SEIREI ── せい れい ── 自然に好かれるオレはハッピーライフをおくる

まひる

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1.異世界転生なんて本当にあるんだ

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 ※ ※ ※ ※ ※

「あれか?」
「はい、トーリ様。あれがリドツォルでございます」

 セスの案内ナビで歩き続け、ようやく町の入り口が見えてきた。
 けれども何か──おかしいというか、違和感?を感じる。
 町の周囲は高い壁に囲まれていて、まぁ魔物的な驚異がある世界なのだから分からなくもない──の、だが。

「なぁ、セス。この世界の都市って、こんなものなのか?」
「そう……ですね。出入りには騎士団や自警団の監査が入るとはなっていますし、犯罪者や密入国者の侵入を防ぐ意味があるのではないかと愚考致します」

 前方を見据え、小さく小首をかしげるセスだ。
 つまりこの世界では、集落を取り囲む砦は通常仕様って事なのだろう。でも、門前には物凄い行列だ。

 老若男女、様々で。見る限り商人風の装いの人や旅人風の人もいる。つまりは一応旅人的立場のオレも、この列に並ばなくてはならないという事だ。

 ※ ※ ※ ※ ※

「お願いいたします、どうか……っ」
うるさい。規定なのだから仕方ないのだっ」

 もう、何人目の入町拒否者だろうか。
 まだ先の方ではあるが、皆が静かだからやたら聞こえるのだ。

 なげき悲しんでいる声を聞くと、非常に心苦しい。
 オレが拒絶している側ではないのだが、このやり取りをずっと聞き続けなくてはならない事に心が病んできた。

「あ~……なぁ、ちょっと聞いて良いか?」

 思わず、そばにいた見ず知らずの商人に問い掛ける。
 オレってば基本的にコミュ障だから、知らない人間に話し掛けるとか不得意だ。でも、今はそうは言ってられない心情で。

「んあ?何だ、お前さん」
「あぁ、すまない。一つ聞きたいんだが、あの人達は何故町へ入れないんだ?」
「知らないのか?あいつらは精霊に好かれてないんだろうよ」
「へ?」
「そうだな。この国じゃあ、精霊に好かれてないと人権すら与えられないからな」

 別の旅人風な人も賛同し、会話を広げてくれた。
 つまりはこの世界──というかこの国では、精霊に好かれていないとならないらしい。

「精霊に……?」
「そうだよ、この国に来たのは初めてかい?入り口で精霊石にれて、何の反応もしないと町に入れないんだ。町だけじゃなく、もっと大きな都市でも同様さ」
「精霊石は別名『精霊審判』とも呼ばれていて、精霊に嫌われている者は悪しき存在とされているって訳」
「そうそう、精霊に好かれてないと魔法も使えないし」
「だよな。そうなると後は貧民窟に逃げ込むくらいしか出来ない」
「あぁ。この国で生きていく以上、精霊には嫌われないようにしないとな」

 それから二人は気があったのか、この町の女の子がどうという話になったので会話から離脱する。
 異世界人と初めて会話をしたが、とりあえずはオレは普通に馴染めそうだ。変人的扱いをされなくて、一安心である。
 ここでの常識を知らなかった事で、他の国から来たと思われただけのようだ。

 それはそうと、精霊の話。
 何やら心情は複雑だが、この国のルールみたいで。あの精霊石に無視されると、人としても終わってしまうらしい。──大丈夫か?オレ。

 ※ ※ ※ ※ ※

「ぅおおおおお!」
「す、凄いっ!!」
「初めて見たわっ!」

 取り囲む歓声──という名の音の暴力が、オレの耳をつんざく。思わず両耳を押さえるが、それでも届く程だ。
 精霊石に不安を感じていた、少し前までの自分に言ってやりたい。──大丈夫、嫌われてはいないと。

 というか、この周囲の反応は凄まじいものだ。
 精霊石はオレが触った瞬間、七色──本当に七色かは不明──に光輝いたのである。もう、LEDも吃驚びっくりきらめきだった。

「え、何か変なのか?」
「問題ございません、トーリ様。光の色一つが精霊の答えなので、それが複数あっただけでございます」
「あ、つまりは複数の精霊がオレを好きって言ってくれた訳?」
「そのようでございます、トーリ様。さすがは自然に好かれていらっしゃるトーリ様。たかが精霊の残滓ざんしといえど、トーリ様の素晴らしさは分かるようでございます」
「ま、まぁ。嫌われてなくて良かったよ」
「トーリ様を嫌うなどと、そのようなやからが仮に存在するのならば即座にセスが処分致しますので御安心下さいませ」
「え?セス?」

 ざわめきの中、オレは心の安寧の為にセスと話す。──コミュ障のオレに、こんな大多数の歓声は無縁なんだよな。びくびくしちゃうよ、マジで。
 そんな風に肩の上のイタチと話していれば、当然ながら周囲も気付く。

「おぉっ!もしや、そのイタチはただのイタチではなく、精霊様ですか?」
「そのようだ。人語をかいするなど、ただのイタチである筈もない」
「おぉ~、精霊様~」
「精霊様~」

 今度は、周囲の人々はセスに対しておがみ始めた。──もう、オレはパニックである。
 はたから見たらオレ・・が拝まれているようで、ワタワタと挙動不審になっていた。
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