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雑貨屋さんにて
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思いがけず、好きな人の新たな一面を知れるとやっぱり嬉しいよな。また一歩、お互いの距離が縮まったような気がしてさ。
まぁ、時にはびっくりすることもあるかもしれないけど、そういうのもひっくるめて楽しいっていうか……もっと、俺の知らない……色んな彼が見れたらいいなって思うんだ。
明るい鈴の音に出迎えられながら、真っ青な扉の向こうへと踏み入れる。俺達の目に飛び込んできた景色は、さながらおもちゃ箱のようだった。
床も、壁も、勿論天井も。温かみのある木材が用いられた店内は、至るところにカラフルな品々がディスプレイされている。
壁をぐるりと囲むように設置された棚には、最近見慣れてきた調理器具や、おしゃれな模様が素敵なお皿などの食器類。思わず触りたくなるくらいにふかふかしていそうな猫や犬、鳥達を可愛らしくデフォルメしたクッション。
飴細工のように伸びたり、くるくる曲がったりした不思議な形の瓶や、美術館にでも展示されていそうな……どこかレトロな雰囲気を漂わせたランプが並ぶ。
天井近くの壁には、これまた個性あふれる壁掛け時計達が。俺達に向かって、どうぞ買ってください! と言わんばかりにアピールしていた。
満開に咲き誇る花を模した形の物もあれば、細かいフリル模様が周りにあしらわれた凝ったデザインの物。表面に宝石のようなカットが施された、もはや芸術品と言っても過言ではない美しさの物もある。
彼らを引き立てるように天井からは……星や水晶の形をしていたり、ステンドグラスで作られた模様をあしらった幻想的な吊り下げ照明が。淡いオレンジ色の光を灯し、照らしていた。
店内には俺達の他にも……双子だろうか? お揃いの花柄のワンピースを着た子供達を連れた、黄色の翼を持つ親子。馬のような尻尾を持つ女性に、ヒョウ柄の尻尾と耳を持つ男性。皆さん思い思いに品物を手に取り、バスケットのかごに入れ、買い物を楽しんでいる。
「写真で拝見していた以上に素敵なお店ですね」
柔らかな低音に呼びかけられ少し見上げれば、ゆるりと細められた鮮やかな緑の瞳とかち合う。
いつの間に手にしていたのか。相変わらず気配り上手な彼……バアルさんの手には、入口の側に積まれている木製のバスケットがあった。
荷物持ちを買って出てくれるらしい。さり気ない気遣いに胸がきゅっと高鳴ってしまう。
「は、はいっ……つい、目移り……しちゃいますね」
……どうしよう、変な顔になっていないだろうか。上手く笑顔で返せただろうか。
意識すれば意識するだけ顔が熱くなり、心臓がバクバクと暴れ始めてしまう。このままだと伝わってしまいそうだ。長く引き締まった腕を腰に回し、優しく抱き寄せてくれている彼に。
「おや……アオイ様、これは中々お目にかかれない代物でございますよ」
「へ?」
歩幅を合わせ、ゆっくり俺をエスコートしてくれていた彼の視線の先には切り株があった。中々の存在感だ。お店に入ってすぐど真ん中の目立つ場所に、堂々と鎮座しているってのもあるけれど。
……いや、これテーブルか。オススメ! とでも書かれているのだろうか? 雲やギザギザの形をした手書きのポップと一緒に値札がつけられている。
……それにしても、滅茶苦茶リアルだな。根っこや年輪は勿論だけど、所々に苔や野草まで生えているしさ。
「……うわぁ、スゴい……本物みたいですね」
「ええ。全て、職人方の手作りの様ですね。制作に三年かかるらしく、お値段は白金貨六十三枚だそうです」
まだ、こっちの文字をあまり読めない俺に代わって穏やかな低音が、ポップに書かれたオススメポイントを噛み砕いて読んでくれる。最後にさらりと紡がれたご立派なお値段に、うっかり変な声がため息と一緒に漏れてしまっていた。
「うへぇ……俺の手持ちじゃ、あの野草部分くらいしか買えなさそう……」
……白金貨は、ざっくり言うと一枚で一万円だ。つまりこのテーブルは六十三万するという訳。因みに千円は金貨一枚、百円は銀貨一枚、十円は銅貨一枚って感じだそうだ。
切り株型テーブルの根本からちょこんと顔を出している、何処にでも生えていそうな野草を指差す。頭の上でくすくすと小さく笑う声がしたかと思うと、かごを腕にぶら下げた大きな手が、俺の手を優しく包み込んだ。
「では、私めが御用立て致しましょうか?」
「えっ、いやいや……お気持ちだけもらっておきます。テーブルならもう、勿体ないくらい立派な物を用意してもらってますし」
現在、住まわせてもらっているバスルーム付きのお部屋には、銀の装飾が施された大きなテーブルがあり、絶賛お世話になっている。今朝もバアルさんと一緒にそこで朝食を楽しんだばかりだしな。
それに、そもそも似合わないだろう。ミスマッチにもほどがある。天井には青い水晶で作られたシャンデリア。床一面には繊細な模様が描かれた、ふかふかの絨毯が広がる室内に、スゴく自然みあふれる切り株様なんてさ。
まぁ、時にはびっくりすることもあるかもしれないけど、そういうのもひっくるめて楽しいっていうか……もっと、俺の知らない……色んな彼が見れたらいいなって思うんだ。
明るい鈴の音に出迎えられながら、真っ青な扉の向こうへと踏み入れる。俺達の目に飛び込んできた景色は、さながらおもちゃ箱のようだった。
床も、壁も、勿論天井も。温かみのある木材が用いられた店内は、至るところにカラフルな品々がディスプレイされている。
壁をぐるりと囲むように設置された棚には、最近見慣れてきた調理器具や、おしゃれな模様が素敵なお皿などの食器類。思わず触りたくなるくらいにふかふかしていそうな猫や犬、鳥達を可愛らしくデフォルメしたクッション。
飴細工のように伸びたり、くるくる曲がったりした不思議な形の瓶や、美術館にでも展示されていそうな……どこかレトロな雰囲気を漂わせたランプが並ぶ。
天井近くの壁には、これまた個性あふれる壁掛け時計達が。俺達に向かって、どうぞ買ってください! と言わんばかりにアピールしていた。
満開に咲き誇る花を模した形の物もあれば、細かいフリル模様が周りにあしらわれた凝ったデザインの物。表面に宝石のようなカットが施された、もはや芸術品と言っても過言ではない美しさの物もある。
彼らを引き立てるように天井からは……星や水晶の形をしていたり、ステンドグラスで作られた模様をあしらった幻想的な吊り下げ照明が。淡いオレンジ色の光を灯し、照らしていた。
店内には俺達の他にも……双子だろうか? お揃いの花柄のワンピースを着た子供達を連れた、黄色の翼を持つ親子。馬のような尻尾を持つ女性に、ヒョウ柄の尻尾と耳を持つ男性。皆さん思い思いに品物を手に取り、バスケットのかごに入れ、買い物を楽しんでいる。
「写真で拝見していた以上に素敵なお店ですね」
柔らかな低音に呼びかけられ少し見上げれば、ゆるりと細められた鮮やかな緑の瞳とかち合う。
いつの間に手にしていたのか。相変わらず気配り上手な彼……バアルさんの手には、入口の側に積まれている木製のバスケットがあった。
荷物持ちを買って出てくれるらしい。さり気ない気遣いに胸がきゅっと高鳴ってしまう。
「は、はいっ……つい、目移り……しちゃいますね」
……どうしよう、変な顔になっていないだろうか。上手く笑顔で返せただろうか。
意識すれば意識するだけ顔が熱くなり、心臓がバクバクと暴れ始めてしまう。このままだと伝わってしまいそうだ。長く引き締まった腕を腰に回し、優しく抱き寄せてくれている彼に。
「おや……アオイ様、これは中々お目にかかれない代物でございますよ」
「へ?」
歩幅を合わせ、ゆっくり俺をエスコートしてくれていた彼の視線の先には切り株があった。中々の存在感だ。お店に入ってすぐど真ん中の目立つ場所に、堂々と鎮座しているってのもあるけれど。
……いや、これテーブルか。オススメ! とでも書かれているのだろうか? 雲やギザギザの形をした手書きのポップと一緒に値札がつけられている。
……それにしても、滅茶苦茶リアルだな。根っこや年輪は勿論だけど、所々に苔や野草まで生えているしさ。
「……うわぁ、スゴい……本物みたいですね」
「ええ。全て、職人方の手作りの様ですね。制作に三年かかるらしく、お値段は白金貨六十三枚だそうです」
まだ、こっちの文字をあまり読めない俺に代わって穏やかな低音が、ポップに書かれたオススメポイントを噛み砕いて読んでくれる。最後にさらりと紡がれたご立派なお値段に、うっかり変な声がため息と一緒に漏れてしまっていた。
「うへぇ……俺の手持ちじゃ、あの野草部分くらいしか買えなさそう……」
……白金貨は、ざっくり言うと一枚で一万円だ。つまりこのテーブルは六十三万するという訳。因みに千円は金貨一枚、百円は銀貨一枚、十円は銅貨一枚って感じだそうだ。
切り株型テーブルの根本からちょこんと顔を出している、何処にでも生えていそうな野草を指差す。頭の上でくすくすと小さく笑う声がしたかと思うと、かごを腕にぶら下げた大きな手が、俺の手を優しく包み込んだ。
「では、私めが御用立て致しましょうか?」
「えっ、いやいや……お気持ちだけもらっておきます。テーブルならもう、勿体ないくらい立派な物を用意してもらってますし」
現在、住まわせてもらっているバスルーム付きのお部屋には、銀の装飾が施された大きなテーブルがあり、絶賛お世話になっている。今朝もバアルさんと一緒にそこで朝食を楽しんだばかりだしな。
それに、そもそも似合わないだろう。ミスマッチにもほどがある。天井には青い水晶で作られたシャンデリア。床一面には繊細な模様が描かれた、ふかふかの絨毯が広がる室内に、スゴく自然みあふれる切り株様なんてさ。
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