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何があっても変わらない想い
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……キスしたいって、思ってくれているんだ……俺と。
……スゴく嬉しかったのに。蕩けるような微笑みと甘やかな声で、変わらず愛を囁いてくれただけでも。俺という存在を喜んで受け入れてくれただけでも、スゴく。
なのに、彼は行動でも示してくれる。撫でてくれて、抱き締めてくれて、さらにはその先まで。今の彼なりに、俺を愛してくれようとしてくれている。
「……やはり……今の私とでは、お嫌でしょうか?」
嬉しくて、嬉し過ぎて言葉にならなかったせいだ。彼の笑顔を曇らせてしまっていた。
……応えなければ、今の彼にも。伝えなければ、この胸を満たしてくれている温かさを。
名残惜しそうに頬をひと撫でしてから、静かに離れていこうとしていた手を慌てて握る。緑の瞳が僅かに見開かれた。
「……そんなこと、ないです。イヤな訳がありません……好き、ですから」
鮮やかな緑に星が瞬く。力なく縮んでいた羽が途端に広がり、白い日差しの中で淡く輝く。
「若返っても、俺のこと……覚えてなくても、俺がバアルさんのことを好きってことは……絶対に変わりませんから」
……そうだ。それだけは変わらない。何があっても、今みたいに彼が変わってしまったとしても、それだけは。
握り締めてしまっていた手が繋がれる。優しく抱き寄せられて、遠のきかけていた俺達の距離が瞬く間に縮まった。
「アオイ様……」
「バアルさん……」
徐々に視界を満たしていく柔らかい微笑み。宝石よりも美しい瞳に俺だけが映るこの瞬間。
いつも、心臓が壊れそうなくらいに高鳴ってしまう。このひと時が永遠に続けばいいのにと願ってしまう。
そっと目を閉じて、全てを彼に委ねようとしていた時だった。
「おはようっ!! バアル! アオイ殿!」
けたたましい音を立て開け放たれたドアから、これまた賑やかな通りのいい声が飛び込むように入ってくる。まるで嵐だ。いつも通りっちゃ、いつも通りのご訪問なんだけれど。
もはや、不思議に思わなくなってしまったイケメン特有の風。何処からともなく吹く爽やかな空気が、黒く艷やかな長髪をふわりと攫う。上に立つ者に相応しい、金糸に彩られた黒の片マントを靡かせる。
しなやかな足を大きく動かし、ふかふかの絨毯の上を颯爽と歩み、あっという間に部屋の奥へと。俺達の前へとやってきてしまった。
「そなたら、体調に変わりはないであろ……」
ご機嫌そうに細められた、真っ赤な瞳がきょとんと丸くなった。ベッドの上でぴったりと身を寄せ合い、口づけを交わす寸前だった俺達を捉えたことによって。
「ひょわ……」
顔の中心へと一気に熱が集まっていく。思わず、飛び退くように離れようとしたが叶わなかった。腰に回っている筋肉質な腕に阻まれ、上半身を僅かに後ろへ反らすだけに終わってしまった。
いや、終わらなかった。繋いだ手を引かれ、腰を抱き寄せられ、そのままキレイに収まってしまった。ぬいぐるみでも抱くように、長い腕の中へと俺を閉じ込め頬をぴたりとくっつけてきた彼が、眉間に僅かにシワを寄せる。
「……おはようございます、ヨミ様。本日もご機嫌麗しいようで何よりでございます」
声はいつも通りだ。柔らかく、優しい波音の様に耳障りが良く、心地いい。聞くだけなら完璧だ。あからさまな不満を表した、への字に歪んだ口元さえ見なければ。
打ち上げられた魚のごとく、ただただ口をぱくぱくさせている俺。そして、ヨミ様に対して珍しくあまり平静を装っていないバアルさんとを、交互に見つめていた赤の瞳が再び細められた。
「……はっはっは! ないようだな! バアルが若返っても仲良しさんで何よりだ! 邪魔したな!!」
愉快で仕方がないと言いたげに笑う王様が、くるりと背を向け部屋を後にしようとする。
「あ、ちょっ……ヨミ様」
「よいよい、しばしの間ゆっくり二人で過ごすといい。グリムとクロウには私から言っておこう、朝の茶会は中止だと」
相変わらずな面倒見の良さを発揮し、トントン拍子に話を進めていく。扇ぐようにひらひらと振っていた手を下ろし、振り向きざまに微笑んだ。
「……だが、何か有ればすぐに連絡するのだぞ?」
……スゴく嬉しかったのに。蕩けるような微笑みと甘やかな声で、変わらず愛を囁いてくれただけでも。俺という存在を喜んで受け入れてくれただけでも、スゴく。
なのに、彼は行動でも示してくれる。撫でてくれて、抱き締めてくれて、さらにはその先まで。今の彼なりに、俺を愛してくれようとしてくれている。
「……やはり……今の私とでは、お嫌でしょうか?」
嬉しくて、嬉し過ぎて言葉にならなかったせいだ。彼の笑顔を曇らせてしまっていた。
……応えなければ、今の彼にも。伝えなければ、この胸を満たしてくれている温かさを。
名残惜しそうに頬をひと撫でしてから、静かに離れていこうとしていた手を慌てて握る。緑の瞳が僅かに見開かれた。
「……そんなこと、ないです。イヤな訳がありません……好き、ですから」
鮮やかな緑に星が瞬く。力なく縮んでいた羽が途端に広がり、白い日差しの中で淡く輝く。
「若返っても、俺のこと……覚えてなくても、俺がバアルさんのことを好きってことは……絶対に変わりませんから」
……そうだ。それだけは変わらない。何があっても、今みたいに彼が変わってしまったとしても、それだけは。
握り締めてしまっていた手が繋がれる。優しく抱き寄せられて、遠のきかけていた俺達の距離が瞬く間に縮まった。
「アオイ様……」
「バアルさん……」
徐々に視界を満たしていく柔らかい微笑み。宝石よりも美しい瞳に俺だけが映るこの瞬間。
いつも、心臓が壊れそうなくらいに高鳴ってしまう。このひと時が永遠に続けばいいのにと願ってしまう。
そっと目を閉じて、全てを彼に委ねようとしていた時だった。
「おはようっ!! バアル! アオイ殿!」
けたたましい音を立て開け放たれたドアから、これまた賑やかな通りのいい声が飛び込むように入ってくる。まるで嵐だ。いつも通りっちゃ、いつも通りのご訪問なんだけれど。
もはや、不思議に思わなくなってしまったイケメン特有の風。何処からともなく吹く爽やかな空気が、黒く艷やかな長髪をふわりと攫う。上に立つ者に相応しい、金糸に彩られた黒の片マントを靡かせる。
しなやかな足を大きく動かし、ふかふかの絨毯の上を颯爽と歩み、あっという間に部屋の奥へと。俺達の前へとやってきてしまった。
「そなたら、体調に変わりはないであろ……」
ご機嫌そうに細められた、真っ赤な瞳がきょとんと丸くなった。ベッドの上でぴったりと身を寄せ合い、口づけを交わす寸前だった俺達を捉えたことによって。
「ひょわ……」
顔の中心へと一気に熱が集まっていく。思わず、飛び退くように離れようとしたが叶わなかった。腰に回っている筋肉質な腕に阻まれ、上半身を僅かに後ろへ反らすだけに終わってしまった。
いや、終わらなかった。繋いだ手を引かれ、腰を抱き寄せられ、そのままキレイに収まってしまった。ぬいぐるみでも抱くように、長い腕の中へと俺を閉じ込め頬をぴたりとくっつけてきた彼が、眉間に僅かにシワを寄せる。
「……おはようございます、ヨミ様。本日もご機嫌麗しいようで何よりでございます」
声はいつも通りだ。柔らかく、優しい波音の様に耳障りが良く、心地いい。聞くだけなら完璧だ。あからさまな不満を表した、への字に歪んだ口元さえ見なければ。
打ち上げられた魚のごとく、ただただ口をぱくぱくさせている俺。そして、ヨミ様に対して珍しくあまり平静を装っていないバアルさんとを、交互に見つめていた赤の瞳が再び細められた。
「……はっはっは! ないようだな! バアルが若返っても仲良しさんで何よりだ! 邪魔したな!!」
愉快で仕方がないと言いたげに笑う王様が、くるりと背を向け部屋を後にしようとする。
「あ、ちょっ……ヨミ様」
「よいよい、しばしの間ゆっくり二人で過ごすといい。グリムとクロウには私から言っておこう、朝の茶会は中止だと」
相変わらずな面倒見の良さを発揮し、トントン拍子に話を進めていく。扇ぐようにひらひらと振っていた手を下ろし、振り向きざまに微笑んだ。
「……だが、何か有ればすぐに連絡するのだぞ?」
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