気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)

嬉しいけれども照れくさい、恋人アピール

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 俺の肩を抱き寄せてくれた先輩の言葉に、目を瞬かせたのは俺だけじゃなかった。女性達も大きな目を更に大きくして、呆然とした様子で先輩と俺とを交互に見つめている。

「さ、サルファー先輩?」

「ん? 俺は、何か変なことを言ったか? 俺達はれっきとした恋人同士だろう?」

「い、いや……その通りですけど……」

 曇りのない眼差しで問われてしまえば、素直に認めるしか。

 しかし、いくら何でも初対面の方々に堂々と言うのは……いや、逆に初対面だからいいのか? もう、会うことなんてそうそうないだろうし。

 一気に頭が熱くなった上に、ぐるぐるし始めてしまった。いまだ困惑気味な俺をよそに、先輩はますます思い切った行動に。

「どわっ!?」

 なんと、いきなり俺を横抱きに抱え上げたのだ。

 突然の浮遊感に俺は情けのない悲鳴を上げ、反射的に彼の引き締まった首へと抱きついてしまっていた。先輩は嬉しそう。おまけに何故か、ポカンとしていた彼女達がにわかに沸き立ち、黄色い声を上げていた。

 恋人アピールする為のパフォーマンスならば、もう十分なハズ。けれども先輩は止まらない。

 これだけ騒いでいれば彼女達以外にも、周囲の目を集めてしまっていそうなのに。見せつけるように俺の頬にキスまで送ってくれたのだ。

「ひ、ゃ……さ、サルファーっ」

 ますます顔に熱が集まってしまう。さっきよりも変な声まで。

 嬉しさと恥ずかしさが一気に襲ってきたせいだ。つい抗議の目を向けてしまっていた。でも、今の先輩はへっちゃららしい。頭を撫でられ「可愛いな」と微笑まれてしまった。

 何やら、きゃいきゃい盛り上がっている彼女達に、先輩が優しい口調で話しかける。

「……分かってくれただろうか? 此処に来るのは初めてでな……出来るだけ沢山の楽しい思い出を、愛する彼と作りたいんだ……だから」

「すみませんでしたっ」

「ごめんなさいっ」

 二人揃っての勢いよく頭を下げた謝罪に、思わず俺達は顔を見合わせていた。

「あ、ああ、分かってくれたのなら良いんだ。こちらこそ済まなかった」

 慌てた様子で先輩が、彼女達へ頭を下げた。俺も先輩に抱きついたまま頭を下げた。水色のウサ耳カチューシャをつけた女性が、おずおずと俺達に申し出てくる。

「あの……迷惑でなければ、私達が撮影しましょうか?」

 そう言えば、写真を撮ろうとしていたんだった。色々とあり過ぎて、すっかり忘れてしまっていたけれども。

「ああ、それは有り難いんだが……シュンも、それでいいだろうか?」

「は、はぃ……」

「じゃあ、よろしく頼むよ」

 先輩が差し出した端末を大事そうに受け取った彼女達は大盛り上がり。

「もっとくっついて下さいっ! 頬寄せて……そう、今のすっごくイイです!」

「可愛いお兄さんっ、もっと笑って下さい! 照れてる顔も素敵ですけど……そうそうっ、いいですよ! そのままカッコいいお兄さんを見つめていて下さいね!」

 カメラマンのようにポーズを求めてきたり、アドバイスをしてくれたり。そんな彼女達の並々ならぬ熱意に押されている内に、一枚撮ってもらって終わりのつもりが、あれよあれよと言う間に沢山に。

 何故か俺への呼称が可愛いお兄さんだった気がするが、聞き間違いだろう。
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