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「・・・ユーリお姉ちゃん、これなに?」
「・・・なんだろ?気持ち悪い」
ユーリとエルがキッチン・モロニーから帰って来ると、店の裏には雪の上に全身を投げ出すようにして
倒れている、ジャレット、ミゼル、アラタ、リカルドがいた。
見るからに疲れ切った表情で、四人は仰向けで息を切らせながらぐったりとしている。
エルはきょとんとした顔で首を傾げている。
何でこの寒空の下、雪の上で寝ているのか不思議でしかたないらしい。
「はぁ、はぁ・・・あ、ユ、ユーリ・・・エルちゃん・・・おかえり・・・」
ユーリとエルの声が耳に届き、アラタが薄く目を開いて二人に声をかけると、ユーリが眉を寄せながら近づいて来た。
「アラタ、こんなところで何してるの?雪の上で男四人でハァハァ言って・・・変態なの?」
膝を曲げてアラタの横に腰を落とすと、ユーリはアラタの目をじっと見て問いかけた。
「ち、ちがう!て、店長!店長に、稽古つけられたんだよ!」
「え、店長来てるの?」
アラタが慌てて体を起こして説明すると、店長という言葉にユーリが反応する。
「ああ、今は俺達の代わりに売り場に入ってるよ。ユーリン、悪いけど、ヒールかけてくれね?すっげぇ疲れた。ちょっと今立てない」
ジャレットも肘を突いて体を起こした。
額の汗を拭い大きく息をつくジャレットを見れば、どれだけ疲弊しているのかよく分かる。
「ユーリンて言うな。ふぅ・・・しかたない。キッチン・モロニーの新作のパウンドケーキで手を打つ。私とエルの二つね」
右手を前に出し、ピースで二個と伝えるユーリ。
「え!?ユーリン金取んの!?」
「お金じゃない。パウンドケーキ。スライスしたアーモンドの入ってるヤツ。一個1200イエンだった」
「そこそこすんじゃん!」
「嫌ならいい。足がくがくしたまま、ここで風邪を引いても知らないから」
「くっ!」
「ジャ、ジャレットお兄ちゃん、私の分は別にいいですよ。いつもお世話になってるのに、迷惑かけられません」
苦虫を噛み潰したように顔をしかめるジャレットを見て、エルが両手を前に出して、ぶんぶんと何度も顔を横に振った。
「ジャレット、こんな小さな女の子に気を遣わせるなんて・・・・・最近はレイチェルの代わりもしっかりやってるって見直してたのに。やっぱりただのウザ男だった」
「ユ、ユーリお姉ちゃん!そ、そんな事言ったらだめだよ!ジャレットお兄ちゃんは仕事も早いし、とっても優しいんだよ!」
「そ、そうだぞユーリン!俺がパウンドケーキの二つや三つで、ケチケチするわけないだろ!?そんなのすぐに買って来てやるよ!エッちゃんも遠慮しないでいいんだからね!」
「交渉成立。はい、ヒール。あ、エルはミゼルとリカルドにヒールして」
「え、あ、うん!分かったよユーリお姉ちゃん!」
ジャレットが買って来ると言うなり、ユーリはさっさと済ませようとばかりに、ジャレットの胸に手を当ててヒールをかけ始めた。
更にエルにも迅速な指示を出すので、ジャレットも唖然としてしまう。
「・・・はい。ジャレットはお終い。次はアラタね」
「ありがと。俺も同じアーモンドのパウンドケーキでいいの?」
ユーリがアラタの胸に手を伸ばしてきたところで、アラタがお礼の品を確認すると、ユーリは興味が無さそうな、そっけない声で答えた。
「別に何もいらない。ジャレットにはいつも変な呼びかたされるから、迷惑料として要求しただけ。でも、あれが美味しそうに見えたのは事実。アラタも今度買ってみたらいい」
「え・・・?はは、そうだったんだ」
アラタは頬が引きつって苦笑いしていたが、回復したジャレットがすでに店内に戻っていて、この場にいなかったのは幸いだと思っていた。
「・・・稽古、どうだった?」
「ん、ああ・・・・・なんて言うか、とにかくすごいな。昨日もそうだったけど、実践形式で俺の攻撃は一発も当たらなかった。それで、店長は足しか使わないんだ。何十回も足を払われて、来ると分かってても躱せない。転ばされると、今の攻撃のどこが悪かったか教えてくれるんだ。ズバっとダメ出しされたけど、改善すべきところも一緒に教えてくれるから納得しかないよ」
「うん、店長のまかせればいい。店長の言う通りにしてれば、アラタはもっと強くなれる」
「・・・すごい信頼だね?」
手放しでここまで口にするユーリに、少しの驚きを含んで見せる。
「うん。私だけじゃない。みんな店長の事を信頼している。アラタはまだ日が浅いけど、そのうち分かるはず・・・・・はい、ヒール終わり」
確かにアラタはまだバリオスと出会って日が浅い。
だが、その正体にほぼ確信を持った今、バリオスに対してアラタも信頼を感じ始めていた。
「うん、そうだな。確かにまだ数回しか会ってないけど・・・」
革紐で結んで首から下げた樹木・・・新緑の欠片を手に取る。
「店長の事は、俺も信頼してるよ」
そう言ってユーリに笑って見せる。
アラタの反応が意外だったのか、ユーリは少しだけ目を丸くしたが、すぐに目を細めて微笑んだ。
「・・・うん。良かった」
「・・・なんだろ?気持ち悪い」
ユーリとエルがキッチン・モロニーから帰って来ると、店の裏には雪の上に全身を投げ出すようにして
倒れている、ジャレット、ミゼル、アラタ、リカルドがいた。
見るからに疲れ切った表情で、四人は仰向けで息を切らせながらぐったりとしている。
エルはきょとんとした顔で首を傾げている。
何でこの寒空の下、雪の上で寝ているのか不思議でしかたないらしい。
「はぁ、はぁ・・・あ、ユ、ユーリ・・・エルちゃん・・・おかえり・・・」
ユーリとエルの声が耳に届き、アラタが薄く目を開いて二人に声をかけると、ユーリが眉を寄せながら近づいて来た。
「アラタ、こんなところで何してるの?雪の上で男四人でハァハァ言って・・・変態なの?」
膝を曲げてアラタの横に腰を落とすと、ユーリはアラタの目をじっと見て問いかけた。
「ち、ちがう!て、店長!店長に、稽古つけられたんだよ!」
「え、店長来てるの?」
アラタが慌てて体を起こして説明すると、店長という言葉にユーリが反応する。
「ああ、今は俺達の代わりに売り場に入ってるよ。ユーリン、悪いけど、ヒールかけてくれね?すっげぇ疲れた。ちょっと今立てない」
ジャレットも肘を突いて体を起こした。
額の汗を拭い大きく息をつくジャレットを見れば、どれだけ疲弊しているのかよく分かる。
「ユーリンて言うな。ふぅ・・・しかたない。キッチン・モロニーの新作のパウンドケーキで手を打つ。私とエルの二つね」
右手を前に出し、ピースで二個と伝えるユーリ。
「え!?ユーリン金取んの!?」
「お金じゃない。パウンドケーキ。スライスしたアーモンドの入ってるヤツ。一個1200イエンだった」
「そこそこすんじゃん!」
「嫌ならいい。足がくがくしたまま、ここで風邪を引いても知らないから」
「くっ!」
「ジャ、ジャレットお兄ちゃん、私の分は別にいいですよ。いつもお世話になってるのに、迷惑かけられません」
苦虫を噛み潰したように顔をしかめるジャレットを見て、エルが両手を前に出して、ぶんぶんと何度も顔を横に振った。
「ジャレット、こんな小さな女の子に気を遣わせるなんて・・・・・最近はレイチェルの代わりもしっかりやってるって見直してたのに。やっぱりただのウザ男だった」
「ユ、ユーリお姉ちゃん!そ、そんな事言ったらだめだよ!ジャレットお兄ちゃんは仕事も早いし、とっても優しいんだよ!」
「そ、そうだぞユーリン!俺がパウンドケーキの二つや三つで、ケチケチするわけないだろ!?そんなのすぐに買って来てやるよ!エッちゃんも遠慮しないでいいんだからね!」
「交渉成立。はい、ヒール。あ、エルはミゼルとリカルドにヒールして」
「え、あ、うん!分かったよユーリお姉ちゃん!」
ジャレットが買って来ると言うなり、ユーリはさっさと済ませようとばかりに、ジャレットの胸に手を当ててヒールをかけ始めた。
更にエルにも迅速な指示を出すので、ジャレットも唖然としてしまう。
「・・・はい。ジャレットはお終い。次はアラタね」
「ありがと。俺も同じアーモンドのパウンドケーキでいいの?」
ユーリがアラタの胸に手を伸ばしてきたところで、アラタがお礼の品を確認すると、ユーリは興味が無さそうな、そっけない声で答えた。
「別に何もいらない。ジャレットにはいつも変な呼びかたされるから、迷惑料として要求しただけ。でも、あれが美味しそうに見えたのは事実。アラタも今度買ってみたらいい」
「え・・・?はは、そうだったんだ」
アラタは頬が引きつって苦笑いしていたが、回復したジャレットがすでに店内に戻っていて、この場にいなかったのは幸いだと思っていた。
「・・・稽古、どうだった?」
「ん、ああ・・・・・なんて言うか、とにかくすごいな。昨日もそうだったけど、実践形式で俺の攻撃は一発も当たらなかった。それで、店長は足しか使わないんだ。何十回も足を払われて、来ると分かってても躱せない。転ばされると、今の攻撃のどこが悪かったか教えてくれるんだ。ズバっとダメ出しされたけど、改善すべきところも一緒に教えてくれるから納得しかないよ」
「うん、店長のまかせればいい。店長の言う通りにしてれば、アラタはもっと強くなれる」
「・・・すごい信頼だね?」
手放しでここまで口にするユーリに、少しの驚きを含んで見せる。
「うん。私だけじゃない。みんな店長の事を信頼している。アラタはまだ日が浅いけど、そのうち分かるはず・・・・・はい、ヒール終わり」
確かにアラタはまだバリオスと出会って日が浅い。
だが、その正体にほぼ確信を持った今、バリオスに対してアラタも信頼を感じ始めていた。
「うん、そうだな。確かにまだ数回しか会ってないけど・・・」
革紐で結んで首から下げた樹木・・・新緑の欠片を手に取る。
「店長の事は、俺も信頼してるよ」
そう言ってユーリに笑って見せる。
アラタの反応が意外だったのか、ユーリは少しだけ目を丸くしたが、すぐに目を細めて微笑んだ。
「・・・うん。良かった」
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