537 / 645
細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
今は馴染みのある道
しおりを挟む
止まらなくなっちゃいそうだったって、そういうこと、だよな? あのまま続けてもらえていたっていうか……何なら先だけじゃなくて、もっと奥まで挿れてもらえていた可能性も?
熱に浮かされたかのように熱くなってしまっている頭からは湯気でも出てきてしまいそう。だというのに思考はフル稼働してしまっていた。ぐるぐるとソレイユとのもしかしたらな想像が駆け巡っていってしまう。
「ソレイユ……」
何だか堪らなくなってしまって名を呼べば、またふいっと目を逸らされてしまった。
機嫌を損ねてしまったという訳ではなさそう。照れているんだろう。現に筋肉質な腕の方は俺を離すまいとますます抱き寄せてくれている。
何を言ってくれようとしていたんだろう。
「ソレイユ」
もう一度、今度は強請るような声色で呼んでみる。ソレイユはやっぱり俺のほうを向いてはくれない。ただ、抱き締めてくれている腕に少しばかり力が込められただけだ。
それでも諦めきれずに見つめてしまっていると、拗ねたように尖らせていた唇がおずおずと開いた。
「……から」
「……え?」
「シュンが、そんな嬉しそうな顔するからっ……だからこれ以上はって、オレ」
「いや、だって、嬉しいに決まって」
「あーっ!! もう止めっ! おしまい!!」
遮ったうえに、話しを無理矢理切ってきたソレイユの顔は真っ赤っか。隠したいんだろうか。細い顎を俺の肩にのせてから、俺の身体を抱き枕代わりにするように抱き締めてきた。
引き締まった長い腕の力はさっきよりも強く、身動きが取れそうにない。それでも手加減はしてくれているのか息苦しさはないけれども。
どうやら、これ以上は話してはくれなさそうだ。まぁ、ソレイユの本音が聞けただけでも良しとしよう。
緩やかなウェーブのかかったオレンジ色の髪を梳くように撫でる。すると少しだけ腕の力が和らいだ。甘えてくれるように頭を擦り寄せてきてくれた。
少し前までは見知らぬ道、けれども今は馴染みのある道をのんびり歩いていく。
角を左に曲がって少し歩いて、そうしてすぐに見えてきたお店へと入れば、この店の主はすぐに俺に気が付いてくれた。
柔らかな笑顔を浮かべながら俺に向かって手を振るおばちゃん。その快活な声には、明るい赤のチェック柄のエプロンと三角巾がよく似合っていた。
「あら、いらっしゃい、シュンちゃん」
「こんにちは」
「丁度いい時に来たね。唐揚げが今揚がったところだよ」
「やった! じゃあ、唐揚げと……後、コロッケ下さい」
瞳を細めてくすくす笑みをこぼしてからおばちゃんは、いつものね、と唐揚げは紙袋いっぱいに。大きなコロッケは二つ、プラスチックの容器に詰めてくれた。
唐揚げの入った紙袋を銀の台の上に置かれるとグラム数と一緒に値段が表示される。おばちゃんは、これでいいかい? と尋ねながら、コロッケを足した値段を電卓に打ってから俺に見せてくれた。
財布の中をちらりと見る。最近は自販機用に小銭を多めに入れていたから、お釣りをもらうことなく払えそうだ。
「……はい、丁度ね、いつもありがとう」
レジ横の青いトレーへと置いた代金を数えてから、おばちゃんは商品の入ったビニール袋を差し出してきた。
「はい、お待たせ」
「ありがとうございま、ってあれ? 何か多くない?」
覗き見たビニール袋の中には、唐揚げの入った紙袋の他にもう一つ小さめの紙袋が。間違って入れたんじゃ。
「おまけだよ、ソレイユちゃんと一緒に食べな」
「あ、ありがとうございます」
微笑ましいものでも見ているような眼差しに顔が熱くなる。おばちゃん的にはあくまで中の良い先輩後輩というか、友達同士というか、そういう風に考えているのは分かっているんだけれど。
熱に浮かされたかのように熱くなってしまっている頭からは湯気でも出てきてしまいそう。だというのに思考はフル稼働してしまっていた。ぐるぐるとソレイユとのもしかしたらな想像が駆け巡っていってしまう。
「ソレイユ……」
何だか堪らなくなってしまって名を呼べば、またふいっと目を逸らされてしまった。
機嫌を損ねてしまったという訳ではなさそう。照れているんだろう。現に筋肉質な腕の方は俺を離すまいとますます抱き寄せてくれている。
何を言ってくれようとしていたんだろう。
「ソレイユ」
もう一度、今度は強請るような声色で呼んでみる。ソレイユはやっぱり俺のほうを向いてはくれない。ただ、抱き締めてくれている腕に少しばかり力が込められただけだ。
それでも諦めきれずに見つめてしまっていると、拗ねたように尖らせていた唇がおずおずと開いた。
「……から」
「……え?」
「シュンが、そんな嬉しそうな顔するからっ……だからこれ以上はって、オレ」
「いや、だって、嬉しいに決まって」
「あーっ!! もう止めっ! おしまい!!」
遮ったうえに、話しを無理矢理切ってきたソレイユの顔は真っ赤っか。隠したいんだろうか。細い顎を俺の肩にのせてから、俺の身体を抱き枕代わりにするように抱き締めてきた。
引き締まった長い腕の力はさっきよりも強く、身動きが取れそうにない。それでも手加減はしてくれているのか息苦しさはないけれども。
どうやら、これ以上は話してはくれなさそうだ。まぁ、ソレイユの本音が聞けただけでも良しとしよう。
緩やかなウェーブのかかったオレンジ色の髪を梳くように撫でる。すると少しだけ腕の力が和らいだ。甘えてくれるように頭を擦り寄せてきてくれた。
少し前までは見知らぬ道、けれども今は馴染みのある道をのんびり歩いていく。
角を左に曲がって少し歩いて、そうしてすぐに見えてきたお店へと入れば、この店の主はすぐに俺に気が付いてくれた。
柔らかな笑顔を浮かべながら俺に向かって手を振るおばちゃん。その快活な声には、明るい赤のチェック柄のエプロンと三角巾がよく似合っていた。
「あら、いらっしゃい、シュンちゃん」
「こんにちは」
「丁度いい時に来たね。唐揚げが今揚がったところだよ」
「やった! じゃあ、唐揚げと……後、コロッケ下さい」
瞳を細めてくすくす笑みをこぼしてからおばちゃんは、いつものね、と唐揚げは紙袋いっぱいに。大きなコロッケは二つ、プラスチックの容器に詰めてくれた。
唐揚げの入った紙袋を銀の台の上に置かれるとグラム数と一緒に値段が表示される。おばちゃんは、これでいいかい? と尋ねながら、コロッケを足した値段を電卓に打ってから俺に見せてくれた。
財布の中をちらりと見る。最近は自販機用に小銭を多めに入れていたから、お釣りをもらうことなく払えそうだ。
「……はい、丁度ね、いつもありがとう」
レジ横の青いトレーへと置いた代金を数えてから、おばちゃんは商品の入ったビニール袋を差し出してきた。
「はい、お待たせ」
「ありがとうございま、ってあれ? 何か多くない?」
覗き見たビニール袋の中には、唐揚げの入った紙袋の他にもう一つ小さめの紙袋が。間違って入れたんじゃ。
「おまけだよ、ソレイユちゃんと一緒に食べな」
「あ、ありがとうございます」
微笑ましいものでも見ているような眼差しに顔が熱くなる。おばちゃん的にはあくまで中の良い先輩後輩というか、友達同士というか、そういう風に考えているのは分かっているんだけれど。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
雪解けに愛を囁く
ノルねこ
BL
平民のアルベルトに試験で負け続けて伯爵家を廃嫡になったルイス。
しかしその試験結果は歪められたものだった。
実はアルベルトは自分の配偶者と配下を探すため、身分を偽って学園に通っていたこの国の第三王子。自分のせいでルイスが廃嫡になってしまったと後悔するアルベルトは、同級生だったニコラスと共にルイスを探しはじめる。
好きな態度を隠さない王子様×元伯爵令息(現在は酒場の店員)
前・中・後プラスイチャイチャ回の、全4話で終了です。
別作品(俺様BL声優)の登場人物と名前は同じですが別人です! 紛らわしくてすみません。
小説家になろうでも公開中。
先輩たちの心の声に翻弄されています!
七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。
ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。
最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。
乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。
見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。
****
三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。
ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる