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理太郎

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643 シャノン 対 ウラジミール

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火の上級魔法、灼炎竜。
同時に出せる数、そして大きさを比べる事で、魔法使いの力量が測れる魔法でもある。
上級魔法が使えるレベルの魔法使いであれば、最低でも3メートルを作り出す事はできる。

王宮仕えの魔法使いで5~6メートル。
10メートル以上の竜を出す事ができるのは、その国でトップと言われるレベルの人間である。

基本的に灼炎竜は、より大きくするために鍛錬し磨く魔法である。
しかしシャノンの発想は違った。

狭いとこで戦う事も考えて、細くしたり、小さくする工夫もすべきじゃない?

「ぐぅおおおおおーーーーっ!」

「ハァァァァァーーーッ!」

ウラジミールの体を締め上げる炎の竜は、まるで縄紐のように細かった。
大きくする事が強さの証と見られていた灼炎竜を、あえてここまで細く絞った者は、今だかつていなかったであろう。

それは四勇士の称号を持つ、シャクール・バルデスであっても例外ではない。
シャノンの灼炎竜を目にし、目を開き驚きを露わにしている。

しかし、すぐに口元に笑みを浮かべる。
自分の心配が杞憂であった事、そしてシャノンの狙いを理解したのだ。

なるほど、商売人らしく柔軟な頭をしている。
まさか灼炎竜を縄紐のように細くして使うとはな。

シャノンの灼炎竜はウラジミールの膝から腰へ、腰から腹、腹から両肘をグルリと一周し、そして首を絞め上げていた。

いかに空気の鎧で身を守ろうとしても、締め付けられる圧迫感を防ぐ事は不可能。
そして熱から逃げるすべはない。

蒸し焼きにしてやると言うシャノンの言葉通り、このままいけばウラジミールが熱で倒れる事は考えるまでもない事だった。


・・・シャノン、今は其方が優位に立っている。
だが、決して油断するな。そのまま全力で締め上げろ。
ウラジミールがこのまま終わるとは思えん。

バルデスの懸念は確信に近いものだった。

先ほどの竜氷縛からの脱出。
力任せに内側から粉砕したように見えたが、それだけではない。
空気を操り身に纏う事ができる、ウラジミールの魔道具エアコートに秘密があった。

ウラジミールは直に氷漬けにされたわけではない。
氷と肉体の間に、エアコートによる空気の層ができ、僅かながらに隙間ができた。
ウラジミールはそこを突いた。
隙間が出来たのであれば空気を送り込めばいい。限界を超えて、氷を破壊できる程に体力の空気を。

そして己の腕力と合わせて内側から破壊して脱出したのだ。


謎解きはできていた。
しかし、もはや言葉を発する事ができない程に、ダメージを抱えているバルデスには、それを伝える手段が無かった。


シャノン!気を付けろ・・・コイツは、竜氷縛を破った男がこのまま終わるはずがない!
一分の緩みも見せるな!そのまま締め殺せ!



「くっ・・・こ、この!」

締め上げている限り、炎は熱を通し、ウラジミールの体を焼いていく。
これはシャノンに有利な戦いである。だが、シャノンに余裕はまるで無かった。

灼炎竜を通して伝わって来るウラジミールの抵抗。
気を抜くと竜を振りほどかれそうになる強大な力。


・・・バルデスは空気と言っていた。アタシが今感じているこの抵抗力は、空気を膨らませて、竜を外へ押し返しそうとしているという事か!?

「ウ、ウラジミール・・・!」

歯を食いしばり、竜が解けないように堪え維持する。

ウラジミールを締め付ける炎の竜へは、すでに魔力を最大限に注ぎ込んでいる。
それでウラジミールの抵抗を、ギリギリ堪える事ができていた。


「ぐぅぅっ!シャ、シャノン!」

しかしウラジミールに余裕があるかと言えば、そうではない。
ウラジミールもまたギリギリの勝負を挑んでいた。
エアコートの空気を最大限まで放出し、それに加えて全身に力を漲らせ、己を締め上げる炎の竜を振りほどこうとあがいていた。

エアコートによる空気の層のおかげで、体が締められる事には耐えられる。
しかし、その空気をも通して伝わって来る熱だけはどうしようもない。
身を護る空気を熱せられ、ウラジミールの肌は火傷を負い始めていた。


「ウラジミール・・・」

「シャノン・・・」


睨み合う二人の視線が交差する。





シャノンよ・・・なぜお前はいつも俺の上をいく?

ロンズデールの歴史上、大海の船団は最古参にして最も国に貢献してきた。
だが、アラルコン商会が台頭し青の船団を作ると、ほんの数十年でその評価は覆された。

俺の父も、メンドーサ様も、大海の船団に人生を捧げてきたが、アラルコン一族に遅れを取り二番手に甘んじてきた。

そして父が引退し、メンドーサ様から俺が次の船長に任じられると、今度はアラルコン商会の跡取り娘が青の船団を率いるようになった。

二十そこそこの女になにができる?
そう思っていたが、その評価が間違っていた事はすぐに思い知らされた。
シャノンはアラルコンの血を色濃く受け継ぎ、その商才は俺など到底及ばぬものだった。

国内での大海の船団の評価は常に二番手、その責任は常に俺に向けられる。
いつしか俺のシャノンへの感情は、ライバルへの嫉妬から憎しみへと変わっていった。

このクルーズが全てだった。
このクルーズに懸けていた。

だが、船がこうなってしまっては、俺には・・・いや、大海の船団には何も残らない。

ならば最後は武人としてお前に挑もう。
海に出る荒くれ共をまとめ上げるため、俺が今日まで鍛え上げた全てでお前を倒す!


「絶空剣!全てを解き放てーーーーーッ!」

右手に握り締めるのは、柄から先が二つに分かれた特異な形状の短剣。

どれだけキツく締められても離す事はなかった。
エアコートで集めた空気が絶空剣へと送られ、二つに分かれた剣の間、発射口から撃ち放たれる。
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