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【番外編】自惚れはあれど2
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私にして下さった可愛らしいサプライズ以来、アオイはすっかり夢中になっていらっしゃる。私達の国の文字を書き、学ぶことに。
ただ……意外というか、大変役得というか。アオイは、私を先生に指名してくれたのだ。
引き続き、レタリー殿から学ばれていくものだとばかり。それ故に私は反応が遅れてしまった。愛らしい頬を染めて、おずおずとお願いしてきてくれた彼を前にして、固まってしまっていたのだ。
危うく逃してしまうところだったのだ。レタリー殿に醜い嫉妬心を向けるどころか、焦がれるほどに欲していた機会を自分の手で。
不安そうに見つめていたアオイに、喜びのあまり言葉が出なかったのだと伝えれば、たちまち明るい笑顔を見せてくれたから良かったものの。
因みに、私への手紙を贈る際に必要があれば、またレタリー殿かヨミ様やコルテに頼むとのこと。しかし、今回は以前のような寂しさを覚えなかった。
……サプライズ以外では、一番に私を頼ってくれるのだと分かったから、でしょうね……
自分のことながら現金なものだ。とはいえ、どうしようもない。それに何も間違いではないだろう。心底惚れ込んでいる御方の一番になりたいと、どのような時でも必要とされたいと、そう望んでしまうことは決して。
ペンの音が止まる。代わりに聞こえてきたのは椅子が軋む音、それから可愛らしいあくび。
「……アオイ、一度休憩に致しませんか?」
背もたれに華奢な身を預け、肩の凝りを解すようにか細い腕を回していた彼が私を見上げる。美しい瞳には、とろりと細められた瞳には、薄い涙の膜が張られていた。
「そう、ですね……じゃあ、ソファーの方にいきましょうか」
「……いえ、ベッドに参りましょう」
「え……でも、俺……まだ、全然大丈夫ですよ? 眠くなんか、ありませんよ?」
私の提案に、アオイは慌てたように細い指で目元を拭った。
心配をかけまいとしてくれているのだろう。私に微笑みかけながら、言葉を重ねる。
「霊薬のお陰で、最近は急に眠くなっちゃうこともほとんどなくなりましたし……あ、ほら、中庭にお散歩デートに出掛けても、疲れにくくなったじゃないですか」
確かに。霊薬を飲めるようになってから、アオイの体調はめざましい回復を見せてくれている。
四六時中、何度も襲われていた眠気は、もはや一日に一回あるかないか。それも数十分程で自然と目を覚ましてくれるようになったのだ。
体力の方もだ。少し前はベッドからテーブルへと歩くだけでも精一杯。すぐに疲れてしまわれて、しばしの間、横にならざるを得なかった。
それが今は、別棟から本棟までの長い廊下を歩かれても足取りは軽く、明るい笑顔を曇らせることもない。更には城内を、中庭を、手を繋いで共に歩くことが出来るようになったのだ。デートを楽しむ余裕が出来たのだ。
だから、彼の言い分も分かる。彼の気持ちを優先してあげたいのは山々なのだが。
「ええ、左様でございますね……ですが、ヨミ様が仰られていたでしょう? 頑張られた際には、少しお休みを取られた方が宜しいと……そちらの方が、より早く元の生活に戻ることが出来るのだと」
「それは……そうですけど……」
アオイは賢い御方だ。しかし、兆しが見えてきた故に欲が出てしまっているのだろう。頭では分かっていても、気持ちの方面では納得出来ていないようだった。
……この手を使うのは、少々気が引けるのですが。
ただ……意外というか、大変役得というか。アオイは、私を先生に指名してくれたのだ。
引き続き、レタリー殿から学ばれていくものだとばかり。それ故に私は反応が遅れてしまった。愛らしい頬を染めて、おずおずとお願いしてきてくれた彼を前にして、固まってしまっていたのだ。
危うく逃してしまうところだったのだ。レタリー殿に醜い嫉妬心を向けるどころか、焦がれるほどに欲していた機会を自分の手で。
不安そうに見つめていたアオイに、喜びのあまり言葉が出なかったのだと伝えれば、たちまち明るい笑顔を見せてくれたから良かったものの。
因みに、私への手紙を贈る際に必要があれば、またレタリー殿かヨミ様やコルテに頼むとのこと。しかし、今回は以前のような寂しさを覚えなかった。
……サプライズ以外では、一番に私を頼ってくれるのだと分かったから、でしょうね……
自分のことながら現金なものだ。とはいえ、どうしようもない。それに何も間違いではないだろう。心底惚れ込んでいる御方の一番になりたいと、どのような時でも必要とされたいと、そう望んでしまうことは決して。
ペンの音が止まる。代わりに聞こえてきたのは椅子が軋む音、それから可愛らしいあくび。
「……アオイ、一度休憩に致しませんか?」
背もたれに華奢な身を預け、肩の凝りを解すようにか細い腕を回していた彼が私を見上げる。美しい瞳には、とろりと細められた瞳には、薄い涙の膜が張られていた。
「そう、ですね……じゃあ、ソファーの方にいきましょうか」
「……いえ、ベッドに参りましょう」
「え……でも、俺……まだ、全然大丈夫ですよ? 眠くなんか、ありませんよ?」
私の提案に、アオイは慌てたように細い指で目元を拭った。
心配をかけまいとしてくれているのだろう。私に微笑みかけながら、言葉を重ねる。
「霊薬のお陰で、最近は急に眠くなっちゃうこともほとんどなくなりましたし……あ、ほら、中庭にお散歩デートに出掛けても、疲れにくくなったじゃないですか」
確かに。霊薬を飲めるようになってから、アオイの体調はめざましい回復を見せてくれている。
四六時中、何度も襲われていた眠気は、もはや一日に一回あるかないか。それも数十分程で自然と目を覚ましてくれるようになったのだ。
体力の方もだ。少し前はベッドからテーブルへと歩くだけでも精一杯。すぐに疲れてしまわれて、しばしの間、横にならざるを得なかった。
それが今は、別棟から本棟までの長い廊下を歩かれても足取りは軽く、明るい笑顔を曇らせることもない。更には城内を、中庭を、手を繋いで共に歩くことが出来るようになったのだ。デートを楽しむ余裕が出来たのだ。
だから、彼の言い分も分かる。彼の気持ちを優先してあげたいのは山々なのだが。
「ええ、左様でございますね……ですが、ヨミ様が仰られていたでしょう? 頑張られた際には、少しお休みを取られた方が宜しいと……そちらの方が、より早く元の生活に戻ることが出来るのだと」
「それは……そうですけど……」
アオイは賢い御方だ。しかし、兆しが見えてきた故に欲が出てしまっているのだろう。頭では分かっていても、気持ちの方面では納得出来ていないようだった。
……この手を使うのは、少々気が引けるのですが。
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