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【744 時の牢獄 ⑨】
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「・・・・・分かりました。私はあと2~3年でこの役を退く予定ですが、後釜には息子が座る事になるでしょう。親の贔屓目を抜きにしても、それだけの器はありますから。ウィッカーさんのご事情は、我々コルバート一族が代々受け継ぐ事をお約束します」
スージーの手紙を呼んだジョセフは、内容を忘れぬように、飲み込むように何度か頷くと、俺の目を見てハッキリと言葉を口にした。
スージーの手紙には、俺と再会してから事、俺の抱える問題が書いてあったようだ。
その上でジョセフには、俺にできるだけ力を貸して欲しいと頼みを記していたようだ。
ジョセフがここまでの地位に立っているとは思っていなかっただろうが、前回会った時の印象から、それなりの役をしているとは思っていたのだろう。
「ウィッカーさん・・・あなたの旅はいつ終わりが来るとも知れない、孤独で過酷なものでしょう。ですが、疲れたらいつでもここに来てください。できる限りの事はさせていただきます」
ジョセフの申し出は有難いものだった。俺に帰る場所を作ってくれたのだから。
そして俺とジャニスの絆が切れていなかった事が、なにより嬉しかった。
「ジョセフ・・・一つ頼みがある。シンジョウ・ヤヨイという名前に聞き覚えはないか?」
「・・・はい。その女性の事も母から聞いております。強く、そして優しい方だったようですね。その方がなにか?」
シャーロットはヤヨイさんとは数回しか会っていないはずだが、ジャニスが実の姉のように慕っていた事もあり、ジョセフにも話していたようだ。
「ジャニスはヤヨイさんの遺言を預かっていてな・・・・・それをお前に託したい。お前から子供に受け継いでいってくれないか?」
もうジャニスは伝える事ができない。
だが、これだけはヤヨイさんとの約束だからと、ジャニスはずっと気にしていた。
サカキ・アラタと、ムラト・シュウイチへの遺言をジョセフに伝えると、ジョセフは言葉は受けとってくれたが、いまいち理解しきれていないように、少しだけ眉を寄せた。
「お前の疑問は分かる。ヤヨイさんの友達なら、やはりもう生きていないと思ってるんだろ?俺もそれは考えた。だが、ヤヨイさんがニホンという異世界から来た事を考えれば、こういう可能性もあるんじゃないかと思ったんだ。異なる時間軸に飛ばされたのでは・・・とな」
サカキ・アラタとムラト・シュウイチの事は、ヤヨイさんから何度も聞いた。
自分がこの世界に来たのなら、あの二人も来ているはずだとヤヨイさんは言っていたが、ある日俺の頭に一つの疑問が浮かんだ。
もし来ていたとしても、三人揃って同じ場所に来るだろうか?
同じ日の同じ時間なんて、そんなに都合よくいくものだろうか?
一度そう考えると、あらゆる可能性が頭に浮かんだ。
その中で、二人がこの世界に来ている前提として考えた時、俺がありえると思ったのは、違う時間軸に飛ばされたという可能性だ。
戦争が始まる前も探せるだけは探したが、それらしい人間の噂さえ耳に入らなかった、
そして戦争の後、俺が大陸を旅した時も、全く何も聞こえてこなかった。
ヤヨイさんが孤児院に住む事になった経緯を考えても、見慣れない人間がどこかに住み着いたのなら、多少の噂は流れるだろうが、それらしい話しが一切聞かれない事を考えると、やはり自分達はとは違う時の流れを生きているのではないかと考えた。
そう説明をすると、ジョセフも口元を押さえて、なるほどと頷いた。
「分かりました。その二人への言葉も確実に引き継ぎましょう。私の代では可能性は低いでしょうが、彼らが未来に飛ばされたのであれば、いつか巡り合う事もあるかもしれませんね」
「ああ、頼む。いつか・・・な」
いつか会えるといいな
ヤヨイさんはよくそう言っていた。
その想いは叶わなかったけど、ヤヨイさんの言葉はちゃんと受け継いでいきます。
だから、心配しないでください
「なぁ、ジョセフ・・・テリーとアンナの事は知っているか?」
ジョセフとの話しもだいたいの終わりが見えた頃、俺はジョセフに聞いておきたかった事を聞いた。
テリーとアンナの事を、スージーは知らなかった。
パトリックさんの母親の、モニカさんが見ていたのは知っているが、戦争の後の消息は不明だった。
ジョセフはもしかしたら知っているのでは?そう思っての質問だった。
「・・・テリーとアンナって、パトリックさんとヤヨイさんの子供達の事ですよね?」
「知ってるのか!?」
思い当たる事があるような反応に、俺はジョセフに詰め寄るように前に出てしまった。
「お、落ち着いてください。知っているという程の事ではありません。私が子供の頃、母がひとり言で呟いたのを、たまたま耳にしただけの事なんです。それについて母に聞いても、母は教えてくれませんでした。今思うと、私に心配させたくなかったのかもしれません・・・」
あの当時テリーは5歳、アンナは3歳だった。レイジェスにも孤児院にもよく遊びに来ていて、ティナとも仲が良かった。
あの戦争の後どうなったのか、ずっと気になっていた。
だが全く手がかりが見つからず、80年も経って諦めかけていたが、まさか本当にジョセフが知っているとは・・・・・
だが、ジョセフの表情、言い難そうにしている事から、嫌な予感が胸に宿る。
「あ、ああ・・・すまない・・・それで、二人は?」
ジョセフも俺に言いたくはなかったのだろう。
だが、言わねばならないと、意を決したように大きく息を吐いて言葉を発した。
「・・・・・可哀想に、帝国に連れて行かれるなんて・・・・母はそう言っていました」
スージーの手紙を呼んだジョセフは、内容を忘れぬように、飲み込むように何度か頷くと、俺の目を見てハッキリと言葉を口にした。
スージーの手紙には、俺と再会してから事、俺の抱える問題が書いてあったようだ。
その上でジョセフには、俺にできるだけ力を貸して欲しいと頼みを記していたようだ。
ジョセフがここまでの地位に立っているとは思っていなかっただろうが、前回会った時の印象から、それなりの役をしているとは思っていたのだろう。
「ウィッカーさん・・・あなたの旅はいつ終わりが来るとも知れない、孤独で過酷なものでしょう。ですが、疲れたらいつでもここに来てください。できる限りの事はさせていただきます」
ジョセフの申し出は有難いものだった。俺に帰る場所を作ってくれたのだから。
そして俺とジャニスの絆が切れていなかった事が、なにより嬉しかった。
「ジョセフ・・・一つ頼みがある。シンジョウ・ヤヨイという名前に聞き覚えはないか?」
「・・・はい。その女性の事も母から聞いております。強く、そして優しい方だったようですね。その方がなにか?」
シャーロットはヤヨイさんとは数回しか会っていないはずだが、ジャニスが実の姉のように慕っていた事もあり、ジョセフにも話していたようだ。
「ジャニスはヤヨイさんの遺言を預かっていてな・・・・・それをお前に託したい。お前から子供に受け継いでいってくれないか?」
もうジャニスは伝える事ができない。
だが、これだけはヤヨイさんとの約束だからと、ジャニスはずっと気にしていた。
サカキ・アラタと、ムラト・シュウイチへの遺言をジョセフに伝えると、ジョセフは言葉は受けとってくれたが、いまいち理解しきれていないように、少しだけ眉を寄せた。
「お前の疑問は分かる。ヤヨイさんの友達なら、やはりもう生きていないと思ってるんだろ?俺もそれは考えた。だが、ヤヨイさんがニホンという異世界から来た事を考えれば、こういう可能性もあるんじゃないかと思ったんだ。異なる時間軸に飛ばされたのでは・・・とな」
サカキ・アラタとムラト・シュウイチの事は、ヤヨイさんから何度も聞いた。
自分がこの世界に来たのなら、あの二人も来ているはずだとヤヨイさんは言っていたが、ある日俺の頭に一つの疑問が浮かんだ。
もし来ていたとしても、三人揃って同じ場所に来るだろうか?
同じ日の同じ時間なんて、そんなに都合よくいくものだろうか?
一度そう考えると、あらゆる可能性が頭に浮かんだ。
その中で、二人がこの世界に来ている前提として考えた時、俺がありえると思ったのは、違う時間軸に飛ばされたという可能性だ。
戦争が始まる前も探せるだけは探したが、それらしい人間の噂さえ耳に入らなかった、
そして戦争の後、俺が大陸を旅した時も、全く何も聞こえてこなかった。
ヤヨイさんが孤児院に住む事になった経緯を考えても、見慣れない人間がどこかに住み着いたのなら、多少の噂は流れるだろうが、それらしい話しが一切聞かれない事を考えると、やはり自分達はとは違う時の流れを生きているのではないかと考えた。
そう説明をすると、ジョセフも口元を押さえて、なるほどと頷いた。
「分かりました。その二人への言葉も確実に引き継ぎましょう。私の代では可能性は低いでしょうが、彼らが未来に飛ばされたのであれば、いつか巡り合う事もあるかもしれませんね」
「ああ、頼む。いつか・・・な」
いつか会えるといいな
ヤヨイさんはよくそう言っていた。
その想いは叶わなかったけど、ヤヨイさんの言葉はちゃんと受け継いでいきます。
だから、心配しないでください
「なぁ、ジョセフ・・・テリーとアンナの事は知っているか?」
ジョセフとの話しもだいたいの終わりが見えた頃、俺はジョセフに聞いておきたかった事を聞いた。
テリーとアンナの事を、スージーは知らなかった。
パトリックさんの母親の、モニカさんが見ていたのは知っているが、戦争の後の消息は不明だった。
ジョセフはもしかしたら知っているのでは?そう思っての質問だった。
「・・・テリーとアンナって、パトリックさんとヤヨイさんの子供達の事ですよね?」
「知ってるのか!?」
思い当たる事があるような反応に、俺はジョセフに詰め寄るように前に出てしまった。
「お、落ち着いてください。知っているという程の事ではありません。私が子供の頃、母がひとり言で呟いたのを、たまたま耳にしただけの事なんです。それについて母に聞いても、母は教えてくれませんでした。今思うと、私に心配させたくなかったのかもしれません・・・」
あの当時テリーは5歳、アンナは3歳だった。レイジェスにも孤児院にもよく遊びに来ていて、ティナとも仲が良かった。
あの戦争の後どうなったのか、ずっと気になっていた。
だが全く手がかりが見つからず、80年も経って諦めかけていたが、まさか本当にジョセフが知っているとは・・・・・
だが、ジョセフの表情、言い難そうにしている事から、嫌な予感が胸に宿る。
「あ、ああ・・・すまない・・・それで、二人は?」
ジョセフも俺に言いたくはなかったのだろう。
だが、言わねばならないと、意を決したように大きく息を吐いて言葉を発した。
「・・・・・可哀想に、帝国に連れて行かれるなんて・・・・母はそう言っていました」
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