SEIREI ── せい れい ── 自然に好かれるオレはハッピーライフをおくる

まひる

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2.異世界人の習性を実際に見てみた

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 ※ ※ ※ ※ ※

 オレは肩にセスを乗せたまま町の中を歩きながらも、先程の事を思い返していた。
 一連の流れを思い出し、自分にはこういった不特定多数のいる場所における常識が欠如けつじょしている事に考え付く。

 ここは市場のようで活気があり、オレが小声でセスと話すくらいなら問題ないと判断した。
 そこで若干先程の群衆を思い出しびくびくしながらも、オレはセスに話し掛ける。

「セス」
「はい、トーリ様。お腹が空きましたか?」
「いや、食事はまだ良い。でもオレに足りないものに気付いた」
「はい?トーリ様に不足しているものなど、何一つございません」

 セスは本当に良い奴だ。こんなオレを全肯定してくれる。
 でも今回、オレは思い知ったのだ。オレの知識と常識がないばかりに、セスに負担をいてしまっているのではないかと。

「いや、この世界の常識を知らない。精霊石の事だって、この町の人は普通の事のようだった」
「それはここへやって来たのが本日初めてだからです、トーリ様」
「ん、初めてだ。でも、それは長く続かない」

 そうだ。今日初めて来た町。
 でもすぐに常識はずれと周囲に知られ、後ろ指を指される。下手をしたら常識を知らない事で詐欺にあったり、犯罪の片棒を担ぐ事にもなりかねないのだ。
 だからそうなる前に、オレは知識を手に入れなくてはならない。

「図書館のような場所に行きたい」
「さすがはトーリ様でいらっしゃいます。この様な下々しもじもの基準にかんがみて差し上げるなど、セスの矮小な頭では考えもつきませんでした」
「いや、そこまで……。とにかく、情報が集められている場所を探そう」
「はい、トーリ様。それでしたらこの道を真っ直ぐ行った突き当たりに、大きめの白い構造物がございます」

 大層な褒め方をされて、オレは少し戸惑った。──セスはこういうところがあるから、褒め上手な言葉にあまり浮かれないようにしないとな。
 それはさておき。セスはオレが求める事を、すぐに答えてくれる。
 この町に来たのは同じく初めてなのに、何故図書館の場所を知っているのだろうか。

「セス、知っているのか?」
「いいえ、トーリ様。セスも訪問は初めてでございます。情報は周囲の風から得ました」
「風?先程聞いた、精霊的なあれか?」
「はい、トーリ様。セスは風の精霊と相性が良いようでございます」

 聞いて驚いた。──凄いな、セスは。
 確かにあの防御機能が発動した時、小さな竜巻が転倒から守ってくれた。つまりはあれが精霊の魔法なのだろう。

「オレも魔法が使えるようになるだろうか」
「勿論でございます、トーリ様。御希望とあらばすぐさまセスが……」
「いや、良い。少しはオレも、自分の力で何とかしたいからな」
「さすがはトーリ様でございます。その謙虚さに、セスは胸を打たれました」

 何でもセスに頼ってばかりではダメだ。オレもセスの力になりたい。異世界にまで来て、共に生きてくれている大切な友だからな。
 イタチが感動して涙をぬぐうという珍しい様子を横目に見ながら、若干苦笑しつつもオレは図書館らしき建物を目指した。

 セスの言っていた建物はすぐに見つかり、オレは目の前の白い壁を見上げる。
 ちなみにオレもこの世界の仕様になっているらしく、ちゃんと周囲の看板などの文字が読めた。

「坊や、何か用かい?」
「本を読みたいのだが」
「坊やが?」

 門番のような体格の良い大男に問われ、オレは素直に答える。──確かに貴方から見たら坊やだけどね。
 看板には図書館と書かれているし、出入りしている他の人も男女様々だ。見る限りでは性別や年齢に規制はなさそうだし、何か問題があるのだろうか。
 上から下まで観察されているようで、やたら視線が不快だった。

「な……」
「あぁ、ここにいたのか」
「ツェシェルア騎士団長様っ?!ど、どうかなされたのですか?」

 『何かダメな理由でも』と問おうとした時、後ろから聞き覚えのある声が間に入ってくる。
 その声に振り返ると先程の警察的お偉いさんで、門番的大男は慌てたようにヘコヘコと頭を下げていた。

「いや、彼が図書館に用事があると言っていてね。少し用があって場所だけ教えたものの、用件が早く済んだんで追い掛けて来たんだ」
「あ、はっ、そうでいらっしゃいましたか。ど、どうぞ中へお入り下さい」
「ありがとう、モダヴァ・モンファゾドくん」

 そう言って、大男は道を開けてくれる。
 先程までのオレに向けていた態度と違いすぎて、お偉いさん──団長さんの後に続きながら後ろを見返してしまった。

「すまないね。キミは他国の人だろ?この図書館には貴重な書物も揃ってるから、防犯の意味で警戒してしまったのだよ。悪気はないんだ、許してやってくれ」
「そうか」

 とにかく入館出来た事は団長さんのおかげだし、オレも多少不快に思っただけで怒ってはいない。
 それに、確かに防犯上他国の人相手では勘繰るのも理解出来た。──というか、やはりオレは他国の人に見えるのか。

「あぁ、キミの出自をどうこう言う訳ではないよ。ただその髪と瞳、肌の色。一見いっけんしてこの国の人ではないと分かってしまうからね」
「そうか」

 少しだけ困ったように眉尻を落としながら、団長さんはそう説明してくれた。──オレが聞いてもいないのに、良く分かったな。
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