SEIREI ── せい れい ── 自然に好かれるオレはハッピーライフをおくる

まひる

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2.異世界人の習性を実際に見てみた

2-1

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 ※ ※ ※ ※ ※

「どうした、何の騒ぎだ」
「は、それが……」

 そんな町の入り口の騒ぎがうるさかったのか、鎧を身に纏った人がやって来た。──キラキラした鎧だから、お偉いさんなのだろうか。
 入り口の門番みたいな人に話を聞いたようで、真っ直ぐオレの方へ歩み寄ってくる。
 そしてまじまじとオレと肩に乗ったセスを見て、一つ頷いた。

「こちらへ」
「え?いや……」
「ここは騒がしいので、奥で少し話を伺えませんか」
「あ……、分かった」

 明らかにこの場で騒ぎの中心になっていたのはオレなので、事情聴取的なものなのだろう。
 オレは何も悪い事はしていない。けれども警察的な安全管理をしている上役ならば、一応の報告書的取り纏めも必要なのだろう。
 そう思い、内心ではびくびくだったが大人しく後をついて建屋の中へ入っていった。

 ※ ※ ※ ※ ※

「では精霊石の反応後、あの騒ぎになったという事ですね」
「そうだ」

 聞かれるがまま、あの発端となった事実を話す。
 この人はお偉いさんのようだけど、オレに対して権力とか振りかざす言葉遣いをしなかった。態度もそれなりに柔らかく、オレを犯罪者や悪人として接している様子はない。
 気になる事は一つ。ちらちらとセスの方へ視線を送ってはいるが、直接会話をする訳でもないのだ。
 その目線が妙に気になってしまい、オレは困惑のあまり眉間にシワが寄ってしまったようである。

「あぁ、申し訳ありません。実物の精霊様を目にした事がなかったので、不躾な視線を向けてしまいました。宜しければ、言葉を交わしても?」
「……セスが良いなら」

 視線の件を謝罪され、セスと話したいと言われた。まぁオレとしても珍しい生き物なら気になって見てしまうし、謝ってもうしないのならこれ以上不快に思う理由もない。
 でもセスとの会話は、セスの気持ちもあるのだ。オレの一存で決められる事ではない為、セスに判断を任せる事にする。
 けれども、セスはプイッと顔を反らした。

「嫌でございます」
「っ!?」
「セス?」
「名乗らないような者に、言葉を交わす必要はございません」

 拒絶の意思をはっきりと見せたセスである。初めて見るセスの態度に、オレは逆に驚いてしまった。
 確かにこの人は名乗る事もなく、事情聴取をしてきている。でもオレとしては、特に気にする事ではなかったのだ。
 警察が職務質問する時に都度名乗らないのと同義で、この町の保安の立場にいるだろうこの人は名乗る必要がない。訪問者ビジターはオレなのだから。

「これは申し訳ありません。わたしはヴォスト・ミズ・ツェシェルアと申します。この町の保安騎士団団長を任されています」
「セスはセス」
「精霊様の御名前を御呼びしても良いですか?」
「嫌」
「……そうですか。はははっ。これ以上嫌われてしまわないように、状況確認はここまでにします。もう行っても良いですよ」

 そうしてオレに向けられた視線と言葉だ。
 初めてセスのオレ以外へのやり取りを見たからか、いつもの態度との違いに驚きを隠せない。
 その為か、オレはそのお偉いさんにたいした反応も出来ず、軽く会釈だけして建屋の外へ出ていったのだ。

 ◆ ◆ ◆ ◆sideヴォスト

「いかがでしたか、団長」
「さすがだな。俺を前にして、全くひるまない」

 ノックの後に入って来た部下ザバルに問われるまま、俺は先程の男への感想を一言で返す。
 水の時ウイア前に駆け込んできた部下ニットに報告を受け、過剰に精霊石が反応したという人物の調査に行ったのだ。

「確かにイタチ型を肩に乗せていたし、実際に喋ったぞ」
「言葉を実際に交わしたのですか?」
「あぁ。だが名乗らない奴は気に入らないと言われてな。それで名乗ったのだが、あちら側の名を呼ぶ事は拒否された」
「き、嫌われてはいらっしゃいませんよね?」
「あぁ、大丈夫だろう。こうして魔法も使える」

 俺の話から危機感を感じたようなザバルに、平然と掌に小さな火球を出して見せる。
 精霊に嫌われては魔法を使う事が出来なくなる為、こうして確認する者が多いのも事実だ。

 それにしても──と、俺はあの少年を思い浮かべる。恐らくは十代前半だろうか。
 群衆のただ中にいても目立つ黒髪と象牙色の肌。その瞳も黒曜石のように輝きを放ち、騒ぎの中心にいてそれを平然と受け止めているかのような凛としたたずまいだった。あの様に整った見目ならば、他国出身でも王侯貴族に受けが良いだろう。
 ピンと伸びた背筋、細いながらもしっかりと筋肉がついている肉体。武具は持っていない旅人風であったが、あれは大きく化けるかもしれない。

「また団長の悪い癖ですか?」
「仕方ないだろう。団員の増員関連も俺の采配に掛かっている。強そうな奴にはどうしても目が行くさ」
「使えそうな、の間違いではないでしょうか」
「くくくっ、そうとも言うがな。どちらにせよ、しばらく見ておけよ」
「はっ、かしこまりました」

 諜報役であるザバルに任せておけば、自然と彼の動向が耳に入る。
 そも多数色の精霊に気に入られるなどと、恐らくこの町──いや、この国始まって以来ではないだろうか。
 俺は精霊石管理を任せている副団長エクスに色数を聞くべく、再び管理棟へ足を向けたのだった。
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