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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
いつまでも慣れない俺と余裕綽々な彼
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外したエプロンを壁のフックにかけてからソレイユは俺に向かって手を差し出した。
「ほら、おいで……こっちも気になっちゃってたんでしょ? デートと同じくらいに」
緩やかな笑みを浮かべている片方の口端がゆるりと上がる。どうやら二つ目の方もバレバレだったようだ。
黙って手を取ったその行動を肯定とみなしたんだろう。ソレイユはますます嬉しそう。指を絡めて手を繋いでくれてから、あの耳に残る鼻歌を口ずさみながら、俺を浴室へと連れて行ってくれた。
洗面所までの僅かな道のり。その間ですら気持ちはそわそわ、鼓動はドキドキと高鳴ってしまっていた。
いざ服を脱ぐ、という段階に入ってしまえば、ますますそれらはピークに。いつも見惚れてしまう彼の中性的で整った顔すら見れなくなってしまっていた。
そこそこ回数を重ねているんだけどな。
それでも慣れない俺に対してソレイユはやっぱり余裕綽々。名残惜しそうに繋いでいる手を離してからも不思議なリズムの鼻歌は絶賛継続中。可愛らしい声に紛れて生活感のある音が聞こえてくる。
どうしても鳴ってしまう衣擦れの音やら、ジッパーを下ろす音やら。
普段は聞き慣れているハズのそれらをソレイユが鳴らしているのだと、ソレイユが服を脱いでいるから発せられているのだと、そう意識してしまうもんだから、ますます俺は身を固くしてしまっていた。
まだ鼻歌は止まっていない。でも、今は生々しく聞こえる音は、もう止んで。
温かな手のひらが俺の肩を掴んだ。
「うひゃっ」
「おっと、ゴメンね。びっくりさせちゃった?」
「あ、いや……はい、ちょっとだ、け」
床ばかりを見ていた視線を釣られて上げれば目に飛び込んできた。透き通るような白い素肌、モデル顔負けなスタイルの良さもさることながら、彫刻のように美しい鍛え抜かれた筋肉、それから。
嬉しそうに微笑むオレンジ色の瞳。
「フフ、やっと目が合ったね」
「あ、ぅ……」
顔の中心へと熱が集まっていく。気持ち的には逸らしたい。だが、気恥ずかしさよりも欲の方が勝ってしまっていた。俺だけに向けられている柔らかな微笑みから、惜しげもなく晒してくれている体躯から目が離せない。
「可愛いね……可愛いよ、シュン」
よしよしと頭を撫でてくれてから、そのままするりと頬へ。下りてきてくれた手のひらが、目元を撫でてくれる指先が温かい。安心する。
自然と身体のこわばりが抜けてきていたところで手が離れていってしまう。
「あ……」
つい物欲しそうな声を上げてしまっていた。
俺を見つめていた瞳がより細められて、柔らかな笑みが深くなる。くすりと小さな笑みをこぼしてから、ソレイユは俺の服の裾へと指をかけた。
「あっ……」
「ダメ?」
俺の顔を覗き込むようにソレイユが少し背をかがめる。
細い眉を下げながら小首をちょこんと傾げる様に、胸の奥をきゅっと摘まれたような気分になった。
可愛い。分かっていてやってるんだろうけど、それでも可愛い。何でも言うことを聞いてあげたくなってしまう。
勇気を掻き集めて俺は彼への了承を口にしようとした。けれども、目を合わせては言えなくて、直前で逸らしてしまっていた。
「いいよ……ソレイユに、脱がせて……欲しい……」
「っ……」
息を呑むような音が聞こえてすぐだった。全身が温かな体温に包まれたのは。
「ほら、おいで……こっちも気になっちゃってたんでしょ? デートと同じくらいに」
緩やかな笑みを浮かべている片方の口端がゆるりと上がる。どうやら二つ目の方もバレバレだったようだ。
黙って手を取ったその行動を肯定とみなしたんだろう。ソレイユはますます嬉しそう。指を絡めて手を繋いでくれてから、あの耳に残る鼻歌を口ずさみながら、俺を浴室へと連れて行ってくれた。
洗面所までの僅かな道のり。その間ですら気持ちはそわそわ、鼓動はドキドキと高鳴ってしまっていた。
いざ服を脱ぐ、という段階に入ってしまえば、ますますそれらはピークに。いつも見惚れてしまう彼の中性的で整った顔すら見れなくなってしまっていた。
そこそこ回数を重ねているんだけどな。
それでも慣れない俺に対してソレイユはやっぱり余裕綽々。名残惜しそうに繋いでいる手を離してからも不思議なリズムの鼻歌は絶賛継続中。可愛らしい声に紛れて生活感のある音が聞こえてくる。
どうしても鳴ってしまう衣擦れの音やら、ジッパーを下ろす音やら。
普段は聞き慣れているハズのそれらをソレイユが鳴らしているのだと、ソレイユが服を脱いでいるから発せられているのだと、そう意識してしまうもんだから、ますます俺は身を固くしてしまっていた。
まだ鼻歌は止まっていない。でも、今は生々しく聞こえる音は、もう止んで。
温かな手のひらが俺の肩を掴んだ。
「うひゃっ」
「おっと、ゴメンね。びっくりさせちゃった?」
「あ、いや……はい、ちょっとだ、け」
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嬉しそうに微笑むオレンジ色の瞳。
「フフ、やっと目が合ったね」
「あ、ぅ……」
顔の中心へと熱が集まっていく。気持ち的には逸らしたい。だが、気恥ずかしさよりも欲の方が勝ってしまっていた。俺だけに向けられている柔らかな微笑みから、惜しげもなく晒してくれている体躯から目が離せない。
「可愛いね……可愛いよ、シュン」
よしよしと頭を撫でてくれてから、そのままするりと頬へ。下りてきてくれた手のひらが、目元を撫でてくれる指先が温かい。安心する。
自然と身体のこわばりが抜けてきていたところで手が離れていってしまう。
「あ……」
つい物欲しそうな声を上げてしまっていた。
俺を見つめていた瞳がより細められて、柔らかな笑みが深くなる。くすりと小さな笑みをこぼしてから、ソレイユは俺の服の裾へと指をかけた。
「あっ……」
「ダメ?」
俺の顔を覗き込むようにソレイユが少し背をかがめる。
細い眉を下げながら小首をちょこんと傾げる様に、胸の奥をきゅっと摘まれたような気分になった。
可愛い。分かっていてやってるんだろうけど、それでも可愛い。何でも言うことを聞いてあげたくなってしまう。
勇気を掻き集めて俺は彼への了承を口にしようとした。けれども、目を合わせては言えなくて、直前で逸らしてしまっていた。
「いいよ……ソレイユに、脱がせて……欲しい……」
「っ……」
息を呑むような音が聞こえてすぐだった。全身が温かな体温に包まれたのは。
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