気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

伝えようとしたものの

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 お代わりしてくれたお皿には、米粒一つすらも残っていない。まるで今食器棚から取り出したばかりだと錯覚してしまいそうなくらい。最後の最後まで気持ちのいい食べっぷりだった。

 好きな人に手料理を食べてもらえる。好きな人から美味しいって言ってもらえる。初めての体験は食後の満足感をあっさりと超えて、俺の胸の内を喜びで満たしてくれていた。

 擽ったくて、ついニヤけてしまう。そんな余韻に浸りながら、冷たい麦茶を入れたグラスをちびちび飲んでいたところで、ソレイユがふと口を開いた。

「お礼にオレが食器洗うよ」

 もう彼の中では決定事項なのだろう。すっと席から立ち上がった彼はやる気満々。先手を取って俺の食器とスプーンを回収してしまった。

 はつらつとした笑顔を見せてくれながらの申し出は嬉しかった。けれども俺としては。

「ありがとうございます……でも、一緒に片付けませんか?」

 すでに二人分の食器を手にして台所へと向かおうとしていたソレイユが、だるまさんが転んだみたいに急停止してから振り返った。

「……オレは嬉しいけど……シュン、疲れてるんじゃ?」

 そろそろと俺の元へと戻ってきたソレイユは心配そうに細い眉を下げている。お代わりまで作ってもらっちゃったし、と続けながら俺をじっと見つめてきた。その眼差しは俺の疲れ具合を見極めるようにも感じたし、俺の心の内を見通そうとしているようにも感じた。

 これはもう素直に思っていることを伝えた方がいいかもしれない。

「大丈夫ですよ。二人でやった方が早いし……待ってる間、ヒマじゃないですか……だったら、ソレイユと一緒の方が……」

 伝えようとしたものの、何だか言い訳まみれになってしまっていた。それでも察しのいいソレイユは汲み取ってくれたらしい。

「ふっふーん、なるほどね~……シュンも俺と片時も離れたくないんだね?」

「うっ……はい、まぁ……」

「それとも、早く終わらせちゃって……また、オレに可愛がってもらいたいの?」

「っ……そっ、それも、あるにはある、といいますか……」

 嬉しそうに、ちょっとだけ意地悪そうに微笑んでいたソレイユが大きく頷いた。

「よしっ、分かった! じゃあ、二人でちゃっちゃと終わらせちゃおう!」

 俺の返事を聞くよりも早く台所へと向かうと、シンクに食器とスプーンを置いてから俺に向かって手招きしてくる。

「オレがフライパンとか洗っておくから、シュンはお皿とスプーンをよろしくね?」

「は、はい、分かりました」

 微笑むソレイユの手には、すでに泡をまとったスポンジが握られていた。



 元々片付けるものが少なかったってこともある。だから余計に早く終わった。二人でなんのけない話を交わしている内に片付いていた。

 カーペットの上に腰を落ち着けると、ソレイユは当たり前のように俺を抱き寄せてきてくれた。冷たい水に触れていた大きな手は、少しひんやりとしている。頬を撫でてもらえるだけで、何だか背中の辺りがぞくぞくしてしまう。

「ソレイユ……」

「可愛いよ、シュン」

 ただでさえ近くに居てくれているソレイユが、もっと俺に近づいてきてくれる。もうソレイユの優しい笑顔しか見えない。

「ん……」

 そっと唇を重ねてもらえている間もソレイユのしなやかな指は頬を撫でてくれていた。俺の熱が伝わってしまったんだろうか。柔らかな指先はもう温かい。

 軽く唇を食んでくれてから、ソレイユが離れていってしまった。

「ねぇ、シュン……」

「は、はい……」

 何を言ってもらえるんだろうか。短い沈黙が長く感じてしまう。心臓の音がますます煩くなってきて。

「良かったらさ、今からデートしない?」

 軽く小首を傾げていた彼の顔がほんのりと赤くなっていく。ソレイユは照れたように睫毛を伏せながら慌てた様子で言葉を重ねようとした。

「っても、この辺りをお散歩するだけ」

「しますっ! したいです!!」
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