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1333 何者か
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ゴールド騎士は一騎当千の力を持っていると言われている。
文字通り一人で千人を相手にできるという意味だが、実態はそれに収まらない。
曰く騎士の頂点、そしてクインズベリー国の守護者と呼ばれるゴールド騎士の実力は、千人力では収まらない。
二千、三千、いや一万人を相手にしても勝ち切るのではないか?
フェリックス・ダラキアンの戦いぶりは、それほど圧倒的で何者も寄せ付けない凄まじさを見せつけていた。
「あははははははは!弱い弱い!帝国兵ってこんなものかい?僕一人で勝っちゃうよ!」
右手に握る淡く光る剣を横一線に振ると、飛び掛かってきた大柄な兵の胴体が、鎧ごと真っ二つに斬って落とされた。鎧ごと胴体を切断する、それを小柄なフェリックスが片手でやってのけたのである。
それは到底フェリックスの腕力ではできない技だった。無論フェリックスの技量は常人では到底及ばない高みになるが、この尋常ならざる切れ味は、大地の精霊の力を宿した幻想の剣あってこその技である。
「調子に乗ってんじゃねぇぞぉぉぉぉぉーーーーーーーーーッツ!」
右腕を横一線に振り抜いたフェリックスの背後から、鋼鉄の斧を振りかぶった帝国兵が襲い掛かってきた!
フェリックスは一歩深く踏み込んで、右腕を真横に振り抜いた直後である。
普通ならばこの体勢では真後ろの攻撃に対して、瞬時には対応できない。選択肢としては前方に跳んで躱すくらいだろう。
しかしフェリックスは前に踏み込んでいた右足で地面を強く蹴ると、そのまま背中をのけ反らせながら高く飛び上がった。
「なにィッ!?」
そのまま背後から振り下ろされた斧を躱して敵の頭上を取ると、フェリックスは剣を握る右手首をクルっと回した。全く力を入れていない軽い動きだった。だがたったそれだけで幻想の剣は、斧を持った帝国兵の首を軽々と刎ね飛ばした。
頭を失った胴体が前のめりに倒れる。
フェリックスがその後ろに着地した瞬間、狙いすましたように四方から破壊の光弾が飛んで来た。
爆裂弾である。
「ふん、あまいあまい」
地面に足を着いた不安定な瞬間を狙われたが、フェリックスに焦りは無い。
幻想の剣を前に突き出して力を込めると、刀身の淡い光が力強さを増していく。そして右足を軸にして体を独楽のように回転させると、迫り来る爆裂弾を全て斬って落とした!
「あはははははは!僕を本気で倒したいなら上級魔法を使いなよ!」
回りながら笑うフェリックスからは、この戦いを楽しんでいる様子さえ伺える。
そしてその剣先からは、虹色の波動が撃ち放たれた。
「うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!」
虹色の波動の威力は凄まじく、一発で数百人の帝国兵を吹き飛ばした。
爆発によって巻き起こる風、飛び散る砂に、兵達の悲鳴が乗せられていく。
咄嗟に結界を張った青魔法使いも、通常の結界では持たないと判断し、天衣結界に切り替える事を余儀なくされた。そこまでしてなんとか持ちこたえる事はできたが、魔力の消耗は非常に大きかった。
そう、彼らは一発は止める事ができた。しかし次いで撃たれる二発目を防ぐ魔力は残っておらず、結局は虹色の波動の直撃を受ける事になる、
「どうしたどうした!?まだ僕は全然本気じゃないよ!それで力こそが全てだなんて、よく言えたもんだよね?帝国兵は口だけかい!?」
笑いながら剣を振るい、敵陣を駆け抜けるフェリックスを止められる者は、誰一人としていなかった。
屈強な兵士が体格差を生かして斬りかかっても、幻想の剣の前には力など無意味である。
剣を打ち合わせた瞬間、いや、打ち合わせる以前に互いの剣が触れたその時、幻想の剣は相手の剣を斬り裂き、そのままその首を刎ねているのだ。
体格差を生かせない、力で押す事ができない、そうなれば体力型同士の戦いでフェリックスを止められる者などいない。
後方から黒魔法使いが援護射撃に入るが、初級魔法はおろか、中級魔法の爆裂空破弾でさえ幻想の剣に斬って落とされた。
「き、貴様ぁぁぁッ!調子に乗るなよ!帝国の力を見せてやる!」
黒魔法使いを束ねていた部隊長らしき魔法使いが、魔力を込めた右手を地面に当てた。
すると何十本もの氷の槍が勢いよく地面を突き破り、フェリックスへと差し迫っていく!
「地氷走り?だからさぁ、僕を倒したいなら、同士討ち覚悟で上級魔法を使いなよ」
呆れ顔で呟くフェリックスだが、それは使用した黒魔法使いにとって百も承知だった。
正面からやってもてめぇに効かねぇのは分かってんだよ!
俺の狙いは躱した先だ!
右か?左か?それとも上か?どこに躱す!?望み通りてめぇが躱したところにぶっ放してやるよ!
光源爆裂弾をなぁぁぁぁぁッツ!
左手に破壊の魔力を漲らせながら、鋭い目で黄金の騎士を睨みつける。どこに逃げようとも見逃さない。
光源爆裂弾を使えば味方にも大勢の犠牲が出るだろう。しかしこのままでは本当にたった一人に帝国軍が全滅させられかねない。
ならば巻き添えをくう兵達には悪いが、帝国の勝利のために犠牲になってもらう。そう決断をしたのだ。
しかしその光源爆裂弾が撃たれる事はなかった。
なぜなら・・・
「なッ!?」
「遅い遅い、これで僕を捉えられると思ってるなんて、舐められたものだよね」
正面突破!
右に避けるでも、左に避けるでもない。上空に飛ぶ事もできたはずだが、フェリックスの選んだ選択は黒魔法使いが予想したどの選択肢でもなく、そして到底考えが及ばないものだった。
なぜなら地面から鋭く突き出してくる氷の槍を、真正面から躱しながら突っ込んでくるなど誰が予想できるだろうか?
「バ、バカな!あ、ありえ・・・ぐッ!」
「はいはい、現実を見ようね」
すれ違いざまに剣を一線し、軽々と黒魔法使いの首を跳ね飛ばす。
血飛沫を撒き散らしながら空中に舞う黒魔法使いの頭は、驚愕に目を開いたままだった。
ここまで劣勢ながらも果敢に攻めていた帝国兵達だが、ずば抜けたフェリックスの戦闘力を目の当たりにしてとうとう足が止まった。
数だけで言えばまだまだ何万人もの兵がいる。しかしこのまま戦い続けても、到底勝てる気がしないのだ。ゴールド騎士とて人間である以上、いずれは数の利で倒せるかもしれない。しかしそれまでにいったいどれだけの血が流れるだろうか?
そう考えた時、自分が犠牲にはなりたくはないという心理が、少なからず働いてしまったのだ。
勝てる見込みがほんの少しでもあれば別だ。帝国の礎になるために死ぬ覚悟はできている。しかしただ意味もなく斬られる事だけは嫌だった。
「あれ?来ないの?・・・なぁんだ、もうお終い?帝国兵も口だけだね?」
「そんな事はありませんよ」
淡く光る剣を肩に乗せて、ぐるりと周囲を見回してつまらなそうに息をついたその時、戦場には相応しくない凛とした声が戦場に降りた。
「ん・・・?」
フェリックスを取り囲む兵達が、一斉に左右に分かれて道を開ける。
視線の先に現れたのは、宝石のように美しく透き通った青い瞳をした女だった。
絹糸のように細く滑らかで美しい金色の髪をなびかせ、砂の上を静かにゆっくりと歩き近づいて来る。
身長はフェリックスよりも高く、170㎝はあるだろう。真紅のローブを纏っている事から、この女が帝国の幹部クラスだという事は分かる。
「・・・確か、第六師団長はシャンテル・ガードナーとかいう女だったよね?」
サクッ、サクッと砂を踏む音を立て、真っすぐ自分に近づいて来る青い瞳の女を見て、フェリックスはこの女の正体に思い至った。
「はい、私が第六師団長、シャンテル・ガードナーです」
フェリックスの前で立ち止った青い瞳の女は、自分が何者であるかを静かに告げた。
文字通り一人で千人を相手にできるという意味だが、実態はそれに収まらない。
曰く騎士の頂点、そしてクインズベリー国の守護者と呼ばれるゴールド騎士の実力は、千人力では収まらない。
二千、三千、いや一万人を相手にしても勝ち切るのではないか?
フェリックス・ダラキアンの戦いぶりは、それほど圧倒的で何者も寄せ付けない凄まじさを見せつけていた。
「あははははははは!弱い弱い!帝国兵ってこんなものかい?僕一人で勝っちゃうよ!」
右手に握る淡く光る剣を横一線に振ると、飛び掛かってきた大柄な兵の胴体が、鎧ごと真っ二つに斬って落とされた。鎧ごと胴体を切断する、それを小柄なフェリックスが片手でやってのけたのである。
それは到底フェリックスの腕力ではできない技だった。無論フェリックスの技量は常人では到底及ばない高みになるが、この尋常ならざる切れ味は、大地の精霊の力を宿した幻想の剣あってこその技である。
「調子に乗ってんじゃねぇぞぉぉぉぉぉーーーーーーーーーッツ!」
右腕を横一線に振り抜いたフェリックスの背後から、鋼鉄の斧を振りかぶった帝国兵が襲い掛かってきた!
フェリックスは一歩深く踏み込んで、右腕を真横に振り抜いた直後である。
普通ならばこの体勢では真後ろの攻撃に対して、瞬時には対応できない。選択肢としては前方に跳んで躱すくらいだろう。
しかしフェリックスは前に踏み込んでいた右足で地面を強く蹴ると、そのまま背中をのけ反らせながら高く飛び上がった。
「なにィッ!?」
そのまま背後から振り下ろされた斧を躱して敵の頭上を取ると、フェリックスは剣を握る右手首をクルっと回した。全く力を入れていない軽い動きだった。だがたったそれだけで幻想の剣は、斧を持った帝国兵の首を軽々と刎ね飛ばした。
頭を失った胴体が前のめりに倒れる。
フェリックスがその後ろに着地した瞬間、狙いすましたように四方から破壊の光弾が飛んで来た。
爆裂弾である。
「ふん、あまいあまい」
地面に足を着いた不安定な瞬間を狙われたが、フェリックスに焦りは無い。
幻想の剣を前に突き出して力を込めると、刀身の淡い光が力強さを増していく。そして右足を軸にして体を独楽のように回転させると、迫り来る爆裂弾を全て斬って落とした!
「あはははははは!僕を本気で倒したいなら上級魔法を使いなよ!」
回りながら笑うフェリックスからは、この戦いを楽しんでいる様子さえ伺える。
そしてその剣先からは、虹色の波動が撃ち放たれた。
「うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!」
虹色の波動の威力は凄まじく、一発で数百人の帝国兵を吹き飛ばした。
爆発によって巻き起こる風、飛び散る砂に、兵達の悲鳴が乗せられていく。
咄嗟に結界を張った青魔法使いも、通常の結界では持たないと判断し、天衣結界に切り替える事を余儀なくされた。そこまでしてなんとか持ちこたえる事はできたが、魔力の消耗は非常に大きかった。
そう、彼らは一発は止める事ができた。しかし次いで撃たれる二発目を防ぐ魔力は残っておらず、結局は虹色の波動の直撃を受ける事になる、
「どうしたどうした!?まだ僕は全然本気じゃないよ!それで力こそが全てだなんて、よく言えたもんだよね?帝国兵は口だけかい!?」
笑いながら剣を振るい、敵陣を駆け抜けるフェリックスを止められる者は、誰一人としていなかった。
屈強な兵士が体格差を生かして斬りかかっても、幻想の剣の前には力など無意味である。
剣を打ち合わせた瞬間、いや、打ち合わせる以前に互いの剣が触れたその時、幻想の剣は相手の剣を斬り裂き、そのままその首を刎ねているのだ。
体格差を生かせない、力で押す事ができない、そうなれば体力型同士の戦いでフェリックスを止められる者などいない。
後方から黒魔法使いが援護射撃に入るが、初級魔法はおろか、中級魔法の爆裂空破弾でさえ幻想の剣に斬って落とされた。
「き、貴様ぁぁぁッ!調子に乗るなよ!帝国の力を見せてやる!」
黒魔法使いを束ねていた部隊長らしき魔法使いが、魔力を込めた右手を地面に当てた。
すると何十本もの氷の槍が勢いよく地面を突き破り、フェリックスへと差し迫っていく!
「地氷走り?だからさぁ、僕を倒したいなら、同士討ち覚悟で上級魔法を使いなよ」
呆れ顔で呟くフェリックスだが、それは使用した黒魔法使いにとって百も承知だった。
正面からやってもてめぇに効かねぇのは分かってんだよ!
俺の狙いは躱した先だ!
右か?左か?それとも上か?どこに躱す!?望み通りてめぇが躱したところにぶっ放してやるよ!
光源爆裂弾をなぁぁぁぁぁッツ!
左手に破壊の魔力を漲らせながら、鋭い目で黄金の騎士を睨みつける。どこに逃げようとも見逃さない。
光源爆裂弾を使えば味方にも大勢の犠牲が出るだろう。しかしこのままでは本当にたった一人に帝国軍が全滅させられかねない。
ならば巻き添えをくう兵達には悪いが、帝国の勝利のために犠牲になってもらう。そう決断をしたのだ。
しかしその光源爆裂弾が撃たれる事はなかった。
なぜなら・・・
「なッ!?」
「遅い遅い、これで僕を捉えられると思ってるなんて、舐められたものだよね」
正面突破!
右に避けるでも、左に避けるでもない。上空に飛ぶ事もできたはずだが、フェリックスの選んだ選択は黒魔法使いが予想したどの選択肢でもなく、そして到底考えが及ばないものだった。
なぜなら地面から鋭く突き出してくる氷の槍を、真正面から躱しながら突っ込んでくるなど誰が予想できるだろうか?
「バ、バカな!あ、ありえ・・・ぐッ!」
「はいはい、現実を見ようね」
すれ違いざまに剣を一線し、軽々と黒魔法使いの首を跳ね飛ばす。
血飛沫を撒き散らしながら空中に舞う黒魔法使いの頭は、驚愕に目を開いたままだった。
ここまで劣勢ながらも果敢に攻めていた帝国兵達だが、ずば抜けたフェリックスの戦闘力を目の当たりにしてとうとう足が止まった。
数だけで言えばまだまだ何万人もの兵がいる。しかしこのまま戦い続けても、到底勝てる気がしないのだ。ゴールド騎士とて人間である以上、いずれは数の利で倒せるかもしれない。しかしそれまでにいったいどれだけの血が流れるだろうか?
そう考えた時、自分が犠牲にはなりたくはないという心理が、少なからず働いてしまったのだ。
勝てる見込みがほんの少しでもあれば別だ。帝国の礎になるために死ぬ覚悟はできている。しかしただ意味もなく斬られる事だけは嫌だった。
「あれ?来ないの?・・・なぁんだ、もうお終い?帝国兵も口だけだね?」
「そんな事はありませんよ」
淡く光る剣を肩に乗せて、ぐるりと周囲を見回してつまらなそうに息をついたその時、戦場には相応しくない凛とした声が戦場に降りた。
「ん・・・?」
フェリックスを取り囲む兵達が、一斉に左右に分かれて道を開ける。
視線の先に現れたのは、宝石のように美しく透き通った青い瞳をした女だった。
絹糸のように細く滑らかで美しい金色の髪をなびかせ、砂の上を静かにゆっくりと歩き近づいて来る。
身長はフェリックスよりも高く、170㎝はあるだろう。真紅のローブを纏っている事から、この女が帝国の幹部クラスだという事は分かる。
「・・・確か、第六師団長はシャンテル・ガードナーとかいう女だったよね?」
サクッ、サクッと砂を踏む音を立て、真っすぐ自分に近づいて来る青い瞳の女を見て、フェリックスはこの女の正体に思い至った。
「はい、私が第六師団長、シャンテル・ガードナーです」
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