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第九章
7.共にありたい【5】
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「ほ、誉めても何も出ないですよ?」
普段誉められ慣れていない事は事実なので、私はヴォルの手を口から外して怖々と返してみます。
「……プッ」
吹き出されました。
でも、ベンダーツさんの笑顔も珍しいです。──と思いましたが、そうでもなかったでした。この人は笑い始めたら止まらないタイプです。
それに何か手伝うという私の申し出に対し、話を逸らされた気がしました。何もしなくて良いというのは、ここまでくるとある種の苦痛です。
私は少しだけ不満を乗せた表情をヴォルに向けました。
「メルは何かしたいのか」
「はい……。魔物との戦いは全くダメですけど、何かお役に立ちたいのです。……ダメですか?」
ヴォルの優しげな問い掛けに、私は祈るように見上げます。
それに、何だかこんなに必死になっているのが悲しくなって来ました。何しろ特にこれといって特技がない為、大きな声で宣言出来ないのです。
「問題ない。メルはメルのしたいようにやれば良い。俺はメルと共にあれば良い」
ヴォルは当たり前のように淡々と告げました。
何を迷っているのかと逆に問うような言葉です。
──したい事……ですか。
基本的に私は、自分が勝手に動くと周りに迷惑を掛けると思って躊躇する方でした。そしてあれこれ考えている内にその機会を逃し、結局何も出来ずに終わるのです。
時折考えなしに暴走してしまいますが、両親が亡くなってしまった時の事をいつまでも引き摺っている感じなのでした。
「でも……、迷惑になったり……」
「俺はメルと共にありたい。メルの行動で起こる事柄は全て受け入れる。先を見越して恐怖しても何も生まれない。……俺はメルを縛り付けたくはない」
後ろ向きな言葉を綴る私に、ヴォルは変わらず真っ直ぐな視線を返してくれます。
そして最後、僅かに痛そうに歪められた瞳を見てドキリとしました。
彼に縛られているとは全く思っていませんが、嫌われないかとかネガティブな考えを持っている事も否定出来ません。私のこの行動も、ヴォルにとって辛い事のようでした。
今は私がヴォルを苦しめています。
「何もしなくて良いと仰ったのはヴォルティ様です。メルシャ様は言葉通り受け止め過ぎですし、ヴォルティ様は言葉が足りな過ぎです。見事に互いが縛り付けあっていらっしゃいますよ。仲が宜しいのは結構ですが、一個人としての思考も必要ですからね」
再度溜め息を吐きそうなベンダーツさんですが、言われている事は分かりました。
私達を一番近くで見ているのですから、指摘されている事は間違ってはいない筈です。そしてそれは温かく見守ってくれているからこそだと感じました。
ヴォルも私の行動を否定しませんが、だからといって考えなしの動きではダメです。
「私、頑張って探します。何が出来るか分かりませんが、何もしないで怯えている事がないようにしたいですっ」
両手を拳に変え、私は意気込んで宣言しました。
すぐには無理かもしれませんが、周りの目を気にしているだけでは成長がありません。良く考え、そして行動あるのみでした。
「あぁ」
「では、私は見守らせて頂きます」
二人の温かい視線を受け、気持ちだけはとても強くなった私です。
でもここ、船の中でした。興奮していて忘れていましたが、まだこの時は動いていなかった筈です。
そしてこれから、五日程かけた船旅が始まるのでした。本当に忘れてしまいたかったですけど、大陸間の移動は非常に体力を使うものなのです。
普段誉められ慣れていない事は事実なので、私はヴォルの手を口から外して怖々と返してみます。
「……プッ」
吹き出されました。
でも、ベンダーツさんの笑顔も珍しいです。──と思いましたが、そうでもなかったでした。この人は笑い始めたら止まらないタイプです。
それに何か手伝うという私の申し出に対し、話を逸らされた気がしました。何もしなくて良いというのは、ここまでくるとある種の苦痛です。
私は少しだけ不満を乗せた表情をヴォルに向けました。
「メルは何かしたいのか」
「はい……。魔物との戦いは全くダメですけど、何かお役に立ちたいのです。……ダメですか?」
ヴォルの優しげな問い掛けに、私は祈るように見上げます。
それに、何だかこんなに必死になっているのが悲しくなって来ました。何しろ特にこれといって特技がない為、大きな声で宣言出来ないのです。
「問題ない。メルはメルのしたいようにやれば良い。俺はメルと共にあれば良い」
ヴォルは当たり前のように淡々と告げました。
何を迷っているのかと逆に問うような言葉です。
──したい事……ですか。
基本的に私は、自分が勝手に動くと周りに迷惑を掛けると思って躊躇する方でした。そしてあれこれ考えている内にその機会を逃し、結局何も出来ずに終わるのです。
時折考えなしに暴走してしまいますが、両親が亡くなってしまった時の事をいつまでも引き摺っている感じなのでした。
「でも……、迷惑になったり……」
「俺はメルと共にありたい。メルの行動で起こる事柄は全て受け入れる。先を見越して恐怖しても何も生まれない。……俺はメルを縛り付けたくはない」
後ろ向きな言葉を綴る私に、ヴォルは変わらず真っ直ぐな視線を返してくれます。
そして最後、僅かに痛そうに歪められた瞳を見てドキリとしました。
彼に縛られているとは全く思っていませんが、嫌われないかとかネガティブな考えを持っている事も否定出来ません。私のこの行動も、ヴォルにとって辛い事のようでした。
今は私がヴォルを苦しめています。
「何もしなくて良いと仰ったのはヴォルティ様です。メルシャ様は言葉通り受け止め過ぎですし、ヴォルティ様は言葉が足りな過ぎです。見事に互いが縛り付けあっていらっしゃいますよ。仲が宜しいのは結構ですが、一個人としての思考も必要ですからね」
再度溜め息を吐きそうなベンダーツさんですが、言われている事は分かりました。
私達を一番近くで見ているのですから、指摘されている事は間違ってはいない筈です。そしてそれは温かく見守ってくれているからこそだと感じました。
ヴォルも私の行動を否定しませんが、だからといって考えなしの動きではダメです。
「私、頑張って探します。何が出来るか分かりませんが、何もしないで怯えている事がないようにしたいですっ」
両手を拳に変え、私は意気込んで宣言しました。
すぐには無理かもしれませんが、周りの目を気にしているだけでは成長がありません。良く考え、そして行動あるのみでした。
「あぁ」
「では、私は見守らせて頂きます」
二人の温かい視線を受け、気持ちだけはとても強くなった私です。
でもここ、船の中でした。興奮していて忘れていましたが、まだこの時は動いていなかった筈です。
そしてこれから、五日程かけた船旅が始まるのでした。本当に忘れてしまいたかったですけど、大陸間の移動は非常に体力を使うものなのです。
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