【完結】マジで滅びるんで、俺の為に怒らないで下さい

白井のわ

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【番外編】ドキドキバレンタインデート大作戦!!その2

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「あー……まず、今回の目標は二つ。一つは初デートを成功させること。そして二つ目は、本作戦の要であるバレンタインのプレゼントを渡すことだ」

 一本、二本と立てていた褐色の指が俺達の側にあるローテーブルを指し示す。

 その上には二、三時間前に師匠と蜥蜴達に協力してもらって作り上げたガトーショコラが、テカテカ光る赤い包みと青い包みの二つに綺麗にラッピングされ、各々同色のリボンによってその袋の口を結ばれていた。セイのは普通のより甘めに、ソウのは甘さ控えめにしてみたんだけど……気に入ってくれるかな。

 頭の中にほわほわと、俺のガトーショコラを食べた二人が「美味しいぞ!」「美味しいよ!」と笑顔で頭を撫でてくれる映像が浮かんできて。どうしよう……想像しただけなのに、顔が滅茶苦茶熱くなって……なんだかそわそわしちゃうや。

 すっかりだらしのない顔になっていた俺を、咎めるような咳払いに顔を上げると、

「なぁにデレデレしてやがる? お前があいつらをメロメロにすんだろうが!」

 と大きな手で背中にバシンと渇を入れられてしまった。ちょっと痛い。俺が背中を叩かれたことに抗議の声を上げる二匹を無視し、何事もなかったかのように師匠が続ける。

「それも、とびっきりロマンチックな場所であまーい愛の言葉と一緒になぁっ!!」

「ロマンチック……な場所?」

 きゅう? と俺の問いに続くように小さな赤と青の頭が横に傾いた。

「俺様お気に入りの秘密の場所だ。その辺りは昼も夜も関係なく、暗いんだが……光る花畑と大樹があってな。天然のイルミネーションみてぇで綺麗なんだよ」

「お花と木が光るの? 師匠の髪みたいに?」

「おう! まぁ、俺様と違って触っても痺れたりしねぇから安心しろ。んでよ……ちっと想像してみな? そんな幻想的な場所であいつらと過ごすお前をよぉ」

 ニタリと愉しそうに口の端を持ち上げる彼にそそのかされて、頭の中でそっと思い浮かべてみる。

 光るお花畑で、セイとソウと俺の三人っきり……

 どんな色かは分からないけど……淡い光に照らされる二人の鱗は、宝玉みたいに輝くお揃いの金色の瞳は、きっといつも以上に綺麗でドキドキが止まらなくなっちゃうんだろうな……

「どうだ? 最高だろ?」

「うん……スゴく、素敵だね……」

 それがロマンチックってやつだ! と満面の笑みを浮かべた師匠に、再び背中をバシバシと叩かれて、少し冷静さを取り戻した俺の頭にふと疑問が浮かぶ。

「ねぇ師匠。その……『愛の言葉』って、何を言えばいいの?」

 初めて好きになった人達からお嫁さんにしてもらった俺にとっては、恋愛の経験値なんてあるわけがないし……とゆーかはっきりいってゼロだよ。ゼロ。

 そんな俺が二人をドキドキさせる甘い言葉なんて、あらかじめ用意しとかないと、とっさに言えるはずがないよね……悲しいことに。だから師匠に聞いてみたんだけど……

「んなの男だったら正々堂々、ストレートに愛してるぜ! って言やぁいいんだよ!!」

 とごくごくシンプルな回答が返ってきてしまった。

「それって……甘い言葉なの?」

 そんな、いつも二人に言ったり言ってもらってるのじゃなくてさ、なんか、こう……もっと特別な言葉だったりしないの?

「愛してるって言葉以上に甘い言葉があるわけねぇだろうが!!」

 大丈夫だ自信をもて! と強く肩を掴まれ、さらに俺を後押しするかのようにきゅう! きゅう! と二匹から頼もしい声援を送られる。

「分かったよ師匠、みんな……俺、ありったけの気持ちを込めて二人に伝えるね! 愛してるって!」

「おっしゃ! その意気だ! で、もう一つ、肝心なデートのプランだが……どうやら一緒に説明することになりそうだな」

「え?」

 まぁ、どーせ連れてってもらわねぇとだし、手間が省けていいよな? と楽しそうにカラカラと師匠が笑い声を上げたのと。目を三角にした二人が勢いよく障子を開け放ち、部屋の中へと雪崩れ込むようにして乗り込んできたのは、ほぼ同時だった。
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