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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
なんだか、婚約指輪っぽくていいなって……
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手頃なブランドだと先輩が言っていた通り、俺達が選んだペアリングは俺だけでも手が出しやすい価格だった。元々の約束通り二人で折半すれば、先程の雑貨屋さんでも贈り物が買えるくらいお財布に余裕があるほど。だからこそ、ほいほいと乗ってしまったんだと思う。
「文字入れ……ですか?」
「はい。通常、五文字ごとに千円となっておりまが、只今キャンペーン中でして。ペアリングをご購入されたお客様には八百円で承っております。いかがなさいますか?」
指輪のサイズを測ってもらい、在庫を確認してもらった後のこと。いざ代金をと、払おうとしていた時だった。
にこやかに微笑む女性の店員さんが、受付台の上にあったラミネート加工された用紙を俺達の前へと差し出してくる。そこには、指輪の刻印承ります、と大きな字で書かれていた。
下には、先程店員さんが説明してくれていた、文字ごとの価格が書かれていて、千円のところが二重線で訂正されていた。横にあるトゲトゲした吹き出しの中に、今だけ八百円! と目立つように。小さな文字で米印の後に、ペアリングをお買い上げの方限定、と書かれている。
さらに下には、入れられる文字の種類が書かれていた。
「大文字の英字に、数字、&とto……後は……」
「ハートマークだね」
言い淀んでいたハートの形をあっさりと口にした先輩が「ほらほら、可愛くない?」と指差す。しなやかな指の先には、実際に刻印するとどんな雰囲気になるのかというサンプルの画像があった。
何枚かの内の一つ、先輩が指差しているのは、二人のイニシャルの間にハートを入れるっていう、いかにも恋人同士っぽい入れ方だ。
「……確かに、可愛いは可愛いですけど」
どっちかといえば、はしゃいでいる先輩の方が。
「でしょ?」
思わず出かかっていた言葉を飲み込んだのと、先輩がますます瞳を輝かせたのはほぼ同時だった。俺の腕を抱き締めるように、引き締まった長い腕を絡めながらくっついてくる。
ああ、眩しい笑顔が間近に迫ってっ……程よい雄っぱいが腕に当たって……!
さっきまでも大概だった。ついついお店の中ということを忘れて、先輩とくっついてはしまっていた。
とはいえ、指輪を選んでいる時は俺達の近くにはお客さんや店員さんは居なかった。どれだけだらしのない顔になってしまっても見られてしまう心配はなかったのだ。
けれども、今は違う。明らかに微笑ましげな視線を感じて。
「あっ」
「へぁっ、な、なんですか?」
声がひっくり返ってしまっていた。先輩が、急に、たった今思い出したかのような声を出すもんだから。
「いや、シュンちゃんは良かったのかなって。ほら、オレ、もう名前入れる気マンマンになっちゃってたからさ。シュンちゃんに相談もしていないのに」
「ああ……いや、それなら俺だって。もう、その気だったんですけど……」
まだ店員さんに説明してもらってる最中だったのに、普通に入れる気分でいちゃってた。せっかくの特別なお揃いだから、より特別にしたいなって。それに、お互いの名前を入れるなんて、そんなの。
……なんだか、婚約指輪っぽくて良いなって……
「じゃ、じゃあ入れよっか! オレはお互いの名前を入れたいんだけど……」
「俺も、名前がいいです……ハートマークは……その、先輩が……その方が良いんだったら、俺も……」
「っ……名前とハートマークで、お願いします!」
「畏まりました。では、此方の用紙に刻印したい文字をご記入なさって下さい」
店員さんが差し出した用紙に、先輩は意気揚々と自分の名前と俺の名前を書いていた。その間には、しっかりとハートマークも。
その後も、最終的な料金を店員さんが電卓で出してくれたり、刻印には少し時間がかかるからと引き換え用紙をもらえたりした。
でも、俺はそのほとんどを右から左に聞き流してしまっていた。自分で思い浮かべた婚約指輪っぽい。その単語に、すっかり舞い上がってしまっていたんだ。
「文字入れ……ですか?」
「はい。通常、五文字ごとに千円となっておりまが、只今キャンペーン中でして。ペアリングをご購入されたお客様には八百円で承っております。いかがなさいますか?」
指輪のサイズを測ってもらい、在庫を確認してもらった後のこと。いざ代金をと、払おうとしていた時だった。
にこやかに微笑む女性の店員さんが、受付台の上にあったラミネート加工された用紙を俺達の前へと差し出してくる。そこには、指輪の刻印承ります、と大きな字で書かれていた。
下には、先程店員さんが説明してくれていた、文字ごとの価格が書かれていて、千円のところが二重線で訂正されていた。横にあるトゲトゲした吹き出しの中に、今だけ八百円! と目立つように。小さな文字で米印の後に、ペアリングをお買い上げの方限定、と書かれている。
さらに下には、入れられる文字の種類が書かれていた。
「大文字の英字に、数字、&とto……後は……」
「ハートマークだね」
言い淀んでいたハートの形をあっさりと口にした先輩が「ほらほら、可愛くない?」と指差す。しなやかな指の先には、実際に刻印するとどんな雰囲気になるのかというサンプルの画像があった。
何枚かの内の一つ、先輩が指差しているのは、二人のイニシャルの間にハートを入れるっていう、いかにも恋人同士っぽい入れ方だ。
「……確かに、可愛いは可愛いですけど」
どっちかといえば、はしゃいでいる先輩の方が。
「でしょ?」
思わず出かかっていた言葉を飲み込んだのと、先輩がますます瞳を輝かせたのはほぼ同時だった。俺の腕を抱き締めるように、引き締まった長い腕を絡めながらくっついてくる。
ああ、眩しい笑顔が間近に迫ってっ……程よい雄っぱいが腕に当たって……!
さっきまでも大概だった。ついついお店の中ということを忘れて、先輩とくっついてはしまっていた。
とはいえ、指輪を選んでいる時は俺達の近くにはお客さんや店員さんは居なかった。どれだけだらしのない顔になってしまっても見られてしまう心配はなかったのだ。
けれども、今は違う。明らかに微笑ましげな視線を感じて。
「あっ」
「へぁっ、な、なんですか?」
声がひっくり返ってしまっていた。先輩が、急に、たった今思い出したかのような声を出すもんだから。
「いや、シュンちゃんは良かったのかなって。ほら、オレ、もう名前入れる気マンマンになっちゃってたからさ。シュンちゃんに相談もしていないのに」
「ああ……いや、それなら俺だって。もう、その気だったんですけど……」
まだ店員さんに説明してもらってる最中だったのに、普通に入れる気分でいちゃってた。せっかくの特別なお揃いだから、より特別にしたいなって。それに、お互いの名前を入れるなんて、そんなの。
……なんだか、婚約指輪っぽくて良いなって……
「じゃ、じゃあ入れよっか! オレはお互いの名前を入れたいんだけど……」
「俺も、名前がいいです……ハートマークは……その、先輩が……その方が良いんだったら、俺も……」
「っ……名前とハートマークで、お願いします!」
「畏まりました。では、此方の用紙に刻印したい文字をご記入なさって下さい」
店員さんが差し出した用紙に、先輩は意気揚々と自分の名前と俺の名前を書いていた。その間には、しっかりとハートマークも。
その後も、最終的な料金を店員さんが電卓で出してくれたり、刻印には少し時間がかかるからと引き換え用紙をもらえたりした。
でも、俺はそのほとんどを右から左に聞き流してしまっていた。自分で思い浮かべた婚約指輪っぽい。その単語に、すっかり舞い上がってしまっていたんだ。
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