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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
先手必勝! 首尾は上々?
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今日の最大の目的は、サルファー先輩を押し倒すこと。そして、先輩とキス以上のことを……
とはいえ、いきなりじゃあムードもへったくれもないだろう。ちょっとずつアピールして、先輩との距離を縮めていかないと。その為には。
「あの、先輩……」
「な、なんだ?」
「隣、座ってもいいですか?」
やっぱり、お近くに居させてもらわないと始まらないだろう。テーブルを挟んだ状態じゃ、手を握るのも難しいからな。
しかも、よりにもよって先輩は、正座をしてしまっているし。背筋が真っ直ぐ伸びていて、カッコいいんだけどさ。
「っ……ああ、構わないぞ! むしろ俺にとっても都合がい……す、すまない……」
今、都合がいいって言いかけたよな?
慌てて口元を押さえ、目を泳がせている先輩の意図は分からない。
が、許可をいただけたのだ。声を弾ませ、目を輝かせるという明らかな好反応つきで。
この感じならば、ずっと手を繋いでも全く問題ないのでわ? さっきだって、いきなり握っても握り返してくれたんだし。
「ありがとうございます。じゃあ、失礼しますね」
俺は意気揚々と先輩の隣へと向かった。
座ってからすぐに思い切って、鍛え上げられその身体に身を寄せてみた。服越しに温かい体温と触れ合えた途端、先輩がガッシリと盛り上がった肩を僅かに跳ねさせる。
「……イヤ、でした? 離れた方が……いいですか?」
「っ…………ッ…………」
またびっくりさせちゃったから、咄嗟に言葉が出なかったんだろう。顔を真っ赤にした先輩は、必死に左右に首を振って答えてくれた。良かった。
新たに成功体験を重ねた俺は、すっかり調子づいてしまっていた。
「先輩……手を繋いでも、いいですか?」
「っっ…………あ、ああ……」
小さく頷いてくれた先輩の声は震えていた。重ねた分厚い手のひらも。
一旦、止めた方がいいかもしれない。このままの勢いで、昨日先輩がしてくれたお膝抱っこまではもっていきたかったけれど。
「あの……先輩は、どのお菓子が好きなんですか?」
「お、お菓子?」
先輩のカッコいい声が、ひっくり返った。このタイミングで、先程の話を振られるとは思わなかったんだろう。
「はい。さっき教え合いっこしましょうって言ったじゃないですか」
「ああ……そうだったな」
先輩の表情が緩んでいく。
困ったように下がっていた男らしい眉は、緩やかなアーチへと。歪んでいた唇のラインは柔らかい笑みの形へと戻っていく。
俺の判断は正しかったらしい。早速、テーブルの上に広げていたお菓子の中から、気になっているものを指差していく。
「俺は……先輩達が買ってきてくれた中だと……このフィナンシェが好きですね。あと、バームクーヘンも。まぁ、甘いものは大体好きなんですけど」
ソレイユ先輩が選んでくれたというお菓子は、個包装された焼き菓子がメイン。
後は、一緒に食べやすいスティック状のスナック菓子と定番のポテトチップス。お弁当はシャケとからあげだった。弁当は先輩を招き入れてからすぐに、冷蔵庫に入れさせてもらった。
「……そうか、良かった」
先輩はどれが好きですかと、聞き返そうと顔を上げる。でも聞けなかった。
「……やっぱり、ソルは流石だな」
先輩は微笑んでいた。
でも、その柔らかい表情には、どこか遠くを見ているような眼差しには、他の感情も滲んでいるように見えたんだ。
「……君が好きなものを、ちゃんと分かっていて」
「……これからですよ」
繋いでいる手に力を込める。黄色の瞳に、やっと俺が映った。
「好きなものも、嫌いなものも、楽しいことも、苦手なことも……これから一緒にお互いのことを知っていきましょう? 俺達、恋人同士……なんですから……」
「そう、だな……そうだったな」
端正な顔に滲んでいた、暗い何かは消えていた。晴れやかだ。いや、それどころか微笑みかけてくれる眼差しが、熱を帯びているような。
「なぁ、シュン……」
「は、はい。なんですか? サルファー先輩」
「早速ですまないが、教えてくれないか?」
「へ? あ、俺が教えられることなら何で、もっ?」
手を離され、両の肩を掴まれたかと思えば、唇に柔らかい感触が触れていた。
長いまつ毛の本数を数えられそうなくらい、間近にある先輩の顔。もしかしなくても、キスしてもらえてる?
降って湧いたように幸福な現状を、認識出来た頃にはすでに変わり始めていた。太い腕が背中に回され、大きな手に支えられ、ゆっくり体重をかけられる。
……あれ? まさか、俺の方が押し倒されてる? 先輩から?
俺の身体が背中から、そっとカーペットに着地した頃、優しく重ねられていた唇が離れていく。
「……教えてくれ、俺にこういうことをされるのは、嫌か?」
とはいえ、いきなりじゃあムードもへったくれもないだろう。ちょっとずつアピールして、先輩との距離を縮めていかないと。その為には。
「あの、先輩……」
「な、なんだ?」
「隣、座ってもいいですか?」
やっぱり、お近くに居させてもらわないと始まらないだろう。テーブルを挟んだ状態じゃ、手を握るのも難しいからな。
しかも、よりにもよって先輩は、正座をしてしまっているし。背筋が真っ直ぐ伸びていて、カッコいいんだけどさ。
「っ……ああ、構わないぞ! むしろ俺にとっても都合がい……す、すまない……」
今、都合がいいって言いかけたよな?
慌てて口元を押さえ、目を泳がせている先輩の意図は分からない。
が、許可をいただけたのだ。声を弾ませ、目を輝かせるという明らかな好反応つきで。
この感じならば、ずっと手を繋いでも全く問題ないのでわ? さっきだって、いきなり握っても握り返してくれたんだし。
「ありがとうございます。じゃあ、失礼しますね」
俺は意気揚々と先輩の隣へと向かった。
座ってからすぐに思い切って、鍛え上げられその身体に身を寄せてみた。服越しに温かい体温と触れ合えた途端、先輩がガッシリと盛り上がった肩を僅かに跳ねさせる。
「……イヤ、でした? 離れた方が……いいですか?」
「っ…………ッ…………」
またびっくりさせちゃったから、咄嗟に言葉が出なかったんだろう。顔を真っ赤にした先輩は、必死に左右に首を振って答えてくれた。良かった。
新たに成功体験を重ねた俺は、すっかり調子づいてしまっていた。
「先輩……手を繋いでも、いいですか?」
「っっ…………あ、ああ……」
小さく頷いてくれた先輩の声は震えていた。重ねた分厚い手のひらも。
一旦、止めた方がいいかもしれない。このままの勢いで、昨日先輩がしてくれたお膝抱っこまではもっていきたかったけれど。
「あの……先輩は、どのお菓子が好きなんですか?」
「お、お菓子?」
先輩のカッコいい声が、ひっくり返った。このタイミングで、先程の話を振られるとは思わなかったんだろう。
「はい。さっき教え合いっこしましょうって言ったじゃないですか」
「ああ……そうだったな」
先輩の表情が緩んでいく。
困ったように下がっていた男らしい眉は、緩やかなアーチへと。歪んでいた唇のラインは柔らかい笑みの形へと戻っていく。
俺の判断は正しかったらしい。早速、テーブルの上に広げていたお菓子の中から、気になっているものを指差していく。
「俺は……先輩達が買ってきてくれた中だと……このフィナンシェが好きですね。あと、バームクーヘンも。まぁ、甘いものは大体好きなんですけど」
ソレイユ先輩が選んでくれたというお菓子は、個包装された焼き菓子がメイン。
後は、一緒に食べやすいスティック状のスナック菓子と定番のポテトチップス。お弁当はシャケとからあげだった。弁当は先輩を招き入れてからすぐに、冷蔵庫に入れさせてもらった。
「……そうか、良かった」
先輩はどれが好きですかと、聞き返そうと顔を上げる。でも聞けなかった。
「……やっぱり、ソルは流石だな」
先輩は微笑んでいた。
でも、その柔らかい表情には、どこか遠くを見ているような眼差しには、他の感情も滲んでいるように見えたんだ。
「……君が好きなものを、ちゃんと分かっていて」
「……これからですよ」
繋いでいる手に力を込める。黄色の瞳に、やっと俺が映った。
「好きなものも、嫌いなものも、楽しいことも、苦手なことも……これから一緒にお互いのことを知っていきましょう? 俺達、恋人同士……なんですから……」
「そう、だな……そうだったな」
端正な顔に滲んでいた、暗い何かは消えていた。晴れやかだ。いや、それどころか微笑みかけてくれる眼差しが、熱を帯びているような。
「なぁ、シュン……」
「は、はい。なんですか? サルファー先輩」
「早速ですまないが、教えてくれないか?」
「へ? あ、俺が教えられることなら何で、もっ?」
手を離され、両の肩を掴まれたかと思えば、唇に柔らかい感触が触れていた。
長いまつ毛の本数を数えられそうなくらい、間近にある先輩の顔。もしかしなくても、キスしてもらえてる?
降って湧いたように幸福な現状を、認識出来た頃にはすでに変わり始めていた。太い腕が背中に回され、大きな手に支えられ、ゆっくり体重をかけられる。
……あれ? まさか、俺の方が押し倒されてる? 先輩から?
俺の身体が背中から、そっとカーペットに着地した頃、優しく重ねられていた唇が離れていく。
「……教えてくれ、俺にこういうことをされるのは、嫌か?」
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