異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1474 国を愛するがゆえの戦い

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東のセインソルボ山を攻略したロンズデール軍、現在指揮をとっているのは、青魔法使いのニール・グラテノールだった。

赤みがかった砂の上に置いた写しの鏡には、まだ魔力の残り香が感じられる。
つい今しがたまで、クインズベリー軍のカルロス・フォスターと通信を行っていたのだが、帝国首都ベアナクールを覆う闇に対しての、対処方法を話し合っていたのだ。


「あの闇をなんとかできるって?・・・クインズベリーは人材が豊富だな」

話し合いを終えたニールの背中に声をかけたのは、元魔導剣士隊隊長だった男、ラミール・カーンである。砂に刺した大剣の柄に肘を着きながら、ここまでのやりとりを黙って見ていたのだ。

「カーン・・・ああ、そうだな。どうしたものかと悩んでいたところだったけど、まさかあの闇への対抗手段を持っているとは思わなかったよ」

ニールは両手を握り合わせると、ぐいっと手の平を空に向かって伸ばす。
背筋から筋肉をほぐすと、大きく息をついた。

「ふ~・・・あっちのお偉いさんとは、ずっとマレスが連絡をとりあっていたからな、さすがにちょっと緊張したよ」

やれやれと眉を下げて笑うニールを見て、ラミール・カーンは目を細めた。

「まぁ、お前がやるしかねぇだろう。俺はクインズベリーの人間と、クルーズ船で戦ってるから無理だ。ソフィアは実力はあるが軍人じゃねぇ。部隊長クラスで能力のあるヤツを補佐につければ、なんとかなるだろうよ」

カーンの言葉を聞いて、ニールは、そうだな、とだけ短く答えて肩をすくめた。


「それで、アタシらはクインズリーからの合図があるまで、ここで待機してればいいって事?」

横から口を挟んだのは、たった今カーンがその名を口した、ソフィア・ラルチネーゼだった。
赤茶色の砂の上であぐらをかき、膝を台替わりに右腕を立てて頬杖を着いている。

「ああ、そういう事だな。残念ながら俺達には、あの闇をどうにかする術がない。だけどクインズベリー軍には対抗手段があるって事だから、その結果を待つだけだ」

「ふ~ん・・・」

ニールの返答を聞いたソフィアは、首を回してソレに目を向けた。

「・・・アレをどうにかできるって?クインズベリーってすごいんだね」

ソフィアの視線の先には、今まさに話していた帝国首都を覆う闇が映っていた。
まだ1キロ程の距離はある。だが首都全体を覆う程の巨大な闇なのだ。これだけ離れていても、何とも言えない嫌な気配が肌に感じられて、ソフィアは眉を潜めた。

「そうだな、とにかく俺達は待つしかない。だから今のうちに体を休めておいてくれ。あっちで待機してる部下達にも休むように言ってくる」

そう結論付けると、ニールは少し距離をとって整列している兵達の元に向かって行った。

「・・・なんだかんだ、仕切ってるじゃん」

ニールの後ろ姿を見つめ、ソフィアが一人ちる。

「元々この隊の副長だったんだ、能力はある。だが少し気を張り過ぎだな。あのままじゃ危ないぞ」

ソフィアの一人言を拾って、カーンが言葉を返す。カーンも視線はニールの背中に向けたままで、ソフィアには視線の一つも送らない。

「・・・マレスの分も自分がって、なってるのかもね。責任感が強過ぎるのかな?・・・しかたないなぁ」

ソフィアは砂を払いながら腰を上げると、チラリとカーンに目を向けた。

「休めって言われてもこれじゃ休めないって。アタシちょっと行ってくるわ、少しはサポートしてあげようじゃない。あんたもちょっとは動きなよ?戦闘だけやってりゃいいってもんじゃないからね?」

カーンの顔に、ピッと右手の人差し指を向けると、ソフィアは小走りでニールの後を追って行った。



一人残されたカーンだったが、ソフィアの言葉通りに動こうとはしなかった。
国との取り引きで、戦闘に参加する代わりに釈放されたわけだから、当然戦いには参加する。
しかし戦闘以外でどう動くかは自分で決める。

ニールの負担を減らすために、ソフィアのように手を貸す気はなかった。馴れ合うつもりはない。
この戦いが終わったらロンズデールを出て行く。所詮それまでの付き合いなのだから。

カーンは大剣を引き抜いて背中に差すと、首都ベアナクールにあらためて顔を向けた。


「・・・一度は国を裏切った俺が、またロンズデールのために戦う事になるとはな」

砂に刺していた大剣を引き抜くと、切っ先を帝国に向けた。


「国のため、民のため、そんな事を言う資格は俺にはねぇ。俺は俺のために帝国をぶっ潰してやるよ」


正義感ではない。恨みでも憎しみでもない。
ではなんのために戦うのか?カーンがそれを上手く言葉にする事はできない。

だがカーンがロンズデールを帝国に売ろうとしたのは、美しいロンズデールを戦火にさらさずに護るためであった。

自分自身のために戦う。それもやはり、国を愛するがゆえの戦いだった。
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