233 / 662
マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
嬉しいけれども照れくさい、恋人アピール
しおりを挟む
俺の肩を抱き寄せてくれた先輩の言葉に、目を瞬かせたのは俺だけじゃなかった。女性達も大きな目を更に大きくして、呆然とした様子で先輩と俺とを交互に見つめている。
「さ、サルファー先輩?」
「ん? 俺は、何か変なことを言ったか? 俺達はれっきとした恋人同士だろう?」
「い、いや……その通りですけど……」
曇りのない眼差しで問われてしまえば、素直に認めるしか。
しかし、いくら何でも初対面の方々に堂々と言うのは……いや、逆に初対面だからいいのか? もう、会うことなんてそうそうないだろうし。
一気に頭が熱くなった上に、ぐるぐるし始めてしまった。いまだ困惑気味な俺をよそに、先輩はますます思い切った行動に。
「どわっ!?」
なんと、いきなり俺を横抱きに抱え上げたのだ。
突然の浮遊感に俺は情けのない悲鳴を上げ、反射的に彼の引き締まった首へと抱きついてしまっていた。先輩は嬉しそう。おまけに何故か、ポカンとしていた彼女達がにわかに沸き立ち、黄色い声を上げていた。
恋人アピールする為のパフォーマンスならば、もう十分なハズ。けれども先輩は止まらない。
これだけ騒いでいれば彼女達以外にも、周囲の目を集めてしまっていそうなのに。見せつけるように俺の頬にキスまで送ってくれたのだ。
「ひ、ゃ……さ、サルファーっ」
ますます顔に熱が集まってしまう。さっきよりも変な声まで。
嬉しさと恥ずかしさが一気に襲ってきたせいだ。つい抗議の目を向けてしまっていた。でも、今の先輩はへっちゃららしい。頭を撫でられ「可愛いな」と微笑まれてしまった。
何やら、きゃいきゃい盛り上がっている彼女達に、先輩が優しい口調で話しかける。
「……分かってくれただろうか? 此処に来るのは初めてでな……出来るだけ沢山の楽しい思い出を、愛する彼と作りたいんだ……だから」
「すみませんでしたっ」
「ごめんなさいっ」
二人揃っての勢いよく頭を下げた謝罪に、思わず俺達は顔を見合わせていた。
「あ、ああ、分かってくれたのなら良いんだ。こちらこそ済まなかった」
慌てた様子で先輩が、彼女達へ頭を下げた。俺も先輩に抱きついたまま頭を下げた。水色のウサ耳カチューシャをつけた女性が、おずおずと俺達に申し出てくる。
「あの……迷惑でなければ、私達が撮影しましょうか?」
そう言えば、写真を撮ろうとしていたんだった。色々とあり過ぎて、すっかり忘れてしまっていたけれども。
「ああ、それは有り難いんだが……シュンも、それでいいだろうか?」
「は、はぃ……」
「じゃあ、よろしく頼むよ」
先輩が差し出した端末を大事そうに受け取った彼女達は大盛り上がり。
「もっとくっついて下さいっ! 頬寄せて……そう、今のすっごくイイです!」
「可愛いお兄さんっ、もっと笑って下さい! 照れてる顔も素敵ですけど……そうそうっ、いいですよ! そのままカッコいいお兄さんを見つめていて下さいね!」
カメラマンのようにポーズを求めてきたり、アドバイスをしてくれたり。そんな彼女達の並々ならぬ熱意に押されている内に、一枚撮ってもらって終わりのつもりが、あれよあれよと言う間に沢山に。
何故か俺への呼称が可愛いお兄さんだった気がするが、聞き間違いだろう。
「さ、サルファー先輩?」
「ん? 俺は、何か変なことを言ったか? 俺達はれっきとした恋人同士だろう?」
「い、いや……その通りですけど……」
曇りのない眼差しで問われてしまえば、素直に認めるしか。
しかし、いくら何でも初対面の方々に堂々と言うのは……いや、逆に初対面だからいいのか? もう、会うことなんてそうそうないだろうし。
一気に頭が熱くなった上に、ぐるぐるし始めてしまった。いまだ困惑気味な俺をよそに、先輩はますます思い切った行動に。
「どわっ!?」
なんと、いきなり俺を横抱きに抱え上げたのだ。
突然の浮遊感に俺は情けのない悲鳴を上げ、反射的に彼の引き締まった首へと抱きついてしまっていた。先輩は嬉しそう。おまけに何故か、ポカンとしていた彼女達がにわかに沸き立ち、黄色い声を上げていた。
恋人アピールする為のパフォーマンスならば、もう十分なハズ。けれども先輩は止まらない。
これだけ騒いでいれば彼女達以外にも、周囲の目を集めてしまっていそうなのに。見せつけるように俺の頬にキスまで送ってくれたのだ。
「ひ、ゃ……さ、サルファーっ」
ますます顔に熱が集まってしまう。さっきよりも変な声まで。
嬉しさと恥ずかしさが一気に襲ってきたせいだ。つい抗議の目を向けてしまっていた。でも、今の先輩はへっちゃららしい。頭を撫でられ「可愛いな」と微笑まれてしまった。
何やら、きゃいきゃい盛り上がっている彼女達に、先輩が優しい口調で話しかける。
「……分かってくれただろうか? 此処に来るのは初めてでな……出来るだけ沢山の楽しい思い出を、愛する彼と作りたいんだ……だから」
「すみませんでしたっ」
「ごめんなさいっ」
二人揃っての勢いよく頭を下げた謝罪に、思わず俺達は顔を見合わせていた。
「あ、ああ、分かってくれたのなら良いんだ。こちらこそ済まなかった」
慌てた様子で先輩が、彼女達へ頭を下げた。俺も先輩に抱きついたまま頭を下げた。水色のウサ耳カチューシャをつけた女性が、おずおずと俺達に申し出てくる。
「あの……迷惑でなければ、私達が撮影しましょうか?」
そう言えば、写真を撮ろうとしていたんだった。色々とあり過ぎて、すっかり忘れてしまっていたけれども。
「ああ、それは有り難いんだが……シュンも、それでいいだろうか?」
「は、はぃ……」
「じゃあ、よろしく頼むよ」
先輩が差し出した端末を大事そうに受け取った彼女達は大盛り上がり。
「もっとくっついて下さいっ! 頬寄せて……そう、今のすっごくイイです!」
「可愛いお兄さんっ、もっと笑って下さい! 照れてる顔も素敵ですけど……そうそうっ、いいですよ! そのままカッコいいお兄さんを見つめていて下さいね!」
カメラマンのようにポーズを求めてきたり、アドバイスをしてくれたり。そんな彼女達の並々ならぬ熱意に押されている内に、一枚撮ってもらって終わりのつもりが、あれよあれよと言う間に沢山に。
何故か俺への呼称が可愛いお兄さんだった気がするが、聞き間違いだろう。
0
あなたにおすすめの小説
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
「好きって言ったら負け!」完璧すぎる生徒会コンビの恋愛頭脳戦は今日も平行線です~恋は勝ち負けじゃないと知るまでの攻防戦
中岡 始
BL
「好きって言ったら負け」
それが、俺たちの間にある、たったひとつのルールだった。
星遥学園の顔、生徒会長・一ノ瀬結翔と副会長・神城凪。
容姿、成績、カリスマ性――すべてが完璧なふたりは、周囲から「最強ペア」と呼ばれている。
けれどその内側では、日々繰り広げられる仁義なき恋愛頭脳戦があった。
・さりげない言葉の応酬
・SNSでの匂わせ合戦
・触れそうで触れない、静かな視線の駆け引き
恋してるなんて認めたくない。
でも、相手からの“告白”を待ち続けてしまう――
そんなふたりの関係が変わったのは、修学旅行での一夜。
「俺、たぶん君に“負けてもいい”って思いかけてる」
その一言が、沈黙を揺るがし、心の距離を塗り替えていく。
勝ち負けなんかじゃない、想いのかたちにたどり着くまで。
これは、美形ふたりの駆け引きまみれなラブコメ戦線、
ついに“終戦”の火蓋が落ちるまでの物語。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
腐男子♥異世界転生
よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。
目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。
トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる