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【740 時の牢獄 ⑤】
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四人が村に住んで3年目。
二十歳を迎えたトロワとキャロルは、大切に育んだ愛を実らせ結婚をした。
そして四人の親代わりとなっている村長夫婦が、村中に声をかけて盛大な宴を開いた。
この3年間、カエストゥス国から命からがら逃れてきたトロワ達を、村人達は温かく見守っていた。
特に、まだ幼いスージーとチコリが肩身の狭い思いをしないようにと、畑仕事でも、山仕事でも、率先して村のために働くトロワとキャロルには、村人達も体を壊さないかと心配する程だった。
最初は同情心で見ていた村人達も、今ではどうすれば彼らが、村の一員として胸を張ってくれるだろうかと考えるようになっていた。
そんな時に話しに上がった二人の結婚は、村人達にとってこの上ない朗報であった。
この村で結婚をするのだから、もう余所者だと気にする必要はない。
その思いで村中の人間が集まったトロワとキャロルの結婚式は、お祭りかと思う程の賑わいだったと言う。
スージーは、二人の結婚式は一生忘れる事は無い。昨日の事のように覚えていると言った。
そしてあの戦争の後、初めて心から笑えた日だったと。
村中から祝福を受けたこの日を境に、トロワとキャロルはこれまでよりも村に溶け込むようになった。
どこか一歩遠慮した雰囲気も無くなり、毎日を明るく笑って過ごすようになった。
男児と女児、二人の子供にも恵まれ、幸せな日々が続いた。
トロワとキャロルが結婚をして10年、スージーとチコリは21歳の時に、同い年の村の男性と結ばれた。
この村に住むようになってから、すぐに打ち解けた二人の男性だった。
よく四人一緒に遊んでいたので、村の大人達からは、どっちがどっちとくっつくか?と話しのタネにされていたものだった。
そうして二人も家庭を持ち、子供も授かって安らぎを手に入れる事ができた。
「そして私達にも子供ができて、孫ができて・・・・・トロワ兄ちゃんも、キャロル姉ちゃんも穏やかな人生を全うできたんだよ・・・・・本当に、本当にありがとう・・・」
「うん・・・みんなが幸せに生きれたみたいで、本当に良かったよ」
スージーの話しを聞いて、最初は弟と妹達の苦労に胸が苦しくもなった。
だけど幸いにも温かい人達に囲まれて、残りの人生を心穏やかに生きられたと聞けて、安堵の息をつく事ができた。
トロワ・・・お前は本当によくやった。
子供達のリーダーだもんな。
メアリーが拗ねると、いつも子供達を呼んで俺に怒ってたっけ・・・懐かしいな。
お母さんとは再会できなかったようだが、お前は、お前が目指した立派な男になった。
あっちでお母さんにも胸を張って会えるな・・・・・・
キャロルもトロワと結婚したのか・・・・・
ジョルジュの事がふっきれたようで良かった。
お前がジャニスとジョルジュの事を受け入れた時、無理してないかと心配したんだぜ。
子供も授かって、この村で幸せになれたと聞けて良かった。
「兄さん、チコリはね、亡くなる前の日に急に思い出話しをしたの。それも孤児院の話しばかりでさ・・・チコリは辛くなるからって、あんまり孤児院の話しはしなかったの。でも、あの日はずっと孤児院での事ばかり話して・・・それで翌朝目を覚まさなかったの・・・・・」
「チコリ・・・」
目を閉じて記憶の中のチコリを思い浮かべる。
いつもスージーと一緒に、まるで双子のようにいつも一緒にいた。
スージーに比べると少し大人しい印象だったが、誰かが困っているといつもそっと手を貸していた。
とても思いやりのある子だった。
「兄さん、チコリはね・・・笑ってたよ。亡くなった朝、幸せそうな笑顔で眠ったまま亡くなってたの・・・・・きっと、みんながお迎えに来てくれたんだって思ったよ」
そう言ってスージーは寂しそうに、でもどこか嬉しそうにも笑った。
俺にもそう思えた。
みんながチコリをお迎えに来てくれたから、チコリは静かに笑って逝けたのだろう。
いつか・・・いつか、俺が目的を遂げた時にも、みんな来てくれるだろうか
「・・・・・兄さん、これからどうするんだい?」
お互いのこれまでを話した後、スージーは俺にハーブティーを勧めて聞いてきた。
「これから、か・・・・・変わらないよ。旅をしながら力を付ける。まだ黒渦を消すには力が足りないから、光魔法を磨いていかなければならないな」
俺はレイラのおかげで光魔法を習得する事ができた。
80年前、闇に呑まれかけた俺を戻してくれて、俺に人の温かさを教えてくれたレイラ・・・
彼女の心に触れた事で、俺の心に光りが差した。
光魔法の完成に必要な最後の一欠けら、それは心だった。
心に闇を抱えていては、光は作れない。
レイラは俺の中の闇を取り払ってくれた。
「・・・そう、この光で俺が王子の魂を解放するんだ・・・・・」
拳に光を纏わせ握り締める。
俺の覚悟を見て取ったスージーは、目を閉じて何度か頷いた後に口を開いた。
「・・・兄さん、クインズリーの首都、城を訊ねてみて・・・もしかしたら、力になってくれるかもしれない」
「・・・城を?・・・力になるとは、どういう事だ?」
スージーが何を言いたいのか今一つ掴めず、言葉の真意を確認する。
「・・・二十数年前に一度、偶然会っただけなんだ。だから、今も生きているか分からない。けど、もし生きていたら、これから兄さんが生きて行く上で、大きな力になってくれると思う」
「・・・一体誰の話しをしてるんだ?」
スージーはその人物の名前を口にする事を、躊躇っているようだ。
言い難いのだろうと察して、もう一度ゆっくり聞いて見ると、予想もしなかった名前が出て来た。
「・・・・・ジョセフ君よ。ジョセフ・コルバート。ジャニス姉さんの一人息子」
二十歳を迎えたトロワとキャロルは、大切に育んだ愛を実らせ結婚をした。
そして四人の親代わりとなっている村長夫婦が、村中に声をかけて盛大な宴を開いた。
この3年間、カエストゥス国から命からがら逃れてきたトロワ達を、村人達は温かく見守っていた。
特に、まだ幼いスージーとチコリが肩身の狭い思いをしないようにと、畑仕事でも、山仕事でも、率先して村のために働くトロワとキャロルには、村人達も体を壊さないかと心配する程だった。
最初は同情心で見ていた村人達も、今ではどうすれば彼らが、村の一員として胸を張ってくれるだろうかと考えるようになっていた。
そんな時に話しに上がった二人の結婚は、村人達にとってこの上ない朗報であった。
この村で結婚をするのだから、もう余所者だと気にする必要はない。
その思いで村中の人間が集まったトロワとキャロルの結婚式は、お祭りかと思う程の賑わいだったと言う。
スージーは、二人の結婚式は一生忘れる事は無い。昨日の事のように覚えていると言った。
そしてあの戦争の後、初めて心から笑えた日だったと。
村中から祝福を受けたこの日を境に、トロワとキャロルはこれまでよりも村に溶け込むようになった。
どこか一歩遠慮した雰囲気も無くなり、毎日を明るく笑って過ごすようになった。
男児と女児、二人の子供にも恵まれ、幸せな日々が続いた。
トロワとキャロルが結婚をして10年、スージーとチコリは21歳の時に、同い年の村の男性と結ばれた。
この村に住むようになってから、すぐに打ち解けた二人の男性だった。
よく四人一緒に遊んでいたので、村の大人達からは、どっちがどっちとくっつくか?と話しのタネにされていたものだった。
そうして二人も家庭を持ち、子供も授かって安らぎを手に入れる事ができた。
「そして私達にも子供ができて、孫ができて・・・・・トロワ兄ちゃんも、キャロル姉ちゃんも穏やかな人生を全うできたんだよ・・・・・本当に、本当にありがとう・・・」
「うん・・・みんなが幸せに生きれたみたいで、本当に良かったよ」
スージーの話しを聞いて、最初は弟と妹達の苦労に胸が苦しくもなった。
だけど幸いにも温かい人達に囲まれて、残りの人生を心穏やかに生きられたと聞けて、安堵の息をつく事ができた。
トロワ・・・お前は本当によくやった。
子供達のリーダーだもんな。
メアリーが拗ねると、いつも子供達を呼んで俺に怒ってたっけ・・・懐かしいな。
お母さんとは再会できなかったようだが、お前は、お前が目指した立派な男になった。
あっちでお母さんにも胸を張って会えるな・・・・・・
キャロルもトロワと結婚したのか・・・・・
ジョルジュの事がふっきれたようで良かった。
お前がジャニスとジョルジュの事を受け入れた時、無理してないかと心配したんだぜ。
子供も授かって、この村で幸せになれたと聞けて良かった。
「兄さん、チコリはね、亡くなる前の日に急に思い出話しをしたの。それも孤児院の話しばかりでさ・・・チコリは辛くなるからって、あんまり孤児院の話しはしなかったの。でも、あの日はずっと孤児院での事ばかり話して・・・それで翌朝目を覚まさなかったの・・・・・」
「チコリ・・・」
目を閉じて記憶の中のチコリを思い浮かべる。
いつもスージーと一緒に、まるで双子のようにいつも一緒にいた。
スージーに比べると少し大人しい印象だったが、誰かが困っているといつもそっと手を貸していた。
とても思いやりのある子だった。
「兄さん、チコリはね・・・笑ってたよ。亡くなった朝、幸せそうな笑顔で眠ったまま亡くなってたの・・・・・きっと、みんながお迎えに来てくれたんだって思ったよ」
そう言ってスージーは寂しそうに、でもどこか嬉しそうにも笑った。
俺にもそう思えた。
みんながチコリをお迎えに来てくれたから、チコリは静かに笑って逝けたのだろう。
いつか・・・いつか、俺が目的を遂げた時にも、みんな来てくれるだろうか
「・・・・・兄さん、これからどうするんだい?」
お互いのこれまでを話した後、スージーは俺にハーブティーを勧めて聞いてきた。
「これから、か・・・・・変わらないよ。旅をしながら力を付ける。まだ黒渦を消すには力が足りないから、光魔法を磨いていかなければならないな」
俺はレイラのおかげで光魔法を習得する事ができた。
80年前、闇に呑まれかけた俺を戻してくれて、俺に人の温かさを教えてくれたレイラ・・・
彼女の心に触れた事で、俺の心に光りが差した。
光魔法の完成に必要な最後の一欠けら、それは心だった。
心に闇を抱えていては、光は作れない。
レイラは俺の中の闇を取り払ってくれた。
「・・・そう、この光で俺が王子の魂を解放するんだ・・・・・」
拳に光を纏わせ握り締める。
俺の覚悟を見て取ったスージーは、目を閉じて何度か頷いた後に口を開いた。
「・・・兄さん、クインズリーの首都、城を訊ねてみて・・・もしかしたら、力になってくれるかもしれない」
「・・・城を?・・・力になるとは、どういう事だ?」
スージーが何を言いたいのか今一つ掴めず、言葉の真意を確認する。
「・・・二十数年前に一度、偶然会っただけなんだ。だから、今も生きているか分からない。けど、もし生きていたら、これから兄さんが生きて行く上で、大きな力になってくれると思う」
「・・・一体誰の話しをしてるんだ?」
スージーはその人物の名前を口にする事を、躊躇っているようだ。
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