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701 レイジェスでの食事
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「兄ちゃんよぉ~、俺もよぉ~、モグモグ・・・あんまうるさい事は言いたかねぇんだぜ?モグモグ・・・でもよぉ~、あれはやりすぎじゃね?モグモグ・・・場所ってもんを考えた方がいいと思うんよ、俺は」
閉店したレイジェスの事務所では、リカルドがおにぎりをほおばりながら、アラタに淡々と説教じみた言葉で話しかけている。
テーブルには大皿がいくつも並べられ、おにぎり、卵焼き、からあげなど、片手で食べられるもの山のように置かれていた。
レイジェスに帰って来た時間も遅く、バルデス達は帰るまでに陽が沈んでしまうため、店に泊まる事になったのだ。
レイチェル達が帰って来るとしたら、夕方ギリギリになってしまうだろうと判断して、あらかじめシルヴィアやケイトが食材を用意していたのだ。
「いや、それはな、うん・・・その、リカルドの言う通りなんだけどさ、俺もこう・・・気持ちがな・・・」
「あー、はいはいはいはい、分かってる分かってる、分かってるよ、うん、俺は兄ちゃんの事ならよく分かってんだ。あれだろ?気持ちが押さえきれなかったって言うんだろ?けどよぉ、返品を棚に戻しに行ったら、兄ちゃんとカチュアが抱き合ってんの見た俺の気持ちも考えろよ?どうすりゃいいの?俺もまざって三人でハグすりゃ良かったの?」
無造作に後ろで束ねた緑色の髪をガシガシと掻いて、リカルドはアラタをジロリと睨んだ。
「なんでそうなんだよ?そんなの見なかった事にしてくれていいんだよ!なんでお前店の中で、あー兄ちゃんがー!とか大きな声出すんだよ!」
リカルドの物言いに、アラタもやや感情的に言葉を強く返すと、ケイトがサラダを乗せた大皿を運んできた。
「はいはい、そこまでにしなよ。リカルドもちょっとしつこいけど、言ってる事は間違ってはいないからね。アラタ、抱き合うなら、人目に付かないとこでやりなよ?カチュア、あんたもだよ?」
「ご、ごめんなさい・・・私も、つい・・・」
大皿をテーブルに置いて、ケイトがカチュアにもチラリと目を向けると、キッチンでスープを温めていたカチュアは、オタマを置いて赤くなった頬を両手で押さえた。
「あらあら、カチュアったら・・・うふふ、ケイトそのくらいで許してあげて。ずっと心配してたんだし、そりゃあ周りも見えなくなっちゃうわよ」
白に近い金色の髪を後ろで結び、シルヴィアは空いているカップにお茶を注いで回っている。
「あ、これは恐れ入ります。突然お邪魔しましたのに、私にまでこのようなおもてなしをいただいて・・・」
バルデスの隣で、バルデスに料理に取っているサリーは、自分のカップにお茶を注いだシルヴィアにお礼を口にするが、シルヴィアは優しく微笑んでサリーに言葉をかけた。
「サリーさん、そんなにかしこまらなくていいのよ?私達は好きで料理を作ってるだけだし、あなた達が食べてくれると嬉しいの。今日はお客様なんだし、遠慮しないでどんどん食べてね」
「シルヴィアさん、ありがとうございます。今度は私がおもてなしをさせていただきますね」
シルヴィアの言葉に、サリーも笑顔を返す。
「あら、ありがとう。楽しみにしてるわね。バルデスさんもお代わりいかが?」
「ん、ではいただこう。うむ、良い香りだ。注ぎ方も良い。日頃から茶をたしなんでいるのだな」
「あら、分かります?嬉しいわ。うちの男連中は飲めればいいって人ばかりだから」
シルヴィアが直接戦ったわけではないが、レイジェスは一度は四勇士と敵対していた立場である。
だが、今回のロンズデールの件もあり、バルデスとサリー、この二人とは以前戦った事など遠い昔のようになっており、新しい関係を築きつつあった。
「・・・まぁ、兄ちゃんが反省してんならよ、許してやんよ。モグモグ、なんだこのポテサラ?めっちゃうめぇ!」
「あ、それアタシが作ったんだよ。美味いだろ?ジーンの好きな味付けなんだ。ね!ジーン」
リカルドがポテトサラダに感動して震えていると、ケイトが得意気な顔を見せる。
話しをふられたジーンも、ケイトのポテトサラダを口に入れて、顔をほころばせている。
「うん・・・本当にケイトのポテトは、いつ食べても美味しいね」
「あはは、ジーンの好みはちゃんと分かってるからね」
料理を全て運び終えたケイトは、ジーンの隣に腰を下ろすと、当たり前のように取り皿に料理を取り分けてジーンの前に置いた。
「ケイトって、本当にジーンにつくすよな」
お茶を飲みながら、独り事のように呟くミゼルに、隣のジャレットは肩を揺らして笑った。
「ははは、なにを今更?あー、お前もクリスさんと二人の時は、あんなふうにされてんじゃねぇのか?」
「え?クリスが?俺に?ないないない!逆だから!ミゼル君、あれとって。ミゼル君、これ運んで。ミゼル君ミゼル君ミゼル君って、一秒も自由にならないから!」
「お、おぅ・・・な、なんか悪いな」
キッとジャレットを睨んで口早にまくし立てるミゼルに、ジャレットは大きく身を引いた。
「で、でもよ、飲み会の時、お前クリスさんと結婚するって言ってたろ?酒もタバコもギャンブルもやめるって言ってたよな?あの時のお前は最高にかっこ良かったぜ・・・って、お前どうした?」
ジャレットが話しを進めていると、ミゼルの目は挙動不審に左右に泳ぎ、足も小刻みに揺れてカタカタと床を踏み鳴らし、とにかく落ち着きがない。
「・・・ま、まさかお前・・・・・もう約束破ったのか?」
頬を引きつらせるジャレットに、ミゼルは視線を合わせようとしない。
「い、いやいや!ま、まだ破ってないよ!」
「はぁぁ!?まだ!?まだってなんだよ!?これから破んのか!?あんだけかっこつけて!?頭大丈夫か!?」
「だ、大丈夫!大丈夫だから!破らない!破らないって!」
肩を強く掴まれて前に後ろに揺さぶられると、ミゼルは必死に弁明の声を上げた。
そんなミゼルを見て、レイチェルは肩をすくめながら、アラタに話しかけた。
「な、アラタ、私の言った通りだろ?」
「う~ん、でもまだ約束守ってるようだし・・・」
「時間の問題だ」
レイチェルは、ミゼルの酒、タバコ、ギャンブルをやめると言う約束を、まったく信用していなかった。
「あはは、レイチェルは厳しいなぁ。ミゼルさん頑張ってるんだよ?」
「あ、カチュア、スープ美味しいよ。ありがとう」
キッチンでの作業を終えて、カチュアがレイチェルとアラタの間に腰を下ろした。
「あのね、昨日ミゼルさんが店の裏で、難しい顔してじっとタバコを見つめてたの。もしかしてって思って隠れて見てたら、ミゼルさん唇噛みしめてタバコをしまったの。結局吸わなかったんだよ?頑張ってるよ」
「そうなの?おぉ、じゃあミゼルさん頑張ってるじゃん!」
「いや、タバコを持ってる時点で危うくないか?・・・・・まぁ、いいか。カチュアがそう言うなら、私も少しは信じてみよう・・・」
レイチェルはチラリとミゼルを見ると、クスリと笑って卵焼きを口に入れた。
そしてそれぞれが食事が終えた頃、ジャレットが一つ大きく息をついて声を出した。
「じゃあ、腹も膨れたし、そろそろ聞かせてもらおうか。ロンズデールでの話しはどうなった?」
閉店したレイジェスの事務所では、リカルドがおにぎりをほおばりながら、アラタに淡々と説教じみた言葉で話しかけている。
テーブルには大皿がいくつも並べられ、おにぎり、卵焼き、からあげなど、片手で食べられるもの山のように置かれていた。
レイジェスに帰って来た時間も遅く、バルデス達は帰るまでに陽が沈んでしまうため、店に泊まる事になったのだ。
レイチェル達が帰って来るとしたら、夕方ギリギリになってしまうだろうと判断して、あらかじめシルヴィアやケイトが食材を用意していたのだ。
「いや、それはな、うん・・・その、リカルドの言う通りなんだけどさ、俺もこう・・・気持ちがな・・・」
「あー、はいはいはいはい、分かってる分かってる、分かってるよ、うん、俺は兄ちゃんの事ならよく分かってんだ。あれだろ?気持ちが押さえきれなかったって言うんだろ?けどよぉ、返品を棚に戻しに行ったら、兄ちゃんとカチュアが抱き合ってんの見た俺の気持ちも考えろよ?どうすりゃいいの?俺もまざって三人でハグすりゃ良かったの?」
無造作に後ろで束ねた緑色の髪をガシガシと掻いて、リカルドはアラタをジロリと睨んだ。
「なんでそうなんだよ?そんなの見なかった事にしてくれていいんだよ!なんでお前店の中で、あー兄ちゃんがー!とか大きな声出すんだよ!」
リカルドの物言いに、アラタもやや感情的に言葉を強く返すと、ケイトがサラダを乗せた大皿を運んできた。
「はいはい、そこまでにしなよ。リカルドもちょっとしつこいけど、言ってる事は間違ってはいないからね。アラタ、抱き合うなら、人目に付かないとこでやりなよ?カチュア、あんたもだよ?」
「ご、ごめんなさい・・・私も、つい・・・」
大皿をテーブルに置いて、ケイトがカチュアにもチラリと目を向けると、キッチンでスープを温めていたカチュアは、オタマを置いて赤くなった頬を両手で押さえた。
「あらあら、カチュアったら・・・うふふ、ケイトそのくらいで許してあげて。ずっと心配してたんだし、そりゃあ周りも見えなくなっちゃうわよ」
白に近い金色の髪を後ろで結び、シルヴィアは空いているカップにお茶を注いで回っている。
「あ、これは恐れ入ります。突然お邪魔しましたのに、私にまでこのようなおもてなしをいただいて・・・」
バルデスの隣で、バルデスに料理に取っているサリーは、自分のカップにお茶を注いだシルヴィアにお礼を口にするが、シルヴィアは優しく微笑んでサリーに言葉をかけた。
「サリーさん、そんなにかしこまらなくていいのよ?私達は好きで料理を作ってるだけだし、あなた達が食べてくれると嬉しいの。今日はお客様なんだし、遠慮しないでどんどん食べてね」
「シルヴィアさん、ありがとうございます。今度は私がおもてなしをさせていただきますね」
シルヴィアの言葉に、サリーも笑顔を返す。
「あら、ありがとう。楽しみにしてるわね。バルデスさんもお代わりいかが?」
「ん、ではいただこう。うむ、良い香りだ。注ぎ方も良い。日頃から茶をたしなんでいるのだな」
「あら、分かります?嬉しいわ。うちの男連中は飲めればいいって人ばかりだから」
シルヴィアが直接戦ったわけではないが、レイジェスは一度は四勇士と敵対していた立場である。
だが、今回のロンズデールの件もあり、バルデスとサリー、この二人とは以前戦った事など遠い昔のようになっており、新しい関係を築きつつあった。
「・・・まぁ、兄ちゃんが反省してんならよ、許してやんよ。モグモグ、なんだこのポテサラ?めっちゃうめぇ!」
「あ、それアタシが作ったんだよ。美味いだろ?ジーンの好きな味付けなんだ。ね!ジーン」
リカルドがポテトサラダに感動して震えていると、ケイトが得意気な顔を見せる。
話しをふられたジーンも、ケイトのポテトサラダを口に入れて、顔をほころばせている。
「うん・・・本当にケイトのポテトは、いつ食べても美味しいね」
「あはは、ジーンの好みはちゃんと分かってるからね」
料理を全て運び終えたケイトは、ジーンの隣に腰を下ろすと、当たり前のように取り皿に料理を取り分けてジーンの前に置いた。
「ケイトって、本当にジーンにつくすよな」
お茶を飲みながら、独り事のように呟くミゼルに、隣のジャレットは肩を揺らして笑った。
「ははは、なにを今更?あー、お前もクリスさんと二人の時は、あんなふうにされてんじゃねぇのか?」
「え?クリスが?俺に?ないないない!逆だから!ミゼル君、あれとって。ミゼル君、これ運んで。ミゼル君ミゼル君ミゼル君って、一秒も自由にならないから!」
「お、おぅ・・・な、なんか悪いな」
キッとジャレットを睨んで口早にまくし立てるミゼルに、ジャレットは大きく身を引いた。
「で、でもよ、飲み会の時、お前クリスさんと結婚するって言ってたろ?酒もタバコもギャンブルもやめるって言ってたよな?あの時のお前は最高にかっこ良かったぜ・・・って、お前どうした?」
ジャレットが話しを進めていると、ミゼルの目は挙動不審に左右に泳ぎ、足も小刻みに揺れてカタカタと床を踏み鳴らし、とにかく落ち着きがない。
「・・・ま、まさかお前・・・・・もう約束破ったのか?」
頬を引きつらせるジャレットに、ミゼルは視線を合わせようとしない。
「い、いやいや!ま、まだ破ってないよ!」
「はぁぁ!?まだ!?まだってなんだよ!?これから破んのか!?あんだけかっこつけて!?頭大丈夫か!?」
「だ、大丈夫!大丈夫だから!破らない!破らないって!」
肩を強く掴まれて前に後ろに揺さぶられると、ミゼルは必死に弁明の声を上げた。
そんなミゼルを見て、レイチェルは肩をすくめながら、アラタに話しかけた。
「な、アラタ、私の言った通りだろ?」
「う~ん、でもまだ約束守ってるようだし・・・」
「時間の問題だ」
レイチェルは、ミゼルの酒、タバコ、ギャンブルをやめると言う約束を、まったく信用していなかった。
「あはは、レイチェルは厳しいなぁ。ミゼルさん頑張ってるんだよ?」
「あ、カチュア、スープ美味しいよ。ありがとう」
キッチンでの作業を終えて、カチュアがレイチェルとアラタの間に腰を下ろした。
「あのね、昨日ミゼルさんが店の裏で、難しい顔してじっとタバコを見つめてたの。もしかしてって思って隠れて見てたら、ミゼルさん唇噛みしめてタバコをしまったの。結局吸わなかったんだよ?頑張ってるよ」
「そうなの?おぉ、じゃあミゼルさん頑張ってるじゃん!」
「いや、タバコを持ってる時点で危うくないか?・・・・・まぁ、いいか。カチュアがそう言うなら、私も少しは信じてみよう・・・」
レイチェルはチラリとミゼルを見ると、クスリと笑って卵焼きを口に入れた。
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