気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

文字の大きさ
631 / 662
細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

俺とソレイユだけの結婚式

しおりを挟む
 頷いたソレイユの表情がまた少し暗くなる。すでにゴメンの理由は察することが出来てはいた。とはいえ、聞かない訳には。

「でも、このペアリングって……まだ出来ていなかったんじゃ?」

「ゴメン……サプライズ、したくて……」

 でも、結局不発に終わっちゃったっていうか、終わらせちゃったっていうか。

 自嘲的な笑みを浮かべながらポツリ、ポツリと。ソレイユは俺に内緒にせざるを得なかったいきさつを語ってくれる。

「連絡自体はもらっていて、それで三日前にさ……部活が終わってから、こっそり受け取りに行ってたんだ……」

「そっか、そうだったんだね」

「ゴメン……」

「大丈夫、嬉しいよ。俺のことめいいっぱい喜ばせようとしてくれてたんだよね」

「うん……」

 出来るだけ優しい声で、俺の気持ちが伝わるように微笑みかけた。ソレイユはまだ少し申し訳なさそうにしていたけれども、俺の喜びは伝わったんだろう。頬はほんのりと色付き、どこか引きつっていた目元が和らいでいく。

「じゃあ、しよっか? 俺とソレイユだけの結婚式」


 折角だから、入場するところからやってみる? なんて。
 ちょっとでも彼の心を和ませようと思い付きで、ひと回り大きな手を握りながらおどけた調子で言ってみた提案は、笑顔が戻ったソレイユからの二つ返事で即採用。
 いくつものステンドグラスから差し込むオレンジ色によって、少し色濃くなったバージンロードを手を取り合いながらゆっくりと進んでいくことに。

「ふふふふーん……ふふふふーん……」

 俺でも聞いたことのある、結婚式といえば大抵の人は思い浮かぶであろう曲。曲名は知らないが、一度耳にしてしまえばそうそう忘れることはない印象的なメロディーをソレイユが口ずさむ。
 彼の鼻歌に合わせて俺も。多分有名なクラシックのひとつであろうそれを口ずさんだ。たたたたーんではなく、ふふふふーんで。

「ふふ……」

 くすりと吹き出した彼に釣られて俺もくすり。笑い交じりなメロディーは、何だかとても不格好で。けれども、何だか俺達らしいような気もして。
 知っているところまで、どうにか一緒に歌い終えた時にはステンドグラスの中の神様が見守るところまで、神父さんがいない祭壇の前まで辿り着いていた。

「シュン」

「ソレイユ……」

 軽く手を引かれ、見上げた先にあった夕焼け色に染まった微笑み。その柔らかさに、愛おしさのこもった眼差しに、思わず息を呑んだ。

 向かい合い、改めて手を握ってもらえる。それだけのことが、胸が詰まってしまう程に嬉しい。

 本当の結婚式さながらの、地に足がついていない浮足立った心地と緊張感。さっきまでのちょっとした悪戯をする前のような、いけないんだけれども楽しい感覚は瞬く間に消え失せていた。

 あんまり長くは見つめ合ってはいられないかもしれない。

「えっと……病める時も、健やかなる時も……だっけ?」

「うん」

 全身を内側からぶち抜かんばかりに高鳴り続けている鼓動なんて聞こえていないフリをして、これまた一度は耳にしたことがある誓いの台詞の冒頭であろう部分を口にしてみる。

「富める時も、貧しい時も……互いに愛し、敬い……支え合うことを誓いますか?」

 優しい笑みを深めながら、ソレイユは俺が知らなかった続きを口にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

腐男子♥異世界転生

よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。

処理中です...