異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
1,517 / 1,560

1516 回復の答え

しおりを挟む
右の中段蹴りがミルコの腹にめり込む!体がくの字に折れたところを、右肘を振り上げて顎を打ち上げる!吐き出された血に混じって、折れた歯が宙に飛び散った。
振り上げた右手で硬く拳を握り締め、そのままミルコの左肩へと振り下ろす!拳がめり込む感触から、鎖骨をへし折った確信を得る。そのまま一呼吸も置かずに左下段蹴りで右膝を折る、上体が前方に崩れたところに右の拳を突き上げて腹を抉る!

レイチェルの限舞闘争が始まって一分が経過した。
繰り出した拳と蹴りは優に百を超え、その全てをミルコに浴びせた。
全身の肉を裂き、骨を砕かれ、もはや戦う事は不可能だろう。いや、戦闘どころではなく、死んでいてもおかしくない。それだけのダメージを与えたのだ。

普通ならばここで攻撃を止めていいだろう。だがこれだけ追い詰めても、レイチェルは攻撃の手を緩めなかった。

なぜならこれだけの打撃を浴びせてなお、ミルコには戦う力が残っているからだ。


・・・なるほど、本当にふざけた回復力だ。だがこれは・・・・・

「ハァァァァァーーーーーッツ!」

胴体に左右の拳を十数発まとめて叩き込む!そのまま左足を軸に体を後ろに回し、右の踵でミルコの顔面を蹴り抜いた!

頬骨を砕いた確かな手応え、ミルコの両足は地面を離れ、そのまま背中から地面に落ちるかと思われた。

だが・・・


「・・・・・ふ、くははははは・・・・どうした?それで、終わりか?」

ミルコは倒れなかった。ぐっと上半身を起こし、後ろ足で地面を叩くように踏みつけて体を残した。
ゆらりと上体を起こし、赤く光る目でレイチェルを見る。

鼻は潰され、頬骨は砕かれ、顎は割られているはずなのに、笑ながら一つ一つハッキリと言葉を口にする。膝も確かに蹴り砕いた、普通に考えれば立っていられるはずがない。しかし両足でしっかりと体を支えて立っている。レイチェルの目に映るミルコは血まみれだった。だがまるでダメージが見えなかった。


「・・・だいたい分かったぞ。お前のその異常な回復力、ヒールや魔道具による肉体の回復ではないな?」

「へぇ?・・・なんでそう思う?」

レイチェルは冷静だった。
弦舞闘争でもミルコを倒せないかもしれない事は、想定していた事だった。
首を斬り裂いても立ち上がるのだから、不死身に近いなにかを持っているのだろう。
ならばその謎を解く事に思考を費やしたのだ。

そして攻撃を加えながら、ミルコの状態を観察し、一つの答えを導き出した。

「お前は攻撃を受けた瞬間は確かにダメージを受けていた。だがものの数舜でダメージが無くなっているんだ。ヒールや魔道具による治癒であれば、傷の治りが見える。だがお前には治癒の経過が無かった。腫れた頬も、切れた肌も、徐々に治るのではなく一瞬で元通りになっていた。これは回復ではない。ダメージそのものが無かった事になっている。そう考えると納得できた」

レイチェルの推測を、ミルコは黙って聞いていた。
そしてレイチェルが言い終えると、ニヤニヤと軽薄な笑みを浮かべながら両手を打ち合わせ、自分達から一定の距離をとって戦いを見ていた紫色の髪の魔法使い、エディスに顔を向けて声を上げた。

「おいエディス、この女すげぇぞ!俺らの秘密にけっこう近づいてるわ!」

「・・・ふふふふふ、そうね。すごい洞察力だわ。ダメージを無かった事にしていると言うのは、当たらずしも遠からずってところね」

ミルコの話しを向けられたエディスは、ニッコリと笑みを見せると、一歩一歩ゆっくりと前に歩き出した。

「あんたの考えているとおり、ミルコの傷は回復魔法で治しているわけじゃないわ。飛ばしてるのよ」

「飛ばす?」

レイチェルが言葉をそのまま聞き返すと、エディスは笑みを浮かべたまま淡々と説明を始めた。

「ええ、そうよ。自力でここまで言い当てたから、特別に教えてあげるわ。どうせ分かったところで、どうする事もできないからね」

そう言ってエディスは深紅のローブから、直径十センチ程の赤黒く光る玉を取り出した。

「っ!?お前、それは・・・」

水晶玉のようだが、エディスがソレを取り出した途端、レイチェルの背中にゾッとするものが走った。


なんだ、あの玉は?あの赤黒い光、炎か?炎があの玉の中で燃えているのか?
それにこの寒気のするプレッシャーはなんだ?こんなもの初めてだ。
あの玉は、いったい・・・・・


「うふふふふ・・・その顔、この玉の力を感じ取ったみたいね?これこそ私の魔道具、復讐の水晶よ。今あんたがこの玉から感じているプレッシャーは、あんたの力なのよ」

困惑するレイチェルを見て、エディスはニヤリと口を持ち上げ、見せつけるように水晶を突き出した。

「私の力、だと?どういう意味だ?」

「クスクス、言葉通りの意味よ。この水晶の中で燃えている炎は、あんたがミルコに与えたダメージなの。ミルコの受けたダメージは全て、この水晶の中に飛ばして閉じ込めているのよ!」


水晶の中で燃える赤黒い炎が、レイチェルを威圧するように強く激しい光を放った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

処理中です...