443 / 1,558
442 カチュアの魔道具
しおりを挟む
フィゲロアを中心に、炎が地面を放射状に走り襲いかかって来た。
「へぇ、分かりやすい魔道具だな。火を出す杖か?」
放たれた炎は徐々に大きく勢いを増して、リカルドの腰程の高さになる。
使い手のフィゲロアから離れる程、火力が増して大きく強くなるのか・・・・・
俺にはこの炎を防ぐ事はできねぇ、サークル状で隙間もないから、横に躱す事はできねぇ。
つまり上に飛ぶしかねぇな。カチュアは・・・
顔半分振り返ると、カチュアは羽を握り締めて炎を真っすぐに見つめていた。
その表情には怯えの色は一切見えない。
俺を頼る事はしないか・・・・・
「大丈夫って事だな、だったら!」
目の前に迫った炎を高く飛んで回避する。
当然のように、フィゲロアは俺を目で追って来た。
「そうだ、上に飛ぶしかないよな?だが空中では自在に動けまい!喰らえ!」
右手の杖を俺に向かって突きつける。先端の赤い石に魔力が込められ、赤い石が光輝く。
「へっ、何度も言うが舐めてんじゃねぇぞ!体力型の俺が、そんな事も考えねぇで飛んだと思ってんのか!?」
「なんだと!?」
その時、一陣の風が炎を吹き飛ばし、勢いそのままにフィゲロアに向かって突き進んだ。
「なっ、風だと!?ちっ・・・!」
フィゲロアは俺に向けていた杖を下し、自分に向かって迫ってくる突風に左手を向けた。
「そうだ!そうするしかねぇよな?」
フィゲロアが結界を張り、突風をやり過ごしているうちに、俺は着地し弓を構え体勢を整えた。
後ろは振り返らない。
カチュア、お前はよく泣くから気弱そうに見られっけどよ、一度やるって決めた事は、責任もってやるヤツだって俺は知ってるぜ。
私の魔道具、魔風の羽。
リカルド君は私を助けに来なかった。
リカルド君が炎を飛んで避けたのを見て、私はリカルド君が私を信じてくれてる事を感じた。
嬉しかった。
リカルド君は、私が駄目そうだったら多分助けに来ていたと思う。
でも、私を助けに来ないで攻撃を躱したという事は、私が自分の力でこの炎をなんとかできるって信じてくれたって事だから。
だから私は迷いなく羽を振るった。勇気を持って羽を振るった。
「カチュア、これをキミにあげるよ」
「あ、はい・・・うわぁ、綺麗な羽ですね。これ、なんの羽ですか?」
ある日の仕事上がり、私が白魔法コーナーの後片付けをしていると、店長が私に白く綺麗な羽を渡してくれた。
なんの羽だろう?
そう思って羽を見ていると、店長は私を椅子に座らせてゆっくり話してくれた。
「これは俺が作った魔道具で、魔風の羽って言うんだ。魔力を込めて振るえば風を起こす事ができる。縦に勢いよく振れば風の刃を放てるし、羽を面で振るえば突風だって起こせる」
「え、それって、風の黒魔法が使えるって事ですか?どうして・・・」
なんでそんな物を私に?
不思議に思いそう訊ねると、店長は私の目を見て優しく笑ってくれた。
「カチュア、キミが争い事を嫌いなのはよく分かってるよ。本当は魔道具だって、補助的な物が良いだろうなって俺も思った。でもね、力ってのは使い方次第、使う者次第なんだよ。カチュアの優しい心は、きっとこの羽を正しく使ってくれる。そう思ったから渡すんだ。もらってくれないかな?」
「店長・・・はい、ありがとうございます。大事にしますね」
「よかった・・・じゃあ、説明を続けるよ。この羽はね、魔力を込めて振れば風を起こせる。でもそれだけじゃない。この羽の本当の力は・・・・・」
「ふん、こんな風で俺を倒せるとでも思ったか!?」
なかなかの威力の風だが、俺の結界を破るにはとても足りない。
警戒すべきは弓使いの方だろう。この風が治まった後、さっきのように連射してくる事は十分考えられる。
「もちろん、思ってないよ」
女の声が風に混じって聞こえたと思ったその時、白い羽が結界に突き刺さった。
「・・・羽?・・・なっ!?」
結界に刺さったその白い羽は、徐々に青く色を染めていき、それに伴い結界が薄く脆くなっていった。
「な、なんだと!?俺の結界が・・・」
白い羽が青く染まりきると同時に、俺の結界が解ける。羽はゆっくりと風に舞い落ちた。
「リカルド君!」
合図を送るように女が叫ぶ。
俺の結界を解いた原因であろう羽を目で追ってしまい、風切り音への俺の反応が一瞬遅れる。
鉄の矢が俺の左肩に突き刺さった。
「ぐうっ!」
強烈な衝撃に体を支えきれず、背中から床に倒れてしまう。
「・・・く、ぐぬ・・・お、お前、その羽は、なんだ?」
矢の刺さった左肩をかばいながら、上半身を起こし女を睨み付けた。
「これは私の魔道具魔風の羽。もう結界は通用しません!」
気弱そうな外見からは想像もつかない強い声で、女は俺に言い放った。
「へぇ、分かりやすい魔道具だな。火を出す杖か?」
放たれた炎は徐々に大きく勢いを増して、リカルドの腰程の高さになる。
使い手のフィゲロアから離れる程、火力が増して大きく強くなるのか・・・・・
俺にはこの炎を防ぐ事はできねぇ、サークル状で隙間もないから、横に躱す事はできねぇ。
つまり上に飛ぶしかねぇな。カチュアは・・・
顔半分振り返ると、カチュアは羽を握り締めて炎を真っすぐに見つめていた。
その表情には怯えの色は一切見えない。
俺を頼る事はしないか・・・・・
「大丈夫って事だな、だったら!」
目の前に迫った炎を高く飛んで回避する。
当然のように、フィゲロアは俺を目で追って来た。
「そうだ、上に飛ぶしかないよな?だが空中では自在に動けまい!喰らえ!」
右手の杖を俺に向かって突きつける。先端の赤い石に魔力が込められ、赤い石が光輝く。
「へっ、何度も言うが舐めてんじゃねぇぞ!体力型の俺が、そんな事も考えねぇで飛んだと思ってんのか!?」
「なんだと!?」
その時、一陣の風が炎を吹き飛ばし、勢いそのままにフィゲロアに向かって突き進んだ。
「なっ、風だと!?ちっ・・・!」
フィゲロアは俺に向けていた杖を下し、自分に向かって迫ってくる突風に左手を向けた。
「そうだ!そうするしかねぇよな?」
フィゲロアが結界を張り、突風をやり過ごしているうちに、俺は着地し弓を構え体勢を整えた。
後ろは振り返らない。
カチュア、お前はよく泣くから気弱そうに見られっけどよ、一度やるって決めた事は、責任もってやるヤツだって俺は知ってるぜ。
私の魔道具、魔風の羽。
リカルド君は私を助けに来なかった。
リカルド君が炎を飛んで避けたのを見て、私はリカルド君が私を信じてくれてる事を感じた。
嬉しかった。
リカルド君は、私が駄目そうだったら多分助けに来ていたと思う。
でも、私を助けに来ないで攻撃を躱したという事は、私が自分の力でこの炎をなんとかできるって信じてくれたって事だから。
だから私は迷いなく羽を振るった。勇気を持って羽を振るった。
「カチュア、これをキミにあげるよ」
「あ、はい・・・うわぁ、綺麗な羽ですね。これ、なんの羽ですか?」
ある日の仕事上がり、私が白魔法コーナーの後片付けをしていると、店長が私に白く綺麗な羽を渡してくれた。
なんの羽だろう?
そう思って羽を見ていると、店長は私を椅子に座らせてゆっくり話してくれた。
「これは俺が作った魔道具で、魔風の羽って言うんだ。魔力を込めて振るえば風を起こす事ができる。縦に勢いよく振れば風の刃を放てるし、羽を面で振るえば突風だって起こせる」
「え、それって、風の黒魔法が使えるって事ですか?どうして・・・」
なんでそんな物を私に?
不思議に思いそう訊ねると、店長は私の目を見て優しく笑ってくれた。
「カチュア、キミが争い事を嫌いなのはよく分かってるよ。本当は魔道具だって、補助的な物が良いだろうなって俺も思った。でもね、力ってのは使い方次第、使う者次第なんだよ。カチュアの優しい心は、きっとこの羽を正しく使ってくれる。そう思ったから渡すんだ。もらってくれないかな?」
「店長・・・はい、ありがとうございます。大事にしますね」
「よかった・・・じゃあ、説明を続けるよ。この羽はね、魔力を込めて振れば風を起こせる。でもそれだけじゃない。この羽の本当の力は・・・・・」
「ふん、こんな風で俺を倒せるとでも思ったか!?」
なかなかの威力の風だが、俺の結界を破るにはとても足りない。
警戒すべきは弓使いの方だろう。この風が治まった後、さっきのように連射してくる事は十分考えられる。
「もちろん、思ってないよ」
女の声が風に混じって聞こえたと思ったその時、白い羽が結界に突き刺さった。
「・・・羽?・・・なっ!?」
結界に刺さったその白い羽は、徐々に青く色を染めていき、それに伴い結界が薄く脆くなっていった。
「な、なんだと!?俺の結界が・・・」
白い羽が青く染まりきると同時に、俺の結界が解ける。羽はゆっくりと風に舞い落ちた。
「リカルド君!」
合図を送るように女が叫ぶ。
俺の結界を解いた原因であろう羽を目で追ってしまい、風切り音への俺の反応が一瞬遅れる。
鉄の矢が俺の左肩に突き刺さった。
「ぐうっ!」
強烈な衝撃に体を支えきれず、背中から床に倒れてしまう。
「・・・く、ぐぬ・・・お、お前、その羽は、なんだ?」
矢の刺さった左肩をかばいながら、上半身を起こし女を睨み付けた。
「これは私の魔道具魔風の羽。もう結界は通用しません!」
気弱そうな外見からは想像もつかない強い声で、女は俺に言い放った。
0
あなたにおすすめの小説
精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~
舞
ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。
異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。
夢は優しい国づくり。
『くに、つくりますか?』
『あめのぬぼこ、ぐるぐる』
『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』
いや、それはもう過ぎてますから。
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
異世界レストラン・フェルマータ ~追放料理人の俺、神の舌で世界を喰らう~
たまごころ
ファンタジー
王都の五つ星料理店を追放された若き料理人カイ。理不尽な仕打ちに絶望しかけたその瞬間、彼は異世界で目を覚ます。
そこは「味覚」が魔力と結びついた世界──。美味を極めれば魔力が高まり、料理は民を癒やし、王すら跪く力を持つ。
一介の料理人だったカイは、神の舌「フェルマータ」の力に目覚め、貧しい村に小さな食堂を開く。
だがその料理は瞬く間に世界を変え、王侯貴族、聖女、竜姫、女勇者、果ては神々までが彼の皿を求めるようになる。
追放された男の、料理と復讐と愛の異世界成り上がり劇、ここに開店!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる