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1023 撤退
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「・・・俺の予想だと、内臓をぶちまけてバラバラの肉片になっているはずだった。だがこの蛇、こんなに綺麗に形を残してやがる・・・・・」
レイマートの考え通り、数十メートルもの高さから落ちれば、原型を留めている事など考えられない。肉片を飛び散らせていると考えるのが妥当だろう。
だが大蛇スターンは肉片どころか、その姿をそっくりそのまま残していた。
目を疑う程の驚きだが、レイマートは力無く横たわり、ピクリとも動かない大蛇スターンに何か引っかかりを感じた。
なにか変だ。死んでいるのか寝ているのか?僅かにも動きが見られない様子から、やはり死んでいるように思う。
だがこの違和感・・・外傷もないのにどうやって死んだというのだ?
倒れたままの大蛇に、レイマートは警戒しつつ近づいて行った。
「あ、レイマート様!危ないですよ!」
後ろからロゼが呼び止めるが、レイマートは無言で足を進める。歩を止める気は無いようだ。
そして大蛇スターンの前に立つと、その茶褐色の体に手を当てた。
「・・・うん、死んでいるのは間違いないようだ。だが外から見る限りどこも傷ついていない。という事は考えられるのは内部・・・・・なるほど、違和感の正体はこれか」
レイマートは大蛇スターンの顔をじっと見つめると、頭部に手を当てた。
何かを確認するよう話したにしばらく撫でたり押したりした後、振り返って様子を見ていた三人に自分の考えを話した。
「・・・頭骨が砕けている、脊椎も粉々だが外傷は無い。ずいぶん平たく見えたんだが、骨がここまで砕けていたからって事だな。ここから推測できる事だが、闇の瘴気で外傷は防げたんだろう。だが落下の衝撃は闇の瘴気を越えて、蛇の体内をグチャグチャに掻きまわした。骨まで粉砕してな」
「なるほど・・・つまりあくまで体内だけを破壊したと・・・瘴気で護られた外皮は強固な檻のように、内部のダメージは内部だけに留めた。それなら無傷で死んでるのも説明がつきますね」
フィルが納得して頷いた。
「闘気じゃなくても、闇の瘴気に対抗できたという事ですね」
エミリーが大蛇スターンの死骸を見ながら、分析するように呟いた。
「でも、この方法は危険よ。味方まで巻き込むし、もう使うべきじゃないわ。蛇一匹を倒すのに、あれだけの威力が必要というのなら、あまり現実的な方法じゃないわね」
ロゼの指摘に、そうだな、と全員が辺りを見回しながら返事をした。
今回は怪我をする事なく済んだ。だが一歩間違えれば死んでいてもおかしくなかった。
味方を巻き込む方法は使うべきではない。
「悪い、俺他にこの蛇をなんとかする方法が思いつかなくてよ、みんなを危険にさらしちまった」
今になって、自分がとった手段がどれだけ危険だったかを理解し、フィルがバツの悪そうな顔で頭を下げた。
「フィル、そんなに気にしないで。私こそ責めるようになったみたいでごめんなさい。フィルのおかげで大蛇が倒せたし、私達も助かったんだから感謝してるのよ。ありがとう、フィル」
「そうよ、私も別に怒ってないわ。だからそんな顔しないで、フィルらしくないよ?あ、土はもう食べたくないけどね」
「だな、お前はその時できる全力で仲間を護った。その結果誰も死ななかった。それでいいんだよ」
三人にかけられる優しい言葉に、フィルの表情が安心したようにほぐれる。
「さて、フィルも元気になったしこれから・・・ッ!」
レイマートが話しをまとめ、今後についての方針を決めようとした時、突然背中に感じたのは強く深い憎悪の視線。そして背筋が凍りつきそうな程の恐ろしい殺気だった。
「なんだッ!?」
振り返ったレイマートの目には、信じられないものが映った。
暗く深い樹々に包まれた茂みの奥から、ドロドロと溢れ流れ込んで来るのはドス黒い瘴気・・・・・
「こ、これは・・・!」
「ウソ・・・こんな・・・」
「まさか・・・」
フィル達三人の顔にも焦りと不安の色が浮かび、近づいて来る黒い瘴気から一歩二歩と後ずさり距離を取る。
そう、この黒い瘴気は間違いない・・・あの大蛇の体から滲み出ていた闇の瘴気だ。
そう気づいた時、暗い茂みの奥でなにかが光ったように見えた。
大地を這いずる音が、徐々に大きくなって近づいて来る。
そしてソレは樹々をなぎ倒して姿を現した。
最初に見た時もよりも、より禍々しく邪悪に、そして大きな瘴気を発して・・・・・
「フシャァァァァァァァァァァーーーーーーーーーー!」
10メートル級の黒い大蛇サローンが、叫び声を上げるように空気を噴射させた!
そしてその背に乗っているのは、蛇使いのバドゥ・バック。
怒りと憎しみの炎を激しく燃え上がらせ、赤く充血した目でレイマート達を睨みつける!
「ウガァァァァァーーーーーーッツ!貴様ら絶対に許さん!許さんぞぉぉぉぉぉーーーーーッツ!」
「チィッ!生きてやがったか!」
レイマートは舌を打つと、左手で右手首を握り闘気を集中させ始めた。
剣を失った今、いや剣があったとしても、闇の蛇を仕留めるにはこの技しかない。
「こ、この蛇、さっきよりも・・・」
前に立つレイマートの後ろで、フィルが大蛇の体から発せられる瘴気に固唾を飲んだ。
最初に見た瘴気も十分過ぎるくらいに圧力を感じた。
だが今この蛇から発せられる闇の瘴気は、その比ではない。
顔を見て分かった。大蛇の真っ黒の目は怒りに満ちている。
蛇の表情なんて分からないが、自分達に対して怒りと憎しみを持っている事は、ハッキリと分かった。
闇とは負の感情である。
大蛇サローンのドス黒い感情が、瘴気をここまで強くしているのだ。
「私の可愛い息子を・・・よくも・・・よくも・・・・・」
大蛇の背にまたがり、レイマート達の頭よりも高い位置から見下ろすバドゥ・バック。
その目は真っ黒な闇に染まっているが、涙が流れ出て、声は悲しみと怒りで震えていた。
「あ、あの男・・・なんて、すごい闇を・・・・・」
バドゥ・バックの闇と大蛇サローンの闇が合わさり、闇の瘴気はより強く、より色濃く、より凶悪に禍々しくなった。
エミリーはあまりの闇の圧に耐えきれなくなり、足が震え立つ事さえ困難になった。
「レイマート様!退きましょう!」
声を上げたのはロゼだった。
腰が抜けて崩れ落ちそうになったエミリーを支えると、先頭に立つレイマートに向かって声を飛ばした。
「これ以上の戦闘は危険です!ここは一旦退くべきです!ご決断を!」
エミリーは魔力切れで、フィルの魔力も残り少ない。
レイマート自身、すでにレオンクローを使っており闘気の消耗は大きい。今も闘気を溜めているが、最初と同じだけの破壊力は出せない。それでこれ程の瘴気を放つ大蛇を相手に、一撃で仕留められるだろうか?
「・・・・・」
ロゼの言う通り、ここは退いた方がいいのかもしれない。
だが果たして逃げ切れるだろうか?自分一人ならば可能だ。自信はある。だがエミリーはもう動けそうにない。フィルとロゼも魔法使いで運動能力は低い。
大蛇の速さは相当なものだった。逃げ切れるものではない。ならばここで戦った方が、まだ生き残れるチャンスはあるのではないだろうか?
迷いを見せるレイマートの背に、もう一度ロゼの声がぶつけられた。
「レイマート様!我々の任務を思い出してください!」
・・・そうだ。
蛇の殲滅が任務ではない。
生きて情報を持ち帰る事が課せられた任務だ。
だったらやるべき事は決まっている。
「フィル!ロゼ!エミリー!撤退だッツ!」
「逃がすと思うカァァァァーーーーーーッツ!サローーーーーーーーンッツ!」
レイマートが撤退を口にすると、バドゥ・バックが叫び、大蛇サローンをけしかけた。
地面を滑らせながら尻尾を振り上げ、レイマートの頭に狙いをつけて叩き下ろす!
「馬鹿がッ!向かってくるなら好都合だッ!」
右手に集中させた闘気が大きな輝きを放つ!
上半身を右に捻り、右腕を頭の後ろに掲げると、腰を沈ませながら右手を地面に向けて抉るように降り下ろす!
「オォォォォォォォォォォーーーーーーーーーッツ!」
レイマートのレオンクローが地面に突き刺さった!
指は鉤爪のように曲げてそのまま地面を深く抉ると、そのまま一気に大蛇に向かって打ち上げた!
「なっ!にぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーッツ!?」
闘気によって爆発させられた大地。
地中から抉られて打ち上げられた石が、土が、まるで雨あられの如く、大蛇サローンと自分に向かって飛んでくる!
「フシャァァァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!」
「ぐっ、ぬおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーッツ!」
咄嗟に腕で顔を護ったが、肩や脇腹に石が当てられ、更には巻き上げられた土煙で目を眩ませられる。
バドゥ・バックもサローンも、闇の瘴気で護られているためダメージそのものは少ない。
だがサローンは顔にも石や土をぶつけられて感覚が狂わせられ、煙で視界も覆われてしまったため、標的を見失ってしまった。
「く、くそがぁッツ!サローン!煙を吹き飛ばせ!ヤツらを逃がすな!」
額に青い筋を浮かべるバドゥ・バック。
息子と呼ぶほど可愛いがった蛇を殺された事、その上自分は崖から落とされて死にかけた。
クインズベリーの騎士など、楽に制圧できると思っていた。
だがその結果がこれだった。
「フシャァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!」
闇の大蛇サローンが口から空気を噴射して、大きな尻尾で煙を薙ぎ払う!
二回、三回、何度かそれを繰り返すと、土煙が飛ばされて視界が広くなった。
「チッ・・・くそがっ!・・・だが生きてこの山を降りられると思うなよ」
すでに誰の姿も見えなくなり、目の前に広がるのはひび割れた大地とへし折れた樹、そして最初の爆風で死んだ蛇達の死骸だけだった。
バドゥ・バックは、自分の息子達を殺したレイマート達への恨みと憎しみを、呪詛のように吐き出した。
レイマートの考え通り、数十メートルもの高さから落ちれば、原型を留めている事など考えられない。肉片を飛び散らせていると考えるのが妥当だろう。
だが大蛇スターンは肉片どころか、その姿をそっくりそのまま残していた。
目を疑う程の驚きだが、レイマートは力無く横たわり、ピクリとも動かない大蛇スターンに何か引っかかりを感じた。
なにか変だ。死んでいるのか寝ているのか?僅かにも動きが見られない様子から、やはり死んでいるように思う。
だがこの違和感・・・外傷もないのにどうやって死んだというのだ?
倒れたままの大蛇に、レイマートは警戒しつつ近づいて行った。
「あ、レイマート様!危ないですよ!」
後ろからロゼが呼び止めるが、レイマートは無言で足を進める。歩を止める気は無いようだ。
そして大蛇スターンの前に立つと、その茶褐色の体に手を当てた。
「・・・うん、死んでいるのは間違いないようだ。だが外から見る限りどこも傷ついていない。という事は考えられるのは内部・・・・・なるほど、違和感の正体はこれか」
レイマートは大蛇スターンの顔をじっと見つめると、頭部に手を当てた。
何かを確認するよう話したにしばらく撫でたり押したりした後、振り返って様子を見ていた三人に自分の考えを話した。
「・・・頭骨が砕けている、脊椎も粉々だが外傷は無い。ずいぶん平たく見えたんだが、骨がここまで砕けていたからって事だな。ここから推測できる事だが、闇の瘴気で外傷は防げたんだろう。だが落下の衝撃は闇の瘴気を越えて、蛇の体内をグチャグチャに掻きまわした。骨まで粉砕してな」
「なるほど・・・つまりあくまで体内だけを破壊したと・・・瘴気で護られた外皮は強固な檻のように、内部のダメージは内部だけに留めた。それなら無傷で死んでるのも説明がつきますね」
フィルが納得して頷いた。
「闘気じゃなくても、闇の瘴気に対抗できたという事ですね」
エミリーが大蛇スターンの死骸を見ながら、分析するように呟いた。
「でも、この方法は危険よ。味方まで巻き込むし、もう使うべきじゃないわ。蛇一匹を倒すのに、あれだけの威力が必要というのなら、あまり現実的な方法じゃないわね」
ロゼの指摘に、そうだな、と全員が辺りを見回しながら返事をした。
今回は怪我をする事なく済んだ。だが一歩間違えれば死んでいてもおかしくなかった。
味方を巻き込む方法は使うべきではない。
「悪い、俺他にこの蛇をなんとかする方法が思いつかなくてよ、みんなを危険にさらしちまった」
今になって、自分がとった手段がどれだけ危険だったかを理解し、フィルがバツの悪そうな顔で頭を下げた。
「フィル、そんなに気にしないで。私こそ責めるようになったみたいでごめんなさい。フィルのおかげで大蛇が倒せたし、私達も助かったんだから感謝してるのよ。ありがとう、フィル」
「そうよ、私も別に怒ってないわ。だからそんな顔しないで、フィルらしくないよ?あ、土はもう食べたくないけどね」
「だな、お前はその時できる全力で仲間を護った。その結果誰も死ななかった。それでいいんだよ」
三人にかけられる優しい言葉に、フィルの表情が安心したようにほぐれる。
「さて、フィルも元気になったしこれから・・・ッ!」
レイマートが話しをまとめ、今後についての方針を決めようとした時、突然背中に感じたのは強く深い憎悪の視線。そして背筋が凍りつきそうな程の恐ろしい殺気だった。
「なんだッ!?」
振り返ったレイマートの目には、信じられないものが映った。
暗く深い樹々に包まれた茂みの奥から、ドロドロと溢れ流れ込んで来るのはドス黒い瘴気・・・・・
「こ、これは・・・!」
「ウソ・・・こんな・・・」
「まさか・・・」
フィル達三人の顔にも焦りと不安の色が浮かび、近づいて来る黒い瘴気から一歩二歩と後ずさり距離を取る。
そう、この黒い瘴気は間違いない・・・あの大蛇の体から滲み出ていた闇の瘴気だ。
そう気づいた時、暗い茂みの奥でなにかが光ったように見えた。
大地を這いずる音が、徐々に大きくなって近づいて来る。
そしてソレは樹々をなぎ倒して姿を現した。
最初に見た時もよりも、より禍々しく邪悪に、そして大きな瘴気を発して・・・・・
「フシャァァァァァァァァァァーーーーーーーーーー!」
10メートル級の黒い大蛇サローンが、叫び声を上げるように空気を噴射させた!
そしてその背に乗っているのは、蛇使いのバドゥ・バック。
怒りと憎しみの炎を激しく燃え上がらせ、赤く充血した目でレイマート達を睨みつける!
「ウガァァァァァーーーーーーッツ!貴様ら絶対に許さん!許さんぞぉぉぉぉぉーーーーーッツ!」
「チィッ!生きてやがったか!」
レイマートは舌を打つと、左手で右手首を握り闘気を集中させ始めた。
剣を失った今、いや剣があったとしても、闇の蛇を仕留めるにはこの技しかない。
「こ、この蛇、さっきよりも・・・」
前に立つレイマートの後ろで、フィルが大蛇の体から発せられる瘴気に固唾を飲んだ。
最初に見た瘴気も十分過ぎるくらいに圧力を感じた。
だが今この蛇から発せられる闇の瘴気は、その比ではない。
顔を見て分かった。大蛇の真っ黒の目は怒りに満ちている。
蛇の表情なんて分からないが、自分達に対して怒りと憎しみを持っている事は、ハッキリと分かった。
闇とは負の感情である。
大蛇サローンのドス黒い感情が、瘴気をここまで強くしているのだ。
「私の可愛い息子を・・・よくも・・・よくも・・・・・」
大蛇の背にまたがり、レイマート達の頭よりも高い位置から見下ろすバドゥ・バック。
その目は真っ黒な闇に染まっているが、涙が流れ出て、声は悲しみと怒りで震えていた。
「あ、あの男・・・なんて、すごい闇を・・・・・」
バドゥ・バックの闇と大蛇サローンの闇が合わさり、闇の瘴気はより強く、より色濃く、より凶悪に禍々しくなった。
エミリーはあまりの闇の圧に耐えきれなくなり、足が震え立つ事さえ困難になった。
「レイマート様!退きましょう!」
声を上げたのはロゼだった。
腰が抜けて崩れ落ちそうになったエミリーを支えると、先頭に立つレイマートに向かって声を飛ばした。
「これ以上の戦闘は危険です!ここは一旦退くべきです!ご決断を!」
エミリーは魔力切れで、フィルの魔力も残り少ない。
レイマート自身、すでにレオンクローを使っており闘気の消耗は大きい。今も闘気を溜めているが、最初と同じだけの破壊力は出せない。それでこれ程の瘴気を放つ大蛇を相手に、一撃で仕留められるだろうか?
「・・・・・」
ロゼの言う通り、ここは退いた方がいいのかもしれない。
だが果たして逃げ切れるだろうか?自分一人ならば可能だ。自信はある。だがエミリーはもう動けそうにない。フィルとロゼも魔法使いで運動能力は低い。
大蛇の速さは相当なものだった。逃げ切れるものではない。ならばここで戦った方が、まだ生き残れるチャンスはあるのではないだろうか?
迷いを見せるレイマートの背に、もう一度ロゼの声がぶつけられた。
「レイマート様!我々の任務を思い出してください!」
・・・そうだ。
蛇の殲滅が任務ではない。
生きて情報を持ち帰る事が課せられた任務だ。
だったらやるべき事は決まっている。
「フィル!ロゼ!エミリー!撤退だッツ!」
「逃がすと思うカァァァァーーーーーーッツ!サローーーーーーーーンッツ!」
レイマートが撤退を口にすると、バドゥ・バックが叫び、大蛇サローンをけしかけた。
地面を滑らせながら尻尾を振り上げ、レイマートの頭に狙いをつけて叩き下ろす!
「馬鹿がッ!向かってくるなら好都合だッ!」
右手に集中させた闘気が大きな輝きを放つ!
上半身を右に捻り、右腕を頭の後ろに掲げると、腰を沈ませながら右手を地面に向けて抉るように降り下ろす!
「オォォォォォォォォォォーーーーーーーーーッツ!」
レイマートのレオンクローが地面に突き刺さった!
指は鉤爪のように曲げてそのまま地面を深く抉ると、そのまま一気に大蛇に向かって打ち上げた!
「なっ!にぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーッツ!?」
闘気によって爆発させられた大地。
地中から抉られて打ち上げられた石が、土が、まるで雨あられの如く、大蛇サローンと自分に向かって飛んでくる!
「フシャァァァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!」
「ぐっ、ぬおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーッツ!」
咄嗟に腕で顔を護ったが、肩や脇腹に石が当てられ、更には巻き上げられた土煙で目を眩ませられる。
バドゥ・バックもサローンも、闇の瘴気で護られているためダメージそのものは少ない。
だがサローンは顔にも石や土をぶつけられて感覚が狂わせられ、煙で視界も覆われてしまったため、標的を見失ってしまった。
「く、くそがぁッツ!サローン!煙を吹き飛ばせ!ヤツらを逃がすな!」
額に青い筋を浮かべるバドゥ・バック。
息子と呼ぶほど可愛いがった蛇を殺された事、その上自分は崖から落とされて死にかけた。
クインズベリーの騎士など、楽に制圧できると思っていた。
だがその結果がこれだった。
「フシャァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!」
闇の大蛇サローンが口から空気を噴射して、大きな尻尾で煙を薙ぎ払う!
二回、三回、何度かそれを繰り返すと、土煙が飛ばされて視界が広くなった。
「チッ・・・くそがっ!・・・だが生きてこの山を降りられると思うなよ」
すでに誰の姿も見えなくなり、目の前に広がるのはひび割れた大地とへし折れた樹、そして最初の爆風で死んだ蛇達の死骸だけだった。
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