気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

先輩は色々と考えてくれていたのに

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 早速先輩を部屋に招き入れ、台所へと向かった。食器棚から二人分のグラス、冷蔵庫から麦茶の入ったボトルを手に部屋へ戻ると先輩がビニール袋から弁当を取り出していた。

 テーブルの上に並べられているのは、大きな唐揚げがはみ出さんばかりに詰まったお弁当と、タレが絡められた牛肉がこれまたみっちみちに詰まったお弁当。どちらもメインが盛々でサービス精神にあふれている。

 付け合わせのおかずも玉子焼き、ポテトサラダ、きんぴらごぼうに漬物と嬉しい豊富さ。ご飯も勿論たっぷりと。手作り感あふれたそれらは、いつもお世話になっているコンビニでは見たことのない商品だった。

 そう言えば、学園の近くに美味しいって評判のお弁当屋さんがあったっけ。でも、そこって確か、俺達の寮とは反対方向じゃ。

「ああ、シュンちゃん、お茶ありがとう」

 つい考えにふけって突っ立ったままになっていた。微笑むソレイユ先輩が、おいでおいでと俺を手招きしてくれる。

 向かいに座ろうと思って置いておいたクッションは、いつの間にやら先輩の隣にあった。誰が動かしたかなんて考えるまでもない。

 ……だからって、また向かいに持っていくのはな……仕方がない、仕方がないよな。

 言い聞かせながらグラスとボトルをテーブルに置き、先輩の隣へと腰を下ろす。俺を見つめる柔らかな笑みが、どこか満足そうに笑みを深めた。

「唐揚げ弁当と焼肉弁当があるんだけど、シュンちゃんはどっちがいい?」

「えっと……」

「遠慮しないで、好きなの選んでいいよ。これ、近くのお弁当屋さんのでさ、オレいっつも食べてるから」

 やっぱり、そうだった。じゃあ、先輩……わざわざ買いに行ってくれたんだ。俺の為に。

「オレが言うことじゃないけどさ、味に関しては保証するよ?」

「……唐揚げ弁当がいいです」

「オッケー、はい、どうぞ。駅前とかに食べに行こうかなってのも考えたんだけど、初めてのお泊りだし……のんびり過ごしたいなって思ってさ。んで、せっかくだから、オレのオススメ食べて欲しいなって」

 受け取ったお弁当は、まだ温かかった。先輩は、色々と考えてくれていたのに。

 ……夕飯のこととか、完全に頭から抜け落ちてた。そりゃあ、冷凍庫にはチンするだけのチャーハンやスパゲッティ。カップ麺とかもあるにはあるけれど。

 せっかく先輩が来てくれるんだから、もっとちゃんとしたのを用意しとくんだったな。先輩が用意してくれていたから良かったものの……本当にダメだな……俺。

「どうしたのシュンちゃん? もしかして、お肉よりお魚の方が良かった?」

 勝手に落ち込んでいる俺を、先輩が心配そうに見つめている。その優しさに余計に申し訳なくなってくる。

「魚も好きですけど、お肉の方が好きです……」

「そっか……じゃあ、他に何か心配ごと……とか?」

「いえ、その……俺、先輩と一緒に居られるって浮かれちゃってて……夕食のこととか、忘れちゃってたから……」

 不安そうだった眼差しが、きょとんと丸くなっていく。ピクリとも動かなくなった先輩に、何だか居たたまれなくなってしまう。

 こんな、何とも言えない微妙な空気にしてしまったのは俺なのに。つい目を逸らして俯いてしまっていた。

 少しして、すぐ隣の空気が動いた気がした。ゆらりと伸びてきた筋肉質な腕が俺の腰に回された。優しくて抱き寄せられて、温かな腕の中へと招かれた。

「……そんなに楽しみにしてくれてたの? 嬉しいな」

 耳元で囁かれた声は昨日と同じ。うっとりとしていて、腰の辺りが疼くような。頷くしか出来なかった俺の頬を、大きな手のひらがゆるりと撫でていく。少し硬い指先が、そっと俺の顎を掴んで持ち上げた。
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