気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

今は馴染みのある道

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 止まらなくなっちゃいそうだったって、そういうこと、だよな? あのまま続けてもらえていたっていうか……何なら先だけじゃなくて、もっと奥まで挿れてもらえていた可能性も?

 熱に浮かされたかのように熱くなってしまっている頭からは湯気でも出てきてしまいそう。だというのに思考はフル稼働してしまっていた。ぐるぐるとソレイユとのもしかしたらな想像が駆け巡っていってしまう。

「ソレイユ……」

 何だか堪らなくなってしまって名を呼べば、またふいっと目を逸らされてしまった。

 機嫌を損ねてしまったという訳ではなさそう。照れているんだろう。現に筋肉質な腕の方は俺を離すまいとますます抱き寄せてくれている。

 何を言ってくれようとしていたんだろう。

「ソレイユ」

 もう一度、今度は強請るような声色で呼んでみる。ソレイユはやっぱり俺のほうを向いてはくれない。ただ、抱き締めてくれている腕に少しばかり力が込められただけだ。

 それでも諦めきれずに見つめてしまっていると、拗ねたように尖らせていた唇がおずおずと開いた。

「……から」

「……え?」

「シュンが、そんな嬉しそうな顔するからっ……だからこれ以上はって、オレ」

「いや、だって、嬉しいに決まって」

「あーっ!! もう止めっ! おしまい!!」

 遮ったうえに、話しを無理矢理切ってきたソレイユの顔は真っ赤っか。隠したいんだろうか。細い顎を俺の肩にのせてから、俺の身体を抱き枕代わりにするように抱き締めてきた。

 引き締まった長い腕の力はさっきよりも強く、身動きが取れそうにない。それでも手加減はしてくれているのか息苦しさはないけれども。

 どうやら、これ以上は話してはくれなさそうだ。まぁ、ソレイユの本音が聞けただけでも良しとしよう。

 緩やかなウェーブのかかったオレンジ色の髪を梳くように撫でる。すると少しだけ腕の力が和らいだ。甘えてくれるように頭を擦り寄せてきてくれた。




 少し前までは見知らぬ道、けれども今は馴染みのある道をのんびり歩いていく。

 角を左に曲がって少し歩いて、そうしてすぐに見えてきたお店へと入れば、この店の主はすぐに俺に気が付いてくれた。

 柔らかな笑顔を浮かべながら俺に向かって手を振るおばちゃん。その快活な声には、明るい赤のチェック柄のエプロンと三角巾がよく似合っていた。

「あら、いらっしゃい、シュンちゃん」

「こんにちは」

「丁度いい時に来たね。唐揚げが今揚がったところだよ」

「やった! じゃあ、唐揚げと……後、コロッケ下さい」

 瞳を細めてくすくす笑みをこぼしてからおばちゃんは、いつものね、と唐揚げは紙袋いっぱいに。大きなコロッケは二つ、プラスチックの容器に詰めてくれた。

 唐揚げの入った紙袋を銀の台の上に置かれるとグラム数と一緒に値段が表示される。おばちゃんは、これでいいかい? と尋ねながら、コロッケを足した値段を電卓に打ってから俺に見せてくれた。

 財布の中をちらりと見る。最近は自販機用に小銭を多めに入れていたから、お釣りをもらうことなく払えそうだ。

「……はい、丁度ね、いつもありがとう」

 レジ横の青いトレーへと置いた代金を数えてから、おばちゃんは商品の入ったビニール袋を差し出してきた。

「はい、お待たせ」

「ありがとうございま、ってあれ? 何か多くない?」

 覗き見たビニール袋の中には、唐揚げの入った紙袋の他にもう一つ小さめの紙袋が。間違って入れたんじゃ。

「おまけだよ、ソレイユちゃんと一緒に食べな」

「あ、ありがとうございます」

 微笑ましいものでも見ているような眼差しに顔が熱くなる。おばちゃん的にはあくまで中の良い先輩後輩というか、友達同士というか、そういう風に考えているのは分かっているんだけれど。
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