こちらは従者のゴンザレスJrだ」
「ファンタスティック・セルリアンって、その名はアルカンシエル王国の⋯⋯」
「如何にも。私はアルカンシエル国王だ」
「えぇぇ!!?で、ですが、従者1人で旅に出るなんて⋯⋯」
「目立つわけにはいかないのでな」
「お忍びというわけですね。旅行でしょうか?」
「ははっ、だといいのだが」
「⋯⋯本当に国王なのですか?」
「本当だぞ。本名でも言えばいいのか?ファンタスティック・フォン・アルカンシエル・リー・アンジュ・ドゥ・アリティア・ヴィム・セルリアンだ」
「ですが、覚えれば誰でも言えますよね?」
平民には本名非公開だがな。とはいえ、貴族連中なら知っている。他に俺だと示す方法は⋯⋯。

「⋯⋯では、これならどうだ?」
俺は目深に被っていたフードを取る。
「その眼帯は⋯⋯!」
「如何にも。この眼帯は特注品だ。⋯⋯これで、信じて貰えただろうか?」
「はい。疑ってしまってごめんなさい」
「いや、無理もない。私は怪しいらしいからな」
少女とゴンザレスは揃って少しバツの悪そうな顔をした。
「そんなことより、聞いて欲しい話があるのだ」
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