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【新婚旅行編】最終日:ですが、私が納得出来ない
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「大丈夫っ、バアルはすっごくカッコいいよ? 今でも、十分にっ! それに、前にも言ったけど、俺……別に、男らしいっていうか……筋肉質で頼もしい身体の人が好きな訳じゃな」
「存じております」
「え」
「男らしい身体つきの御方が好きなのではなく、私に惚れ込んで頂けたからこそ、私の筋肉質な身体に惹かれているのだと。そう勇気をもって伝えてくれた貴方様の御言葉は、今でも私の大切な記憶として胸の内に刻みつけております故」
目を丸くなさってから、すぐさまアオイのお顔が更に赤みを増していく。一度ふいっと逸らしてから、おずおずと見つめてきた眼差しは不思議そうに細められていた。だったら、今のままでいいんじゃない? さも、そう仰りたいかのように。
「だったら」
「だとしても、私は目指したいのです。愛しい貴方様が今以上に素敵だと、魅力的だと思って頂ける男になりたいのです」
予想していた通りの言葉を言い終えられる前に、私の目標を伝えれば、アオイはまた唸ってしまった。口元を押さえながら俯かれてしまった。
「……困っちゃうんだけど」
「アオイ?」
空気に溶けてしまいそうなか細い声だったとはいえ、私がアオイの声を聞き逃すことはない。私は咄嗟に彼の名に疑問符を付けて呼んでいた。
ただ理由をお尋ねしたかっただけだ。アオイを困らせてしまうことなどないと思っていたから。
私が魅力的になれば、アオイはますます私に惚れ込んで下さる筈。そうすれば、私達の夫婦仲はより深まるだろうし、私もアオイの澄んだ眼差しを独り占めすることが出来て幸せ。お互いにメリットしか無いと思うのですが。
けれどもアオイは私が聞き逃してしまったと思われたようだ。おずおずと上げた顔を緩く左右に振った。
「ううん、何でもない……それよりさ、間違っていたら……ごめん、だけど」
「……お気になさらず、どうぞ」
何故、困ってしまわれるのか。気にはなったものの、話題を変えてきた以上尋ねることは出来ない。優しい彼が気にしてしまわないよう、微笑みかけた。
「ありがとう。それで、バアルは……その……自分には男性としての魅力が足りていないって、思ってるの?」
「……そう、ですね。正直に申し上げますと足りないかと。アオイから、より格好が良いと惚れ込んで頂く為には」
「っ、ぇ」
驚いたような声を漏らしながら、アオイはまたしても俯くことで真っ赤なお顔を隠してしまわれた。反応を見る限り、やはり自覚が無いのだろう。御自身が、どれだけ眩い魅力を放っているのかを。
以前、サタン様とヨミ様が仰られた通り、今後アオイは私の妻として私と肩を並べ公の場に出る機会が増えていく。そうすれば、今まで以上にアオイの愛らしい笑顔に、温かな優しさに心惹かれる方が増えてしまわれることだろう。
まだあどけない彼は、その魅力に磨きがかかっていくばかり。対して私は、油断をすれば衰えていってしまうばかり。
……分かっていますとも。それでもアオイは変わることなく私を心から愛してくれると。どのような私であれ、妻として永遠に寄り添って下さると。
ですが、私が納得出来ない。
「いつまでも、貴方の隣で堂々と胸を張っていたいのです」
伏せられていた顔が弾むように上がり、ベッドが軋んだ音を立てる。煌めく琥珀色の瞳に私が映っている。
「あ、りがとう……」
「いえ」
途切れがちに呟いてから、アオイが私の元へと戻ってきてくれる。のそのそと少しばかり空いてしまっていた距離を埋め、もたれかかるように細い肩を寄せてきた。
今が好機とアオイの両手を独占している瓶をそっと取り上げた。何かを言われてしまう前に空いた手を握れば、アオイは私の突飛な行動に納得してくれたらしい。その小さな指先で私の手のひらを揉むように触り始めた。赤く染まった耳が可愛らしい。
「そ、それじゃあさ、バアルはさ……どういう男の人を魅力的だなって、思ってるの?」
「ふむ……難しい質問ですね」
「難しいんだ……」
小さく呟かれた声は寂し気に聞こえた。残念だけれども、どこかしら理解はしていたような、諦観の混じった声。
またしても、何やら勘違いをなさっているようだ。先程の件に関してはともかく、此方は早急に解いておかなければ。
「存じております」
「え」
「男らしい身体つきの御方が好きなのではなく、私に惚れ込んで頂けたからこそ、私の筋肉質な身体に惹かれているのだと。そう勇気をもって伝えてくれた貴方様の御言葉は、今でも私の大切な記憶として胸の内に刻みつけております故」
目を丸くなさってから、すぐさまアオイのお顔が更に赤みを増していく。一度ふいっと逸らしてから、おずおずと見つめてきた眼差しは不思議そうに細められていた。だったら、今のままでいいんじゃない? さも、そう仰りたいかのように。
「だったら」
「だとしても、私は目指したいのです。愛しい貴方様が今以上に素敵だと、魅力的だと思って頂ける男になりたいのです」
予想していた通りの言葉を言い終えられる前に、私の目標を伝えれば、アオイはまた唸ってしまった。口元を押さえながら俯かれてしまった。
「……困っちゃうんだけど」
「アオイ?」
空気に溶けてしまいそうなか細い声だったとはいえ、私がアオイの声を聞き逃すことはない。私は咄嗟に彼の名に疑問符を付けて呼んでいた。
ただ理由をお尋ねしたかっただけだ。アオイを困らせてしまうことなどないと思っていたから。
私が魅力的になれば、アオイはますます私に惚れ込んで下さる筈。そうすれば、私達の夫婦仲はより深まるだろうし、私もアオイの澄んだ眼差しを独り占めすることが出来て幸せ。お互いにメリットしか無いと思うのですが。
けれどもアオイは私が聞き逃してしまったと思われたようだ。おずおずと上げた顔を緩く左右に振った。
「ううん、何でもない……それよりさ、間違っていたら……ごめん、だけど」
「……お気になさらず、どうぞ」
何故、困ってしまわれるのか。気にはなったものの、話題を変えてきた以上尋ねることは出来ない。優しい彼が気にしてしまわないよう、微笑みかけた。
「ありがとう。それで、バアルは……その……自分には男性としての魅力が足りていないって、思ってるの?」
「……そう、ですね。正直に申し上げますと足りないかと。アオイから、より格好が良いと惚れ込んで頂く為には」
「っ、ぇ」
驚いたような声を漏らしながら、アオイはまたしても俯くことで真っ赤なお顔を隠してしまわれた。反応を見る限り、やはり自覚が無いのだろう。御自身が、どれだけ眩い魅力を放っているのかを。
以前、サタン様とヨミ様が仰られた通り、今後アオイは私の妻として私と肩を並べ公の場に出る機会が増えていく。そうすれば、今まで以上にアオイの愛らしい笑顔に、温かな優しさに心惹かれる方が増えてしまわれることだろう。
まだあどけない彼は、その魅力に磨きがかかっていくばかり。対して私は、油断をすれば衰えていってしまうばかり。
……分かっていますとも。それでもアオイは変わることなく私を心から愛してくれると。どのような私であれ、妻として永遠に寄り添って下さると。
ですが、私が納得出来ない。
「いつまでも、貴方の隣で堂々と胸を張っていたいのです」
伏せられていた顔が弾むように上がり、ベッドが軋んだ音を立てる。煌めく琥珀色の瞳に私が映っている。
「あ、りがとう……」
「いえ」
途切れがちに呟いてから、アオイが私の元へと戻ってきてくれる。のそのそと少しばかり空いてしまっていた距離を埋め、もたれかかるように細い肩を寄せてきた。
今が好機とアオイの両手を独占している瓶をそっと取り上げた。何かを言われてしまう前に空いた手を握れば、アオイは私の突飛な行動に納得してくれたらしい。その小さな指先で私の手のひらを揉むように触り始めた。赤く染まった耳が可愛らしい。
「そ、それじゃあさ、バアルはさ……どういう男の人を魅力的だなって、思ってるの?」
「ふむ……難しい質問ですね」
「難しいんだ……」
小さく呟かれた声は寂し気に聞こえた。残念だけれども、どこかしら理解はしていたような、諦観の混じった声。
またしても、何やら勘違いをなさっているようだ。先程の件に関してはともかく、此方は早急に解いておかなければ。
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