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俺なりのけじめ
「おはようシュン。朝ご飯、昨日と同じのでもいいか?」
「うん。ダンの料理何でも美味しいし、作ってくれるだけで滅茶苦茶ありがたいから」
「おう! じゃあ、俺が準備してる間に顔洗ってきな」
のんびり身支度を整え部屋に戻ると、すでにテーブルの上には朝食が準備されていた。
相変わらず手際がいい。将来良い旦那さんになるな、ダンは。お嫁さんになる人が羨ましい。
トーストを齧っていると不意に頭をぽん、ぽんっと撫でられる。
「……相棒? 聞いてるか? 俺の話」
気がつけば目の前にダンが居た。テーブルの上に大きな身体を乗り出して、男らしい眉を下げながら、俺の顔をじっと見つめている。
「あ、ごめん。何だっけ?」
まずい、変なこと考えてたせいで全然聞いてなかった。というか、ダンに話しかけられてる事にすら気づかないとか、まだ寝ぼけてんのか俺。
いや、ホントに寝ぼけていたようだ。おいおい、付いてんぞ、と伸びてきた太い指が口の端にそっと触れ、何かを摘む。
パンくずが付いていたようだ。ホント、しょうがねぇよなぁシュンは、と困ったように笑いながら、ごく自然にぱくんっと食べられてしまった。
……何か今、ものスゴいことを、さらっとしてもらえたのでは?
あれ? と頭をひねっていたのを、また勘違いされたらしい。本当に大丈夫か? と再び、ぐっと顔を近づけてくる。寝起きにイケメンのどアップは勘弁して欲しい。心臓に悪過ぎる。
「だ、大丈夫だよ」
「……なら、いいんだけどよ。ほら、昨日俺と先生にした話、相棒のことだから、どうせ先輩にも話すんだろ?」
どうせ、の部分をやたら強調したダンの箸が、勢いよく目玉焼きの黄身を刺す。トロリとこぼれた黄色を纏った白身を、大きな口がひと口で飲み込んだ。
「……うん。今日の放課後に体験入部する約束してたし、その時に話そうかなって。それがどうかしたのか?」
「いや……相棒、ゲームの中では先輩のこと、最推しだったか? とにかく、シュンにとって……特別だったんだろ? だから、一人で大丈夫なのか心配でよ」
どこか不満気に唇を尖らせながら、ダンが瞳を細める。真っ直ぐに見つめてくる赤い眼差しには、心配の色が見て取れた。
確かに、不安が全く無い訳ではない。でも俺には話す義務がある。
……いや、話したいんだ。ちゃんと話して、先輩にも本当の俺の事を知ってもらいたい。
それで万が一、先輩に嫌われたとしても後悔はしない。泣くけど。
「ありがとうダン。でも、これは俺にとってけじめみたいなものだから、一人で頑張るよ」
「そっか……よし、俺応援してるからよ! 一発ドカンとぶちかましてこい! ただ、相棒には俺がいるってことを忘れんなよ? シュンは一人じゃないんだからな」
ニカッと白い歯を見せたダンのゴツゴツした手が、俺の頭をわしわし撫でる。相変わらず無遠慮な手つきだけど、何だかスゴくホッとした。
「それは心強いな……頼りにしてるよ」
「おう! ってもうこんな時間か、さっさと食わないと遅刻するぞ!」
慌てて朝食を済ませ、鞄を引っ掴み部屋から飛び出す。やっぱり寮は便利だ。ギリギリセーフだね、と門の前でグレイ先生に笑われてしまったけれど。
◇
「ついに来てしまった……」
放課後、練習場の端にあるベンチに座りながら俺はうなだれていた。とっくに覚悟を決めたハズなのに、いざ先輩に話すとなると……つい尻込みしてしまう。
先輩に話をすることで頭が一杯で、授業にも身が入らなかったしなぁ。そのせいでまた、先生とダンに心配をかけてしまった。
先生からは、いつでも相談にのるよ、と頭を撫でられ、ダンからは、何かあったら直ぐ連絡しろよな! と念を押された。
幸い、先輩は顧問の先生と話があるらしく少し遅れると連絡があった。今の内に、ちゃんと心の準備をしておかないとな。
「もしかしてキミ、シュンちゃん? 体験入部の」
「うん。ダンの料理何でも美味しいし、作ってくれるだけで滅茶苦茶ありがたいから」
「おう! じゃあ、俺が準備してる間に顔洗ってきな」
のんびり身支度を整え部屋に戻ると、すでにテーブルの上には朝食が準備されていた。
相変わらず手際がいい。将来良い旦那さんになるな、ダンは。お嫁さんになる人が羨ましい。
トーストを齧っていると不意に頭をぽん、ぽんっと撫でられる。
「……相棒? 聞いてるか? 俺の話」
気がつけば目の前にダンが居た。テーブルの上に大きな身体を乗り出して、男らしい眉を下げながら、俺の顔をじっと見つめている。
「あ、ごめん。何だっけ?」
まずい、変なこと考えてたせいで全然聞いてなかった。というか、ダンに話しかけられてる事にすら気づかないとか、まだ寝ぼけてんのか俺。
いや、ホントに寝ぼけていたようだ。おいおい、付いてんぞ、と伸びてきた太い指が口の端にそっと触れ、何かを摘む。
パンくずが付いていたようだ。ホント、しょうがねぇよなぁシュンは、と困ったように笑いながら、ごく自然にぱくんっと食べられてしまった。
……何か今、ものスゴいことを、さらっとしてもらえたのでは?
あれ? と頭をひねっていたのを、また勘違いされたらしい。本当に大丈夫か? と再び、ぐっと顔を近づけてくる。寝起きにイケメンのどアップは勘弁して欲しい。心臓に悪過ぎる。
「だ、大丈夫だよ」
「……なら、いいんだけどよ。ほら、昨日俺と先生にした話、相棒のことだから、どうせ先輩にも話すんだろ?」
どうせ、の部分をやたら強調したダンの箸が、勢いよく目玉焼きの黄身を刺す。トロリとこぼれた黄色を纏った白身を、大きな口がひと口で飲み込んだ。
「……うん。今日の放課後に体験入部する約束してたし、その時に話そうかなって。それがどうかしたのか?」
「いや……相棒、ゲームの中では先輩のこと、最推しだったか? とにかく、シュンにとって……特別だったんだろ? だから、一人で大丈夫なのか心配でよ」
どこか不満気に唇を尖らせながら、ダンが瞳を細める。真っ直ぐに見つめてくる赤い眼差しには、心配の色が見て取れた。
確かに、不安が全く無い訳ではない。でも俺には話す義務がある。
……いや、話したいんだ。ちゃんと話して、先輩にも本当の俺の事を知ってもらいたい。
それで万が一、先輩に嫌われたとしても後悔はしない。泣くけど。
「ありがとうダン。でも、これは俺にとってけじめみたいなものだから、一人で頑張るよ」
「そっか……よし、俺応援してるからよ! 一発ドカンとぶちかましてこい! ただ、相棒には俺がいるってことを忘れんなよ? シュンは一人じゃないんだからな」
ニカッと白い歯を見せたダンのゴツゴツした手が、俺の頭をわしわし撫でる。相変わらず無遠慮な手つきだけど、何だかスゴくホッとした。
「それは心強いな……頼りにしてるよ」
「おう! ってもうこんな時間か、さっさと食わないと遅刻するぞ!」
慌てて朝食を済ませ、鞄を引っ掴み部屋から飛び出す。やっぱり寮は便利だ。ギリギリセーフだね、と門の前でグレイ先生に笑われてしまったけれど。
◇
「ついに来てしまった……」
放課後、練習場の端にあるベンチに座りながら俺はうなだれていた。とっくに覚悟を決めたハズなのに、いざ先輩に話すとなると……つい尻込みしてしまう。
先輩に話をすることで頭が一杯で、授業にも身が入らなかったしなぁ。そのせいでまた、先生とダンに心配をかけてしまった。
先生からは、いつでも相談にのるよ、と頭を撫でられ、ダンからは、何かあったら直ぐ連絡しろよな! と念を押された。
幸い、先輩は顧問の先生と話があるらしく少し遅れると連絡があった。今の内に、ちゃんと心の準備をしておかないとな。
「もしかしてキミ、シュンちゃん? 体験入部の」
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