異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1007 早朝の集合

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翌日の早朝6時、この日も青空が広がる気持ちの良い天気だった。

クインズベリー城の城門前には、女王アンリエールを始め、騎士団やレイジェスのメンバー達が集まり、国境の山パウンド・フォーへ向かうメンバー達と、最後の言葉を交わしていた。


「店長、おはようございます。お見送りもありがとうございます」

「レイチェル、これを・・・」

見送りに来た店長のウィッカー・バリオスに、レイチェルが挨拶をすると、ウィッカーはレイチェルに、手の平に乗るくらいの小さなガラス玉を差し出した。
ぼんやりと光るそのガラス玉は、触れてみると僅かに温かさも感じられた。

「俺の光魔法を込めておいた。時間が無くて一つしか作れなかったが、闇を払う力がある。いざという時には、これを地面に叩きつけて割ってくれ。助けになると思う」

「店長・・・はい、ありがとうございます」

「レイチェル、キミに頼り切りの俺が言うのも違うのかもしれないけど、生き残る事が大事だよ。危ないと思ったらすぐに退くんだ」

優しく気遣う言葉をかけられて、レイチェルの胸に温かいものが溢れて来た。
自分を心配してくれている。それだけでとても嬉しかった。

「ありがとうございます。ちゃんと全員揃って帰ってきますから」

「うん、レイチェルならできると思う。ただ、本当に無理はしないでね」

レイチェルに言葉をかけた後、ウィッカーは後ろに並ぶアラタ達に向き直った。

「みんな、闇の力は本当に危険だ。帝国が生み出した闇の蛇という生物は俺も知らない。だけど話しに聞いただけでも危険な生物だというのは分かる。任務を受けた以上、全力で対応しなければならないが、自分の命を一番に考えてくれ。敵を倒す必要はないんだ、無理だけはしないでくれ」

身を案じる言葉の裏には、ウィッカーがこれまで失った仲間達への想いがある事は十分に察せられた。

「店長、誰に言ってるつもりだよ?俺がいんだから何も心配すっ事ねぇって。余裕余裕」

「リカルド、自然と共に生きて来たキミの力はもちろん信じてるよ。頼りにしている。ところで土の精霊の気持ちは分かったかな?」

「あー、精霊ね、はいはい、大丈夫大丈夫、むしろ精霊の方から俺にアピってるから。俺の事リカルドさんって呼んでるくらいだから」

目標としているジョルジュ・ワーリントンが、毎日風の精霊に祈りを捧げていると聞いてから、この三年程、リカルドは毎日土の精霊に祈りを捧げている。
適当でふざけた言動も多いが、リカルドは自分を高める事には真面目だった。ジョルジュがやっていたのなら自分もやる。全ては目標に追いつき追い越すため。
だからこそ毎日欠かさず祈りを捧げ続けた。その真摯な祈りが通じ、少しだが土の精霊とも心を通わせ始めている。


「ははは、リカルドにかかったら、精霊も頭が上がらないのかな?」

「おうよ、今じゃ精霊が俺のために祈ってるくらいだぜ。リカルドさん、今日も日々の糧をありがとうございましたってな。だから店長は心配ばっかしてねぇで、どっしり構えてりゃいいんだよ。俺が行くんだから全員無事に決まってんだろ?もっと俺らを信用して頼れよ、な?」

「リ、リカルド、お前店長にそんな言い方!」

完全に上から物を言っている態度に、アラタが肩を掴んで注意をすると、ウィッカーはそれを止めるように、右手を前に出した。

「ああ、いいんだアラタ、リカルドの言う通り俺は心配性だから。それに、口は悪いがリカルドは俺のために言ってくれている。ありがとう、リカルド」

「へっ、俺以外、店長にビシっと言ってやれるヤツがいねぇからよ、俺がしっかりしねぇと駄目じゃん?まぁよ、そういうわけだからドンと構えとけよ、店長」

あいかわらずの減らず口だが、それがリカルドだ。
アラタももう流石に慣れてきた。それに店長が良しとするのなら、必要以上に自分がたしなめる事もするべきではない。そう思い納得する事にした。

「ユーリも今日はありがとう。膂力のベルトがあってもキツイとは思うが、いけそうか?」

次にウィッカーはユーリに顔を向けた。
ラベンダー色のパーカーに、裾の広い黒のワイドパンツという服装をしている。
走りやすいようにという考えだろう。
背中には、ユーリの背丈にピッタリ合う、コバルトブルーのリュックが背負われている。

「大丈夫。魔力回復促進薬は多めに持ったし、キツくなる前にちゃんと休憩もするから。期待には応えてみせます」

「うん、白魔法は絶対に必要だから、引き受けてくれて安心したよ。でも、ユーリはあくまで白魔法使いだから、なんでも体力型と同じ事ができるとは思わない事。戦闘はレイチェル達にまかせて、ユーリは支援を中心にしてほしい。体調には気を付けるんだよ」

「はい。店長、アタシ頑張ります」

ウィッカーの目をしっかりと見て、ハッキリとした言葉で返事をする。

「すげぇな・・・」

ユーリのあまりの素直さに、アラタはぼそっと呟いた。

普段のユーリが素直でないという意味ではないが、ウィッカーの言葉は無条件で聞いているように見えるのだ。疑うという事を最初から排除しているようにさえ見える。


「アラタ君、ユーリの素直さに驚いた?ユーリは店長の事、とにかく信頼しているからね」

顔に出ていたようだ。驚いているアラタに、カチュアが小さな声で話しかけた。

「そうなんだ・・・うん、なんか一発で分かる。ユーリって、男連中の中ならジーンの話しはちゃんと聞くとこあったけど、店長のはなんか別次元だな。全面的に信頼してる感じがする」

「うん、私達ももちろん店長の事は信頼してるけど、ユーリはその中でも特にって感じだよね」

「えっと、なにか理由でもあるの?」

「うーん、あるんだけど・・・ユーリの内面に触れる事だから、私の口からはちょっと言い難いかな。アラタ君、それとなくユーリに聞いてみたら?多分アラタ君になら話してくれると思うよ」

「え?そうなの?俺にならって・・・俺、ユーリにそんな信用されてるかな?」

「大丈夫だよ。アラタ君って、なんだかんだでユーリの事気にかけてるよね?ボクシングだって教えてたし。ユーリね、私と話す時、アラタ君の事褒めてるんだよ。アラタ君は良いヤツだって」

半信半疑、自分がユーリにそんなに信用されているだろうか?首を傾げるアラタに、カチュアはクスクスと笑いながら大丈夫だと告げた。

「な、なんか意外だな。ほら、俺やリカルドって、よくユーリに睨まれるからさ」

「う~ん、リカルド君の場合はふざけ過ぎって感じだから、ユーリも本気で怒るけど、アラタ君の場合はけっこう手加減してるみたいだよ?」

「え?あれで?」

「だって、お腹は殴られないでしょ?」

「あ!」

カチュアに指摘されてアラタは得心がいった。
確かに自分がユーリに攻撃される時は、脛を蹴られるだけなのだ。
リカルドやジャレットのように、ボディブローは受けていない。

「ふふ、納得できた?まぁ、私の旦那さんだからって言うのもあるかもしれないけど、アラタ君が優しくて真面目なの知ってるからだよ」

「そっか・・・いや、驚いたけど納得したよ。うん、そうだったんだ・・・じゃあ、思い切って話しかけてみようかな」

うんうんと頷いて、ユーリに顔を向けると、ユーリも丁度ウィッカーとの話しが終わったところだった。


「では、アンリエール様、お待たせしました。どうぞ」

ウィッカーは自分の話しに区切りを付けて、後ろに立つ女王アンリエールに顔を向けた。
アンリエールの両脇には、ウィッカーの弟子で女王専属護衛の双子、リーザとローザのアコスタ姉妹も控えていた。

アンリエールは一歩前に足を進めると、正面に並び立つ、騎士団とレイジェスのメンバー達を順に見回し、真剣な面持ちでその口を開いた。


「皆さん、本日の任務について、私からもお話しさせていただきます」
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