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第4章 わがまま王女

街では話題

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「まあ、この話はここで終わり。次の行き先はヴィクトワー王国だ」
「あら、なぜヴィクトワーなのですか?」
アップルが疑問に思うのも当然だろう。ヴィクトワー王国は南のサニー大陸にある国だ。普通ならこのような遠回りはしない。そう、普通なら。
では何故ヴィクトワーに行くのか。決まっている。それは⋯⋯

「ヴィクトワー国王の誕生日祝いに行くのよね?」

ナギナギが俺の台詞を横取りする。
何故知っているんだ?
アップルも思わぬ人物が答えたため、キョトンとしている。
「何よ、街じゃこの話題で持ち切りよ。知ってて当然じゃない」
ナギナギに小馬鹿にされて、アップルはムッとする。
「うんうん~。ヴィクトワー国王は今年で50歳だからいつも以上にたくさんの人を呼ぶんだって~。だからいつもは招待されない他国の人もたくさん呼ばれてるの」
「今まで呼ばれたことなどなかったのに急に招待状が届くからどういった心境の変化かと思えば⋯⋯そういうことか」
「そうでもなきゃ、あんたみたいな貧乏王が呼ばれるわけないでしょ」
そこまで言わずとも⋯⋯。まあ、事実なんだが。 
ナギナギとアップルが激しく睨み合う。どうやらこの2人は馬が合わないらしい。
「で、では私はこれで~。次の従者を手配しておきますね~。皆様どうか仲良く頑張ってください」
険悪なムードにいたたまれなくなったのか、エリザベスがそそくさと帰っていく。
無理もない。
「おい、これからは仲間なんだ。仲良くしろとは言わないが、喧嘩はやめてくれよ?」
「⋯⋯善処します」
「努力してやってもいいわ」
あーあー、そういう発言が喧嘩の火種を生むのに⋯⋯。
まあ、無理もないか⋯⋯。無理やり仲間にしたのは俺だしな。
「まあいい。では行くぞ、ヴィクトワー王国へ!」
「おー!!」
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