異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1541 罠にかかった獲物

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「ぐっ!」

ジャック・フレイジャーの深紅のナイフが、レイチェルの左腕をかすめた。
闘気で炎を防ぐ事はできる。だが深紅のナイフは闘気を切り裂いてくる、肉体を切られればそこを更に炎で焼かれるのだ。斬られて焼かれる。その痛みはレイチェルは顔を苦痛に歪め、額には大粒の汗が浮かんでいた。

「どうした?レイ・ランデルを倒した力はこの程度か?」

左の下段蹴りがレイチェルの右腿を打つ!
ズシンと内部に伝わってくる重い衝撃に膝が折れそうになる。

それだけではない、炎を帯びた蹴りを受けたのだから、当然炎を直接押し付けられる事になる。
闘気によって護られてはいるが、それでも焼けた鉄を当てつけられたかのような熱さは、脳に突き刺さるような強烈な痛みだった。防御が意味をなさない。それが炎による攻撃なのだ。

「ぐぅ!」

くそ!な、なんて火力だ!闘気で受けてこれか!?生身でくらったら肉が焼け落ちてるぞ!

「つまらんな、期待外れだ」

少しはできるかと思ったが、これ以上は時間の無駄だ。さっさと終わらせよう。


ジャックの目が鋭い光を放つ!レイチェルの懐に大きく踏み込むと、左胸、心臓を狙って右手に握るナイフを突き出した!
真っ直ぐに最短距離を走るナイフは、常人では反応すらできないだろう。だがレイチェルは左拳で内から外へと、ジャックの右腕を叩き払い退けた!レイチェルの動体視力もまた並外れているのだ。

だが一撃を防がれるくらいはジャックも想定している。続けざまにジャックの左のナイフが、レイチェルの喉元目掛けて振るわれる!だがレイチェルはこれも読んでいた、右肘を上げてジャックの左手首を打ち払う!

「フン」

そうだ、貴様の防御が優れている事は理解している。このくらいは防いでくるだろう。
だが、まだまだだ。この程度では終わらんよ。

ジャックの右足がレイチェルの顎に向かって蹴り上げられる!
蹴りの軌道は見えている。一歩後ろに身を引いて躱すが、目の前をかすめる真っ赤な炎の熱によって、肌が焼かれるようだった。
しかし大きく足を蹴り上げれば、当然足を戻すまでは次の行動に移れない。

ジャックが足を戻すまでの一瞬、体勢を整えるまでの僅かな間、そこに勝機がある!
レイチェルは一歩前に踏み込んだ!

ジャック・フレイジャーの顔面に、右の拳を真っ直ぐに突き出した!

入った!

ジャックはまだ体勢を立て直せていない。レイチェルは自身の拳がジャックを捉えたと確信した。
しかし、レイチェルの拳がジャックの頬に触れたその時、それまで表情が変わらなかったジャックが口角を上げた。

そして、まるで罠にかかった獲物を嘲笑うかのように囁いた。


「煙は捕まえられんと言ったはずだ」


時間にしてコンマ一秒にも満たない刹那の時だが、レイチェルの耳はジャックの言葉を確かに聞いた。

そして次の瞬間、レイチェルの拳は灰色の煙となったジャックの頬を貫いた。

「なに!?」

バ、バカな!確かに本体だったはずだ!煙のはずが・・・!


「今度こそ終わりだ」

一瞬の動揺が命取りになる。
レイチェルが伸ばした右腕をかい潜るように、ジャックは姿勢を低くして懐に入り込んだ。

常に数手先を計算して動いているレイチェルだったが、それでもたった今目の前で蹴りを出されて、それが煙だとは思いもしなかった。

完全に隙を突かれた赤毛の女戦士に、次の一撃の躱す手段は無かった。

「ッ!しまっ!」


ジャックの左手に握る深紅のナイフが、レイチェルを刺し貫いた。

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