59 / 645
マッチョな先生と恋人同士になった件(グレイルート)
洗いざらい白状したまえ!
しおりを挟む
「なんだね君ぃ! そういうことなら早く言いたまえよ! ほらっこのケーキは二人で食べたまえ!お邪魔虫の私は、さっさと退散するとしよう!」
ニヤニヤ笑うセレストさんが、顔を耳まで赤くしている先生を肘でつついてから、俺に白い紙箱を手渡す。
踵を返して玄関へと向かおうとするセレストさんの腕を、先生が慌てて掴んで止めた。
「どうしたんだね? まさか君……人に見られながらの方が興ふ」
「違うっ! ……急用が入って今から出ないと行けないんだ。夕方には戻るから、それまでシュン君の話し相手になってくれないかい?」
「ああ、なんだ。それならお安い御用だよ。私はてっきり君が変わった性癖の持ち主かと……すまなかった、私が悪かったからその顔を止めてくれ」
さっきまでの愉快で仕方がないって顔が嘘のように、怯えた表情へと変わっていく。真っ青になりながら、叱られた子犬のように身体をブルブルと震わせているセレストさん。
俺の方から先生の表情は窺えない。が、広い背中から漂うピリピリとした空気だけで、凄まじい怒りが伝わってきた。きっと鬼のような形相をしているに違いない。
セレストさんの自業自得とはいえ、可哀想だな。すっかり涙目になっちゃってるし。
「……先生、時間……大丈夫ですか?」
遅刻しちゃわないか心配なのは事実だし。そう思いながら助け船を出すと、先生がハッとした顔で振り返る。
目を輝かせながら俺を拝むセレストさんに、思わず吹き出しそうになるのを堪えて、鞄を先生に手渡した。
「いってらっしゃい、グレイ先生」
彼との身長差をスーツの襟を掴んで、伸び上がって埋めていく。そっと頬に口づけると先生の口元がふわりと綻んだ。
「シュン……いってきます」
俺の頬にキスを返してくれた先生を、腕組みしながらセレストさんがニタニタと見つめている。
「……シュン君のことは頼んだよ。昼はそこにあるので好きにしていいから、彼にさっきみたいに変なことを言うのだけは止めてくれ」
ほんのり頬を染めながら先生がセレストさんに釘を刺す。
「分かった分かった。後は私にどーんと任せて君はもう出掛けたまえ! 遅刻してしまうだろう?」
しっしっと手で追い払うセレストさんに眉をひそめた先生は、俺に微笑みかけると部屋を出ていった。
ガチャリと施錠音がした後、颯爽とセレストさんが俺の隣に腰掛けてきた。口の端を持ち上げ、足を高く組みながら俺の肩に腕を回してくる。
「さて、邪魔物はいなくなったな……さぁさぁ、私に昨夜のことを洗いざらい白状したまえ! 君の格好を見るに、何もなかった訳ではないだろう?」
ニヤニヤ笑うセレストさんが、顔を耳まで赤くしている先生を肘でつついてから、俺に白い紙箱を手渡す。
踵を返して玄関へと向かおうとするセレストさんの腕を、先生が慌てて掴んで止めた。
「どうしたんだね? まさか君……人に見られながらの方が興ふ」
「違うっ! ……急用が入って今から出ないと行けないんだ。夕方には戻るから、それまでシュン君の話し相手になってくれないかい?」
「ああ、なんだ。それならお安い御用だよ。私はてっきり君が変わった性癖の持ち主かと……すまなかった、私が悪かったからその顔を止めてくれ」
さっきまでの愉快で仕方がないって顔が嘘のように、怯えた表情へと変わっていく。真っ青になりながら、叱られた子犬のように身体をブルブルと震わせているセレストさん。
俺の方から先生の表情は窺えない。が、広い背中から漂うピリピリとした空気だけで、凄まじい怒りが伝わってきた。きっと鬼のような形相をしているに違いない。
セレストさんの自業自得とはいえ、可哀想だな。すっかり涙目になっちゃってるし。
「……先生、時間……大丈夫ですか?」
遅刻しちゃわないか心配なのは事実だし。そう思いながら助け船を出すと、先生がハッとした顔で振り返る。
目を輝かせながら俺を拝むセレストさんに、思わず吹き出しそうになるのを堪えて、鞄を先生に手渡した。
「いってらっしゃい、グレイ先生」
彼との身長差をスーツの襟を掴んで、伸び上がって埋めていく。そっと頬に口づけると先生の口元がふわりと綻んだ。
「シュン……いってきます」
俺の頬にキスを返してくれた先生を、腕組みしながらセレストさんがニタニタと見つめている。
「……シュン君のことは頼んだよ。昼はそこにあるので好きにしていいから、彼にさっきみたいに変なことを言うのだけは止めてくれ」
ほんのり頬を染めながら先生がセレストさんに釘を刺す。
「分かった分かった。後は私にどーんと任せて君はもう出掛けたまえ! 遅刻してしまうだろう?」
しっしっと手で追い払うセレストさんに眉をひそめた先生は、俺に微笑みかけると部屋を出ていった。
ガチャリと施錠音がした後、颯爽とセレストさんが俺の隣に腰掛けてきた。口の端を持ち上げ、足を高く組みながら俺の肩に腕を回してくる。
「さて、邪魔物はいなくなったな……さぁさぁ、私に昨夜のことを洗いざらい白状したまえ! 君の格好を見るに、何もなかった訳ではないだろう?」
6
あなたにおすすめの小説
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う
ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。
次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた
オチ決定しました〜☺️
※印はR18です(際どいやつもつけてます)
毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します
メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目
凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日)
訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎
11/24 大変際どかったためR18に移行しました
12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる