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22 友の恋愛感
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「おい!なんで僧侶は俺の誘いを断んだよ!」
一度、酔った勢いで友が俺に悪がらみしてきた事がある。
この頃には普通に話すようになっていたが、あくまで旅に必要な事と、食事中のどうでもいい世話話し程度の事でだ。
俺は雪女の件を忘れたわけでも、許したわけでもない。
当然、親切に相談に乗る義理は無い。だが、パーティの雰囲気を考えれば、今のまとまっている関係を壊すわけにはいかない。
だから当たり障りなく、だけど見込みがない事だけはキッチリ伝える事にした。
「僧侶がお前に、恋愛感情が無いとは考えないのか?」
「そんな訳ねぇだろ!いっつも俺にニコニコ話しかけてくんだぞ!」
「戦いで活躍した者を称賛するのは普通だと思うがな。僧侶がお前をよく褒めるのは知っているが、それはお前が活躍しているからで、それを労ってのものだと思うぞ」
「それだけの訳ねぇだろ!いっつも俺にだけ笑顔見せてくんだぞ!お前が魔物を倒してもお前のとこには行かねぇじゃねぇか!」
「俺のところには魔法使いが来るからな。だからじゃないのか?」
「食事の時だって、一番最初に俺に取り分けるじゃねぇか!」
「俺の分は魔法使いが取ってくれるからな。僧侶は勇者であるお前を立てて取り分けてくれてるだけで、他意はないんじゃないのか?」
「お前舐めてんのか!?あぁ!?」
「舐めてなどいない。俺の率直な感想だ。落ち着いて考えてみろ。一度でも僧侶からデートに誘われたりしたのか?男女関係につながるような、それらしい言動はあったのか?」
俺がそう問い詰めると勇者は、くっ!と苦虫を噛み潰したような顔で口ごもった。
つまり無いのだ。
見ていれば分かるし、たまに魔法使い経由でそういう話しを聞いていたから、そうだろうなと思ってはいた。
「そ、そんなの照れてるだけじゃねぇか・・・普通男から誘うもんだろ?恥じらってるだけなんだよ・・・」
おい、声がどんどん小さくなってるぞ。
酔いも醒めてきたのか?
このまま勇者のプライドを粉々にするくらいの言葉責めにする事はできる。
だけど、今は喧嘩をするつもりも、パーティの雰囲気を悪くするつもりもない。
だからフォローも入れておいた。
「ふぅ・・・まぁ、僧侶が好きなら、もう少し彼女に合わせてみたらどうだ?俺が思うに、あの子はのんびりゆっくりと関係を深めるタイプだと思う。もう一年の付き合いで今更かもしれないが、いきなり付き合ってくれってとこから入るのは無理だと考えた方がいい。僧侶は本が好きだけど、お前それ知ってたか?まずは彼女が好きな本でも読んで、共通の話題を作る。焦らずそういうところから、少しづつ進めていく方がいいと思うがな」
「・・・お前、なんだよそれ?なんでそんな女心分かってんだよ?お前よ、彼女いた事なかったよな?どっから出てくんだよその知識は?」
友が目を開き、口を開け、驚愕の表情で俺を見ている。
そんなにか?
そんなに俺が恋愛の知識を披露する事が信じられないか?
まぁ、確かにこういうのは魔法使いのおかげなんだがな。
魔法使いは一つ年上だからなのか、やたらと俺に世話を焼くし教えたがる。
女の子をエスコートする時は~して、とかは良く言われる。
おかげで俺は二人でお茶をする時なんか、魔法使いの扱いが完璧になったと思う。
わざとらしくならないように、さり気なくイスを引いて先に座らせる。
基本的に注文は全てまとめて、俺が代表して店員さんに声をかける。
会計はスムーズに。魔法使いが言うにはここはかなり大事らしい。
魔法使い曰く、会計が終わってから割引券を出したり、レジの前で連れに半分出してとか、こっちは驕るから飲み物代だけだしてとか、そういう要求が一番冷めるらしい。
ちなみに魔法使いは男を立てる方だ。
最初に二人で食事をした時、俺が驕るよと言うとその場では、ありがとう、と言ってくれて俺が支払いをした。
だが、店を出ると自分の分の代金を俺に渡してきたのだ。
驕ると言ったからと遠慮する俺に、気持ちだけ受け取っておくわよ。いいからもらっておきなさい。と言って代金を握らせたのだ。
それ以来、俺がレジで精算して、店を出ると魔法使いが自分の分を返す。
自然とそうなった。
でも、全てがそうではないのだ。
待ち合わせ中に、先に付いた俺がオレンジジュースを買って待っていて、魔法使いが来た時にそれを渡すと、ありがとう!と満面の笑顔で受け取ってくれるのだ。
こういう時は魔法使いは代金を払わない。もらうべきところは感謝の言葉でもらってくれるのだ。
俺もその方が嬉しく感じる。
なんと言うか、魔法使いは本当に人間のできた女性だと思う。
そういった魔法使いとの関係の中で、俺は女性との接し方や、距離感、気遣いなどを多少は学んだと思う。
だから村ではモテ男だった友にも、助言ができるくらいにはなっていたのだろう。
友はルックスが良い。そして強引なところがある。
村にいた頃は、若者達の中心的人物で、少しチャラチャラしていたところもあった。
そうだな、握った拳から親指と人差し指と小指を立てて、ウェ~イって感じのチャラさだ。
俺達は15歳の時に村を出たけど、あのくらいの年頃だと、ああいうのがカッコいいと思うものかもしれない。確かに友は村ではモテていた。
友の家の左隣に住んでいた年下の女の子は、ある夏の日に、友が朝日を見に行くデートに誘って交際が始まったらしい。
ちなみに朝日が昇った時に、来年もこうしてキミと朝日が見たい。と言って落としたらしい。
友の家の右隣に住んでいた年上の女性は、叩きつけるような強い雨の降る日、大きな栗の木の下で、生い茂る枝葉を傘にして雨宿りしていると、近くを通った友が差していた自分の傘を渡して、サッと立ち去った姿に胸がときめいて交際が始まったらしい。
ちなみにその時の去り際の言葉は、俺!風邪ひかないから!だそうだ。
あと、村でこの話しをすると、友が近くを通ったのは偶然ではなく、実はストーキングしていたという説をよく聞く。
真相は分からない。俺も本人には怖くて聞けない。
そういう訳で、友の恋愛は正攻法ではない。
意表を突くと言うか、なんでそんな方法で?というやり方なのだ。
だから僧侶のようなタイプには、どうしていいか分からないのだ。
魔法使いから真っ当な付き合い方を学んだ俺の方が、僧侶との付き合い方は教えてあげられると思う。
まぁ、友に少しでも脈があるならば頑張ればいい。
僧侶は流されて付き合うタイプではないだろう。
今までもハッキリ断っているようだし、後は友次第だ。
一度、酔った勢いで友が俺に悪がらみしてきた事がある。
この頃には普通に話すようになっていたが、あくまで旅に必要な事と、食事中のどうでもいい世話話し程度の事でだ。
俺は雪女の件を忘れたわけでも、許したわけでもない。
当然、親切に相談に乗る義理は無い。だが、パーティの雰囲気を考えれば、今のまとまっている関係を壊すわけにはいかない。
だから当たり障りなく、だけど見込みがない事だけはキッチリ伝える事にした。
「僧侶がお前に、恋愛感情が無いとは考えないのか?」
「そんな訳ねぇだろ!いっつも俺にニコニコ話しかけてくんだぞ!」
「戦いで活躍した者を称賛するのは普通だと思うがな。僧侶がお前をよく褒めるのは知っているが、それはお前が活躍しているからで、それを労ってのものだと思うぞ」
「それだけの訳ねぇだろ!いっつも俺にだけ笑顔見せてくんだぞ!お前が魔物を倒してもお前のとこには行かねぇじゃねぇか!」
「俺のところには魔法使いが来るからな。だからじゃないのか?」
「食事の時だって、一番最初に俺に取り分けるじゃねぇか!」
「俺の分は魔法使いが取ってくれるからな。僧侶は勇者であるお前を立てて取り分けてくれてるだけで、他意はないんじゃないのか?」
「お前舐めてんのか!?あぁ!?」
「舐めてなどいない。俺の率直な感想だ。落ち着いて考えてみろ。一度でも僧侶からデートに誘われたりしたのか?男女関係につながるような、それらしい言動はあったのか?」
俺がそう問い詰めると勇者は、くっ!と苦虫を噛み潰したような顔で口ごもった。
つまり無いのだ。
見ていれば分かるし、たまに魔法使い経由でそういう話しを聞いていたから、そうだろうなと思ってはいた。
「そ、そんなの照れてるだけじゃねぇか・・・普通男から誘うもんだろ?恥じらってるだけなんだよ・・・」
おい、声がどんどん小さくなってるぞ。
酔いも醒めてきたのか?
このまま勇者のプライドを粉々にするくらいの言葉責めにする事はできる。
だけど、今は喧嘩をするつもりも、パーティの雰囲気を悪くするつもりもない。
だからフォローも入れておいた。
「ふぅ・・・まぁ、僧侶が好きなら、もう少し彼女に合わせてみたらどうだ?俺が思うに、あの子はのんびりゆっくりと関係を深めるタイプだと思う。もう一年の付き合いで今更かもしれないが、いきなり付き合ってくれってとこから入るのは無理だと考えた方がいい。僧侶は本が好きだけど、お前それ知ってたか?まずは彼女が好きな本でも読んで、共通の話題を作る。焦らずそういうところから、少しづつ進めていく方がいいと思うがな」
「・・・お前、なんだよそれ?なんでそんな女心分かってんだよ?お前よ、彼女いた事なかったよな?どっから出てくんだよその知識は?」
友が目を開き、口を開け、驚愕の表情で俺を見ている。
そんなにか?
そんなに俺が恋愛の知識を披露する事が信じられないか?
まぁ、確かにこういうのは魔法使いのおかげなんだがな。
魔法使いは一つ年上だからなのか、やたらと俺に世話を焼くし教えたがる。
女の子をエスコートする時は~して、とかは良く言われる。
おかげで俺は二人でお茶をする時なんか、魔法使いの扱いが完璧になったと思う。
わざとらしくならないように、さり気なくイスを引いて先に座らせる。
基本的に注文は全てまとめて、俺が代表して店員さんに声をかける。
会計はスムーズに。魔法使いが言うにはここはかなり大事らしい。
魔法使い曰く、会計が終わってから割引券を出したり、レジの前で連れに半分出してとか、こっちは驕るから飲み物代だけだしてとか、そういう要求が一番冷めるらしい。
ちなみに魔法使いは男を立てる方だ。
最初に二人で食事をした時、俺が驕るよと言うとその場では、ありがとう、と言ってくれて俺が支払いをした。
だが、店を出ると自分の分の代金を俺に渡してきたのだ。
驕ると言ったからと遠慮する俺に、気持ちだけ受け取っておくわよ。いいからもらっておきなさい。と言って代金を握らせたのだ。
それ以来、俺がレジで精算して、店を出ると魔法使いが自分の分を返す。
自然とそうなった。
でも、全てがそうではないのだ。
待ち合わせ中に、先に付いた俺がオレンジジュースを買って待っていて、魔法使いが来た時にそれを渡すと、ありがとう!と満面の笑顔で受け取ってくれるのだ。
こういう時は魔法使いは代金を払わない。もらうべきところは感謝の言葉でもらってくれるのだ。
俺もその方が嬉しく感じる。
なんと言うか、魔法使いは本当に人間のできた女性だと思う。
そういった魔法使いとの関係の中で、俺は女性との接し方や、距離感、気遣いなどを多少は学んだと思う。
だから村ではモテ男だった友にも、助言ができるくらいにはなっていたのだろう。
友はルックスが良い。そして強引なところがある。
村にいた頃は、若者達の中心的人物で、少しチャラチャラしていたところもあった。
そうだな、握った拳から親指と人差し指と小指を立てて、ウェ~イって感じのチャラさだ。
俺達は15歳の時に村を出たけど、あのくらいの年頃だと、ああいうのがカッコいいと思うものかもしれない。確かに友は村ではモテていた。
友の家の左隣に住んでいた年下の女の子は、ある夏の日に、友が朝日を見に行くデートに誘って交際が始まったらしい。
ちなみに朝日が昇った時に、来年もこうしてキミと朝日が見たい。と言って落としたらしい。
友の家の右隣に住んでいた年上の女性は、叩きつけるような強い雨の降る日、大きな栗の木の下で、生い茂る枝葉を傘にして雨宿りしていると、近くを通った友が差していた自分の傘を渡して、サッと立ち去った姿に胸がときめいて交際が始まったらしい。
ちなみにその時の去り際の言葉は、俺!風邪ひかないから!だそうだ。
あと、村でこの話しをすると、友が近くを通ったのは偶然ではなく、実はストーキングしていたという説をよく聞く。
真相は分からない。俺も本人には怖くて聞けない。
そういう訳で、友の恋愛は正攻法ではない。
意表を突くと言うか、なんでそんな方法で?というやり方なのだ。
だから僧侶のようなタイプには、どうしていいか分からないのだ。
魔法使いから真っ当な付き合い方を学んだ俺の方が、僧侶との付き合い方は教えてあげられると思う。
まぁ、友に少しでも脈があるならば頑張ればいい。
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