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【328 マイリスの判断】
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・・・ヘリングさんは、僕の事気持ち悪いと思わないんですか?
・・・あぁ?何言ってんだお前?
・・・だって、みんな僕の事、普通じゃない・・・気持ち悪いって言うし・・・
・・・なんでそうなんだよ?お前の感覚が鋭いのは立派な武器だろ?周りは気にすんな
・・・はい、ヘリングさんがそう言うんでしたら・・・
・・・周りのやっかみなんかに負けんじゃねぇぞ
「・・・マイ、リス・・・・・負けん、じゃ・・・ねぇ・・・ぞ・・・・・・・」
意識が消えるその時、最後にヘリングが案じたのはマイリスだった。
数年前のマイリスは、並みはずれたその力を異端に思われ、周囲になじめないでいた。
心無い言葉も沢山浴びせられ、人間不信にもなっていたのかもしれない。
毎日暗い顔でふさぎ込んでいたマイリスに、声をかけたのはヘリングだった。
それ以来すっかりなつかれたヘリングは、いつしか自然とマイリスと行動を共にするようになっていった。
・・・・・頑張れよ
最後は穏やかな死に顔だった。
あまりに凄まじい二人の戦いに、帝国兵もカエストゥス兵も援護もできずに、見ている事しかできずにいた。
しかし、帝国の指揮官であるヘリングが倒れた時、明らかに帝国兵達に動揺が広がった。
「ヘ、ヘリング様がやられたぞ!」
「そんな馬鹿な!こんなところで!」
「ど、どうすればいいんだ!?」
突然士気が下がり、一気に攻撃の手が緩んだ事を受け、パトリックはルチルとヘリングの戦いが終わり、そしてヘリングが倒れた事を察した。
「帝国兵が怯みだした!総員続け!ここで殲滅させる!」
すでにパトリックは雷の指輪で、帝国兵を数百人葬っていた。
雷の指輪の攻撃力と、結界の防御力も合わさって、パトリックはこの場において比類ない程の強さを見せていた。
パトリックの強さに圧倒され、近づく事ができずにいたところに、指揮官であるヘリングが倒されたという情報が伝わった事は決定的だった。
一時は帝国に壁が破られる事は時間の問題、というところまで追い詰められていた。
だが、もはや場の勢いは完全に逆転していた。
前線が崩壊した帝国兵は、あっという間にカエストゥス軍に潰され、後退を余儀なくされていった。
「・・・よくやったルチル、この戦争は勝てるぞ!」
勝利への確かな手ごたえ。それはルチルがもたらしたものだった。
パトリックは、戻ってこないルチルに一抹の不安も感じたが、帝国軍を押し返し勢いに乗っているこの状況では、このまま突き進むしかないと判断した。
前線を指揮し、防戦しながら後退していく帝国軍を追い詰めていった。
「・・・ヘリング・・・さん?」
ヘリングは体力型のため魔力は無い。
そのためマイリスにヘリングの動向を探る事はできなかったが、その常人離れした感覚と、ヘリングを想う気持ちがマイリスに知らせていた。
「そ、そんな・・・まさか・・・嘘ですよね?」
なんとなくそう感じただけ。
言ってしまえばそれだけなのだが、マイリスは自分の感覚の鋭さに絶対の自信を持っていた。
それはこの戦いにおいても、自軍の兵士達がどこにいるか、それぞれ把握している事からも分かる。
そのため、いくら否定したくても否定できない。
認めたくなくても認めざるを得ない。
ユニエル・ヘリングは死んだと・・・・・・
マイリスは唇を噛みしめた。
ヘリングが死んだという事は察せられた。だが、まだ死体を見たわけではない。
絶対の自信を持っている自分の感覚を否定しても信じたくない。
複雑な感情が一気に胸に渦巻き、マイリスは自分がどうしたらいいのか分からなくなった。
「マイリス様!前線が押し戻されています!指示を!」
「マイリス様!これ以上は兵の被害が拡大します!」
「マイリス様!マイ、リス・・・様?」
この時、まだマイリス達のいる場所までは、ヘリングの死は伝わっていなかった。
だが、前線が総崩れになっている事を知った兵達が、マイリスに指示を仰ぎに来ると、それまで自信にあふれた表情で、凄まじい遠距離攻撃を見せていたマイリスが、まるで今にも泣きだしそうな顔で俯き震えていた。
「マ、マイリス様!どうされたのですか!?しっかりしてください!」
いつも自信にあふれた表情で、上官であるヘリングにも友達のように遠慮のない態度で接するマイリスが、今は見る影もない程にか弱く小さくなっている。
肩を掴まれ揺さぶられても、全く反応の無いマイリスだったが、強く投げかけられた一言に目を開いた。
「マイリス様!何があったか存じませんが、そのようなお姿をヘリング様が見られたらどう思われますか!?あなたは副官なんですよ!」
「・・・僕は・・・」
心を落ち着けるように深呼吸をする。
マイリスは顔を上げ、あらためて魔力を探り戦局を確認した。
そして自軍が危機的状況に陥っている事を理解するなり、判断を下した。
「くっ・・・撤退します!総員、撤退です!命を最優先に護ってください!」
「・・・マイリス様、はい!よし、お前達前線にも至急伝令しろ!撤退だ!」
マイリスの判断により、帝国軍は撤退を始めた。
マイリスの判断の早さにより被害は最小限に抑えられる。
「・・・ヘリング様・・・く・・・うぅ・・・ヘリング様・・・」
カエストゥスの追撃をかわし、全軍の撤退がすんだ事を見届けると、マイリスの瞳に大粒の涙が溢れる。
「18歳になったら・・・ちゃんと、大人になったら・・・・・話そうと思ってたのに・・・うぅ・・・ヘリングさん・・・・・僕・・・僕、本当は・・・・・」
零れ落ちる涙を拭う事もできず、マイリスは秘めた想いを言葉にした。
・・・あぁ?何言ってんだお前?
・・・だって、みんな僕の事、普通じゃない・・・気持ち悪いって言うし・・・
・・・なんでそうなんだよ?お前の感覚が鋭いのは立派な武器だろ?周りは気にすんな
・・・はい、ヘリングさんがそう言うんでしたら・・・
・・・周りのやっかみなんかに負けんじゃねぇぞ
「・・・マイ、リス・・・・・負けん、じゃ・・・ねぇ・・・ぞ・・・・・・・」
意識が消えるその時、最後にヘリングが案じたのはマイリスだった。
数年前のマイリスは、並みはずれたその力を異端に思われ、周囲になじめないでいた。
心無い言葉も沢山浴びせられ、人間不信にもなっていたのかもしれない。
毎日暗い顔でふさぎ込んでいたマイリスに、声をかけたのはヘリングだった。
それ以来すっかりなつかれたヘリングは、いつしか自然とマイリスと行動を共にするようになっていった。
・・・・・頑張れよ
最後は穏やかな死に顔だった。
あまりに凄まじい二人の戦いに、帝国兵もカエストゥス兵も援護もできずに、見ている事しかできずにいた。
しかし、帝国の指揮官であるヘリングが倒れた時、明らかに帝国兵達に動揺が広がった。
「ヘ、ヘリング様がやられたぞ!」
「そんな馬鹿な!こんなところで!」
「ど、どうすればいいんだ!?」
突然士気が下がり、一気に攻撃の手が緩んだ事を受け、パトリックはルチルとヘリングの戦いが終わり、そしてヘリングが倒れた事を察した。
「帝国兵が怯みだした!総員続け!ここで殲滅させる!」
すでにパトリックは雷の指輪で、帝国兵を数百人葬っていた。
雷の指輪の攻撃力と、結界の防御力も合わさって、パトリックはこの場において比類ない程の強さを見せていた。
パトリックの強さに圧倒され、近づく事ができずにいたところに、指揮官であるヘリングが倒されたという情報が伝わった事は決定的だった。
一時は帝国に壁が破られる事は時間の問題、というところまで追い詰められていた。
だが、もはや場の勢いは完全に逆転していた。
前線が崩壊した帝国兵は、あっという間にカエストゥス軍に潰され、後退を余儀なくされていった。
「・・・よくやったルチル、この戦争は勝てるぞ!」
勝利への確かな手ごたえ。それはルチルがもたらしたものだった。
パトリックは、戻ってこないルチルに一抹の不安も感じたが、帝国軍を押し返し勢いに乗っているこの状況では、このまま突き進むしかないと判断した。
前線を指揮し、防戦しながら後退していく帝国軍を追い詰めていった。
「・・・ヘリング・・・さん?」
ヘリングは体力型のため魔力は無い。
そのためマイリスにヘリングの動向を探る事はできなかったが、その常人離れした感覚と、ヘリングを想う気持ちがマイリスに知らせていた。
「そ、そんな・・・まさか・・・嘘ですよね?」
なんとなくそう感じただけ。
言ってしまえばそれだけなのだが、マイリスは自分の感覚の鋭さに絶対の自信を持っていた。
それはこの戦いにおいても、自軍の兵士達がどこにいるか、それぞれ把握している事からも分かる。
そのため、いくら否定したくても否定できない。
認めたくなくても認めざるを得ない。
ユニエル・ヘリングは死んだと・・・・・・
マイリスは唇を噛みしめた。
ヘリングが死んだという事は察せられた。だが、まだ死体を見たわけではない。
絶対の自信を持っている自分の感覚を否定しても信じたくない。
複雑な感情が一気に胸に渦巻き、マイリスは自分がどうしたらいいのか分からなくなった。
「マイリス様!前線が押し戻されています!指示を!」
「マイリス様!これ以上は兵の被害が拡大します!」
「マイリス様!マイ、リス・・・様?」
この時、まだマイリス達のいる場所までは、ヘリングの死は伝わっていなかった。
だが、前線が総崩れになっている事を知った兵達が、マイリスに指示を仰ぎに来ると、それまで自信にあふれた表情で、凄まじい遠距離攻撃を見せていたマイリスが、まるで今にも泣きだしそうな顔で俯き震えていた。
「マ、マイリス様!どうされたのですか!?しっかりしてください!」
いつも自信にあふれた表情で、上官であるヘリングにも友達のように遠慮のない態度で接するマイリスが、今は見る影もない程にか弱く小さくなっている。
肩を掴まれ揺さぶられても、全く反応の無いマイリスだったが、強く投げかけられた一言に目を開いた。
「マイリス様!何があったか存じませんが、そのようなお姿をヘリング様が見られたらどう思われますか!?あなたは副官なんですよ!」
「・・・僕は・・・」
心を落ち着けるように深呼吸をする。
マイリスは顔を上げ、あらためて魔力を探り戦局を確認した。
そして自軍が危機的状況に陥っている事を理解するなり、判断を下した。
「くっ・・・撤退します!総員、撤退です!命を最優先に護ってください!」
「・・・マイリス様、はい!よし、お前達前線にも至急伝令しろ!撤退だ!」
マイリスの判断により、帝国軍は撤退を始めた。
マイリスの判断の早さにより被害は最小限に抑えられる。
「・・・ヘリング様・・・く・・・うぅ・・・ヘリング様・・・」
カエストゥスの追撃をかわし、全軍の撤退がすんだ事を見届けると、マイリスの瞳に大粒の涙が溢れる。
「18歳になったら・・・ちゃんと、大人になったら・・・・・話そうと思ってたのに・・・うぅ・・・ヘリングさん・・・・・僕・・・僕、本当は・・・・・」
零れ落ちる涙を拭う事もできず、マイリスは秘めた想いを言葉にした。
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