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1049 レイマートの決断
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リカルドが大地の矢を射ってから決着がつくまで、それは1分にも満たない僅かな時間であった。
白い大蛇ユーンには、放たれた矢の軌道が、自分の残った右目に向かって見えた。
闇の瘴気を発していれば、ただの鉄の矢など何の脅威でもない。
だが知能があるがゆえに、ユーンはソレを警戒し、決して軽く見なかった。
この場面で使う物が、何の変哲もないただの矢のはずがない。
受けても問題はないだろう。闇の瘴気に触れれば一瞬で腐食させ無力化できる。
だがここはあえて落とす。万に一つも許さない。
ユーンの残った右目がギラリと光ると、腹が大きく膨らんだ。
そして口をガバっと大きく開けると、勢いよく真っ黒な煙を吐き出した。
黒い大蛇サローンが使っていた、結界をも溶かす煙である。
鉄の矢など物の数ではない。
だがユーンの直感が訴えていた、この矢には何かある。
ゆえにユーンは己の直感に従い、受けるのではなく煙をぶつけて矢を落とす事を選択した。
どんな仕掛けのある矢かは分からないが、黒い煙を浴びせれば一瞬で腐食し溶け落ちる。
ユーンの口の端が持ち上がり、ニヤリと嗤いを見せる。
勝ち誇ったユーンの嗤いを見て、リカルドもほくそ笑んだ。
へっ、馬鹿蛇が!クセェ瘴気をまき散らしまくってるテメェに、ただ真っすぐ矢を射ったと思ったのかよ?んなわけねぇだろ!
「ここからが俺の大地の矢の真骨頂だぜ!」
「!?」
ユーンの真っ赤な右目に動揺が走った。
リカルドの射った大地の矢は、ユーンの吐き出した黒い煙に当たる直前で、急速に角度を変えて落ちたのだ。
そして土色の矢尻が地面に触れた。
「吹っ飛べ蛇野郎」
リカルドが右手親指を真下に向けると、それを合図としたように地面が大きく揺れた。
突然揺れ動く大地に、大蛇ユーンは体を強張らせた。
地震か!?真っ先にそう思ったが、すぐに地震ではないと分かった。
なぜなら、ユーンの残った右目に映る青い髪の男と緑色の髪の男は、この揺れの影響をまったく受けていなかったのだから。
そして赤茶色の地面に突き刺さった、一本の矢が目に入った。
まさか・・・!?
さっきのあの矢か?黒い煙を避けるように落下したあの矢が、この地震を起こしているのか!?
しかも使い手と標的を分けて、限られた範囲だけに効果を発揮するなんて!
ユーンが地震の正体に気付いたその時、腹の下の地面に大きく亀裂が走った!
そして火山噴火を連想させるような凄まじい勢いで、割れて砕けた土砂がユーンに向かって噴き上がった!
「フシュァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーッツ!」
ユーンは驚愕した。
拳大の石から、その十倍も大きな石まで、数多くの石がユーンの体を打ち付けて来るのだ。
こんなものまともに食らえば、ミンチ肉にされてしまうだろう。
絶え間なく激しく打ち付けて来る石に恐怖を感じ、僅かな時間体が硬直した。だがユーンはすぐに冷静さを取り戻した。
そう、これをまともに食らえば死んでいただろう。
だがそれはあくまでも、まともに食らえばの話しだ。
地面から噴き上がる石はユーンの肉体に届く前に、闇の瘴気に防がれているのだ。
あまりの勢いに恐怖を感じてしまったが、実際に石が自分に届くことはない。
それに気づいたユーンはすぐに我に返り、小癪な真似をした弓使いの人間に向き直った。
一瞬とは言え、小さき人間がよくも恐怖を与えてくれたな!
この黒い煙で惨たらしく殺してくれるわ!
「はい、お前お終い」
ユーンがリカルドを睨み付けたその時、緑色の髪をした弓使いは、親指を自分の首に当てると、かっ切るように真横に引いて見せた。
次の瞬間、喉元に鋭くも熱い何かが突き刺さった。
グォァッ!?・・・い、痛い!熱い!な、なんだ、これは!?
ソレは肉を深く抉り、喉の奥の奥にまで刺しこんで来た。強烈な痛みが脳を貫いて来て、思考が全くまとまらない。
自分にいったい何がおきたのか?闇の瘴気で護られているはずなのに、なにが闇を超えてきたのか!?
喉を抉られたため必然的に首が曲がり、ユーンの右目がそいつを視界に捉えた。
青い髪をした人間が、光輝く闘気を漲らせた右手を、自分の喉に突き刺していた。
「死ね」
小さき人間は自分と目が合うと、一言そう呟いて、右手を頭上高く振り上げた。
喉から顎先まで肉が裂け、ブチブチと嫌な音を立てながら頭と首が引き千切られる。
真っ赤な血と共に、闇の瘴気が傷口から溢れ出す。そしてレオンクローの闘気で焼かれた瘴気は、浄化されるように風に飛ばされ消えていった。
「フ・・・フシュアァーーーーーーーー・・・・・・」
絞り出すようなか細い音だった。
ば、馬鹿な・・・人間などに、こんな小さき者にアッサリと・・・・・
脅威的な生命力を持つ闇の大蛇は、頭と首を引き裂かれても簡単には死なない。
だがレイマートはすでに知っている。
生命力の源は闇であると。ならばその闇を消し去ってしまえばいい。そしてレイマートの闘気ならば、それが可能である。
レイマートの右手にかかげられたユーンの右目には、すでに他の蛇達もほぼ壊滅状態である事が映った。
小さき者と見下していた人間達が、自分達大蛇をまったく寄せ付けない程の強さを持っていた。
これを見抜けなかった事、小さき者と侮っていた事が敗因か・・・・・
「これで終わりだ!」
レイマートは右手に掴むユーンの頭を上空に投げ飛ばした。
そして右手にもう一度闘気を込めて、レオンクローの体勢に入った。
高々と空まで上がったユーンの頭は、血と瘴気を撒き散らしながら、下で待ち構えるレイマートの元に落下していく。
「ハァァァァァァーーーーーーッツ!」
待ち構えるレイマートの右手は、闘気が獅子の前足を彷彿させるように、鋭く尖って光り輝いていた。
ユーンはすでに死を受け入れていた。
だがこのまま大人しく終わるつもりはない。
群れのボスとして、このまま人間に一方的にやられたまま死するわけにはいかない。
大蛇は大した事がなかった・・・そう思われる事だけは我慢ならない。
この戦いは貴様ら人間の勝ちだ。
だが人間よ・・・蛇がなぜ古来より忌み嫌われ恐れられてきたのか?
その恐怖の一旦だけでも味わわせやる!
「フシャァァァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!」
ユーンに残った右目がギラリと光ると、張り裂けそうなくらい大きく口を開けた。
すると上顎の左右に一本づつ生えている、鋭く長い牙が剥き出しになった。
「最後の悪あがきか!?だが、そんな見え見えの噛みつきが通用すると・・・!?」
牙を剥き出しにして落下して来る大蛇ユーン、それをレオンクローで迎撃しようと、レイマートが右腕を振り被ったその時!
ユーンの真っ赤な右目が嗤ったように見えた。
そして剥き出しになった二本の鋭い牙の先から、真っ黒な液体が霧状に噴き出した!
「なにィッ!?」
牙から液体が噴き出すなんて、予想すらしていなかった。
想定外の攻撃に、レイマートの動きに一瞬の遅れが出る。
この黒い液体、蛇の牙から出るとは・・・まさか毒か!?
しまった!動揺したせいで回避が間に合わない!この黒い霧を全て躱す事はもはや不可能。
・・・ならば!
レイマートの決断は早かった。
全て躱しきる事は不可能、少なからず黒い毒液を浴びる事になる。
ならばどう動く事がチームにとって一番利があるか?
「ウォォォォォォォォーーーーーーーッツ!」
地面を強く蹴ってレイマートは上空に飛んだ!
右手には力強く輝く闘気!
レイマートはここで蛇達のボスを仕留める事を選んだ。
これ以上の隠し玉があるとは思わない。
だがこの局面で毒液を吐き出したように、こいつは何をしてくるか分からない!
この大蛇はここで確実に始末しておくべきだ。
「レオンクローーーーーッツ!」
頭から毒液を被りながらも、レイマートの闘気の爪が大蛇ユーンの頭部を引き裂いた!
白い大蛇ユーンには、放たれた矢の軌道が、自分の残った右目に向かって見えた。
闇の瘴気を発していれば、ただの鉄の矢など何の脅威でもない。
だが知能があるがゆえに、ユーンはソレを警戒し、決して軽く見なかった。
この場面で使う物が、何の変哲もないただの矢のはずがない。
受けても問題はないだろう。闇の瘴気に触れれば一瞬で腐食させ無力化できる。
だがここはあえて落とす。万に一つも許さない。
ユーンの残った右目がギラリと光ると、腹が大きく膨らんだ。
そして口をガバっと大きく開けると、勢いよく真っ黒な煙を吐き出した。
黒い大蛇サローンが使っていた、結界をも溶かす煙である。
鉄の矢など物の数ではない。
だがユーンの直感が訴えていた、この矢には何かある。
ゆえにユーンは己の直感に従い、受けるのではなく煙をぶつけて矢を落とす事を選択した。
どんな仕掛けのある矢かは分からないが、黒い煙を浴びせれば一瞬で腐食し溶け落ちる。
ユーンの口の端が持ち上がり、ニヤリと嗤いを見せる。
勝ち誇ったユーンの嗤いを見て、リカルドもほくそ笑んだ。
へっ、馬鹿蛇が!クセェ瘴気をまき散らしまくってるテメェに、ただ真っすぐ矢を射ったと思ったのかよ?んなわけねぇだろ!
「ここからが俺の大地の矢の真骨頂だぜ!」
「!?」
ユーンの真っ赤な右目に動揺が走った。
リカルドの射った大地の矢は、ユーンの吐き出した黒い煙に当たる直前で、急速に角度を変えて落ちたのだ。
そして土色の矢尻が地面に触れた。
「吹っ飛べ蛇野郎」
リカルドが右手親指を真下に向けると、それを合図としたように地面が大きく揺れた。
突然揺れ動く大地に、大蛇ユーンは体を強張らせた。
地震か!?真っ先にそう思ったが、すぐに地震ではないと分かった。
なぜなら、ユーンの残った右目に映る青い髪の男と緑色の髪の男は、この揺れの影響をまったく受けていなかったのだから。
そして赤茶色の地面に突き刺さった、一本の矢が目に入った。
まさか・・・!?
さっきのあの矢か?黒い煙を避けるように落下したあの矢が、この地震を起こしているのか!?
しかも使い手と標的を分けて、限られた範囲だけに効果を発揮するなんて!
ユーンが地震の正体に気付いたその時、腹の下の地面に大きく亀裂が走った!
そして火山噴火を連想させるような凄まじい勢いで、割れて砕けた土砂がユーンに向かって噴き上がった!
「フシュァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーッツ!」
ユーンは驚愕した。
拳大の石から、その十倍も大きな石まで、数多くの石がユーンの体を打ち付けて来るのだ。
こんなものまともに食らえば、ミンチ肉にされてしまうだろう。
絶え間なく激しく打ち付けて来る石に恐怖を感じ、僅かな時間体が硬直した。だがユーンはすぐに冷静さを取り戻した。
そう、これをまともに食らえば死んでいただろう。
だがそれはあくまでも、まともに食らえばの話しだ。
地面から噴き上がる石はユーンの肉体に届く前に、闇の瘴気に防がれているのだ。
あまりの勢いに恐怖を感じてしまったが、実際に石が自分に届くことはない。
それに気づいたユーンはすぐに我に返り、小癪な真似をした弓使いの人間に向き直った。
一瞬とは言え、小さき人間がよくも恐怖を与えてくれたな!
この黒い煙で惨たらしく殺してくれるわ!
「はい、お前お終い」
ユーンがリカルドを睨み付けたその時、緑色の髪をした弓使いは、親指を自分の首に当てると、かっ切るように真横に引いて見せた。
次の瞬間、喉元に鋭くも熱い何かが突き刺さった。
グォァッ!?・・・い、痛い!熱い!な、なんだ、これは!?
ソレは肉を深く抉り、喉の奥の奥にまで刺しこんで来た。強烈な痛みが脳を貫いて来て、思考が全くまとまらない。
自分にいったい何がおきたのか?闇の瘴気で護られているはずなのに、なにが闇を超えてきたのか!?
喉を抉られたため必然的に首が曲がり、ユーンの右目がそいつを視界に捉えた。
青い髪をした人間が、光輝く闘気を漲らせた右手を、自分の喉に突き刺していた。
「死ね」
小さき人間は自分と目が合うと、一言そう呟いて、右手を頭上高く振り上げた。
喉から顎先まで肉が裂け、ブチブチと嫌な音を立てながら頭と首が引き千切られる。
真っ赤な血と共に、闇の瘴気が傷口から溢れ出す。そしてレオンクローの闘気で焼かれた瘴気は、浄化されるように風に飛ばされ消えていった。
「フ・・・フシュアァーーーーーーーー・・・・・・」
絞り出すようなか細い音だった。
ば、馬鹿な・・・人間などに、こんな小さき者にアッサリと・・・・・
脅威的な生命力を持つ闇の大蛇は、頭と首を引き裂かれても簡単には死なない。
だがレイマートはすでに知っている。
生命力の源は闇であると。ならばその闇を消し去ってしまえばいい。そしてレイマートの闘気ならば、それが可能である。
レイマートの右手にかかげられたユーンの右目には、すでに他の蛇達もほぼ壊滅状態である事が映った。
小さき者と見下していた人間達が、自分達大蛇をまったく寄せ付けない程の強さを持っていた。
これを見抜けなかった事、小さき者と侮っていた事が敗因か・・・・・
「これで終わりだ!」
レイマートは右手に掴むユーンの頭を上空に投げ飛ばした。
そして右手にもう一度闘気を込めて、レオンクローの体勢に入った。
高々と空まで上がったユーンの頭は、血と瘴気を撒き散らしながら、下で待ち構えるレイマートの元に落下していく。
「ハァァァァァァーーーーーーッツ!」
待ち構えるレイマートの右手は、闘気が獅子の前足を彷彿させるように、鋭く尖って光り輝いていた。
ユーンはすでに死を受け入れていた。
だがこのまま大人しく終わるつもりはない。
群れのボスとして、このまま人間に一方的にやられたまま死するわけにはいかない。
大蛇は大した事がなかった・・・そう思われる事だけは我慢ならない。
この戦いは貴様ら人間の勝ちだ。
だが人間よ・・・蛇がなぜ古来より忌み嫌われ恐れられてきたのか?
その恐怖の一旦だけでも味わわせやる!
「フシャァァァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!」
ユーンに残った右目がギラリと光ると、張り裂けそうなくらい大きく口を開けた。
すると上顎の左右に一本づつ生えている、鋭く長い牙が剥き出しになった。
「最後の悪あがきか!?だが、そんな見え見えの噛みつきが通用すると・・・!?」
牙を剥き出しにして落下して来る大蛇ユーン、それをレオンクローで迎撃しようと、レイマートが右腕を振り被ったその時!
ユーンの真っ赤な右目が嗤ったように見えた。
そして剥き出しになった二本の鋭い牙の先から、真っ黒な液体が霧状に噴き出した!
「なにィッ!?」
牙から液体が噴き出すなんて、予想すらしていなかった。
想定外の攻撃に、レイマートの動きに一瞬の遅れが出る。
この黒い液体、蛇の牙から出るとは・・・まさか毒か!?
しまった!動揺したせいで回避が間に合わない!この黒い霧を全て躱す事はもはや不可能。
・・・ならば!
レイマートの決断は早かった。
全て躱しきる事は不可能、少なからず黒い毒液を浴びる事になる。
ならばどう動く事がチームにとって一番利があるか?
「ウォォォォォォォォーーーーーーーッツ!」
地面を強く蹴ってレイマートは上空に飛んだ!
右手には力強く輝く闘気!
レイマートはここで蛇達のボスを仕留める事を選んだ。
これ以上の隠し玉があるとは思わない。
だがこの局面で毒液を吐き出したように、こいつは何をしてくるか分からない!
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