異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
424 / 1,557

423 四勇士

しおりを挟む
「四勇士?・・・何ですかそれ?」

名前からして四人の勇者みたいなものを想像するが、初めて耳にする存在に首を傾げる。

「まぁ、アラやんは知らねぇよな。えぇと・・・うん、今はお客もいねぇな」

ジャレットさんは周りを見回し、誰もいない事を確認すると腕を組んで話し出した。

「隠す事じゃねぇんだけど、あの連中の話しはあんまり周りに聞かれたくねぇんだ。ちょっと不気味な存在だからよ」

「そうなんですか?名前からすると、なんだか英雄みたいな印象ですけど」

四勇士という名前に対して、率直な感想を述べるとジャレットさんは肯定するように少しだけ笑った。

「ははっ、まぁそうだな。名前はな。四勇士ってのは、クインズベリーの守護神と言われる存在でな、一人一人が一騎当千と言われる実力者らしいんだ」

「へぇ、守護神・・・一騎当千ですか?・・・あの、それってマルゴンより強いんですか?」

この国最強と言われた男マルコス・ゴンサレス。
国王にも認められた名実ともに最強だった男。

俺はマルゴン以上の存在は、この国にはいないと思っていたが、守護神なんて呼ばれる程なら、マルゴン以上か少なくとも同レベルの力は持っているのではないだろうか?


「・・・分からねぇんだ。って言うのもな、俺も含めてレイジェスの誰も見た事がねぇんだよ。いや、多分街の人も誰も見た事ねぇだろうな。だから比べようがねぇんだよ」

「え?・・・なんですかそれ?誰も見た事がないのに守護神なんて呼ばれてるんですか?って言うか本当にいるんですか?」

俺が懐疑的な目を向けると、ジャレットさんは俺の反応を予想していたのだろう。
分かってると言うように軽く頷いた。

「その反応が普通だよな。でもな、いるのは間違いねぇんだよ。前にエリザ様から聞いた事があるからよ。と言ってもエリザ様も、あんまり多くの事は知らないようだったけどな」

「エリザ様が・・・それなら、いるのは間違いなさそうですね」

一国の王女様が存在を口にしているのであれば、それはいると考えていいだろう。
俺が納得したように頷くと、ジャレットさんは話しを続けた。

「エリザ様が言うには、四勇士はクインズベリー城を囲む四つの塔を護っているらしい。城の城壁の四隅に塔があるのは見た事あるだろ?四勇士はいつもあの塔にいて、めったな事では外に出ないらしい。エリザ様でさえ四人全員には会った事が無いと言っていたからな」

「そう、なんですか?」

エリザ様でさえ、全員にはあった事がないと言うと、よほど隔離された存在なのだろう。
記憶をたどると、確かに謁見で城に行った時、城を囲む壁の四隅に塔が建っていたと思う。
てっきり見張り台のような役目かと思っていたが、護っていると言うと重要な役目のある塔なのだろう。

「存在はするが、あまりに実態が見えなくて不気味なんだよ。だから、四勇士の話しは誰もあまり口にしないんだよな。マルゴンがこの国最強だったのは間違いないと思う。だけど、四勇士がマルゴンと比べてどうなのかってのは実際誰も分からねぇ。ただな、エリザ様はこう言っていた、四勇士は城を護るために存在する守護神。だから城を護るためならば、いかなる相手にも決して容赦しないだろう・・・とな」

ジャレットさんの話しが終わり、俺は今聞いた話しを自分の中で整理していた。
街が戦火にならないだろうという事は素直に安心できた。
だけど今聞かされた四勇士という新たな脅威に、俺達は勝てるのだろうか・・・



「四勇士か・・・丁度いいタイミングで話してるね」

声のした方に顔を向けると、いつの間にか防具コーナーの前にレイチェルが立っていて、腕を組んで俺とジャレットさんを眺めていた。

「レイチー、丁度いいってなんだ?」

「あぁ、実はね、今王妃様から写しの鏡に連絡が入ったんだ」

「なに!?じゃあすぐに事務所に・・・」

「待て待て、大丈夫だ。簡単な打ち合わせだけでもう終わったよ。閉店後にあらためて連絡が入るから、今日の営業終了後はまた会議だ。それを言いに来たんだ」


軽い調子でそジャレットさんにそう告げると、レイチェルは俺に顔を向けた。

「アラタ、私もね、王妃様から連絡が入った事だし、四勇士について話しておこうかなと思ったんだけど、ジャレットが概ね話してたから大丈夫だね。私も今ジャレットが話していた事以上は知らないんだ。あいつらに関しては、本当に情報が少なくてね。でも、もし四勇士と戦わなければならないとするのならば、王妃様から聞けるだけの事は聞いておかねばならないな」

「そっか。あのさレイチェル、その四勇士って、絶対に戦わなきゃならないのか?俺達の目的は偽国王を倒す事だろ?四勇士が塔にいて出てこないんなら、戦わずに済ませる事はできないのかな?」

「・・・戦わずにすめばそれに越したことはないな。私もね、できるなら相手にしたくはないんだ。だってそうだろ?四勇士は私も見た事が無いんだ。エリザの話しでその存在は疑っていないが、いるという以外何も分からない。何と言うか、あまりに実態が掴めず不気味なんだよ。でもね、城へ乗り込めば避けては通れないと思うよ。だから得体の知れない連中だけど、戦わなきゃならないと考えておいた方がいい」

僅かに眉を寄せるレイチェルの表情からは、四勇士に対しての懸念が見て取れた。
守護神とまで言われる存在なのに、その実態はあまりにも不明瞭だ。
体力型なのか、魔法使いなのか、それ以前に性別さえも分からない。そんな相手とおそらく戦う事になるのだ。心構えはしておかなければならないだろうが、どうにも気持ちの作り方が難しい。


「・・・まぁ、後は閉店後に王妃様の話しを聞いてからにしよう。ジャレット、私は用事ができたから外出して来る。店の事は頼むぞ」

レイチェルは話しを切り上げると、ジャレットさんに顔を向けた。

「ん?あぁ、それはいいけど、急だな?どこに行くんだ?」

ジャレットさんは防具コーナーの掛け時計に目を向けた。
午前11時、昼前だし朝礼でレイチェルがで外出するという話しも出ていなかったので、本当に急な用事なのだろう。

「協会に行ってくる。今回の件では、治安部隊とも協力体制ができているからな。閉店後の話しはヴァン・エストラーダにも聞いてもらった方がいいだろう」

マルゴンを倒した後、後任として隊長の座に就いたヴァン・エストラーダ。
国王への謁見の後、俺とレイチェルとヴァンの三人で話し合い、協力体制を築いていたのだ。

「ヴァンか・・・そう言えば、治安部隊でも色々調べておくって言ってたな」

独り言のようにそう呟くと、レイチェルが言葉を拾って返してくれた。

「そうだ。今日の会議は情報交換と、当日の協会との連携をまとめる場所でもある。だからヴァンにも来てもらう必要がある。あぁ、当然泊まりになるからな?準備が必要なら時間を見て各自外出して構わない。そうみんなに伝えておいてくれ。私は何時に帰れるか分からんからな」


そう言葉を残して、レイチェルは防具コーナーを離れて行った。

「ふぅ~、アラやん、今日は色々大変だと思うぜ。とりあえず俺は他のみんなに今の事話してくるわ。ここは任せたぞ」

分かりました、と俺が返事をすると、ジャレットさんは通路へ出て、他のコーナーへ向かって行った。
その後ろ姿を見送りながら、俺は今聞いた話しを頭の中でまとめていた。

四勇士については、考えてもしかたないと思った。
ほとんど何も分からない相手だから、閉店後の王妃様からの連絡を待つしかないだろう。

そして治安部隊のヴァンだ。
クインズベリー城で会って以来だが、治安部隊としても今回の事を調査してみると言っていた。
あれから何か掴めただろうか?

どちらも、やはり閉店後の会議を待つしかない。

「あとは騎士団か・・・」

ジャレットさんは、戦う事になるだろうという相手に、騎士団の名前も挙げていた。
前にヴァンから聞いた限りでは、騎士団は総合力では治安部隊に劣るだろう。

だけど、投獄されたマルゴンに面会に行った時に会った一人の騎士、ラヴァル・レミューのような実力者も確かにいるのだ。

騎士団の階級はブロンズ、シルバー、ゴールドの三つに分かれており、頂点のゴールドに至っては現在たった五人しかいない。

その五人の内三人は、家柄で成り上がっただけの分不相応な者らしいが、残り二人は実力で勝ちとった本物だと俺は聞いている。

騎士団を相手にするという事は、そのゴールドの二人とも戦うという事だろう。

騎士の頂点ゴールドの二人と、四勇士、果たしてどうなるだろうか・・・・・


「店員さん、この盾ちょっと持っていい?」

「あ、はいどうぞ。こちらに鏡もありますよ」

一人で考え込んでいるとお客さんに声をかけられたので、俺はそこで頭を切り替えた。
あれこれ悩んでいても答えの出ない事だ。今は仕事に集中しよう。


そしてその日の閉店後。
事務所の従業員用出入口から、治安部隊隊長のヴァンと、隊長補佐のモルグ・フェンテスの二人を連れて、レイチェルが帰って来た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!

まったりー
ファンタジー
主人公は、人見知りな占いが大好きな男の子。 そんな主人公は、いるのか分からない程の影の薄さで、そんなクラスが異世界に召喚されてしまいます。 生徒たちは、ステータスの確認を進められますが、主人公はいるとは思われず取り残され、それならばと外に1人で出て行き、主人公の異世界生活が始まります。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...