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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
分かってないじゃないか! 全っ然! 全く!!
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彼の細い指の先を辿ると、銀色の指輪があった。俺が気になっていた内の一つ、波のような形をした指輪と同じくらいに細いそれは、確かに正面から見るとVの形に見えた。
「V字……ああ、これですね。銀の他に、金と銅色と黒もありますね」
「そうそう、それそれ」
うんうんと頷いてから、先輩は再びショーケースを指差し始める。その動きに迷いは全くない。
「それじゃあ、今のところの候補は……シュンちゃんが俺に似合うって言ってくれていたウェーブリングの細いのと、槌目模様の太いのと、ストレートリング。んで、オレのV字……だよね?」
「はいっ、そうです…………ね?」
ごく自然にツラツラと確認を取られた内容。俺が心の中でしか考えていなかったハズの、先輩に似合う指輪の特徴を先輩が正確に言えたことに対しての疑問に、ワンテンポ遅れて思い至る。
言ってくれていた? 俺が?
信じたくはない。が、いくら先輩が察しが良いからといって、思い浮かべていた全ての指輪を言い当てるだなんて、そんなこと出来る訳が。
「……ソレイユ先輩」
「ん、何?」
わざとらしく小首を傾げた先輩は、あからさまに楽しげで。周囲に花が飛んでいそうなその表情だけで、答えが出てしまっていた。とはいえ、俺には聞くっていう選択肢しかないのだけれども。
「……もしかしなくても、さっき俺、全部口に出しちゃってましたか?」
途端に、ニッコニコな笑みがますます深くなったのは言うまでもない。
「うんっ、可愛かったよー。真剣な目でショーケースを眺めながら、オレの指がキレイって褒めてくれて。コレも似合う、アレも似合うって言ってくれていたシュンちゃん」
なんなら、声色もスキップしているみたいに弾んでいる。
すでに俺の顔には熱が集中していた。湯気でも出ていそうなくらいに。だというのに、先輩の口は軽快なまま。今度は嬉しいことばかりを言い始めた。
「だからさ、オレもシュンちゃんの指にはどれが似合うかなって。そりゃあ、オレの可愛いシュンちゃんだから、どんな指輪だって似合っちゃうだろうし」
「っ……せ、せんぱ」
「素敵な指輪との相乗効果で、ますますシュンちゃんが魅力的になっちゃうのは確定なんだけどさ」
「ソレイユ……っ」
ようやく俺の方を向いてくれた先輩は、ますますご機嫌そう。タレ目の瞳をとろりと細めながら、頬と頬とががくっついてしまいそうなくらいに、そのスタイルのいい長身を寄せてきた。
「ん、なーに? シュン」
「嬉しいです……すっごく嬉しいんですけど……」
もうそろそろ勘弁して欲しい。心臓は壊れそうなくらいに喚いてしまっているし、熱くなり過ぎて頭はくらくらしているし。
このままじゃあ、いつひっくり返ってしまうか分かりゃしない。お店の中で、それも人の目があるところでそんな訳には。先輩に迷惑をかける訳には。それも、せっかくの先輩との初デート中だってのに。
つい先輩の服の袖を摘んで引っ張ってしまっていたほどに、強く主張していた俺の訴えは無事に伝わったらしかった。
「フフ、分かってるよ」
「……先輩」
「……続きは帰ってから、二人っきりになってからね……オレも、シュンの照れた可愛い顔……あんまり他人に見せたくないからさ」
分かってないじゃないか! 全っ然! 全く!!
「V字……ああ、これですね。銀の他に、金と銅色と黒もありますね」
「そうそう、それそれ」
うんうんと頷いてから、先輩は再びショーケースを指差し始める。その動きに迷いは全くない。
「それじゃあ、今のところの候補は……シュンちゃんが俺に似合うって言ってくれていたウェーブリングの細いのと、槌目模様の太いのと、ストレートリング。んで、オレのV字……だよね?」
「はいっ、そうです…………ね?」
ごく自然にツラツラと確認を取られた内容。俺が心の中でしか考えていなかったハズの、先輩に似合う指輪の特徴を先輩が正確に言えたことに対しての疑問に、ワンテンポ遅れて思い至る。
言ってくれていた? 俺が?
信じたくはない。が、いくら先輩が察しが良いからといって、思い浮かべていた全ての指輪を言い当てるだなんて、そんなこと出来る訳が。
「……ソレイユ先輩」
「ん、何?」
わざとらしく小首を傾げた先輩は、あからさまに楽しげで。周囲に花が飛んでいそうなその表情だけで、答えが出てしまっていた。とはいえ、俺には聞くっていう選択肢しかないのだけれども。
「……もしかしなくても、さっき俺、全部口に出しちゃってましたか?」
途端に、ニッコニコな笑みがますます深くなったのは言うまでもない。
「うんっ、可愛かったよー。真剣な目でショーケースを眺めながら、オレの指がキレイって褒めてくれて。コレも似合う、アレも似合うって言ってくれていたシュンちゃん」
なんなら、声色もスキップしているみたいに弾んでいる。
すでに俺の顔には熱が集中していた。湯気でも出ていそうなくらいに。だというのに、先輩の口は軽快なまま。今度は嬉しいことばかりを言い始めた。
「だからさ、オレもシュンちゃんの指にはどれが似合うかなって。そりゃあ、オレの可愛いシュンちゃんだから、どんな指輪だって似合っちゃうだろうし」
「っ……せ、せんぱ」
「素敵な指輪との相乗効果で、ますますシュンちゃんが魅力的になっちゃうのは確定なんだけどさ」
「ソレイユ……っ」
ようやく俺の方を向いてくれた先輩は、ますますご機嫌そう。タレ目の瞳をとろりと細めながら、頬と頬とががくっついてしまいそうなくらいに、そのスタイルのいい長身を寄せてきた。
「ん、なーに? シュン」
「嬉しいです……すっごく嬉しいんですけど……」
もうそろそろ勘弁して欲しい。心臓は壊れそうなくらいに喚いてしまっているし、熱くなり過ぎて頭はくらくらしているし。
このままじゃあ、いつひっくり返ってしまうか分かりゃしない。お店の中で、それも人の目があるところでそんな訳には。先輩に迷惑をかける訳には。それも、せっかくの先輩との初デート中だってのに。
つい先輩の服の袖を摘んで引っ張ってしまっていたほどに、強く主張していた俺の訴えは無事に伝わったらしかった。
「フフ、分かってるよ」
「……先輩」
「……続きは帰ってから、二人っきりになってからね……オレも、シュンの照れた可愛い顔……あんまり他人に見せたくないからさ」
分かってないじゃないか! 全っ然! 全く!!
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