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1352 消滅したはずの刃
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クインズベリー国を出立し、最初の襲撃を仕掛けてきた敵と戦った時、リカルドが異様な女を目撃したと言っていた。
その女は赤い髪に赤い瞳、身に纏っている装備も全てが赤かったと言う。
赤い女を目にした時、リカルドはかつてない程の恐怖を感じるとともに、記憶を刺激するものがあった。
武器も含めて、全身赤い装備という極めて特徴的な出で立ち。
それはかつての戦争の歴史で、帝国の将として名前を残した女を思い起こさせた。
その名をセシリア・シールズ。
200年前の帝国軍、第一師団長だった女である。
火の精霊の加護を特に強く受けていた彼女は、他の誰にも無いセシリアだけの特異な能力を持っていた。
それは、自分と目を合わせた相手の体に、熱を送り込む事ができるというものだった。
これをくらった人間は、体の内側から焼かれるような熱に、満足に身動きがとれなくなる。
当然満足に戦う事などできるはずもなく、セシリアの刃の餌食となっていったのである。
しかしそのセシリアも、200年前の戦争で新庄弥生に敗れ、命を落とした。
セシリアの使用していた深紅の片手剣、血狂刃(ちきょうじん)も、その時に消滅したはずだった。
そう、セシリアもろとも、跡形もなくこの世界から消えたはずだった。
「う、うぅ・・・あ、熱い・・・い、息が・・・うぅ」
自分の体が抱えるあまりの熱量に耐えきれず、カチュアは砂の上に膝を着いた。
熱い・・・ただただ、体が熱い。それは真夏の陽射しに肌が焼かれるなんてものではない。
体の内側から発せられる熱がどんどん膨れ上がっていく。そして際限なく上昇していく熱は呼吸すら困難にし、意識を朦朧とさせた。
「うっ・・・はぁっ!はぁっ!・・・く、くる、しい・・・・・」
幼い頃に高熱を出して寝込んだ事を思い出した。
体中が熱く、動悸は早く、呼吸は荒く、視界はぼやけて、強い頭痛にただただ苦しかった。
あんなに苦しい思いはもう二度としたくない。
そう思っていたけれど・・・これは、あの時よりも・・・・・
体を起こしている事も辛くなり、砂の上に両手をついて握り締める。
今、倒れたら、多分もう起き上がれない・・・・・
視界がかすみ、意識が遠のきそうになる。いよいよ限界が来た時、カチュアに頭に影が降りた。
「うふふ・・・苦しそうね?どう、熱いでしょう?」
艶のある声が頭の上からかけられる。
それはとても嬉しそうで、とても楽しそうで、まるで新しい玩具を買ってもらったばかりの子供のようだった。
赤い女は今にも倒れそうなカチュアを見下ろしながら、クスクスと笑い声を漏らしている。
「う・・・はぁっ・・・はぁっ・・・・・あ、あつ、い・・・・・」
「そうよね?熱いわよね?このまま焼き殺してもいいんだけど、私の血狂刃(ちきょうじん)が血を吸いたがっているのよね。だから一思いに首を刎ねてあげるわ」
そう言って赤い髪の女は、倒れ伏しているシャンテル・ガードナーに目を向けた。
先ほど投げた真紅の片手剣は、背中から左胸を刺し貫いていた。致命傷なのは間違いないだろう。
傷口から流れ出る血液を吸った砂が、真っ赤に染まって広がっていた。
「ふふふ・・・シャンテル・ガードナー、皇帝のお気に入りだったのにね。でも、あなたが本心で従っていない事は明白だった。帝国に背を向ける事があれば殺せ、私はそう言われていたのよ」
真紅の片手剣の柄に手をかけると、一気に引き抜いた。
「うぁッ!」
「あら?シャンテル、あなたまだ生きてたの?・・・あんがいしぶといのね?まぁいいわ、それならあなたから先に首を刎ねてあげる」
剣を引き抜かれた痛みでシャンテルがうめき声を上げると、赤い髪の女は意外そうに眼を開いたが、すぐに嬉しそうに真紅の片手剣を頭上に掲げた。
「さようなら、可哀そうなお人形さん」
目を細めて口元に笑みを浮かべると、赤い髪の女は真紅の片手剣を降り下ろした。
その女は赤い髪に赤い瞳、身に纏っている装備も全てが赤かったと言う。
赤い女を目にした時、リカルドはかつてない程の恐怖を感じるとともに、記憶を刺激するものがあった。
武器も含めて、全身赤い装備という極めて特徴的な出で立ち。
それはかつての戦争の歴史で、帝国の将として名前を残した女を思い起こさせた。
その名をセシリア・シールズ。
200年前の帝国軍、第一師団長だった女である。
火の精霊の加護を特に強く受けていた彼女は、他の誰にも無いセシリアだけの特異な能力を持っていた。
それは、自分と目を合わせた相手の体に、熱を送り込む事ができるというものだった。
これをくらった人間は、体の内側から焼かれるような熱に、満足に身動きがとれなくなる。
当然満足に戦う事などできるはずもなく、セシリアの刃の餌食となっていったのである。
しかしそのセシリアも、200年前の戦争で新庄弥生に敗れ、命を落とした。
セシリアの使用していた深紅の片手剣、血狂刃(ちきょうじん)も、その時に消滅したはずだった。
そう、セシリアもろとも、跡形もなくこの世界から消えたはずだった。
「う、うぅ・・・あ、熱い・・・い、息が・・・うぅ」
自分の体が抱えるあまりの熱量に耐えきれず、カチュアは砂の上に膝を着いた。
熱い・・・ただただ、体が熱い。それは真夏の陽射しに肌が焼かれるなんてものではない。
体の内側から発せられる熱がどんどん膨れ上がっていく。そして際限なく上昇していく熱は呼吸すら困難にし、意識を朦朧とさせた。
「うっ・・・はぁっ!はぁっ!・・・く、くる、しい・・・・・」
幼い頃に高熱を出して寝込んだ事を思い出した。
体中が熱く、動悸は早く、呼吸は荒く、視界はぼやけて、強い頭痛にただただ苦しかった。
あんなに苦しい思いはもう二度としたくない。
そう思っていたけれど・・・これは、あの時よりも・・・・・
体を起こしている事も辛くなり、砂の上に両手をついて握り締める。
今、倒れたら、多分もう起き上がれない・・・・・
視界がかすみ、意識が遠のきそうになる。いよいよ限界が来た時、カチュアに頭に影が降りた。
「うふふ・・・苦しそうね?どう、熱いでしょう?」
艶のある声が頭の上からかけられる。
それはとても嬉しそうで、とても楽しそうで、まるで新しい玩具を買ってもらったばかりの子供のようだった。
赤い女は今にも倒れそうなカチュアを見下ろしながら、クスクスと笑い声を漏らしている。
「う・・・はぁっ・・・はぁっ・・・・・あ、あつ、い・・・・・」
「そうよね?熱いわよね?このまま焼き殺してもいいんだけど、私の血狂刃(ちきょうじん)が血を吸いたがっているのよね。だから一思いに首を刎ねてあげるわ」
そう言って赤い髪の女は、倒れ伏しているシャンテル・ガードナーに目を向けた。
先ほど投げた真紅の片手剣は、背中から左胸を刺し貫いていた。致命傷なのは間違いないだろう。
傷口から流れ出る血液を吸った砂が、真っ赤に染まって広がっていた。
「ふふふ・・・シャンテル・ガードナー、皇帝のお気に入りだったのにね。でも、あなたが本心で従っていない事は明白だった。帝国に背を向ける事があれば殺せ、私はそう言われていたのよ」
真紅の片手剣の柄に手をかけると、一気に引き抜いた。
「うぁッ!」
「あら?シャンテル、あなたまだ生きてたの?・・・あんがいしぶといのね?まぁいいわ、それならあなたから先に首を刎ねてあげる」
剣を引き抜かれた痛みでシャンテルがうめき声を上げると、赤い髪の女は意外そうに眼を開いたが、すぐに嬉しそうに真紅の片手剣を頭上に掲げた。
「さようなら、可哀そうなお人形さん」
目を細めて口元に笑みを浮かべると、赤い髪の女は真紅の片手剣を降り下ろした。
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