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1496 交代
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「あれは・・・レイマート、その技を使う程の敵か」
少し離れた場所で、強く大きな光が発せられるところを見て、レイチェルはそれがレイマートの闘気である事を察した。そしてレイマートがあれほどの闘気を使うのは、必殺のレオンクローしかない。
「戦闘中によそ見とは余裕だなぁぁぁ!」
レイチェルを取り囲んでいた帝国兵の男が、振り被った剣をレイチェルの頭に振り下ろした!
「ッ!?」
しかし刃がレイチェルの頭に届く前に、刀身は真っ二つに斬り飛ばされ、斬られた剣先はくるくると回りながら地面に突き刺さった。
「そうだな、戦闘中によそ見はよくない。だが貴様程度ならば余裕というのも事実だ」
左手に持つダガーナイフを、顔の前で回して逆手に握り直す。
レイチェルは自身に振り下ろされた剣を、閃光を思わせる一瞬で斬り飛ばしたのだ。
ナイフを振るう腕の残像さえ、目で追う事ができなかった帝国兵には、何が起きたのかまるで理解できなかった。
「な、なぁぁぁぁッッッ・・・ブフッ!?」
「うるさい、もう黙れ」
右手に握るナイフで帝国兵の首を斬り裂くと、レイチェルは再び周囲を見回し、戦況を確認した。
・・・騎士団と軍の兵達は若干押されているな、だがミゼル、リカルド、ユーリ、ケイトがうまくカバーに入って被害を抑えている。
私が単身で敵地に攻め込むから、レイジェスの指揮はミゼルに任せたが、うまくやっているようだな。
ミゼルは優柔不断なところがあるから、普段はいまいち頼りないけどやる時はやる男だ。
それとケイト、店長との修行の成果だな。結界の範囲も大きくなって、防御力も上がっている。
敵の中級黒魔法を完全に防いでいる。頼もしい限りだ。
そしてリカルドとユーリ、二人の連携は絶妙だ。
魔道具膂力のベルトを使い、ユーリが前に出て帝国兵を叩く。その後ろからリカルドが弓で援護射撃を送る。セオリー通りの戦い方だが、息がピッタリだ。
そしてリカルドが完全にユーリのフォローに回っている。敵の急所だけを狙うのではなく、足を射抜き動きを止め、腕を射抜いて武器を落とさせる。あれならユーリは攻撃に集中できる。
いつの間にあそこまで連携がとれるようになったのか・・・喧嘩ばかりしているようで、なんだかんだお互いを分かっているじゃないか。
「・・・心配する必要はなさそうだな、っと」
眼前に迫る氷の槍、刺氷弾を、上半身を逸らして躱すと、背後から剣を掲げた何人もの帝国兵が、一斉に飛び掛かって来る!
「今だ!」
「死ねぇぇぇーーーーーッツ!」
怒声とともに銀色に光る何本もの剣が、レイチェルの頭、首、体を目掛けて振り下ろされる!
「ふん」
上半身をのけ反らしたこの体勢では、回避も反撃も難しい。そう思ったか?
普通ならそうかもな、だがそれが分からないで、こんな躱し方をしたと思ったか?
あまり私を・・・
「なめるな!」
後転するように体を後ろに倒して両手を地面に着ける。そして肘を曲げると、反動をつけて両手で地面を弾き飛び上がった!
「ダラァァァァァーーーーーーーーッツ!」
振り下ろされた刃を蹴りつける!本来ならば刃に足を当てれば、足が斬られるだろう。しかしレイチェルの蹴りは刃を木っ端みじんに蹴り砕いた!
「なにぃぃぃぃぃーーーーーーッツ!?」
「フッ!」
逆立ちのまま腰を捻り、両足を広げて振り回す!
それは荒ぶる風を思わせるような、激しい蹴りの嵐だった。振り下ろされた剣も斧も粉砕し、敵の顎を砕き、胸を潰し、一撃で戦闘不能に追い込む!
「け、剣を蹴りで!?」
「な、なんだこの女!?」
手の付けようがないレイチェルの怒涛の足技に、帝国兵達は成す術もなく倒されていった。
「よっと」
帝国兵達の足が止まったところで、レイチェルは体を縦に回して両足で砂の上に着地をした。
「・・・数は多いんだよね、数は」
こいつら、倒しても倒しても次から次にわいて出てくる。
まぁそれもそうか、ここは帝国の首都、敵地真っただ中だ。数千人程度に見えたが、それだけのはずがない。敵は大陸一の軍事国家ブロートン帝国だ、いくらでも補充ができるに決まっている。
「ふぅ・・・いくぞ!」
気を入れると砂を蹴り、私は再び帝国軍に向かって駆けた!
レイマート、お前がレオンクローを使う程の相手なら、相手は幹部クラスなのだろう。
悪いがこの状況では加勢にはいけそうにない。
だがお前はゴールド騎士だ、こんなところで敵に遅れなどとらないと信じている。
私は私の前に並ぶこいつらを叩きのめす!
「ハァァァァァーーーーーーーッツ!」
レイチェルが両手に握るダガーナイフを一閃すると、目の前に立つ帝国兵の首が刎ね落ちた。
「ぐぬッ!くそが!」
フランジミール・クリチコの胸元を、光り輝くオーラの爪がかすめる!
深紅の鎧は抉られ、破片が弾け飛ぶ。
「ハァッ!」
闘気を纏った左手を振り抜くと、レイマートはそのまま体を右に回し、左足でクリチコの右脇腹に蹴りを叩き込んだ!
「ぐぁッッ!」
まともにくらったクリチコは砂の上に倒される。だが即座に起き上がり、地面を蹴って後ろに跳び、レイマートから距離を取った。
「ハァッ、ハァッ・・・ペッ、この騎士野郎が!てめぇ、その手はなんだ?」
口に溜まった唾液まじりの血を吐き捨てると、クリチコはギロリとレイマートを睨みつける。
「闘気の爪、レオンクローだ。物を固定するって能力も、さすがに闘気まではできないようだな?」
レオンクローを一目で防御不可能だと見抜いたクリチコは、回避に徹する事を余儀なくされた。
しかしレオンクローを避けても、続けて繰り出される蹴りによって、クリチコは大きく削られていた。
「闘気だ?ああ、その光の事か?なるほどなぁ・・・確かに俺の固定する力は、煙や光なんてのまではくっつけられねぇ。チッ、面倒くせぇ力だぜ」
「お前は不自然なくらい腕力が強い、そしてその物を固定する能力、気を付けるべきはその二点だ。だが俺の体術はお前より上だ、そしてこのレオンクローは防げない。つまりお前は俺に勝てない。この戦いは俺の勝ちだ」
忌々し気に吐き捨てるクリチコに、レイマートは表情を変えずに淡々と言葉を返した。
右腕の痺れは取れてきたが、まだうまく力が入らない。そのため左手一本で戦うしかない。おおきなハンデではあったが、レオンクローの凄まじい破壊力が牽制となり、クリチコはうまく攻勢にでる事ができなかった。そしてレイマートが言う通り、体術でレイマートがクリチコを上回っているため、片手でもうまく立ち回る事ができたのだ。
戦力の分析は済んだ。あとはこのまま詰めていけば勝てる。
レイマートが勝利をほぼ確信したその時だった。
「チッ・・・あ~あ、面倒くせぇ、おい、こいつ俺とは相性悪ぃわ、誰か変わってくれよ」
フランジミール・クリチコは顔を少し右上に向けると、まるで誰かそこにいるかのにように、上を見ながら一人で話し出した。
「は?・・・なんだ?お前、誰と話している?」
戦闘中の突然の奇行に、レイマートは訳も分からず怪訝な顔でクリチコを見るが、クリチコはまったく意に介さずに話しを続ける。
この隙に攻撃ができなかったわけではない。しかし異様な光景を目の当たりにして、攻める気持ちよりも警戒が勝った。
そして・・・・・
「・・・ああ、そうだな・・・分かった、じゃあ後は頼むぜ」
レイマートが立ち尽くす中、クリチコは話しを終えた。
「・・・お前、いったいなんだ?誰と話しをしていたんだ?」
「・・・・・」
話しを終えたクリチコはゆっくりと顔を上げた。
レイマートが言葉をかけるが、聞こえていないのか、会話をする気がないか、まったく何も反応を見せない。
顔を上げたまま指の一本も動かさず、直立不動で空を見上げる姿は、戦いの場において理解できるものではなかった。
「・・・ふん、もういい。何をしたいのか分からんが、死ぬまでそうしていろ」
クリチコの奇行にいい加減に苛立ちが募ったレイマートは、左の闘気の爪を構え、地面を蹴って跳びかかろうとした。
その時だった。
「・・・お待たせしました。ここからは僕がお相手します」
見上げていた顔を戻したクリチコの表情は、さっきまでの剥き出しの敵意が嘘のように、にこやかに笑っていた。
声も口調もガラリと変わっていて、一瞬にして別人になってしまったかのようだった。
「なっ!?・・・お、前・・・?」
戸惑いを見せるレイマートに、クリチコは笑顔のまま答えた。
「あ、ご挨拶がまだでしたね。僕の名前はプレフ。フランジミール・クリチコの中に住む、人格の一人です」
少し離れた場所で、強く大きな光が発せられるところを見て、レイチェルはそれがレイマートの闘気である事を察した。そしてレイマートがあれほどの闘気を使うのは、必殺のレオンクローしかない。
「戦闘中によそ見とは余裕だなぁぁぁ!」
レイチェルを取り囲んでいた帝国兵の男が、振り被った剣をレイチェルの頭に振り下ろした!
「ッ!?」
しかし刃がレイチェルの頭に届く前に、刀身は真っ二つに斬り飛ばされ、斬られた剣先はくるくると回りながら地面に突き刺さった。
「そうだな、戦闘中によそ見はよくない。だが貴様程度ならば余裕というのも事実だ」
左手に持つダガーナイフを、顔の前で回して逆手に握り直す。
レイチェルは自身に振り下ろされた剣を、閃光を思わせる一瞬で斬り飛ばしたのだ。
ナイフを振るう腕の残像さえ、目で追う事ができなかった帝国兵には、何が起きたのかまるで理解できなかった。
「な、なぁぁぁぁッッッ・・・ブフッ!?」
「うるさい、もう黙れ」
右手に握るナイフで帝国兵の首を斬り裂くと、レイチェルは再び周囲を見回し、戦況を確認した。
・・・騎士団と軍の兵達は若干押されているな、だがミゼル、リカルド、ユーリ、ケイトがうまくカバーに入って被害を抑えている。
私が単身で敵地に攻め込むから、レイジェスの指揮はミゼルに任せたが、うまくやっているようだな。
ミゼルは優柔不断なところがあるから、普段はいまいち頼りないけどやる時はやる男だ。
それとケイト、店長との修行の成果だな。結界の範囲も大きくなって、防御力も上がっている。
敵の中級黒魔法を完全に防いでいる。頼もしい限りだ。
そしてリカルドとユーリ、二人の連携は絶妙だ。
魔道具膂力のベルトを使い、ユーリが前に出て帝国兵を叩く。その後ろからリカルドが弓で援護射撃を送る。セオリー通りの戦い方だが、息がピッタリだ。
そしてリカルドが完全にユーリのフォローに回っている。敵の急所だけを狙うのではなく、足を射抜き動きを止め、腕を射抜いて武器を落とさせる。あれならユーリは攻撃に集中できる。
いつの間にあそこまで連携がとれるようになったのか・・・喧嘩ばかりしているようで、なんだかんだお互いを分かっているじゃないか。
「・・・心配する必要はなさそうだな、っと」
眼前に迫る氷の槍、刺氷弾を、上半身を逸らして躱すと、背後から剣を掲げた何人もの帝国兵が、一斉に飛び掛かって来る!
「今だ!」
「死ねぇぇぇーーーーーッツ!」
怒声とともに銀色に光る何本もの剣が、レイチェルの頭、首、体を目掛けて振り下ろされる!
「ふん」
上半身をのけ反らしたこの体勢では、回避も反撃も難しい。そう思ったか?
普通ならそうかもな、だがそれが分からないで、こんな躱し方をしたと思ったか?
あまり私を・・・
「なめるな!」
後転するように体を後ろに倒して両手を地面に着ける。そして肘を曲げると、反動をつけて両手で地面を弾き飛び上がった!
「ダラァァァァァーーーーーーーーッツ!」
振り下ろされた刃を蹴りつける!本来ならば刃に足を当てれば、足が斬られるだろう。しかしレイチェルの蹴りは刃を木っ端みじんに蹴り砕いた!
「なにぃぃぃぃぃーーーーーーッツ!?」
「フッ!」
逆立ちのまま腰を捻り、両足を広げて振り回す!
それは荒ぶる風を思わせるような、激しい蹴りの嵐だった。振り下ろされた剣も斧も粉砕し、敵の顎を砕き、胸を潰し、一撃で戦闘不能に追い込む!
「け、剣を蹴りで!?」
「な、なんだこの女!?」
手の付けようがないレイチェルの怒涛の足技に、帝国兵達は成す術もなく倒されていった。
「よっと」
帝国兵達の足が止まったところで、レイチェルは体を縦に回して両足で砂の上に着地をした。
「・・・数は多いんだよね、数は」
こいつら、倒しても倒しても次から次にわいて出てくる。
まぁそれもそうか、ここは帝国の首都、敵地真っただ中だ。数千人程度に見えたが、それだけのはずがない。敵は大陸一の軍事国家ブロートン帝国だ、いくらでも補充ができるに決まっている。
「ふぅ・・・いくぞ!」
気を入れると砂を蹴り、私は再び帝国軍に向かって駆けた!
レイマート、お前がレオンクローを使う程の相手なら、相手は幹部クラスなのだろう。
悪いがこの状況では加勢にはいけそうにない。
だがお前はゴールド騎士だ、こんなところで敵に遅れなどとらないと信じている。
私は私の前に並ぶこいつらを叩きのめす!
「ハァァァァァーーーーーーーッツ!」
レイチェルが両手に握るダガーナイフを一閃すると、目の前に立つ帝国兵の首が刎ね落ちた。
「ぐぬッ!くそが!」
フランジミール・クリチコの胸元を、光り輝くオーラの爪がかすめる!
深紅の鎧は抉られ、破片が弾け飛ぶ。
「ハァッ!」
闘気を纏った左手を振り抜くと、レイマートはそのまま体を右に回し、左足でクリチコの右脇腹に蹴りを叩き込んだ!
「ぐぁッッ!」
まともにくらったクリチコは砂の上に倒される。だが即座に起き上がり、地面を蹴って後ろに跳び、レイマートから距離を取った。
「ハァッ、ハァッ・・・ペッ、この騎士野郎が!てめぇ、その手はなんだ?」
口に溜まった唾液まじりの血を吐き捨てると、クリチコはギロリとレイマートを睨みつける。
「闘気の爪、レオンクローだ。物を固定するって能力も、さすがに闘気まではできないようだな?」
レオンクローを一目で防御不可能だと見抜いたクリチコは、回避に徹する事を余儀なくされた。
しかしレオンクローを避けても、続けて繰り出される蹴りによって、クリチコは大きく削られていた。
「闘気だ?ああ、その光の事か?なるほどなぁ・・・確かに俺の固定する力は、煙や光なんてのまではくっつけられねぇ。チッ、面倒くせぇ力だぜ」
「お前は不自然なくらい腕力が強い、そしてその物を固定する能力、気を付けるべきはその二点だ。だが俺の体術はお前より上だ、そしてこのレオンクローは防げない。つまりお前は俺に勝てない。この戦いは俺の勝ちだ」
忌々し気に吐き捨てるクリチコに、レイマートは表情を変えずに淡々と言葉を返した。
右腕の痺れは取れてきたが、まだうまく力が入らない。そのため左手一本で戦うしかない。おおきなハンデではあったが、レオンクローの凄まじい破壊力が牽制となり、クリチコはうまく攻勢にでる事ができなかった。そしてレイマートが言う通り、体術でレイマートがクリチコを上回っているため、片手でもうまく立ち回る事ができたのだ。
戦力の分析は済んだ。あとはこのまま詰めていけば勝てる。
レイマートが勝利をほぼ確信したその時だった。
「チッ・・・あ~あ、面倒くせぇ、おい、こいつ俺とは相性悪ぃわ、誰か変わってくれよ」
フランジミール・クリチコは顔を少し右上に向けると、まるで誰かそこにいるかのにように、上を見ながら一人で話し出した。
「は?・・・なんだ?お前、誰と話している?」
戦闘中の突然の奇行に、レイマートは訳も分からず怪訝な顔でクリチコを見るが、クリチコはまったく意に介さずに話しを続ける。
この隙に攻撃ができなかったわけではない。しかし異様な光景を目の当たりにして、攻める気持ちよりも警戒が勝った。
そして・・・・・
「・・・ああ、そうだな・・・分かった、じゃあ後は頼むぜ」
レイマートが立ち尽くす中、クリチコは話しを終えた。
「・・・お前、いったいなんだ?誰と話しをしていたんだ?」
「・・・・・」
話しを終えたクリチコはゆっくりと顔を上げた。
レイマートが言葉をかけるが、聞こえていないのか、会話をする気がないか、まったく何も反応を見せない。
顔を上げたまま指の一本も動かさず、直立不動で空を見上げる姿は、戦いの場において理解できるものではなかった。
「・・・ふん、もういい。何をしたいのか分からんが、死ぬまでそうしていろ」
クリチコの奇行にいい加減に苛立ちが募ったレイマートは、左の闘気の爪を構え、地面を蹴って跳びかかろうとした。
その時だった。
「・・・お待たせしました。ここからは僕がお相手します」
見上げていた顔を戻したクリチコの表情は、さっきまでの剥き出しの敵意が嘘のように、にこやかに笑っていた。
声も口調もガラリと変わっていて、一瞬にして別人になってしまったかのようだった。
「なっ!?・・・お、前・・・?」
戸惑いを見せるレイマートに、クリチコは笑顔のまま答えた。
「あ、ご挨拶がまだでしたね。僕の名前はプレフ。フランジミール・クリチコの中に住む、人格の一人です」
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