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4.人が住んでいない森に家を建てて暮らしてみる
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オレは、書き上げたソロ宛の手紙をセスに渡す。
手紙を転送するのに必要なアイテムは、残り一つ。でもその『ソロから渡されたブローチ』は、セスの亜空間内に収納されているのだ。
既に聞かれた時にオレは許可をしている為、セスはすぐに取り出す。
「では、トーリ様。こちらの手紙を送ります」
「頼む、セス」
「かしこまりました、トーリ様」
そうしてセスが手紙を送る為、魔力を集中するようにつぶらな赤い目を閉じる。見た目は本当に可愛いただの白イタチなのに、無茶苦茶オレより有能なんだよな。
実際、オレはセスより多くの精霊と契約しているから、本来ならばもっと色々出来て当然なのかもしれない。──契約者がこんなダメダメなオレで、精霊にもセスにも本当に申し訳なく思えて、密かに心にダメージを受けた。
「トーリ様?」
「あ……すまない、終わったのか」
「はい、トーリ様。風の精霊を通じて受けた感覚では、無事彼の者に転送出来たと思われます」
「ありがとう、セス」
「いいえ、他にも何なりとお申し付けください」
「ん、助かる」
セスの言葉に頼もしく思い、オレは自然と口元に笑みが浮かぶ。けれども何故か、セスはじっとこちらを見つめていた。
何だ、どうした。オレの顔が変だったのか。笑顔がキモかったとか?あぁ──そう言えば昔に言われた事があったな小学校の頃かお前の顔キモいって笑うなって何でだったかなそれからかなオレが上手く笑えなくなったのまぁあんなの今はもう気にしてない──。
「ところで、トーリ様。何かございましたか?」
「え……?」
「その……セスは、トーリ様と繋がっていまして」
「ん?」
「それで……ですが、トーリ様の……お心が、少しだけ、伝わってくるのです」
「ん……ん?え?」
落ち着きなく視線を彷徨わせたセスは、言いにくそうにそう告げる。オレはその言葉の内容を噛み砕き、飲み込み、消化するまでに時間が掛かった。
つまりは、何だ。テレパシー的なもの、かもしれない。いやいや待て待てそんなファンタジーな。──ファンタジーだったわ、ここ。
「仔細まで伝わってくる訳ではございませんが、喜怒哀楽の程度は分かります」
「お、おぉ」
「セスがトーリ様の憂いを晴らす事は、出来ないでしょうか」
「あ……いや、そんな大袈裟な事じゃないんだ」
「些末な事であっても構いません。先程の表情とは異なるお心を……晴らすお手伝いを、僅かばかりでもセスにさせては頂けないでしょうか」
「マジか……」
そこまでとは、想像もしていなかった。
セスがヒトではない事は当然分かっていたが、まさかオレの感情まで伝わっているとは。──いやいや、まだ喜怒哀楽程度で良かったと思おう。心の中が丸ごと──あの神様的な存在と会話した時と同じく、明け透けにセスに伝わってたら羞恥で死ねるマジで。
ってかオレのサポート要員としてのセス、マジぱねぇ。ガチでオレの立場うすうす。ペラペラのヒラヒラで飛んでっちまう。
「申し訳ございません、トーリ様。逆にお心を煩わせてしまいました」
「あ~……いや、セスは悪くない。ちなみに、どんな風に伝わるんだ?」
「はい、トーリ様。今は困惑、でしょうか」
「あぁ、まぁ……そうだな」
困ったようなセスの言葉に、オレは乾いた笑いしか返せなかった。嘘なんてセスがオレに言う訳ないし、冗談とかでもない事は分かっている。──そんなキャラじゃねぇし。
思えばオレの想像する品物が──常時セスの亜空間に収納されるって事は、深く考えなくても繋がりがあるに決まってたわぁ。魔法だか精神論だかは不明だが、思考的に繋がってなくては想像するだけで具現化する筈がない。
そも、今更な感じか。春頃──風の月にこっちに来て、既に夏真っ盛りな今は火の月だ。一緒に住んでて毎日顔を合わせているセスとオレは、当然ペットと主人なんて関係ではない。家族だ、家族。
というよりも、セスは常に完全オレ重視の最強サポートセンターなんだよな。
「セスになら良い」
「トーリ様?」
思わず口から出た本音だった。キョトンを返してくるセスが可愛いなホント。
まぁ仮にオレの内心が全て伝わっていても、セスに知られて困る事はない。──ってか、煩いだろうがな。分かっちゃいるが、オレは口下手だが心のツッコミは激しい。コミュ障だかんな。
「セス。オレにも、空間転送とか出来るか?」
「勿論です、トーリ様」
「もっと魔法を使えるようになりたい」
「かしこまりました、トーリ様。喜んでお手伝い致します」
「いつもありがとう、セス」
「い、いえ。そのような御言葉を頂いてしまいますと、セスはその、恥ずかしいです」
魔法が使えるように手伝ってくれるというセスに謝意を告げれば、何故かソワソワと落ち着きなく視線を揺らす。何だよ、可愛いなもう。
普段素直に感謝を伝える事が出来ないオレだからか、酷くデレられてしまった。普段クールに何でもこなすセスだから、このギャップに萌えてしまう。可愛いぞ、クーデレってやつか。
手紙を転送するのに必要なアイテムは、残り一つ。でもその『ソロから渡されたブローチ』は、セスの亜空間内に収納されているのだ。
既に聞かれた時にオレは許可をしている為、セスはすぐに取り出す。
「では、トーリ様。こちらの手紙を送ります」
「頼む、セス」
「かしこまりました、トーリ様」
そうしてセスが手紙を送る為、魔力を集中するようにつぶらな赤い目を閉じる。見た目は本当に可愛いただの白イタチなのに、無茶苦茶オレより有能なんだよな。
実際、オレはセスより多くの精霊と契約しているから、本来ならばもっと色々出来て当然なのかもしれない。──契約者がこんなダメダメなオレで、精霊にもセスにも本当に申し訳なく思えて、密かに心にダメージを受けた。
「トーリ様?」
「あ……すまない、終わったのか」
「はい、トーリ様。風の精霊を通じて受けた感覚では、無事彼の者に転送出来たと思われます」
「ありがとう、セス」
「いいえ、他にも何なりとお申し付けください」
「ん、助かる」
セスの言葉に頼もしく思い、オレは自然と口元に笑みが浮かぶ。けれども何故か、セスはじっとこちらを見つめていた。
何だ、どうした。オレの顔が変だったのか。笑顔がキモかったとか?あぁ──そう言えば昔に言われた事があったな小学校の頃かお前の顔キモいって笑うなって何でだったかなそれからかなオレが上手く笑えなくなったのまぁあんなの今はもう気にしてない──。
「ところで、トーリ様。何かございましたか?」
「え……?」
「その……セスは、トーリ様と繋がっていまして」
「ん?」
「それで……ですが、トーリ様の……お心が、少しだけ、伝わってくるのです」
「ん……ん?え?」
落ち着きなく視線を彷徨わせたセスは、言いにくそうにそう告げる。オレはその言葉の内容を噛み砕き、飲み込み、消化するまでに時間が掛かった。
つまりは、何だ。テレパシー的なもの、かもしれない。いやいや待て待てそんなファンタジーな。──ファンタジーだったわ、ここ。
「仔細まで伝わってくる訳ではございませんが、喜怒哀楽の程度は分かります」
「お、おぉ」
「セスがトーリ様の憂いを晴らす事は、出来ないでしょうか」
「あ……いや、そんな大袈裟な事じゃないんだ」
「些末な事であっても構いません。先程の表情とは異なるお心を……晴らすお手伝いを、僅かばかりでもセスにさせては頂けないでしょうか」
「マジか……」
そこまでとは、想像もしていなかった。
セスがヒトではない事は当然分かっていたが、まさかオレの感情まで伝わっているとは。──いやいや、まだ喜怒哀楽程度で良かったと思おう。心の中が丸ごと──あの神様的な存在と会話した時と同じく、明け透けにセスに伝わってたら羞恥で死ねるマジで。
ってかオレのサポート要員としてのセス、マジぱねぇ。ガチでオレの立場うすうす。ペラペラのヒラヒラで飛んでっちまう。
「申し訳ございません、トーリ様。逆にお心を煩わせてしまいました」
「あ~……いや、セスは悪くない。ちなみに、どんな風に伝わるんだ?」
「はい、トーリ様。今は困惑、でしょうか」
「あぁ、まぁ……そうだな」
困ったようなセスの言葉に、オレは乾いた笑いしか返せなかった。嘘なんてセスがオレに言う訳ないし、冗談とかでもない事は分かっている。──そんなキャラじゃねぇし。
思えばオレの想像する品物が──常時セスの亜空間に収納されるって事は、深く考えなくても繋がりがあるに決まってたわぁ。魔法だか精神論だかは不明だが、思考的に繋がってなくては想像するだけで具現化する筈がない。
そも、今更な感じか。春頃──風の月にこっちに来て、既に夏真っ盛りな今は火の月だ。一緒に住んでて毎日顔を合わせているセスとオレは、当然ペットと主人なんて関係ではない。家族だ、家族。
というよりも、セスは常に完全オレ重視の最強サポートセンターなんだよな。
「セスになら良い」
「トーリ様?」
思わず口から出た本音だった。キョトンを返してくるセスが可愛いなホント。
まぁ仮にオレの内心が全て伝わっていても、セスに知られて困る事はない。──ってか、煩いだろうがな。分かっちゃいるが、オレは口下手だが心のツッコミは激しい。コミュ障だかんな。
「セス。オレにも、空間転送とか出来るか?」
「勿論です、トーリ様」
「もっと魔法を使えるようになりたい」
「かしこまりました、トーリ様。喜んでお手伝い致します」
「いつもありがとう、セス」
「い、いえ。そのような御言葉を頂いてしまいますと、セスはその、恥ずかしいです」
魔法が使えるように手伝ってくれるというセスに謝意を告げれば、何故かソワソワと落ち着きなく視線を揺らす。何だよ、可愛いなもう。
普段素直に感謝を伝える事が出来ないオレだからか、酷くデレられてしまった。普段クールに何でもこなすセスだから、このギャップに萌えてしまう。可愛いぞ、クーデレってやつか。
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