異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
444 / 1,558

443 同格と認めて

しおりを挟む
「うん、ずいぶん使いこなせてきたね。カチュアは魔力操作のセンスがある」

「いえ、店長の教え方が上手なんです。私なんてまだまだです。魔力だってユーリの方が高いですし」

魔風の羽をもらって一か月。店長は仕事上がりや休日に、時間を見つけては私に指導をしてくれた。

最初はそよ風程度しか起こせなかったけれど、いまではそれなりに強い風を起こせる。
だから、練習は周りに人がいないか注意してやらなければならない。

店の隣の空き家の裏は、めったに人が来ないし広いから、自然とそこで練習するようになった。


「確かに魔力はユーリの方が高いかな。でも、魔力操作はカチュアの方が上手かもしれないよ。難しい魔道具を使う事なんかは、カチュアの方が上手くできるだろうね。この魔風の羽みたいに。カチュアはもっと自分に自信を持っていいんだよ」

「店長・・・はい、私頑張ります!」

店長の言葉には、いつも温かさと優しさがある。
私が元気よく返事をすると、店長はニコリと笑って手の平を前に出した。

青く輝く結界が店長と私を隔てるように現れる。


「うん。それじゃあ次だ。今日こそ俺の結界を、魔風の羽で破ってみようか」

「・・・はい、でも本当にできるでしょうか?私、まだ一度も破れてません」

今日まで、何度挑戦しても一度も店長の結界を破ることはできなかった。
それに店長の使った結界は、普通の結界だ。天衣結界ではない。

「カチュア、今言ったばかりじゃないか?自信を持つんだ。いいかい、いつも通り魔風の羽を投げつける。結界に刺さってからが難しいところだ。遠隔操作になるから、かなり細かい魔力操作が要求されるけど、やるごとに良くなっている。カチュアならできる。自分を信じるんだ」

自信の無い言葉を口にする私に、店長は励ましの言葉をかけてくれる。
本当に優しい人だ。
店長を信じて着いていけば、なんでもできる。そんな気持ちにさせてくれる。

「・・・分かりました。今日こそ店長の結界を解いてみせます!」








「その羽か・・・どういう仕組みか分からねぇが、白い羽が青くなったって事は、俺の結界を吸収したって事だな?」

フィゲロアは左肩を押さえながら立ち上がると、怒りに満ちた目を私に向けて来た。

「そうです。魔風の羽は刺したものから魔力を吸収して、それを無効化することができます。あなたの結界に刺し、魔力を吸い上げた事で結界を破りました」

私の答えに、フィゲロアは納得したように頷き、床に落ちている青く染まった羽に目を落とした。

「なるほどなぁ・・・風も起こせるし便利な魔道具だ。でもよ、結界を破るためにはこうして投げるんだろ?それでその後は床に落ちるわけだ。敵に拾われる事は考えないのか?俺の足元だぞ?」


フィゲロアは私を小馬鹿にするように鼻で笑った後、腰を曲げて魔風の羽に手を伸ばした。

その瞬間、羽はまるで意思を持っているかのように、フィゲロアの手を搔い潜り、私の手元に吸い寄せられるように戻って来た。


「・・・拾われる事への対策は、もちろんできてますよ。私と魔力で繋がってるんです。だから遠隔操作で引き戻す事もできるんです」

手にした羽をヒラヒラと見せつけ笑顔でそう説明すると、フィゲロアは私に向かって赤い石の付いた杖を突きつけた。


「・・・舐めやがって、燃え尽きろ」

「だから、舐めてんのはてめぇだろ?」

フィゲロアが杖から炎を発するより早く、リカルド君の放った矢がフィゲロアの頭を直撃した。






「・・・ちっ、おいカチュア、こっからが本番みてぇだぞ」

「う、うん・・・」

リカルド君の鉄の矢は、確かにフィゲロアの頭に届いた。けれど、いつの間にかフィゲロアは結界を身に纏っていて、矢を通す事を許さなかった。

矢が音を立てて床に落ちる。
そしてフィゲロアの雰囲気が明らかに変わった。

「・・・反省しよう。俺はお前達を舐めていた。俺は栄えある四勇士で、お前達は国賊だ。この炎の杖を一振りすれば片付けられる。そう思い疑わなかった。だが、現実は俺が手玉に取られている」

フィゲロアは力任せに左肩から矢を引っこ抜く。傷口から血が飛び散り、床に赤い模様を作る。


「ここからは・・・お前達は俺と同格と見て、全力で叩き潰させてもらおう」

一言口にするごとに、フィゲロアから発せられる魔力が強さを増していく。
そしてその圧力は、まるで体が削られるようなビリビリとした痛みを感じさせていた。


「カチュア、あの野郎の結界は同じ個所に四射で突破できた。でも、今のこの魔力だと、四射じゃたりねぇと思う。だからカチュアの風にも期待してる。二人で力を合わせて突破すんぞ?野郎は結界を身に纏ったまま、あの杖で攻撃してくんだろうから、俺達は避けながらの反撃だ。自分の身は自分で護れんな?」

「うん、大丈夫!この羽があれば私だって戦えるよ」

私は前を見たままリカルド君に言葉を返した。

「・・・へっ、なんか強くなったよな。よし、来るぞ!気合入れてけよ!」


私がハッキリと言葉を返すと、リカルド君はなんだか楽しそうに笑った。

アラタ君、私は絶対に負けないよ。
絶対に勝って帰るから・・・だから信じて待ってて!







「ぐ・・・うあぁぁぁぁーッツ!」

私はずっと前を見ていた。

リカルド君も、私と話してる間だって前を見ていて、フィゲロアから視線は外さなかったはず・・・

でも、フィゲロアが私達に杖の先を向けたと思った次の瞬間、突然リカルド君の左肩が燃え上がり、リカルド君は声を上げて床を転げ回った。

何をされたの?何も見えなかった・・・・・


「ふははははは!どうした?俺もお前に左肩を抉られたが、そんな悲鳴は上げなかったぞ?」

笑っているけれど、背筋まで凍り付かせるような冷たい目を向けるフィゲロアの杖の先からは、今しがた炎を発したと思われる細く長い煙が出ていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...