異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
1,497 / 1,560

1496 交代

しおりを挟む
「あれは・・・レイマート、その技を使う程の敵か」

少し離れた場所で、強く大きな光が発せられるところを見て、レイチェルはそれがレイマートの闘気である事を察した。そしてレイマートがあれほどの闘気を使うのは、必殺のレオンクローしかない。


「戦闘中によそ見とは余裕だなぁぁぁ!」

レイチェルを取り囲んでいた帝国兵の男が、振り被った剣をレイチェルの頭に振り下ろした!

「ッ!?」

しかし刃がレイチェルの頭に届く前に、刀身は真っ二つに斬り飛ばされ、斬られた剣先はくるくると回りながら地面に突き刺さった。

「そうだな、戦闘中によそ見はよくない。だが貴様程度ならば余裕というのも事実だ」

左手に持つダガーナイフを、顔の前で回して逆手に握り直す。
レイチェルは自身に振り下ろされた剣を、閃光を思わせる一瞬で斬り飛ばしたのだ。

ナイフを振るう腕の残像さえ、目で追う事ができなかった帝国兵には、何が起きたのかまるで理解できなかった。

「な、なぁぁぁぁッッッ・・・ブフッ!?」

「うるさい、もう黙れ」

右手に握るナイフで帝国兵の首を斬り裂くと、レイチェルは再び周囲を見回し、戦況を確認した。


・・・騎士団と軍の兵達は若干押されているな、だがミゼル、リカルド、ユーリ、ケイトがうまくカバーに入って被害を抑えている。

私が単身で敵地に攻め込むから、レイジェスの指揮はミゼルに任せたが、うまくやっているようだな。

ミゼルは優柔不断なところがあるから、普段はいまいち頼りないけどやる時はやる男だ。
それとケイト、店長との修行の成果だな。結界の範囲も大きくなって、防御力も上がっている。
敵の中級黒魔法を完全に防いでいる。頼もしい限りだ。

そしてリカルドとユーリ、二人の連携は絶妙だ。
魔道具膂力のベルトを使い、ユーリが前に出て帝国兵を叩く。その後ろからリカルドが弓で援護射撃を送る。セオリー通りの戦い方だが、息がピッタリだ。

そしてリカルドが完全にユーリのフォローに回っている。敵の急所だけを狙うのではなく、足を射抜き動きを止め、腕を射抜いて武器を落とさせる。あれならユーリは攻撃に集中できる。
いつの間にあそこまで連携がとれるようになったのか・・・喧嘩ばかりしているようで、なんだかんだお互いを分かっているじゃないか。


「・・・心配する必要はなさそうだな、っと」

眼前に迫る氷の槍、刺氷弾を、上半身を逸らして躱すと、背後から剣を掲げた何人もの帝国兵が、一斉に飛び掛かって来る!

「今だ!」
「死ねぇぇぇーーーーーッツ!」

怒声とともに銀色に光る何本もの剣が、レイチェルの頭、首、体を目掛けて振り下ろされる!

「ふん」

上半身をのけ反らしたこの体勢では、回避も反撃も難しい。そう思ったか?
普通ならそうかもな、だがそれが分からないで、こんな躱し方をしたと思ったか?

あまり私を・・・

「なめるな!」

後転するように体を後ろに倒して両手を地面に着ける。そして肘を曲げると、反動をつけて両手で地面を弾き飛び上がった!

「ダラァァァァァーーーーーーーーッツ!」

振り下ろされた刃を蹴りつける!本来ならば刃に足を当てれば、足が斬られるだろう。しかしレイチェルの蹴りは刃を木っ端みじんに蹴り砕いた!

「なにぃぃぃぃぃーーーーーーッツ!?」

「フッ!」

逆立ちのまま腰を捻り、両足を広げて振り回す!
それは荒ぶる風を思わせるような、激しい蹴りの嵐だった。振り下ろされた剣も斧も粉砕し、敵の顎を砕き、胸を潰し、一撃で戦闘不能に追い込む!

「け、剣を蹴りで!?」
「な、なんだこの女!?」

手の付けようがないレイチェルの怒涛の足技に、帝国兵達は成す術もなく倒されていった。

「よっと」

帝国兵達の足が止まったところで、レイチェルは体を縦に回して両足で砂の上に着地をした。

「・・・数は多いんだよね、数は」


こいつら、倒しても倒しても次から次にわいて出てくる。
まぁそれもそうか、ここは帝国の首都、敵地真っただ中だ。数千人程度に見えたが、それだけのはずがない。敵は大陸一の軍事国家ブロートン帝国だ、いくらでも補充ができるに決まっている。


「ふぅ・・・いくぞ!」

気を入れると砂を蹴り、私は再び帝国軍に向かって駆けた!


レイマート、お前がレオンクローを使う程の相手なら、相手は幹部クラスなのだろう。
悪いがこの状況では加勢にはいけそうにない。
だがお前はゴールド騎士だ、こんなところで敵に遅れなどとらないと信じている。

私は私の前に並ぶこいつらを叩きのめす!


「ハァァァァァーーーーーーーッツ!」


レイチェルが両手に握るダガーナイフを一閃すると、目の前に立つ帝国兵の首が刎ね落ちた。






「ぐぬッ!くそが!」

フランジミール・クリチコの胸元を、光り輝くオーラの爪がかすめる!
深紅の鎧は抉られ、破片が弾け飛ぶ。

「ハァッ!」

闘気を纏った左手を振り抜くと、レイマートはそのまま体を右に回し、左足でクリチコの右脇腹に蹴りを叩き込んだ!

「ぐぁッッ!」

まともにくらったクリチコは砂の上に倒される。だが即座に起き上がり、地面を蹴って後ろに跳び、レイマートから距離を取った。

「ハァッ、ハァッ・・・ペッ、この騎士野郎が!てめぇ、その手はなんだ?」

口に溜まった唾液まじりの血を吐き捨てると、クリチコはギロリとレイマートを睨みつける。

「闘気の爪、レオンクローだ。物を固定するって能力も、さすがに闘気まではできないようだな?」

レオンクローを一目で防御不可能だと見抜いたクリチコは、回避に徹する事を余儀なくされた。
しかしレオンクローを避けても、続けて繰り出される蹴りによって、クリチコは大きく削られていた。

「闘気だ?ああ、その光の事か?なるほどなぁ・・・確かに俺の固定する力は、煙や光なんてのまではくっつけられねぇ。チッ、面倒くせぇ力だぜ」

「お前は不自然なくらい腕力が強い、そしてその物を固定する能力、気を付けるべきはその二点だ。だが俺の体術はお前より上だ、そしてこのレオンクローは防げない。つまりお前は俺に勝てない。この戦いは俺の勝ちだ」

忌々し気に吐き捨てるクリチコに、レイマートは表情を変えずに淡々と言葉を返した。

右腕の痺れは取れてきたが、まだうまく力が入らない。そのため左手一本で戦うしかない。おおきなハンデではあったが、レオンクローの凄まじい破壊力が牽制となり、クリチコはうまく攻勢にでる事ができなかった。そしてレイマートが言う通り、体術でレイマートがクリチコを上回っているため、片手でもうまく立ち回る事ができたのだ。

戦力の分析は済んだ。あとはこのまま詰めていけば勝てる。
レイマートが勝利をほぼ確信したその時だった。


「チッ・・・あ~あ、面倒くせぇ、おい、こいつ俺とは相性悪ぃわ、誰か変わってくれよ」

フランジミール・クリチコは顔を少し右上に向けると、まるで誰かそこにいるかのにように、上を見ながら一人で話し出した。

「は?・・・なんだ?お前、誰と話している?」

戦闘中の突然の奇行に、レイマートは訳も分からず怪訝な顔でクリチコを見るが、クリチコはまったく意に介さずに話しを続ける。

この隙に攻撃ができなかったわけではない。しかし異様な光景を目の当たりにして、攻める気持ちよりも警戒が勝った。

そして・・・・・

「・・・ああ、そうだな・・・分かった、じゃあ後は頼むぜ」

レイマートが立ち尽くす中、クリチコは話しを終えた。

「・・・お前、いったいなんだ?誰と話しをしていたんだ?」

「・・・・・」

話しを終えたクリチコはゆっくりと顔を上げた。
レイマートが言葉をかけるが、聞こえていないのか、会話をする気がないか、まったく何も反応を見せない。

顔を上げたまま指の一本も動かさず、直立不動で空を見上げる姿は、戦いの場において理解できるものではなかった。

「・・・ふん、もういい。何をしたいのか分からんが、死ぬまでそうしていろ」

クリチコの奇行にいい加減に苛立ちが募ったレイマートは、左の闘気の爪を構え、地面を蹴って跳びかかろうとした。

その時だった。


「・・・お待たせしました。ここからは僕がお相手します」


見上げていた顔を戻したクリチコの表情は、さっきまでの剥き出しの敵意が嘘のように、にこやかに笑っていた。
声も口調もガラリと変わっていて、一瞬にして別人になってしまったかのようだった。


「なっ!?・・・お、前・・・?」

戸惑いを見せるレイマートに、クリチコは笑顔のまま答えた。


「あ、ご挨拶がまだでしたね。僕の名前はプレフ。フランジミール・クリチコの中に住む、人格の一人です」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅
ファンタジー
 事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。  しかも王子だって!?  けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。  助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。  以前、投稿していた作品を加筆修正しています。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...