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【324 遠距離攻撃】
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黒魔法使いでも、特に能力の高い10人による竜氷縛が砕かれた時、パトリックは理解した。
この戦いにおける最大の脅威、それはこの遠距離攻撃の魔法使いだと。
最初に帝国軍の姿を確認した位置、おそらくそこに留まっている。
その位置から推測して、1,500・・・いや、2,000メートルは離れているだろう。
これだけ遠距離から、これほど正確無比に的を射抜く能力を持った魔法使いを、パトリックは他に知らない。正確性だけならウィッカーをも凌駕している。大陸一と言って過言でない。
そして・・・
「この威力・・・おそらく爆裂空破弾、だがこの威力は・・・」
パトリックの頬を一筋の汗が伝い落ちる。
魔法の威力は術者の魔力で差が出る。そして、この遠距離攻撃の魔法使いは、マイリスは中級魔法の爆裂空破弾で、上級魔法の竜氷縛を破壊したのだ。
「2.000メートルからの遠距離攻撃、中級魔法を続けて10発撃てる連射能力、針の穴を通す正確性、そしてこの威力・・・・・強い。これほどの使い手が帝国にいたとは・・・」
「パトリックさん!集中してください!」
僅かな時間だが、パトリックの気が目の前のヘリングから外れた時、ルチルがパトリックの脇を通り抜け、石壁から飛び降りた。
「なっ、ルチル!?」
「あいつはまかせてください!」
手にしている武器は切っ先に向かって傾斜した、細身で独特の形状の剣、シャムシール。
それは非常に細かく振動していた。
「あぁ!?俺とやるってのか!?面倒くせぇなぁ!」
「女の相手もできないの?腰抜けだね!」
ルチルは剣を持つ右手を振り上げ、ヘリングの脳天目掛けてそのまま振り下ろした。
「言ってくれんじゃねぇ・・・」
ヘリングは炎を纏った左の拳を、ルチルの剣を受けるように前に出した。
左の腕当てで剣を受け止め、右の拳でルチルの胸を貫く。そう考えた直後、ヘリングの耳が捉えたその音に、ヘリングは一歩体を引いた。
そしてその判断は正しかった。
「ちっ!」
ルチルの挑発に乗らず、ヘリングは己の勘を信じた。
ルチルの剣がヘリングの左腕をかすめる。
ヘリングの左の腕当てに亀裂が入り、砕かれた装甲が飛び散った。
「・・・そいつは、振動か?すげぇじゃねぇか!」
ヘリングは笑った。その目には、目の前の強者への興味がありありと浮かんでいた。
「・・・直前でよく躱したね・・・勘の良いヤツは嫌いじゃないよ」
ルチルもまた静かに笑った。
目の前の男は自分よりはるかに格上だ。それは対峙して一瞬で感じ取った。
だが、恐怖は無かった。
なぜなら・・・・・
「あの大男・・・コバレフ、あいつとあんた、どっちが強いのかな?」
敗れたが、コバレフとの戦いがルチルを押し上げた。
「お前、コバレフさんを知って・・・いや、お前か?コバレフさんを殺ったのは?」
「・・・いいえ、コバレフを倒したのは私の尊敬していた人よ。私はその人のおかげで今生きている。そして、私はコバレフと戦って強くなった。あなたからはコバレフと同格の強さを感じる。だから、あなたに勝つ事が、強くなる事が私のあの人への恩返しよ」
「・・・何言ってるか全然分かんねぇよ。けど・・・お前が俺との戦いに命かけてるのは分かった。俺はユニエル・ヘリング。お前の超えられねぇ山だ」
ルチルの覚悟が伝わり、ヘリングの目が鋭い光を放った。
「ルチル、分かった。そいつはお前にまかせる。俺は・・・」
お前がその男に勝つ事を信じる!他は全てまかせろ!
「敵が向かってくるぞ!撃ち続けろ!竜氷縛の準備もだ!」
パトリックの号令で、石壁の上の魔法使い達が一斉に魔法を撃ち、弓兵が矢を射る。
だが、メディシングに向かってくる帝国軍の兵士達は、依然結界で護られており、決定的なダメージを与える事ができず、カエストゥスの攻撃は足止め程度にしかならなかった。
「竜氷縛、いけます!」
先ほどヘリングに竜氷縛を放った黒魔法使い10人が、パトリックに準備整った事を伝える。
「よし!それでは一斉に・・・」
向ってくる帝国兵に、一斉に撃ち放つよう合図を出そうとしたところで、パトリックは一瞬頭をよぎった可能性に言葉を止める。
そして、パトリックはその可能性を考え、言葉を変えて指示を出した。
「・・・あ、懲りないですねぇ。また竜氷縛ですか?僕が狙っている以上、好きにはさせませんよ」
メディシングから、2,000メートル後方では、マイリスが全ての魔力を探知し、カエストゥスの動きを完全に把握していた。
右手人差し指にはめている指門の筒。
特異なまでの広範囲魔力探知と指門の筒。この二つでマイリスは、遠距離攻撃での無類の強さを見せる。
「数は・・・5体ですね。何度やっても無駄です!」
マイリスの指先に込めた魔力が、指門の筒から圧縮され撃ち放たれた。
「・・・来るぞ!今だ!撃てーッツ!」
マイリスの魔法が放たれ、その軌道を視認すると同時にパトリックは声を張り上げた。
その言葉を受け、魔法を待機させたいた5人の黒魔法使いが竜氷縛を撃ち放つ。
「なにっ!?」
マイリスの放った五発の爆発魔法、爆裂空破弾は、狙い通り五体の氷の竜を打ち砕いた。
だが、そのすぐ後ろから時間差で放たれた五体の氷の竜が、大顎を開き帝国兵を呑み込むと、次々と氷の彫像へ変えていった。
「・・・すごいな。この短い時間で、もう僕の攻撃に対応したって言うのですか?」
マイリスは自分の攻撃の正確性、連射能力、破壊力、全てを分かった上でたてられた対策に、感嘆の声を漏らした。
「遠距離攻撃ゆえに、届くまでに僅かばかり時間がかかる。それでも数秒程度だが、流石に対応できなかったようだな」
パトリックの読みが、マイリスの遠距離攻撃の間隙をついた。
この戦いにおける最大の脅威、それはこの遠距離攻撃の魔法使いだと。
最初に帝国軍の姿を確認した位置、おそらくそこに留まっている。
その位置から推測して、1,500・・・いや、2,000メートルは離れているだろう。
これだけ遠距離から、これほど正確無比に的を射抜く能力を持った魔法使いを、パトリックは他に知らない。正確性だけならウィッカーをも凌駕している。大陸一と言って過言でない。
そして・・・
「この威力・・・おそらく爆裂空破弾、だがこの威力は・・・」
パトリックの頬を一筋の汗が伝い落ちる。
魔法の威力は術者の魔力で差が出る。そして、この遠距離攻撃の魔法使いは、マイリスは中級魔法の爆裂空破弾で、上級魔法の竜氷縛を破壊したのだ。
「2.000メートルからの遠距離攻撃、中級魔法を続けて10発撃てる連射能力、針の穴を通す正確性、そしてこの威力・・・・・強い。これほどの使い手が帝国にいたとは・・・」
「パトリックさん!集中してください!」
僅かな時間だが、パトリックの気が目の前のヘリングから外れた時、ルチルがパトリックの脇を通り抜け、石壁から飛び降りた。
「なっ、ルチル!?」
「あいつはまかせてください!」
手にしている武器は切っ先に向かって傾斜した、細身で独特の形状の剣、シャムシール。
それは非常に細かく振動していた。
「あぁ!?俺とやるってのか!?面倒くせぇなぁ!」
「女の相手もできないの?腰抜けだね!」
ルチルは剣を持つ右手を振り上げ、ヘリングの脳天目掛けてそのまま振り下ろした。
「言ってくれんじゃねぇ・・・」
ヘリングは炎を纏った左の拳を、ルチルの剣を受けるように前に出した。
左の腕当てで剣を受け止め、右の拳でルチルの胸を貫く。そう考えた直後、ヘリングの耳が捉えたその音に、ヘリングは一歩体を引いた。
そしてその判断は正しかった。
「ちっ!」
ルチルの挑発に乗らず、ヘリングは己の勘を信じた。
ルチルの剣がヘリングの左腕をかすめる。
ヘリングの左の腕当てに亀裂が入り、砕かれた装甲が飛び散った。
「・・・そいつは、振動か?すげぇじゃねぇか!」
ヘリングは笑った。その目には、目の前の強者への興味がありありと浮かんでいた。
「・・・直前でよく躱したね・・・勘の良いヤツは嫌いじゃないよ」
ルチルもまた静かに笑った。
目の前の男は自分よりはるかに格上だ。それは対峙して一瞬で感じ取った。
だが、恐怖は無かった。
なぜなら・・・・・
「あの大男・・・コバレフ、あいつとあんた、どっちが強いのかな?」
敗れたが、コバレフとの戦いがルチルを押し上げた。
「お前、コバレフさんを知って・・・いや、お前か?コバレフさんを殺ったのは?」
「・・・いいえ、コバレフを倒したのは私の尊敬していた人よ。私はその人のおかげで今生きている。そして、私はコバレフと戦って強くなった。あなたからはコバレフと同格の強さを感じる。だから、あなたに勝つ事が、強くなる事が私のあの人への恩返しよ」
「・・・何言ってるか全然分かんねぇよ。けど・・・お前が俺との戦いに命かけてるのは分かった。俺はユニエル・ヘリング。お前の超えられねぇ山だ」
ルチルの覚悟が伝わり、ヘリングの目が鋭い光を放った。
「ルチル、分かった。そいつはお前にまかせる。俺は・・・」
お前がその男に勝つ事を信じる!他は全てまかせろ!
「敵が向かってくるぞ!撃ち続けろ!竜氷縛の準備もだ!」
パトリックの号令で、石壁の上の魔法使い達が一斉に魔法を撃ち、弓兵が矢を射る。
だが、メディシングに向かってくる帝国軍の兵士達は、依然結界で護られており、決定的なダメージを与える事ができず、カエストゥスの攻撃は足止め程度にしかならなかった。
「竜氷縛、いけます!」
先ほどヘリングに竜氷縛を放った黒魔法使い10人が、パトリックに準備整った事を伝える。
「よし!それでは一斉に・・・」
向ってくる帝国兵に、一斉に撃ち放つよう合図を出そうとしたところで、パトリックは一瞬頭をよぎった可能性に言葉を止める。
そして、パトリックはその可能性を考え、言葉を変えて指示を出した。
「・・・あ、懲りないですねぇ。また竜氷縛ですか?僕が狙っている以上、好きにはさせませんよ」
メディシングから、2,000メートル後方では、マイリスが全ての魔力を探知し、カエストゥスの動きを完全に把握していた。
右手人差し指にはめている指門の筒。
特異なまでの広範囲魔力探知と指門の筒。この二つでマイリスは、遠距離攻撃での無類の強さを見せる。
「数は・・・5体ですね。何度やっても無駄です!」
マイリスの指先に込めた魔力が、指門の筒から圧縮され撃ち放たれた。
「・・・来るぞ!今だ!撃てーッツ!」
マイリスの魔法が放たれ、その軌道を視認すると同時にパトリックは声を張り上げた。
その言葉を受け、魔法を待機させたいた5人の黒魔法使いが竜氷縛を撃ち放つ。
「なにっ!?」
マイリスの放った五発の爆発魔法、爆裂空破弾は、狙い通り五体の氷の竜を打ち砕いた。
だが、そのすぐ後ろから時間差で放たれた五体の氷の竜が、大顎を開き帝国兵を呑み込むと、次々と氷の彫像へ変えていった。
「・・・すごいな。この短い時間で、もう僕の攻撃に対応したって言うのですか?」
マイリスは自分の攻撃の正確性、連射能力、破壊力、全てを分かった上でたてられた対策に、感嘆の声を漏らした。
「遠距離攻撃ゆえに、届くまでに僅かばかり時間がかかる。それでも数秒程度だが、流石に対応できなかったようだな」
パトリックの読みが、マイリスの遠距離攻撃の間隙をついた。
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