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761 転移者達
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関係者以外立ち入り禁止。そう書かれた看板が下げてある部屋のドアノブを、バルデスは躊躇いもなく握って引き開けた。まるで自分は関係者だと言わんばかりの振る舞いに、後ろを歩いていたアラタは慌てて止めに入った。
「お、おいシャクール!お前勝手に入って・・・」
「シャノン・アラルコンとは共に戦った仲だ。つまり私は関係者だ」
バルデスはアラタには目もくれず、事実を事実と伝えるように、前を向いたまま被せるようにして答えた。
「え、あー、それはそうだけど、いや、でもそれとこれは違うような・・・」
「アラタさん、シャクール様のおっしゃる通りですよ?」
「あ、はい」
納得しかけたが、やはりおかしいと感じて眉を寄せると、サリーが妙に優しい笑顔を向けてくる。
気圧されるようにアラタは頷いた。
サリーの前ではバルデスの言葉を否定してはいけない。
アラタがそう心に決めた瞬間であった。
発光石で明るく照らされた通路を進む。
すれ違うアラルコン商会の従業員が、なぜここに一般客がいるのかと驚きの目を向けてくるが、先頭を歩くバルデスは全く意に介す事はない。
奥の扉も当然のように開けると、そこにはスーツ姿のシャノンとレイチェル、そして数人の従業員がテーブルを囲んで集まっていた。どうやら打ち合わせをしていたようだ。
「え!?あ、あんたらなんでここに?」
突然部屋に入って来たアラタ達四人を見て、シャノンが驚きの声を上げる。
「おや、シャクールにサリーじゃないか?キミ達も来ていたのか?と言うか、アラタとカチュアも一緒だったのは驚いた。どこで会ったんだい?」
シャノンとは対照的に、レイチェルは少し眉を上げたくらいで、落ち着いた声で問いかけた。
「えっと、レストランで会って一緒に食事をしたんだ。それで色々あってさ、あー、なんて言えばいいかな・・・」
「ああ、私が説明する。アラタ、お前は私に聞かれた事を話せばいい。シャノン、人払いを頼めるか?会議中だったと思うが、こっちも重要な話しでな。シャノンとレイチェル以外は退席願いたい」
バルデスの様子から、ただならぬ何かを察したシャノンは、その場にいる従業員達に席を外すように指示を出した。
「・・・さて、それじゃあ話してもらおうかな?許可なく入って来て人払いまでさせるんだから、よっぽどの話しなんでしょうね?」
自分達以外がいなくなると、シャノンは空いている椅子に座るよう手を向けながら、バルデスに向かって言葉をかけた。
バルデスの行動に、少なからず批判を含んでいるのはしかたのない事だろう。
「ああ、よっぽどの話しだ。さっき、帝国軍青魔法兵団団長、ジェリメール・カシレロと一階のレストランで会った。もう一人でかい男もいてな、知らん顔だったがカシレロの接し方を見ると、同等以上の立場だろうな」
腰を下ろすなりサラリと話して聞かせるが、その場の誰もが目を開いて、驚きをあらわにバルデスを見た。
「え!?お、おいシャクール!あのヘラヘラしたヤツ、帝国の幹部かよ!?」
「そうだ。顔を見るのは初めてだが、カシレロという名はバルデス家当主から聞いた事がある。風貌も一致した。潜在的な魔力の高さからも疑いようはない」
アラタが詰め寄っても、バルデスは一定のトーンで淡々と説明を口にする。
「ちょっと、バルデス・・・それ、本当なの?」
シャノンも厳しい目をバルデスに向ける。
バルデスの人間性はロンズデールで共に戦い知っているつもりだが、現在のクインズベリーの入国管理の厳しさをかいくぐり、ここまで入り込んだというのか?
「ああ、間違いない。どうやって入国したかは知らんがな。まぁ、青魔法使いのカシレロがいるのだ、なんとでもやりようはあったのだろう。ただ向こうも戦う気はなかったようだ。そうだな、観光気分で来ているようだった・・・少なくとも今日、明日で戦いになる事はないはずだ。さてアラタ・・・俺が聞きたいのは、お前とあのデカブツの関係だ。デービスとか呼ばれていたな。あいつとお前に何があった?」
そこでバルデスはアラタに顔を向けた。
今ここで知っている事を全て話せ。バルデスの青い瞳は、アラタに否やを認めない鋭さを湛えていた。
「・・・ああ、あいつは・・・あの男は・・・俺が元居た世界、日本で・・・俺を殺した男だ」
バルデスの視線を受け、意を決したようにその言葉を口にしたアラタに、全員の視線が集まった。
「・・・アラタ君、それって・・・・・」
カチュアはアラタの顔を心配そうに見つめる。
アラタが日本で殺されたという話しは聞いていた。だが話しで聞いていても、実感というものは今一つ持てていなかった。
アラタの言葉を疑っているわけではないが、事実としてアラタは目の前にいるのだ。
それゆえ、どこか非現実的な話しとして認識していた。
だが、今のアラタは表情、そしてさっき自分自身もその男に会ったという事実が、カチュアに全てが現実だと分からせていた。
「アラタ・・・最初に会った時に話してくれたな・・・そうか、あの話しの男か。キミがここにいるのだから、その男もなんらかの理由でこっちに来たとして不思議はないだろう。そんな因縁の相手に会って、よく戦わずにすませたな?」
レイチェルはアラタと会った最初の日の事を思い出していた。
あの日、店の前で倒れていたアラタは、ニホンという聞いた事もないところから来たという。
しかも殺されたのに生きているとか、理解不能な事を口にしていた。
あの時は話し半分で聞いていた。
だが、何度も共に死線を越えてきた今、レイチェルにアラタを疑うという気持ちは微塵も無かった。
「ああ、アラタは殴りかかろうとしていたぞ。それを私が止めた。店内で戦うわけにはいくまい。見るからに体力型の男だったな。あれは強いぞ、魔法使いの私でも分かるくらいだ」
「なるほど・・・うん、納得だ。アラタは普段穏やかで、気弱な一面もある。だが、ある部分においては頑(かたく)ななところがある。自分を殺したのはもちろんだろうが、恩人の二人も手にかけたであろう男を前にして、冷静でいられるわけがない。シャクールが抑えてくれたんだな。助かったよ。こんなところで戦闘を始めたら、どれだけの被害が出ていたか分からないからな」
レイチェルは大きく頷き、そして一つ息をついた。
今日ここにはどれだけ多くの人間が集まったか。血を流す事にならずに済んだ安堵である。
「そうだ。私に感謝しろ。さてアラタ、私はお前がニホンとかいうところから来たのは聞いているが、死んだというのは初耳だ。分かるように説明してもらおうか?」
バルデスはアラタに笑って見せた。
「シャクール・・・」
「もう、私も無関係ではないからな」
「お、おいシャクール!お前勝手に入って・・・」
「シャノン・アラルコンとは共に戦った仲だ。つまり私は関係者だ」
バルデスはアラタには目もくれず、事実を事実と伝えるように、前を向いたまま被せるようにして答えた。
「え、あー、それはそうだけど、いや、でもそれとこれは違うような・・・」
「アラタさん、シャクール様のおっしゃる通りですよ?」
「あ、はい」
納得しかけたが、やはりおかしいと感じて眉を寄せると、サリーが妙に優しい笑顔を向けてくる。
気圧されるようにアラタは頷いた。
サリーの前ではバルデスの言葉を否定してはいけない。
アラタがそう心に決めた瞬間であった。
発光石で明るく照らされた通路を進む。
すれ違うアラルコン商会の従業員が、なぜここに一般客がいるのかと驚きの目を向けてくるが、先頭を歩くバルデスは全く意に介す事はない。
奥の扉も当然のように開けると、そこにはスーツ姿のシャノンとレイチェル、そして数人の従業員がテーブルを囲んで集まっていた。どうやら打ち合わせをしていたようだ。
「え!?あ、あんたらなんでここに?」
突然部屋に入って来たアラタ達四人を見て、シャノンが驚きの声を上げる。
「おや、シャクールにサリーじゃないか?キミ達も来ていたのか?と言うか、アラタとカチュアも一緒だったのは驚いた。どこで会ったんだい?」
シャノンとは対照的に、レイチェルは少し眉を上げたくらいで、落ち着いた声で問いかけた。
「えっと、レストランで会って一緒に食事をしたんだ。それで色々あってさ、あー、なんて言えばいいかな・・・」
「ああ、私が説明する。アラタ、お前は私に聞かれた事を話せばいい。シャノン、人払いを頼めるか?会議中だったと思うが、こっちも重要な話しでな。シャノンとレイチェル以外は退席願いたい」
バルデスの様子から、ただならぬ何かを察したシャノンは、その場にいる従業員達に席を外すように指示を出した。
「・・・さて、それじゃあ話してもらおうかな?許可なく入って来て人払いまでさせるんだから、よっぽどの話しなんでしょうね?」
自分達以外がいなくなると、シャノンは空いている椅子に座るよう手を向けながら、バルデスに向かって言葉をかけた。
バルデスの行動に、少なからず批判を含んでいるのはしかたのない事だろう。
「ああ、よっぽどの話しだ。さっき、帝国軍青魔法兵団団長、ジェリメール・カシレロと一階のレストランで会った。もう一人でかい男もいてな、知らん顔だったがカシレロの接し方を見ると、同等以上の立場だろうな」
腰を下ろすなりサラリと話して聞かせるが、その場の誰もが目を開いて、驚きをあらわにバルデスを見た。
「え!?お、おいシャクール!あのヘラヘラしたヤツ、帝国の幹部かよ!?」
「そうだ。顔を見るのは初めてだが、カシレロという名はバルデス家当主から聞いた事がある。風貌も一致した。潜在的な魔力の高さからも疑いようはない」
アラタが詰め寄っても、バルデスは一定のトーンで淡々と説明を口にする。
「ちょっと、バルデス・・・それ、本当なの?」
シャノンも厳しい目をバルデスに向ける。
バルデスの人間性はロンズデールで共に戦い知っているつもりだが、現在のクインズベリーの入国管理の厳しさをかいくぐり、ここまで入り込んだというのか?
「ああ、間違いない。どうやって入国したかは知らんがな。まぁ、青魔法使いのカシレロがいるのだ、なんとでもやりようはあったのだろう。ただ向こうも戦う気はなかったようだ。そうだな、観光気分で来ているようだった・・・少なくとも今日、明日で戦いになる事はないはずだ。さてアラタ・・・俺が聞きたいのは、お前とあのデカブツの関係だ。デービスとか呼ばれていたな。あいつとお前に何があった?」
そこでバルデスはアラタに顔を向けた。
今ここで知っている事を全て話せ。バルデスの青い瞳は、アラタに否やを認めない鋭さを湛えていた。
「・・・ああ、あいつは・・・あの男は・・・俺が元居た世界、日本で・・・俺を殺した男だ」
バルデスの視線を受け、意を決したようにその言葉を口にしたアラタに、全員の視線が集まった。
「・・・アラタ君、それって・・・・・」
カチュアはアラタの顔を心配そうに見つめる。
アラタが日本で殺されたという話しは聞いていた。だが話しで聞いていても、実感というものは今一つ持てていなかった。
アラタの言葉を疑っているわけではないが、事実としてアラタは目の前にいるのだ。
それゆえ、どこか非現実的な話しとして認識していた。
だが、今のアラタは表情、そしてさっき自分自身もその男に会ったという事実が、カチュアに全てが現実だと分からせていた。
「アラタ・・・最初に会った時に話してくれたな・・・そうか、あの話しの男か。キミがここにいるのだから、その男もなんらかの理由でこっちに来たとして不思議はないだろう。そんな因縁の相手に会って、よく戦わずにすませたな?」
レイチェルはアラタと会った最初の日の事を思い出していた。
あの日、店の前で倒れていたアラタは、ニホンという聞いた事もないところから来たという。
しかも殺されたのに生きているとか、理解不能な事を口にしていた。
あの時は話し半分で聞いていた。
だが、何度も共に死線を越えてきた今、レイチェルにアラタを疑うという気持ちは微塵も無かった。
「ああ、アラタは殴りかかろうとしていたぞ。それを私が止めた。店内で戦うわけにはいくまい。見るからに体力型の男だったな。あれは強いぞ、魔法使いの私でも分かるくらいだ」
「なるほど・・・うん、納得だ。アラタは普段穏やかで、気弱な一面もある。だが、ある部分においては頑(かたく)ななところがある。自分を殺したのはもちろんだろうが、恩人の二人も手にかけたであろう男を前にして、冷静でいられるわけがない。シャクールが抑えてくれたんだな。助かったよ。こんなところで戦闘を始めたら、どれだけの被害が出ていたか分からないからな」
レイチェルは大きく頷き、そして一つ息をついた。
今日ここにはどれだけ多くの人間が集まったか。血を流す事にならずに済んだ安堵である。
「そうだ。私に感謝しろ。さてアラタ、私はお前がニホンとかいうところから来たのは聞いているが、死んだというのは初耳だ。分かるように説明してもらおうか?」
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「もう、私も無関係ではないからな」
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