異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1443 あきらめない精神

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「あぐっ!」

骨にまで響く痛みに、ヴァージニアは顔を歪めて歯を食いしばった。

たった一発、しかも拳があたる時には後ろに飛んで衝撃を弱めた。しかしそれでもアルバレスの拳を受けた両腕が、ビリビリと痺れて震える。たった一発で両腕が使い物にならなくなった。

「あ~、ちょっと浅かったか?ふん、すばしっこい女だ」

ザビル・アルバレスは、手応えを確認するように左の拳をぐっと握ると、後ろに跳んで自分から距離を取る青い髪の女戦士を目で追った。
もう少し深く入れば、腕をへし折っていただろう。しかし浅い打撃でも、ニメートルの巨体から繰り出す鋼鉄の拳は生身で受けきれるものではない。そこいらの剣や鈍器よりも、よほど恐ろしい凶器だろう。


「くそっ!」

ヴァージニアは痛みに顔を歪めながら、地面を後ろに蹴った。
樹に刺さった迅雷の刃を抜く暇もない。いや、例え刃を取り付けてもう一度撃ったとしても、結果は同じだろう。もうアルバレスに刃飛ばしは通用しない。答えは出ている。

眼球でさえ剣を止められたのだから、口の中も同じだろう。この男ザビル・アルバレスは、例外なく全身が鋼鉄なのだ。そして必殺の迅雷でもほぼ無傷となれば、もう打つ手は無い。

反撃の手立てが無い以上、ヴァージニアは逃げる事しかできない。そしてアルバレスは容赦なくヴァージニアに迫った!

「ふん、動きが遅くなってきたぞ?いつまで逃げれるかな?」

「ッ!」

横殴りに振るわれる右の拳を、腰を落として躱す。
青く長い髪が数本切られて宙に舞う。頭の上をかすめた強く重い風圧は、とても人の拳から発せられたものとは思えなかった。こんなもの一発でもまともにくらえばお終いだろう。

「オラァッ!」

屈んだヴァージニアの顔面を目掛けて、アルバレスが右の足を蹴り上げる!
後ろへ跳んでは到底間に合わない。防御は不可能。ならばどうする?生き残るためにはこの蹴りを躱すしかないのだ。

ヴァージニアはあえて前に出た。
前回りの要領で頭から倒れ込むようにして体を回し、顔を反らしてギリギリの間隔でアルバレスの蹴りを躱した。
蹴りの軌道を見極め、危険でも唯一の活路へ飛び込む。追い詰められながらも、ヴァージニアは生き残るために全力を尽くしていた。

「ッ!ハァッ、ハァッ」

微かに触れた爪先が頬を切ったのか、赤い血が飛び散ったが、そんな痛みなど気にかけている余裕はない。極限の緊張から呼吸も乱れるが、一瞬も止まらずに地面を蹴ってアルバレスから距離を取った。

「チッ!まだねばるのかよ!いい加減に面倒くさくなってきたぞ、もう諦めろよ!」

今の蹴りで終わると思っていただけに、アルバレスは苛立ちをあらわにした。

ヴァージニアはアルバレスが考えている以上にあがいた。
泥を被ろうが、転げまわろうが、どれだけ見栄えが悪くても、ヴァージニアは逃げ回り続けた。

死に対する恐怖は当然ある。生きたくてもがいた。しかしそれだけではない。

ヴァージニアは諦めていなかった。
震える程の恐怖を感じても、まだ勝利を諦めていなかった。

魔道剣士として勝つ事はできなくても、ロンズデールとして勝つ事はできるはず。
きっと来る、絶対に来る、援軍が・・・ロンズデール軍がきっとここに来るはずだから!


「ハァッ、ハァッ、私は・・・絶対にあきらめ・・・ッ!?」

樹木を走り抜けていたヴァージニアだったが、突然空か降って来た巨木に慌てて足を止めた。
何が起きたのか一瞬理解できなかった。なんでいきなり巨木が降ってくる?
そう頭に疑問が浮かんだ次の瞬間、二本目、三本目の巨木がたて続けに降って来た。そうして大地を揺らしながら積もった巨木は、ヴァージニアの目の前に立ち塞がる壁となった。

巻き上げる土煙に口を押えて眉をしかめると、後ろからかけられたニヤついた声が耳に届いた。

「ふはははは、どうだ?これでもう逃げられねぇぞ?いい加減にあきらめろ」

「くっ!ア、アルバレス・・・お前、まさかお前がこれを!?」

まさかこの一本一本を投げたと言うのか?この巨木はどれも、成人男性が両腕を広げても、まったく足りない程の幅の広さだ。
それをいったいどうやって投げたというのだ?アルバレスはここまで武器や魔道具の類は一切使っていない。まさか単純な腕力だけで投げたというのか!?そんな事が可能なのか!?


「俺はこの鋼鉄の体を手に入れた事で、体力型の頂点に上り詰めた。てめぇの常識で測るんじゃねぇ」

ヴァージニアの思考を読んだかのように冷たく答えると、アルバレスはすっと右手を伸ばした。
この手に掴まれば、今度こそお終いだろう。

逃げ場はない。反撃の手立てもない。両腕にはまだ痺れが残っている。ヴァージニアには、もうできる事は何も無かった。

「手間かけさせやがって、捻り潰してやる」

「くッ・・・!」

一か八か、アルバレスに背を向けて、後ろに積み重なった巨木を飛び越えようとしたその時、ヴァージニアの頭上に影が下りた。

「アルバレスーーーーーーッツ!」

その声に反応したヴァージニアとアルバレスが同時に顔を上げると、そこには赤茶色の髪をツンツンに立てた小柄な黒魔法使い、アドニス・アブシードが空中に立っていた。

「爆裂空破弾!」

アドニスは間髪入れずに、アルバレスに破壊のエネルギー弾を撃ち放った!
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